2023年10月21日(土)東京・後楽園ホール『Krush.154』にて、Krushフェザー級タイトルマッチ3分3R延長1Rで篠塚辰樹(MASTER BRIDGE SOUND)の挑戦を受けての初防衛戦に臨む王者・森坂陸(エスジム)のインタビューが主催者を通じて届いた。
森坂は2017年からK-1 JAPAN GROUPに参戦し、ムエタイ仕込みの蹴り技とバックハンドブローなどの回転技を駆使するトリッキーなファイトスタイルで戦績は17勝(3KO)13敗2分。江川優生、椿原龍矢、軍司泰斗ら後にK-1王者となる選手たちとしのぎを削り、2020年の「第5代Krushフェザー級王座決定トーナメント」では準優勝。2022年は4戦全勝で2023年3月、玖村修平に挑戦して同級王座を獲得。そのリング上で宣言して参戦を実現させたK-1・横浜武道館大会では椿原龍矢に判定負けを喫したが、今回は再起戦と同時に初防衛戦となる。
バックハンドブローが入りやすそう
──挑戦者が篠塚辰樹選手に決まった時はどう思いましたか?
「名のある選手で、盛り上がるからいいかなあという感じですね」
──そしてカード発表会見で顔を合わせましたが、その時の印象は?
「まあ、イメージ通りですかね。率直にフラレたなあと思いましたけど(笑)」
──ああ、「以前、個人的に飲んだりしてみたいと思っていた」という森坂選手の発言に、篠塚選手が「キモいし、俺は飲む気はない」と全く興味を示さなかった件ですね。タイプが真逆そうなので、森坂選手の言葉はちょっと意外でした。
「性格とかは似てると思ってないんですけど、けっこうお酒を飲んだり、夜にみんなで『ウェーイ!』って遊ぶ感じが似てて、数年前に彼が他団体で戦ってる時にも、夜に何度か会ったことがあるんですよ。そこで話したら面白くて、『いつか飲みに行きたいなあ』と個人的に思ってただけで。その後、彼がK-1 GROUPに来て『いつかやるんだろうな』とは思ってたんですけど、まあ会見ではネタというか、思ってたんで発言したら、あんな回答で(笑)」
──なるほど(笑)。ファイターとしての篠塚選手は、やりやすい・やりづらいで言うと?
「僕からするとやりやすいタイプの選手かなと思います。ファイトスタイルが真逆で、僕は蹴りが中心で彼はパンチャーじゃないですか。僕からしたら、あんな感じにパンチで前に出てくる選手はやりやすいんですよ。逆に前回、6月にやった椿原龍矢選手みたいなスタイルは僕にはやりづらくて」
──ガンガン前に出てくる相手をいなしながら戦う?
「いなしながらというのはもちろん僕のテクニックだから使いますけど、やっぱりメインイベントということもあって、僕が挑戦者だった玖村修平戦の時みたいな感じで、打ち合いたいとも考えています」
──「打ち合う」という点については、チャンピオンになって、またメインイベンターとして、意識がより強くなった感じですか?
「それはかなりありますね。数年前からパンチの練習を強化して、打ち合えるようにはなってきたんですけど、タイトルマッチが決まった時から『そういうファイトスタイルにしなきゃな』とはずっと思っていて、意識しているところです」
──ただ、打ち合いにはリスクも伴いますが。
「もちろん、そこは油断していませんし、僕は『見える』という点では自信があって、見えていればパンチをもらっても倒れないですし、打たれ強さでは僕の方が全然上だと思ってますし。だからそこはそんなに心配してないというか、いつも通りにやれば勝てるかなと思ってます」
──最終的にはどう勝ちたいですか?
「もちろんKOで仕留めたいです。倒すことを意識して毎日練習しています。何で倒すかはあんまりこだわってなくて、打ち合う中で何か当たって倒せればいいかなという感じなんですけど、バックハンドブローが入りやすそうだなとは予想しているので、それは狙ってますね」
──それは戦前に言ってしまって大丈夫なんですか?
「どうせ対策してきても、当たる時は当たるので大丈夫です。まあ別にバックハンドで倒したいと思っているわけでもないので」
──今、フェザー級は群雄割拠の様相です。今大会では元王者の新美貴士選手と稲垣澪選手の試合もありますし、タイトルに近い選手も多いですよね。そこはどう見ていますか?
「新美選手と稲垣選手の勝者は次の挑戦者候補かなとも思いますけど、『新美選手は1回獲ったのに、もう1回獲りにくるんだ』とも思います。確かにKrushフェザー級は熱い階級だなとは思ってますけど、今僕は周りの選手をそんなに意識しているというよりは、Krushの中ではトップなので、誰がきてもいいように迎え撃つ立場なので、誰とやりたいとかはあんまりないですね。とりあえず僕が強くなればいいやという考え方です」
──K-1については?
「今回防衛したら12月のK-1大阪大会にも出たいですし、K-1でも活躍していきたいです。ただKrushの防衛戦も僕が望んでいたことなので、ここはしっかり勝ってつないでいって、来年はK-1王座を狙っていきたいと思っています。このKrushのベルトを失った時点で、僕はK-1を目指せなくなると思っているから、『負けたら引退』って言ってるんですけど。負けるはずがないから『引退』という言葉を出しているというのもあるんですけど、今回防衛してベルトの価値を上げてから、来年はK-1というのが僕の目論見ですね。今回勝たないと『K-1に行きたい』なんて言えるわけもないので、しっかり勝ちます」
──では最後に、この試合への“決意”を教えていただけますか?
「僕の中では『負けたら引退』というワードは大きいんですよね。その覚悟があるという試合をしたいですね。集大成とは言わないですけど、ケジメの試合というか、防衛できなかったら終わりという“覚悟”を見に来てほしいです」