マヌーフと試合して、これより怖い試合はないなって思って
──打撃はあまり出していなかったですが、1発いいフォームで蹴っていました。打撃が出せなかったけれども伸びているという手応えのようなものもありますか。
「今回、打撃は出せなかったのですけど、前の試合からずっと打撃を練習しているんです。一番伸ばさなくてはいけない場面だと分かっていますし、試合で出す・出さないは関係なく、ずっと練習しています。毎日良太郎先生にミット持ってもらって、今回は結構左ミドル練習していたんですよ、実は。試合で出す出さないを問わず。あとは自分の打撃の進化が分かったのが、結構、中心を取れていたんですよね、ケージの。自分からプレスをかけることが出来ていたので、そこもやっぱ打撃の成長だと思います。打撃は出していないんですけど、ちゃんとこう相手の打撃も見れたし、ちゃんと相手の動きをちゃんと読んで前に行けていたので。それで今回タックルもうまく行けたと思いますね」
──寝技の圧力があるなかでスタンドにいい影響もあるかと思います。これまでの3試合が、今回も含めて、メルヴィン・マヌーフ選手や、阿部大地選手などストライカーが多く、阿部選手はウェルター級ファイターということもあり、階級と、もう少しMMAファイター寄りの相手と戦ってみたいという気持ちもありますか。
「階級は、試合前のインタビューでウェルター級に落としたいと言いましたが、それは変わらないですけれど、今回水抜きしたときに、やっぱりウェルター級に落とすにはもうちょっと期間がいるかなと思って。次の試合がいつ決まるか次第なんですよね。次の試合がたとえば大晦日にやらせていただけるのだったら、そこはミドル級じゃないとキツいんですけど、もし来年とかになるんだったら、ウェルター級でいけるかな? でも、それもやっぱ、1回落としてみないと自分の動きも分からないし、1発でいきなりウェルター級に落として、それがどう行くか分からないので、とりあえずミドル級かなって感じですね。かならず最終的にウェルター級には落とすんですけど、とりあえずミドル級かなという感じです」
──いずれウェルター級というのは世界で戦うために?
「そうです。Bellatorのミドル級チャンピオンとか、世界で見たときにやっぱりフィジカルの差をすごく感じるので。世界のトップに行くためにフィジカルの壁があってほしくないので。自分が肉体を鍛え上げるより、階級を下げるほうが自分的にラクかなと思うのですけど、もしかしたらそれで落としてみたときに、そうじゃなかったら、それ(ミドル級)で頑張ってフィジカルつけるしかないって感じですね」
──ストライカー相手が続いているなかで、どのストライカーが来ても、メルヴィン・マヌーフと戦った経験があって打撃の成長という部分も踏まえて、打撃が怖くないというのはありますか。
「やっぱり僕もその、毎回思うんですよ。マヌーフと試合して、これより怖い試合はないなって思って。次の試合、ラクだなって思って。で、阿部さんとやったじゃないですか。阿部さんと『超RIZIN.2』の会場でやって、さすがに阿部さんとやってこれ以上の緊張はないと思っていたら今回もすごい緊張したんですよ。やっぱり恐怖はありますし、でもやっぱりストライカーとやっていたらどんどん、多分試合より、練習の成果だと思うのですよね、やっぱり打撃の成長を感じるのは。前回の阿部さんの試合でだいぶ打たれて、打撃が怖くはなくなったんですけど、やっぱりそれも練習の成果だったんですよね」
──世界と戦っていく上でストライカーと戦っていくにあたり、組みの部分でレスラーだったら組みつかせないとか、寝技に付き合わない、だけど組みを熟知しているという選手が世界にいます。今後強くなっていくために、どういったタイプの相手と戦っていかなきゃいけないかなと思いますか。
「前に言わせていただいたのですけど、僕が目指すスタイルは、ギルバート・バーンズ(UFCウェルター級5位)みたいなスタイルなんですよ。彼は柔術黒帯の世界チャンピオンって忘れるくらい打撃も出来る。世界でやっていくためにはあれくらいできないと、やっていけないなというのは頭にあるので。常に打撃が一番練習しているし、レスリングとか壁レスっていう練習も頭に入れているので、自分の中でも引き込むスタイルはリミットがあるというのを分かっているんですよ。だから僕もこれからもっと、今回も成功したんですけど、必ずテイクダウンした上でやりたいんですよね、そのために誰とでもやれるスタイルになりたいんですよ、もう本当に。コンプリート。打撃も寝技もレスリングもできる。ってならないと、世界でやってけないって分かっているので、そこを目指してやっています」
試合前のインタビューでイゴールに「前回はパンチからニータップ気味で引き込んだ外掛け。あの展開は望んでいた形かは分かりませんが、結果的に引き込む形のヒールで外から内で極めた。引き込む以外のMMAでの柔術の極め技のアプローチについては?」と聞いたところ、イゴールは、「もちろん、僕はあまり得意技がなくて、特徴は“どこからでも極められる”こと。前回の阿部さんもテイクダウン取って、バックまでいったところを(頭をロープの間の)場外に出されて、そこで極め切れていたら何も言うことなかったんですけど、そこで極め切れなかったのが一番の課題。今回はああいうチャンスがあれば絶対逃さない。ケージだったらあれは無かったので」と語っていたが、今回は、近年打撃の試合が続いていたANIMAL☆KOJIが相手とはいえ、柔道出身でもあるANIMALをダブルレッグでテイクダウン、パスガードから教科書通りの三角絞めを極めた。
今後、イゴールは、ミドル級からウェルター級も視野に入れるなかで、よりレスリング・柔術能力も高く打撃に優れたMMAファイターとの対戦に向け、どんな進化を遂げるか。