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【ONE】スーブラックが鈴木真治をKOして3試合連続KO&ボーナス、大田拓真はアグレッシブに攻めて完勝、シッティチャイがシアサラニに敗れる、メインはコンペットが激戦を制した

2023/09/09 00:09
ONE Friday Fights 322023年9月8日(金)タイ・ルンピニースタジアム(ABEMA配信) ▼第11試合 ストロー級ムエタイ 3分3R〇コンペット・フェアテックス(タイ)判定3-0×ゴンチャイ・チャナイドンムラン(タイ)  コンペットはルンピニースタジアム認定フライ級&バンタム級の2階級制覇、元タイ国プロムエタイ協会ライトフライ級王者、BBTV(7チャンネル)フライ級・ライトフライ級・フェザー級の3階級を制覇したムエタイ6冠王。ここ数年はフェザー級トップ選手として君臨し、上の階級の選手とばかり試合を組まれたことも。“フィームー”と呼ばれる離れて戦うテクニシャンタイプであるが、激闘の多さで有名な7チャンネルで戦ってきた、打ち合いも出来る万能型。2022年9月、K-1に初参戦して玖村将史を判定に破り、日本でもその名が知られるようになった。  ONE初参戦となった2023年1月の『ONE FRIDAY FIGHTS 1』のメインイベントではプラジャンチャイに判定負け、3月のK-1では金子晃大に判定負けと連敗を喫するも、6月の『ONE FRIDAY FIGHTS 23』では中国人選手に判定勝ちしている。戦績は84勝(12KO)18敗3分。  対するゴンチャイは2020年1月ラジャダムナンスタジアム認定115ポンド(スーパーフライ級)王座を獲得(vsペットスパン戦、判定勝ち)、また同年9月には「ヨードムエ・ワンソンチャイ」122ポンド王座も獲得(vsペットパノム戦、判定勝ち)、9月4日(日)にはオートーコースタジアム興行「ムエディーヴィーティータイ+ジットムアンノン」メインイベントでベテランのアピワットと同興行フェザー級王座戦を戦い判定勝ち。ワンソンチャイ系・ジットムアンノン系を代表するトップ選手。2022年10月には福田海斗に判定勝ちしている。『ONE FRIDAY FIGHTS』には2023年2月から4度参戦し、4戦全勝(1KO)だ。  1R、ゴンチャイはサウスポー。両者とも強いローを蹴り、左右フックにつなげていく。コンペットはゴンチャイの左ミドルをキャッチして返しの右ストレート。互いに蹴りからのストレートを繰り出し、激しく交錯する。蹴り足キャッチからのパンチが冴えるコンペットは首相撲でゴンチャイをコカした。  2R、蹴りからパンチ、そして接近してのヒジ打ち合いから首相撲でのヒザの蹴り合い。右ストレートを叩きつけるコンペットにゴンチャイも左ストレートを返す。目がいいコンペットはゴンチャイのその左をかわして組み付いてのヒザ蹴り。コンペットの右ミドルが決まるが、思い切り振り抜くゴンチャイの左フックでコンペットは右目上から流血。すかさずゴンチャイは左フックを狙い撃ちしていく。右の蹴りをしっかり当てていくコンペットが前に出て、ゴンチャイは左を打ち返す。互いに一歩も譲らない打ち合いだが、コンペットの右カーフにゴンチャイはバランスを崩す。  3R、前に出てくるゴンチャイにコンペットは右ミドルと右ストレート。左右の連打を放つゴンチャイだが、コンペットが負けじと前へ出てスピードのある左右を放ち、ゴンチャイを下がらせる。ミドルの蹴り合いから、コンペットの右ストレートに左フックを合わせに行くゴンチャイ。激しい打ち合いが続き、まさに一進一退。前に出るのはコンペットでゴンチャイは組み付きが目立つ。  両手を挙げて自分の勝利をアピールする両者。判定は3-0でコンペットが激戦を制した。 [nextpage] ▼第10試合 ストロー級ムエタイ 3分3R×シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)判定0-3〇モハマド・シアサラニ(イラン)  シッティチャイはプロ160戦以上と鉄人的な戦歴を持つ現役のムエタイレジェンド。キックボクシングとムエタイを合わせ、世界王者に11回輝く。過去10年間に渡り、キックボクシングとムエタイで、最も圧倒的な強さを誇る選手の1人として評価を築き上げてきた。ジャバル・アスケロフ、アンディ・サワー、ソーグロー・ ペッティンディーアカデミー、エンリコ・ケールなど、数々の世界トップクラスのストライカーを倒したシッティチャイだが、2020年7月のONE初陣ではスーパーボンに判定で敗れている。  2021年8月には7年ぶりのムエタイルールでタイの現役トップ選手タワンチャイから判定2-1で勝利をもぎ取った。「ONEフェザー級キックボクシングワールドグランプリ」ではタイフン・オズカン、ダビッド・キリアに勝利して決勝へ進出するもチンギス・アラゾフに判定負け。その後はONEで2勝しており、『ONE FRIDAY FIGHTS』には2度目の出場となる。  シアサラニはタイを主戦場とし、ペットモラコット、ランボー、ポンシリ、タナンチャイらとも対戦経験がある。オープンフィンガーグローブ着用のムエタイ『ムエハードコア』では5度出場して4勝1敗。『ラジャダムナン・ワールド・シリーズ』でも2戦している。『ONE FRIDAY FIGHTS』には2023年1月から出場し、アバターとサタンファーにも勝利して3戦全勝。前戦はオーストラリアのムエタイトーナメントに出場し、コンタイに敗れた。  1R、両者サウスポー。ローの蹴り合いから始まり、シアサラニは右インローも蹴っていく。シッティチャイの蹴りをかわして上手く右ミドルを当てるシアサラニ。シッティチャイは左ミドルから左で飛び込んでいくがシアサラニはサイドへ回り込む。左ミドルを蹴られればシアサラニはすぐに蹴り返す。前へ出て行くシッティチャイだが、左をかわされて浅くだがカウンターをもらう展開に。  2R、右フックの相打ちからシッティチャイが前へ出て攻めていくが、左ハイを一瞬キャッチしたシアサラニがすぐに右ストレートのカウンターを打ちダウンを奪う。すぐに立ち上がって左ストレート、左ヒジ、ヒザでダウンを奪い返しにいくシッティチャイ。シアサラニはペースを変えず、下がりながらシッティチャイが繰り出す攻撃にカウンターを合わせにいく。シッティチャイが左フック、左ミドルをヒットさせるとシアサラニはアツくなったか自分から前へ出ていく。ここでもヒットを奪うのはシアサラニ。  3R、ダウンを取り戻したいシッティチャイが前へ出てジャブから左右フックを打っていき、ヒットも奪うがシアサラニはもらっても退かずに打ち返す。シッティチャイは組み付くとヒザ、崩し。さらに足を止めて左右フックで打ち合いを挑むとシアサラニもこれに応じる。なんとシアサラニはノーガードになって“打ってこい”とシッティチャイの強打を顔面で受ける。するとシッティチャイは首相撲でコカし、左右フックで前へ出て行く。シアサラニも右のカウンターで迎撃。シッティチャイのヒザが決まるたびに歓声が上がり、投げ飛ばしても大歓声。  シッティチャイの追い上げは及ばず、ダウンを奪ったシアサラニが古豪シッティチャイを破る金星を得た。シアサラニは全身で喜びを露わにした。 [nextpage] ▼第9試合 フライ級ムエタイ 3分3R×ナックロップ・フェアテックス(タイ)KO 2R 1分08秒〇ナビル・アナン(アルジェリア) [nextpage] ▼第8試合 キャッチウェイト (132 ポンド) ムエタイ 3分3R〇デントゥントン シンハ マウィン(タイ)判定3-0×デンパヤック デットペッチスリトン(タイ) [nextpage] ▼第7試合 キャッチウェイト (124 ポンド) ムエタイ 3分3R×クリットペッチ PKセンチャイ(タイ)判定0-3〇ペットパイリン ソー・ジョル・トンプラジン(タイ) [nextpage] ▼第6試合 バンタム級ムエタイ 3分3R×鈴木真治(フジマキック)KO 2R 1分35秒 ※左アッパー〇スーブラック・トー・プラン49(タイ)  鈴木は2005年にプロデビューし、40戦以上のキャリアを持つベテラン選手。様々な団体に出場してトップ選手と拳を交え、2018年11月に開催されたシュートボクシング世界トーナメントS-cupでは決勝進出を果たしている(決勝は棄権)。ヒジ打ちやローキックを駆使する粘り強いファイトが持ち味。2022年から2023年4月にかけて行われた「ROAD TO ONE ムエタイ」ウェルター級トーナメントで優勝した。  スーブラックは2023年6月の『ONE Friday Fights 20』で初参戦、タンヌンウンに2RでKO勝ちすると、8月の『ONE Friday Fights 28』でもイタリアのレニー・ブラジにも3RでTKO勝ちという強豪。  1R、右ローを蹴っていく鈴木にサウスポーのスーブラックは強烈な左ミドルから左ストレート。スーブラックの左ストレートで流血する鈴木。スーブラックはそこを狙い撃ちにし、左フックからヒジで畳みかけて左ヒジでダウンを奪う。立ち上がった鈴木には首相撲を仕掛けてヒジとヒザ、左右のヒジを叩きつけて鈴木を大流血に追い込む。ドクターチェックが入ると場内は大歓声だ。再開後も右ローを蹴る鈴木に、スーブラックは左ハイ、そして余裕を見せるかのような後ろ廻し蹴り。  2R、スーブラックは両手で鈴木の両手をコントロールして、組み付いてのヒジ。鈴木は攻撃を出す前に組まれてしまい首相撲でコカされる。組み付いたスーブラックがヒジでダウンを追加。スーブラックはヒジを意識させて、最後は意表を突く左アッパー。ガードの隙間からモロにもらった鈴木はもんどりうって倒れ、スーブラックのKO勝ちとなった。スーブラックにはボーナスが贈られ、3試合連続KO勝ちに加えての3試合連続ボーナスとなった。 [nextpage] ▼第5試合 キャッチウェイト (126 ポンド) ムエタイ 3分3R〇大田拓真 (新興ムエタイジム)判定3-0×ジェルテ・ブロマート(ベルギー)  大田はジュニアキックを経て2015年4月にプロデビュー。2019年にS1ジャパントーナメントを制し、RISE、KNOCK OUTにも参戦。2022年5月にはKrushに参戦し、蹴りのテクニックを駆使して佑典から判定2-0で勝利を収めた。前戦は6月の新日本キックで同団体のフェザー級王者・瀬戸口勝也に判定勝ち。元WBCムエタイ日本統一フェザー級王者。  ブロマートは2023年2月の『ONE Friday Fights 5』で初参戦すると、ティーヤイに初回TKO負け。5月の『ONE Friday Fights 17』の再登場では中国のリー・グオジェンに2RでKO勝ちしたが、7月の『ONE Friday Fights 26』ではゴンチャイに判定負けしている。  1R、大田は左ミドルを蹴り、ブロマートが右ローを蹴って来ると大田は左右の連打を放つ。軽快なステップを踏みながらジャブを多用する大田にブロマートは右フックを強打。ブロマートが右フックから左ボディで前へ出てくるとバックステップから回り込む大田。右ボディストレートからの左フック連打でブロマートを下がらせる大田に、ブロマートは右フックを振って来るが大田はダッキングでかわす。左ミドルを蹴り、左フックを狙い撃ちにしていく大田は、組むとすかさず崩してヒザを突き刺した。  2R、ジャブと前蹴りで距離を作る大田だが、ボディと顔面を打ち分け、左フックでブロマートを下がらせる。一気にラッシュをかける大田が上下の打ち分けからヒジ、さらに組むと一方的にヒザを突き刺す。大田の右ボディストレートに左フックを合わせに来るブロマート。大田はジャブを突き、組むとブロマートをコカす。ワンツーを打ちながらフック、ボディを織り交ぜる大田が左ボディを強打。下がるブロマートに右ボディ、ヒザ。組めば完全に大田のペースに。離れても右フックから右ボディストレート。ブロマートはワンツーを繰り出すが、大田に捕まってヒザの連打をもらう。  3R、大田は左ミドルから左フック、右足を前に出すと同時の右ストレートと的確に攻撃を当てていく。左ヒジで飛び込んでの右フック、さらに左右ボディ連打で畳みかける。ブロマートは後退する一方となり、大田はボディから首ヒザ。ジャブから右ストレート、さらに左右連打とブロマートを圧倒する大田。ブロマートの返しの右ストレート、左フックは見事にかわす。そして組んでのヒザ連打。ボディの連打でブロマートをコーナーに追い詰め、ブロマートの右ストレートには右ハイを合わせる。大田はブロマートのパンチはかわし、すぐに自分のパンチを返す。  これまでの大田とはまるで別人のように序盤からアグレッシブでパンチ主体のファイトスタイルを見せたオープンフィンガーグローブを着けた太田。今後のONEでの活躍が期待される判定3-0の圧勝となった。 [nextpage] ▼第4試合 フライ級ムエタイ 3分3R×カビラン・ジェレバン(マレーシア)TKO 2R 1分41秒〇フアム・フェリペ・モライス・カルダス(ブラジル) [nextpage] ▼第3試合 女子ストロー級ムエタイ 3分3R〇ナタリア・ディアチコワ(ロシア)判定3-0×ハンナ・ブレイディ(英国) [nextpage] ▼第2試合 フライ級 3分3R×ブレット・パストーレ(アメリカ)2R 1分53秒 ※ギロチンチョーク〇イワン・ポドルギン(ロシア) [nextpage] ▼第1試合 バンタム級 3分3R×コンスタンティン・マラレスクル(モルドバ)判定0-3〇イシュファク・サイード(トルコ)
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