2023年10月21日、アラブ首長国連邦アブダビのエティハド・アリーナで開催の『UFC 294: Makhachev vs. Volkanovski 2』の前日公開計量が20日に行われた。
既報通り、急遽対戦相手が変更となったライト級王者のイスラム・マカチェフ(ロシア)、そして緊急参戦のアレクサンダー・ヴォルカノフスキー(豪州)の両者ともに計量をパス。
そして、コ・メインで「ミドル級(185ポンド)」で戦うハムザト・チマエフ(スウェーデン/ロシア)は185.5ポンド(84.14kg)と王座戦以外の+1ポンド許容の体重でパス。欠場のパウロ・コスタの代わりに緊急参戦の現ウェルター級1位カマル・ウスマン(ナイジェリア)は184.5ポンド(83.69kg)のアンダーで計量をパスしている。
チマエフは、2022年4月の『UFC 273』のウェルター級戦でギルバート・バーンズに判定勝ち後、2022年9月の前戦『UFC 279』のメインイベントでネイト・ディアスと対戦予定だったが、前日計量で7.5ポンド(約3.4kg)と大幅体重超過。チマエフのためにメインカードがシャッフルされ、同大会でダニエル・ロドリゲスと180ポンド契約で対戦予定だったケビン・ホランドがチマエフと180ポンドで対戦。チマエフがダースチョークで1R一本勝ちを収めている。
計量ミス後の今回は、あらかじめミドル級戦でパウロ・コスタと対戦予定だったが、コスタの欠場により、元ウェルター級王者のウスマンが緊急参戦を決めていた。チマエフは1年1カ月ぶりの復帰戦となる。
ウスマンは、2023年3月の『UFC 286: Edwards vs. Usman 3』でレオン・エドワーズとの再戦でウェルター級王座奪還に臨んだが判定負け。今回、7カ月ぶりの試合に緊急参戦で1階級上に挑戦することになるが、ミドル級では2013年12月の『VFC 41』以来、10年ぶり。UFCでは初の185ポンド(83.9 kg)での試合となる。
そんななか、チマエフがUFCとの契約を更新したことも報道されている。
チマエフのマネージャー、マジディ・シャマスがESPNに語ったところによると、残り2試合の契約だったチマエフは、17日に新たに複数試合の契約にサインしたという。契約の条件は明らかにされていないが、会見でチマエフは1試合あたり約300万ドル(約4億5千万円)を稼ぐだろうと示唆しており、7試合すれば30億円以上になる大型契約とも言われ、UFCがこの29歳の“問題児”に期待をかけていることも伝わってくる。
試合前会見で「パウロ・コスタはビビって逃げたんだ」と斬り捨てたチマエフは、返す刀で、新たな対戦相手となったウスマンに対し、「『世界一』って言ってるけど、試合に負けるなんてありえないよな。なんで負けた?」と毒づいた。
ウスマンは「そうだな、でもそれが人間というものだ。それこそ俺が君に教えてやれることだ」と敗北を味わわせると返答。
チマエフは笑みを浮かべながら、「あー、いいファイターだからね。でも俺のようなハイレベルなファイターじゃない。全然違う。俺に何かを教えるには歳を取りすぎている」と、36歳のベテランは相手にならないと突き放した。
「まあそうかもな、好きに言えばいい」と落ち着いて話すウスマンに、チマエフは「おじさんから教わることなんて無いよ。ジムでコーチでもしていたほうがいい。あんたの健康にもいいしね」と強気の姿勢を崩さなかった。
勝者はミドル級新王者ショーン・ストリックランド(米国)への挑戦権を得るというコメインで、最後に勝ち名乗りを受けるのは、チマエフか、ウスマンか。
また、同大会のプレリムでは、平良達郎と同じフライ級でUFC4勝無敗、プロ・アマ通じて33連勝のムハンマド・モカエフ(英国)が出場。同級10位のティム・エリオット(ロシア)を相手に初のトップ10ランカーとの対戦に挑む。
3月大会では、初参戦のジャフェル・フィーリョにヒザ十字を極められながらも耐えてのリアネイキドチョークで逆転一本勝ち。リハビリで回復させて7カ月ぶりの試合に臨む。対するエリオットは、2021年10月にマテウス・ニコラウに判定負けも、以降、タギル・ウランベコフとビクトル・アルタミラノにいずれも判定勝ちで2連勝中。4カ月間隔で3連勝を目指す。
そして、バンタム級では、元DEEP王者のビクター・ヘンリー(米国)が参戦。14連勝中のプロスペクト、ジャビッド・バシャラート(アフガニシタン)と対戦する。ともにトニー・グレーブリーに判定勝ちしているが、36歳のビクターに対し、28歳のバシャラットはUFC3連勝中。アウェイでアンダードッグのビクターは強敵を相手にアップセットを起こせるか。
アーリープレリムでは、「ROAD TO UFC」ライト級優勝のアンシュル・ジュビリ(インド)が出場する。キム・ギョンピョを完封し、ジェカ・サラギを2R TKOに下しているジュビリは、UFC3連敗中のマイク・ブリーデン(米国)と対戦。しかし、そのブリーデンが159.5ポンド(72.34kg)と体重超過しており、対戦相手のジュブリに報奨金の30%を支払うことで試合は行われる。
また、女子ストロー級では、MMA7戦無敗で前戦でイステラ・ヌネスに34秒 TKO勝ち(手を着いたヌネスがヒジを脱臼)したビクトリア・ドゥダコヴァ(ロシア)が出場。RIZIN、ROAD FCで活躍するもUFC3連敗中のジン・ユ・フレイ(米国)と対戦する。計量では、ドゥダコバが体重超過。対戦相手のフレイに報奨金の20%を支払い、試合は行われる。
大会の模様は、10月21日(土)日本時間23時にスタート予定のプレリム8試合、22日(日)3時に始まるメインカード5試合を含む全試合が、UFC FIGHT PASSならびにU-NEXTでライブ配信される。
[nextpage]
『UFC 294: Makhachev vs. Volkanovski 2』全選手計量結果
2023年10月21日(土)日本時間23時~UFC FIGHT PASS/U-NEXT配信
▼UFC世界ライト級選手権試合 5分5Rイスラム・マカチェフ(ロシア)24勝1敗(UFC13勝1敗)王者 ※UFC12連勝中 155lbs/70.31kgアレクサンダー・ヴォルカノフスキー(豪州)26勝2敗(UFC13勝1敗)挑戦者 154.5lbs/70.08kg※10日前代打、現UFC世界フェザー級王者※シャーウス・オリベイラは負傷欠場
[nextpage]
▼ミドル級 5分3Rハムザット・チマエフ(スウェーデン/ロシア)12勝0敗(UFC6勝0敗)※UFC6連勝中 185.5lbs/84.14kgカマル・ウスマン(ナイジェリア)20勝3敗(UFC15勝2敗)184.5lbs/83.69kg※9日前代打、元ウェルター級王者※パウロ・コスタは負傷欠場
[nextpage]
▼ライトヘビー級 5分3Rマゴメド・アンカラエフ(ロシア)17勝1敗(UFC9勝1敗)※UFC9連勝中 206lbs/93.44kgジョニー・ウォーカー(ブラジル)21勝7敗(UFC7勝4敗)※UFC3連勝中 205lbs/92.99kg
[nextpage]
▼ミドル級 5分3Rイクラム・アリスケロフ(ロシア)14勝1敗(UFC1勝0敗)ワーレイ・アウヴェス(ブラジル)14勝6敗(UFC8勝6敗)185.5lbs/84.14kg※13日前代打※ナッソーディン・イマボフは欠場
[nextpage]
▼バンタム級 5分3Rサイード・ヌルマゴメドフ(ロシア)17勝3敗(UFC6勝2敗)136lbs/61.69kgムイン・ガフロフ(タジキスタン)18勝5敗(UFC0勝1敗)135.5lbs/61.46kg
[nextpage]
【プレリミナリー】
▼フライ級 5分3Rティム・エリオット(ロシア)19勝12敗(UFC8勝10敗)126lbs/57.15kgムハンマド・モカエフ(英国)10勝0敗(UFC4勝0敗)※UFC4連勝中 126lbs/57.15kg
[nextpage]
▼ライト級 5分3Rモハマド・ヤヒヤ(アラブ首長国連邦)12勝3敗(UFC0勝0敗)156lbs/70.76kgトレバー・ピーク(米国)8勝1敗(UFC1勝1敗)155.5lbs/70.53kg
[nextpage]
▼バンタム級 5分3Rジャビッド・バシャラート(アフガニスタン)14勝0敗(UFC3勝0敗)※UFC3連勝中 136lbs/61.69kgビクター・ヘンリー(米国)23勝6敗(UFC2勝1敗)136lbs/61.69kg
[nextpage]
▼ミドル級 5分3Rアブー・アツァイター(モロッコ)14勝3敗(UFC1勝1敗)186lbs/84.37kgセドリケス・ドゥマス(米国)8勝1敗(UFC1勝1敗)186lbs/84.37kg
[nextpage]
【アーリープレリム】
▼ライト級→159ポンド 5分3Rマイク・ブリーデン(米国)10勝6敗(UFC0勝3敗)159.5lbs/72.34kg ※体重超過アンシュル・ジュブリ(インド)7勝0敗(UFC1勝0敗)155.5lbs/70.53kg※ブリーデンが体重超過。試合は予定通り行われるものの、対戦相手のジュブリに報奨金の30%を支払う
[nextpage]
▼フェザー級 5分3Rナサニエル・ウッド(英国)19勝5敗(UFC7勝2敗)※UFC3連勝中 146lbs/66.22kgムハンマド・ナイモフ(タジキスタン)9勝2敗(UFC1勝0敗)145.5lbs/66.00kg
[nextpage]
▼女子ストロー級→116.6ポンド 5分3Rビクトリア・ドゥダコヴァ(ロシア)7勝0敗(UFC1勝0敗)116.6lbs/52.88kg ※体重超過ジン・ユ・フレイ(米国)11勝9敗(UFC2勝5敗)116lbs/52.62kg※ドゥダコバが体重超過。試合は予定通り行われるものの、対戦相手のジン・ユウ・フライに報奨金の20%を支払う
[nextpage]
▼ミドル級 5分3Rシャラプディン・マゴメドフ(ロシア)11勝0敗(UFC0勝0敗)186lbs/84.37kgブルーノ・シウバ(ブラジル)23勝9敗(UFC4勝3敗)186lbs/84.37kg