ムエタイ
レポート

【ONE FF】ダゲスタンのラマザノフが「ヤバい、エグい」打ち下ろしの右ヒジで99秒 KO! ムエタイ王座再挑戦をアピール

2023/09/02 11:09
 2023年9月1日、タイ・バンコクのルンピニースタジアムにて『ONE Friday Fights 31』が開催された。  メインイベントでは元ONEキックボクシング世界バンタム級王者アラヴァディ・ラマザノフ(ロシア)が、アレッサンドロ・サラ(イタリア)と対戦。  ダゲスタン出身のラマザノフは、国際アマチュアムエタイ連盟(IFMA)の世界王者に3度輝いたアスリート。13歳までは水泳競技を行っていたが、「運動能力がより厳しく試される競技を好み」、ムエタイに転向した。  18歳でリングデビューし連勝を重ね、21歳でムエタイの本場タイに渡り「ヴェナムトレーニングキャンプ(the Venum Training Camp)」でトレーニングに専念。世界ボクシング評議会(WBC)世界王者のメディ・ザトゥに師事している。  2018年10月、ONEスーパーシリーズでデビューすると、ルンピニースタジアムの二階級王者で、後のONEムエタイ世界フェザー級王者のペットモラコット・ペッティンディー(タイ)からダウンを奪う判定勝利。  2019年12月には、ジャン・チェンロン(中国)と「ONEキックボクシング世界バンタム級王座決定戦」を戦い、こちらも右ストレートでダウンを奪う判定勝利で戴冠した。 2021年1月にカピタン・ペッティンディー(タイ)のローからの右クロスを浴びて2R KO負けで王座陥落も、2022年9月の再戦でスプリット判定でリベンジを果たした。  そして、2023年1月のONE Friday Fightsでノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ)の持つONEムエタイ世界バンタム級王座に挑戦。3Rにボディブローを浴びてKO負けし、同年3月にはウズベキスタンのマヴラド・トゥピエフに判定負けで連敗を喫している。  対すサーラは“イタリアン・フェラーリ”の異名を持つが、タイ在住でロッタンと同じジットムアンノンゴムを拠点とする。  2023年9月の『ONE Fight Night 14』に出場するランボーレック・チョー・アッジャラブーン(vs.エイサー・テン・パウ)に、2021年7月の『Thai Fight: Strong』で判定勝ちするなど連勝で、2023年2月の『ONE Friday Fights 4』でONE初参戦も、トルコのエルダム・タハ・ディンチェルに1R 右フックで敗れている。 ▼ONEムエタイバンタム級(※65.8kg)3分3R〇アラヴァディ・ラマザノフ(ロシア)[1R 1分39秒 KO] ※右ヒジ×アレッサンドロ・サーラ(イタリア)  ルンピニースタジアムのリングでのオープンフィンガーグローブでのムエタイ戦。  1R、ともにオーソドックス構え。先に左ローを突くラマザノフ。サーラの左ジャブに、右ローを返し、左回りで左ジャブを突く。ワンツーを振るサーラにバックステップでかわすラマザノフは右ローを当てる。  左ジャブをガード上に突くラマザノフに、ワンツーで押し戻すサーラは左ボディストレートも。ラマザノフは右前蹴り、左ジャブで前に出ると、右の前蹴りを腹に突き、その右足を掴むサーラ。  左右の足をシャッフルして右ローを当てるラマザノフ。上のワンツーを見せて、続くワンツーはボディストレートに。右ローをキャッチしたサーラは右ミドルも、ラマザノフはチェックする。  左ジャブをヒットさせるサーラにラマザノフの右は空振り。前に出たラマザノフは右前蹴り。そこに右ヒジを振るサーラをかわす。  ワンツー、さらに打ち下ろし気味の右をガード上に叩き込み前進するラマザノフは、中間距離から同じ振り下ろしの軌道で右ヒジ! 間合いは遠かったが、しっかりサーラのガードの間を切り裂き、サーラがロープにもたれかかってからマットに両手を着いてダウン!  跪くサーラの額から落ちた血がマットにたまり、サーラはうつ伏せに。1Rでの鮮烈KO勝利も、連敗脱出のラマザノフに笑顔は無し。淡々と勝ち名乗りを受けた。勝利者インタビューでも「ひとつ言いたい。『ベイビーフェイスキラーが戻って来た』」と表情を崩さず。  しかし、インタビュアーのミッチ・チルソンから「“ベイビーフェイスキラー”のあなたはとてもシリアスでクールだが、笑顔にさせたいと思う」と、35万バーツ(約145万円)の勝利者ボーナスを告げると、ラマザノフはチルソンをダブルレッグで持ち上げ、初めて笑顔。しかし今後を問われると、すぐに真顔に戻り、「僕がしたいのはONE Championshipのタイトルショットだけだ。どうかタイトル戦をくんでほしい」とアピールした。  ABEMA解説の雅駿介も「ヤバい、エグい」と評したラマザノフの上から振り下ろす縦ヒジ。右ヒジを上に上げて打ち下ろした右ストレートに続く、同じフォームの右ヒジは、柔軟な肩の回転と鋭い踏み込みが無ければ相手のガードを縫って届かないもの。さらにボクシンググローブではなく、オープンフィンガーグローブでのガードによる「ブロッキング」は、MMA同様に、危険を伴うことを見せたラマザノフの一撃だった。  なお今大会では当初、ROAD TO ONE JAPAN スーパーライト級ムエタイ日本トーナメント優勝の鈴木真治のONEデビュー戦が組まれていたが、対戦相手のサンシリ・PK・センチャイが負傷欠場。鈴木は次週、9月8日の「ONE Friday Fights 32」でスーブラック・トー・プラン49と対戦することになっている。
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