2023年9月23日(日本時間24日)に米国ラスベガスのUFC Apexで開催される『UFC Fight Night: Fiziev vs. Gamrot』(U-NEXT配信)に、MMA14勝6敗(UFC1勝1敗)の魅津希(セラ・ロンゴ・ファイトチーム)が参戦。MMA6勝3敗のハンナ・ゴールディ(米国)と対戦する。
(C)Zuffa LLC/UFC
3年1カ月ぶりの復帰戦に向け、魅津希のインタビューがU-NEXTを通じて届いた。
RIZIN参戦中の井上直樹の姉・魅津希は、2019年8月にUFC初参戦。緊急代打参戦のフライ級でウー・ヤナンにスプリット判定勝ち後、2020年8月のアマンダ・レモス戦で判定負けしたが、その後レモスは5勝2敗で、8月には王者ジャン・ウェイリーにも挑戦した強豪だった。魅津希はヒザの負傷による長期欠場からの復帰戦となる。
対するゴールディは、元アマチュアISKAキックボクシング王者。強いフィジカルを武器にMMAプロデビュー戦で現UFCのジリアン・ロバートソンに判定勝ちするなど5連勝。2019年にUFC登竜門「Contender Series」で勝利後、UFCに参戦。ミランダ・グレンジャーとディアナ・ベルビタに判定負け後、2021年9月にエミリー・ホワイトメイアーに1R 下からの腕十字で一本勝ち。しかし、2022年7月の前戦では、モリー・マッキャンの右ストレートからのバックヒジに1R TKKO負けしており、UFC1勝3敗と負け越している。
パワフルなボディを武器に、判定で競り勝つ試合が多く、近づくと首相撲からのヒザ蹴り、ワンツーで相手を下がらせてオーソからの左の蹴りも打ち込んでくる。
(C)Zuffa LLC/UFC
魅津希としては得意のステップワークとスピードで上回り、寝技も厭わないゴールディとのグラウンドでも精度の高さを見せられるか。寝技巧者でもある魅津希がボトムになった場合、そこにつきあうか、スタンドで戦うかも見どころだろう。
10月1日『RIZIN LANDMARK.6』では、弟の井上直樹(キルクリフFC)が太田忍(パラエストラ柏)との大一番を控え、10月7日(日本時間8日)には、練習仲間の村田夏南子(コンバット・スポーツ・アカデミー)が、MMA9勝5敗のヴァネッサ・デモプロス(ギリシャ)との対戦に臨む。魅津希は「自分が勝っていい形で繋ぎます」と宣言している。
9月24日(日)午前5時より開催予定のプレリミナリー・カード第2試合に、魅津希は登場予定。オクタゴン3戦目を勝利で飾ることが出来るか。
魅津希「ここをクリアしないと上に登っていけない」
──久しぶりのファイトウィークはいかがですか? コンディションもばっちりでしょうか。
「今回3年ぶりの試合なんですけど、コスチュームを合わせたり、グローブのサイズ感を確かめたりしていても何もかも久々で“こんなグローブだったっけ?”って感覚になったり、コスチュームのスポンサーが変わってからも初めての試合ということで全然違うので、“3年ぶりなんだな”と実感しました。
UFCパフォーマンス・インスティテュート(PI・ラスベガス)も、食事のオーダーひとつとっても仕組みが変わっていたり、(建物の)中の様子もアップデートされて広くなっていたりと全然違って。最初は分からなくてあたふたはしましたが、新鮮味があって楽しいというか。ファイトウィーク前の1週間も問題なく過ごしています。(渡航にあたっては)環境に馴染めるか、ちょっと不安だったのですが、今は大丈夫です。
──渡米するのも久しぶりですよね?
「はい。(ビザが切れて帰国していたので)約1年ぶりです。ビザは試合が決まらないとアップデートできなかったので、それまではコンディションを整えつつ、日本でやれることはいっぱいあったので、自分のできることをやっていこうと取り組んでいました。今回試合が決まってやっとビザがおりた感じです」
──今回の試合について。まず対戦相手のハンナ・ゴールディ選手について、印象はいかがですか。
「ストロー級とフライ級を行き来しているような選手で、割と体もゴツく、パワー系なのかなとは思います。ただ見た目ほどは……自分のパワーを使い切れていないのでしょうか、身体はがっちりしているんですけど、打撃の圧などは、動画で見る感じではそこまで伝わらなかったです。どういう感じなのかは試合になってみないと分からないですけれど。技術的にはやはりトップランカーと比べると劣る部分もあるかなという印象です。
もちろん技術もあるところはしっかりあるんですけど。私にとってはここをクリアしないと上に登っていけないので、しっかり勝つこと、相手はグラップリングを自分の得意なところだと思っていると思うので、そこを潰せたらいいなという感じです。侮っていたら勝てない相手だとは思っています」
(C)Zuffa LLC/UFC
──対策は、どの程度したのですか?
「一応、動画は見て、相手のクセだったり、きっと私に対して、相手がしてくるであろう対策をある程度想定して、そこの部分でもやられても対処できるように、組みの部分だったり、相手はこうしてくるだろう、というシチュエーションで逃げられるようなかたちをしっかり練習はしてきました」
──3年ぶりのオクタゴンで、どのような試合をしたいですか?
「いつも思っているのは、やっぱり自分はお客さんを魅了したいというのが一番強いのですけど、今回3年ぶりなのもあって割と緊張と、恐怖じゃないですけど、ちょっと怖さもあるというか。3年ぶりでどれだけ出来るできるだろうという緊張もあるので、お客さんどうこうじゃなく、自分の今の精一杯のパフォーマンスをしっかり出せれたらいいなという感じで。本当に、ファンのため、お客さんのためにも頑張っているのですけど、結局最後は自分がやりきらなきゃいけないし、絶対に負けられないので、勝つことに徹底していきたいという思いが強いです」
──今回、日本で追い込みをして良かった点は?
「いろんな人にアドバイスをもらいながら、追い込みも見てもらったり、いろんな人にサポートしてもらえたので、すごくいい環境で試合を迎えることができていると思います」
──課題として取り組んできたことは?
「全体的にMMAを確立して、自分のゲームプランを徹底して遂行できるように、全局面で、打撃もグラップリングも満遍なく取り組んできました。ここ1年は、リバーサルジム新宿 Me, Weで主に練習してきたのですが、私より身体が大きかったり、グラップリングの上手い選手が揃っていたので、自分ももっとうまくなりたいと思ったことと、今までよりも組みに特化してやりたいという考えがあったので、そういう部分で技術が少しは上がったんじゃないかなと思っているのですけど。
なので、打撃より組みを練習してきたとは言えます。(村田)夏南子ちゃん(※)とは階級も一緒なので練習させてもらっていて、かなこちゃんの紹介で、CUTEの上田将勝さんのところでも組みの部分でいい練習ができました。ほかにも藤野恵実選手のいるトライフォース赤坂などでも練習してきています。
(※)村田もUFCストロー級。10月8日(日)の『UFC FIGHT NIGHT』にてバネッサ・デモポロスと対戦予定。
──練習仲間の中には10月にRIZIN初参戦となる万智選手もいたと思います。10代からMMAの世界で活躍し「天才少女」の名を欲しいままにしてきた魅津希選手は現在29歳。今、20歳前後で連勝し注目されている女子ファイターと触れてみて、どのような感想ですか?
「自分が20歳の頃を振り返って、“こんな感じで天真爛漫だったのかな?”という感じで(笑)、ふと思い返したりしてみるんですけど。私がDEEP JEWELSでチャンピオンになったのが20歳前後で、当時その年齢でチャンピオンベルトを持つことができていたので、その意味で万智選手本人から『自分も獲りたいです』っていう思いを聞いているし、『先生!』と、いつも言ってくれているのですけど、自分としては、そうやって尊敬してもらえるような年齢になったんだなと(笑)、改めて思ったりしますね。『天才少女』なんて言われていた時代を思い出すと懐かしいなって(笑)」
──UFCで魅津希選手が3年前に対戦したアマンダ・レモス選手はその後も連勝を重ね、ジャン・ウェイリー選手の持つストロー級ベルトにも挑戦しました(※ユナニマス判定で敗北)。また、かつてINVICTA FCで魅津希選手が対戦したアレクサ・グラッソ選手はフライ級に階級を上げ、UFCチャンピオンに登り詰めました。
「そのことが刺激になるのはもちろんですが、どうしても、あそこで自分が勝っていればもっと評価が上がっていたのかなと思ったりはするので、“やっぱりあの時、勝ちたかったな……”と思い出すのですけれど。次に当たるときはアマンダ・レモス選手には勝ちたい! と思っていますし、アレクサ・グラッソ選手は階級を落とすことは無いでしょうから当たることはないと思いますが、またファイトできることがあるならやりたい、という思いはあります。ただ、今の自分は(ランキングの)下の方にいる状況だとは思うので、そんな自分にやれることは、とにかく勝ち星を積み上げることです。それから先に、自分が負けてしまった相手にも次は勝ちたいと思います」
──日本で応援しているファンにメッセージをお願いします。
「私のことを昔から知っている人も、全然知らない人も含めて、アメリカで、UFCで活躍している人がいるのだと、日本の皆さんに知って欲しいなって思っています。今回どれくらい自分が良いフォーマンスをできるか分からないのですが、全力で挑ませてもらうので、朝早い(※日本時間9月24日(日)午前5時から配信予定)と思いますが、見ていただけたら嬉しいです! 頑張ります」
──ところで、RIZINで活躍中の弟・井上直樹選手も10月1日に名古屋で試合を控えていますね。
「今、私は自分の試合しかアタマにないんですけど(笑)、弟も日本で頑張ってくれていると思うので、私が勝って、弟の試合にいい形で繋げられたらいいなと思っています!」
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『UFC Fight Night: Fiziev vs. Gamrot』全カード
2023年9月23日(日本時間24日)朝5時~U-NEXT配信米国ラスベガス・UFC Apex
【メインカード】※プレリムに魅津希出場
▼ライト級 5分5Rラファエル・フィジエフ(アゼルバイジャン)12勝2敗(UFC6勝2敗)マテウス・ガムロ(ポーランド)22勝2敗(UFC5勝2敗)
▼フェザー級 5分3Rブライス・ミッチェル(米国)15勝1敗(UFC6勝1敗)ダン・イゲ(米国)17勝6敗(UFC9勝5敗)
▼女子ストロー級 5分3Rマリナ・ロドリゲス(ブラジル)16勝3敗(UFC6勝3敗)ミシェル・ウォーターソン(米国)18勝11敗(UFC6勝7敗)
▼ウェルター級 5分3Rブライアン・バトル(米国)9勝2敗(UFC4勝1敗)AJ・フレッチャー(米国)10勝2敗(UFC1勝2敗)
▼フェザー級 5分3Rヒカルド・ハモス(ブラジル)16勝4敗(UFC7勝3敗)シャルル・ジョーデイン(カナダ)14勝6敗(UFC5勝5敗)
【プレリム】
▼バンタム級 5分3Rダニエル・アルグエタ(米国)9勝1敗(UFC1勝1敗)マイルズ・ジョーンズ(米国)13勝2敗(UFC4勝2敗)
▼ウェルター級 5分3Rティム・ミーンズ(米国)32勝15敗(UFC14勝12敗)アンドレ・フィアリョ(ポルトガル)16勝7敗(UFC2勝4敗)
▼ミドル級 5分3Rジェイコブ・マルクーン(豪州)7勝2敗(UFC3勝2敗)コーディ・ブランデージ(米国)8勝5敗(UFC2勝4敗)
▼ヘビー級 5分3Rモハメド・ウスマン(ナイジェリア)9勝2敗(UFC2勝0敗ジェイク・コリアー(米国)13勝9敗(UFC5勝8敗)
▼女子ストロー級 5分3R魅津希(日本)14勝6敗(UFC1勝1敗)ハンナ・ゴールディ(米国)6勝3敗(UFC1勝3敗)
▼女子バンタム級 5分3Rタミレス・ビダル(ブラジル)7勝1敗(UFC1勝0敗)モンツェラート・ドロレス・レンドン(メキシコ)5勝0敗(UFC0勝0敗)