(C)ゴング格闘技
2023年9月24日(日)さいたまスーパーアリーナ『RIZIN.44』に出場する全選手の個別インタビューが22日(金)、都内にて行われた。
第4試合のフライ級(57.0kg)5分3Rで、山本アーセン(KRAZY BEE/SPIKE22)と対戦する福田龍彌(MIBURO)が出席し、インタビューに応じた。
自分がどれだけ4カ月生きてきたか、分かる試合になります
──試合を2日後に控えた心境は?
「やっと戦えるな、と。それがただただ、楽しみです」
──7連勝中でGPも優勝。そのプレッシャーは?
「いや特に無くて。あの時間が好きなんです。だからそれを純粋に、今楽しめている。明後日も楽しもうというだけかな」
──「あの時間」とは試合の時間?
「そうです、そうです」
──今回の試合に向けての練習は?
「海外行ったんですよ、初めてタイに練習しに。試合が流れちゃって、7月の予定だったけど間が空いてしまったので、青井人と2人で行ってきたんですけど、そこでいろいろと普段やっていることにも自信が持てて、いい経験ができて、そういうのも踏まえて早く戦いたかったです」
──対戦相手のアーセン山本選手の印象は?
「レスリングエリートのスーパーアスリート」って感じですね。
──試合が決まったときの率直な感想を。
「伊藤裕樹くんのケツ拭かされてんのかなーって思いますけど、でも、僕自身すごいDEEPには感謝しているので、そういう意味では、任されましたっていう気分です。まあ、結局は自分が楽しみたい。僕が楽しんで戦っていたら見ているひとも楽しい戦いでしょうし、関係者も楽しんでもらえる。誰よりも自分が試合中の時間を楽しんでやろうというそれだけです」
──さいたまスーパーアリーナで試合する意識は?
「やっぱ日本で一番大っきい会場ですが、そんなにこだわりはなくて。むしろ大っきい会場苦手やし、小っ恥ずかしい。知り合いにチケットを郵送していたんですけど、そのときのやりとりで『ブルーノ・マーズがライブしていたところやで、すごいで』って。そう聞くとすごい(笑)。そういうところで戦えるんやって、そうですよね、すごいですよね」
──試合のテーマは?
「“ヒリヒリ”です。いつもの」
──どんな展開をイメージしていますか。
「どんな展開……これもね、いつもイメージしてないというか、そうなんですよ、展開とかはどうなるか分からへんからそれが楽しみ。みんなにもそれを楽しみにしてほしいです。めちゃくちゃボコボコに投げられるかもしれないし、蹴り続けるかも、殴られるかもしれないし、逆に殴るかもしれない。それも踏まえて、その時を楽しみにしていてほしいですね」
──伊藤選手のケツ拭き、というのは……。
「嫌味ではなくて、決して。伊藤くんは(DEEPフライ級GP)決勝やった本田(良介)選手にも勝てなくて同じような展開で、テイクダウンでコントロールされて負けちゃった。僕とやって、決勝戦見てもらった人は、“こうやってやるんやで”と分かる。“おかわり”みたいな。また同じことせなあかん、純粋にそんな感じですね」
──自分なら勝てると。
「いや、うーん。それもやってみーひんと分からへんからアレなんですけど、そやなあ……もっと異世界な感じなんかなと思ったんですけどね、(DEEPフライ級)グランプリ取った先は異世界。海外とか、外国人とできるとか、海外で成果を出している人(が相手)なのかなとは思ったんですけど、その時に初めてアーセンくんという話を聞いて、また同じような気持ちで、伊藤のリベンジみたいな空気のマッチメイクだとぶっちゃけ思いました。もっと、逆に言うと、前の本田戦で倒しきれへんかったっていうところも自分としては悔しいし、優勝したから満足しているというカケラもない。前の試合内容自分自身、納得いってないし、それをしっかり突き詰めて、次やったら終わらせられるという取り組みをしてきたつもりで、自分がどれだけ5月から4カ月生きてきたか、分かる試合になります」
──GP優勝まで4試合勝ち上がって優勝したのに、対戦相手が、ベスト4の伊藤選手に1回勝ったアーセン選手で、いきなり優勝者とやれるのか、ということでしょうか。
「そういうのも無かったんですよ。ただアーセンくんからしたら“美味しい”やろなと。見方の問題ですね。たとえば伊藤くん個人の問題で見てしもたら、伊藤くんに勝ったんやから、次福田とやっても別にってなるんですよ。僕の立場からすると、会社辞めてGPに専念して、これ取れへんかったら人生終わるかもという気持ちで1年かけて4試合、1試合目も骨折していて、握力13やったんですよ。そういう状況でも行くしかねえと1年かけたトーナメント終わって、やっと(専業)格闘家として生きていく、いまようやっと。GP獲らな始まらんかった、人生。でも、そこで(アーセンが)伊藤くんに1回勝った、3年ぶりの試合で、じゃあ次、いいよDEEPのGP優勝したやつとやろう──めちゃくちゃいいなと。
自分は勝っても地方でしかできなかったし、自分よりも弱いやろうなという人らがスポットライトの当たるところで見せて、繰り広げているものっていうのは何なんやろうなとは感じていたし、それは競技者としての目線で、何を言っても、それぞれの生き方、見方で物事のとらえかたは変わってしまう。試合が証明できる正しい場所なわけで」
──だからこそ負けられない試合に。
「そうなんですよ、そうなんです。絶対負けへんぞって思いますけど」
──でもそのアーセン選手は、伊藤選手を15分ドミネートして組み勝った。そのレスリングについてはどう感じていますか。
「どんなレスリングなんやろなって。投げられるのも嫌いじゃないので、“おほおお! すげえな”みたいな感じでベタンとなるのも楽しめる。バック取られてバックドロップは嫌(笑)。投げられて終わりの競技じゃないし、どっちがほんまに倒しにいくかという競技。そこはアスリートと戦士の違いを見せようかなと」
──アーセン選手が「レスリングエリートのスーパーアスリート」なら、福田選手は……。
「職業=戦士ですね」
──さきほどアーセン選手にとって自分は美味しいと。ネームバリューと実力を見極めたときに、福田選手にとっては美味しい?
「自分はネームバリューは求めてないです。自分は有名になりたくない、できれば。街中で声かけられたりも苦手なんですよ。『福田選手ですよね?』と言われても、ネームバリューの美味しい・美味しくないで人を判断していないので、その美味しさも分からない。単純にファイターというか、その人間と戦いたいかったいう感じで、選手のことは判断しているので、肩書きも気にしないし、実際戦っている姿を見て、強そうやな、戦いたいなって思う選手とは戦いたいし、そういう選手にしか魅力は感じない。ネームバリューに関してはアーセンくんも気になってない。戦っている内容で、レスリングエリートなんやろな、くらいで」
──その点でアーセン選手の魅力は?
「まだ、僕好みではないかなとは思ってます。前の伊藤戦とか見る限りは、あれより強くなっていると思うし、期待して、強けりゃ強いほど嬉しいです」
──勝ち続けたら有名になってしまうかもしれない。
「戦うことをまっとうした上でそうなるなら仕方がないです。AとBのファイターがいたとして、Bで無名で実力があるけど、Aが有名で実力ないのなら、僕はBが欲しい」
──RIZINフライ級戦線での目標は?
「とりあえず神龍(誠)くんとは統一戦をもう一回やりたい。前の試合もやられちゃったけど、僕自身もう一回やったら勝てると思っているし、立場的にもそうだし、ファイターとしても……堀口(恭司)選手とかは、イチローじゃないですか。DEEPの時にも言ったけど、野球少年でいったらイチローとキャッチボール出来るようなもので、今やったら大谷翔平? 分からないですけど、野球したことないので。それが出来てしまうかもしれない場所なので、自分の功績次第。自分の人生にとってはすごい糧になるし、できるようならやりたい。これで査定されるなら、“やらせてもいいんじゃないの”という人間に成長するまでになりたいと思います」