『牛久先輩と同じ日に試合をしたい』とリクエストしていた
──前回の試合のときに、「牛久絢太郎先輩」という言葉がありました。今回、同じ大会で萩原京平選手と対戦する牛久選手との関係について教えてください。
「小学校5年生の頃に柔道をやっていて、目黒区大会で優勝出来ないくらいのレベルだったんで、母親が強い講道館に連れて行ってくれて、その頃、牛久先輩も中学生で講道館に出稽古に来ていて、会っていました。2個上の兄と牛久先輩が同い歳で仲が良くて、僕も牛久先輩のことを知って、総合格闘技を始めて、去年の7月くらいに兄に連絡が来て、『ちょっと武司君と寝技の練習をしたい』と言ってくれて、そこから牛久先輩と久しぶりに会って練習するようになりました」
──ということは、牛久選手の朝倉未来戦前に、寝技を授けていたんですね。
「そうですね」
──それで「牛久先輩が出来なかったことを自分でやる」と前戦で下から極めた。その牛久選手と今回は同じ大会に出ることはモチベーションになりますか。
「そうなんですよ。僕は『牛久先輩と同じ日に試合をしたい』と言っていて、『さいたまスーパーアリーナで試合をしたい』とも言っていて、今回、それが同時にきたので、ほんとうにかなえたい夢が2つ同時にきたので、あとは一緒に勝てれば、ほんとうに最高です」
──さきほど「技のレベルが高すぎるとビギナーのファンには伝わりにくい」という質問がありましたが、「寝技師対決」と煽るなら、その面白さを伝えるのがメディアの役割だと考えています。摩嶋選手は強い四つ組みからのテイクダウン、そして強い押さえ込みからの極めをもっています。その摩嶋選手を相手に、もし下になった場合、スイープする、あるいは下から仕掛ける自信はありますか?
「……すごく細かい詳しい話をすると、“ある”んですけど、あまりにもどっちかが固めた場合、どうしようもならないことがあるんですよ。だからそういう形になったら、あまり一方的に固められ続ける展開にはしたくないです。向こうがそれをしてきても上手いこと崩してかわしていきたいけど……全然、それが出来ず、意外と僕の下からのプレッシャーや上からのプレッシャーをかけて向こうも僕も動けない状態になって、お互いに見合って何もしないという状況も無くはないので、そうしたくないですね。
柔術の練習では、僕はあんまりフィジカルが強いタイプではなくて、技を重視しているので、ほんとうに技数とかはすごくいっぱいあるから、今まで総合の選手が見た事が無いような技がいっぱいあるので、柔術をずっとやってきた、柔術の技をMMAで極められたらな、と思います」
──その展開で、3R戦うスタミナや経験値は?
「経験値はもう不安しかない。僕に一番足りないのが経験値で、5分3R、戦ったことが無いから、あの大勢の前で5分3R戦って、めっちゃ疲れて“ハーッ”ってなったときに自分がどう思うのかがすごい楽しみです。もちろん理想はそうならず、疲れず汗をかく間もなく極められればいいんでけど、摩嶋選手とはそうならない可能性が高いので、5分3R、戦う覚悟は出来ています」
──フィニッシュで極めたい技は?
「……秘密です(笑)」
──今後、戦いたい選手は?
「いないんですけど、摩嶋選手が強い相手なので、もし摩嶋選手を倒せるなら、さらに強い人とやりたいなと思っています」
──『RIZIN.44』で試合をさせますが、ほかに気になっているカードは?
「気になっているカードだらけなんですけど、もちろんクレベル(コイケ)vs.金原(正徳)さん、ずっと言っているけどクレベルは柔術の大先輩なので、クレベルは負けるところは見たくないし、牛久先輩vs.萩原選手もすごく楽しみ。スダリオ剛(vs.トッド・ダフィー)さんとシビサイ頌真(vs.ヤノス・チューカス)の試合も、一緒に練習しているから楽しみだし、あと山本アーセン(vs.福田龍彌)、中原由樹(vs.白川陸斗)さん、(宇佐美正)パトリック(vs.安保瑠輝也)もちょっと面識があって、すごく楽しみにしています。知り合いがたくさん出るので、僕もいい勝ち方をして、控え室でみんなに『おめでとう』と言われたいですね」
──ところで、ブラジリアン柔術では最近、俳優の岡田准一や玉木宏、芸人のガリットチュウ福島善成さんらがワールドマスター大会に出場しました。そういう動きについては?
「柔術の人口がすごい増えるのはいいことだと思うので、どんどん柔術が盛り上がっていってほしいなという思いです。僕もその一環でやっているわけではないけど、やっぱり柔術を一生やっていきたいし、柔術が盛り上がるのは、僕にとってすごく大切なので、芸能人の人たちが柔術やって注目されるのはすごく嬉しいです」
──前回の試合後は奥様と新婚旅行に行くと。いかがでしたか。
「カリフォルニアで、一度だけディズニーランドに行きましたが、あとは柔術のAOJ(ART OF JIU-JITSU)に去年に続き練習に行きました。朝と夜に練習に行って、嫁はベンチで観て、という新婚旅行でした」
──ひたすら横山選手の練習を見ている。それは、奥様から不満が出ないのでしょうか。
「すごい楽しそうにしていました(笑)。柔術を全然、分かってないんですけど、僕が楽しそうに練習していれば楽しいんじゃないかと。いろいろ注目されるなかで、世界チャンピオンもいるジムで、柔術で強い奴にボコボコにされることで、僕も心の浄化に繋がる。今回ともう1回くらい勝ってお金を貯めて、また来年も行きたいと思っています」