2023年8月26日(土)、シンガポール・カランのシンガポール・インドアスタジアムで開催される『UFC Fight Night: Holloway vs. Korean Zombie』(U-NEXT配信)のメインイベントで、フェザー級1位のマックス・ホロウェイ(米国)と対戦する、同級8位のジョン・チャンソン(韓国)が24日、同地でメディアインタビューに応じた。
“ザ・コリアンゾンビ”ことチャンソンは、2021年6月にダン・イゲに判定勝ちで、2022年4月の『UFC 273』で王者ヴォルカノフスキーに挑戦。4R TKO負けで王座獲得に失敗後、今回は1年4カ月ぶりの再起戦となる。2位にヤイール・ロドリゲス、3位にブライアン・オルテガ、4位にアーノルド・アレン、5位にイリア・トプリア、6位にジョシュ・エメット、7位にカルヴィン・ケーターがランクされるフェザー級で、1位のホロウェイを倒せば再び王座戦線に返り咲く、アジアでのランキング戦だ。
会見でチャンソンは、自身に続く韓国人ファイターに「道をたどってほしい」とし、アジアのファイターの成長について「心を開いて色んな事を吸収し、自分にベストだと思った事にチャレンジして、自分が持っているものを発展させるのが大事だと思っている」と指針を示した。
今回、チャンソンが対するホロウェイは、2022年7月の『UFC 276』で王者アレクサンダー・ヴォルカノフスキーとラバーマッチを行うも5R 判定負けで王座奪還ならず。しかし、2023年4月に、当時UFC10連勝中だったアーノルド・アレンを終始圧倒し、判定勝ちで再起を遂げている。
タイミングがパワーより大事だという事を学んだ
──今回しっかりとした力強い試合を期待されていると思いますが、自然な形の試合展開ができるように準備されていると聞きました。今回オクタゴンでどのような試合を見せる予定ですか。
「ホロウェイとは常に戦いたいと思っていました。自分がホロウェイとの試合展開を想像してもやはり、Strong Slow Phaseの試合を予想するでしょう。お互いが最後まで戦いきる選手同士なので今回は本当に面白い戦いになると思います」
──あなたは現在、フェザー級の8位で、1位での選手に勝利するとトップ5に返り咲く対戦だと思いますが、その後の展開は考えられていますか。
「どうなるかは分からないけど、今回の試合でどのような試合ができるかを、自分で見てから次の事を考えたいと思っています」
──対戦カードが発表された時と今の気持ちに変化はありますか。
「マックスの事は本当に尊敬している。彼は現役のレジェンド選手だ。ただ、自分は今まで他にもヴォルカノフスキーや沢山のレジェンド選手たちと戦ってきた。だがレジェンドだからと言って手加減するかと言ったらそうではない。かなりハードにいくつもりだ。だからいい試合になると思うよ」
──ホロウェイもあなたも持久力がとてもある選手だと思います。あなたは試合数もあまり頻繁にないですし、あなたの勝利へのキーは何になりますか?ホロウェイのような選手にどのように勝つ予定ですか?
「多くの人に同じような質問をされるけど、キーになるのはカーディオだと思っている。どちらが疲れないか。だからキャンプではカーディオをメインに集中してトレーニングしてきた。それが勝利へのキーになると思っています」
──今回10回目、そして10回連続のメインイベントになると思います。その事にプレッシャーはありますか? また、1回目のメインイベントの時と気持ちに違いはありますか?
「実はスティング(チェ・スンウ)と一緒にポスターをサインしている時にも話していたんだけど、最初の時は色々な事に感動してポスターをもらったりしてたのだけど、今は10回目という事もあって特別感はなくて、ただスティングには尊敬されている、僕に影響を受けたとも言われているので、自分が10回ものメインイベントの対戦カードとして出場できるのはとても恵まれていると話した。これまでを振り返っても10度連続でメインイベントに出場するというレガシーも作ったし、とても感謝をしている。韓国人ファイター達には自分同様UFCに出場し、自分に続きレガシーを作っていってほしいと思っています」
(C)Zuffa LLC/UFC
──あなたにとって韓国を代表して戦う事について、勝つ事の意味は?
「この試合に勝ったらフェザー級で世界で一番になると思う。韓国人たちにもとても大きなインスピレーションになるのではないかと思います。正直に話すと、韓国の選手達には全て皆、自分の後を追いかけて欲しいと思っています。自分のようになってほしいとか、自分のように戦ってほしいという事ではなく、自分のこれまでのキャリアや築き上げてきたレガシーをきちんと見習って、その道を辿る事で、少し道が開けやすくなるんじゃないかと思っています」
──ホロウェイについて過去に「パンチが弱い」と言った事について今もそう思っていますか。
「トレーニングを重ねる中でタイミングがパワーより大事だという事を学んだ。彼を怒らせて引っ張り出すために言ったんだ。彼のパンチのパワーについてしか言及する事がなかったんだよ。そういった事があっての当時の発言だった」
──“ゾンビ”というニックネームはタフさを示す賛辞だと思いますが、同じように思う選手はいますか?
「マックスもゾンビのニックネームにはふさわしいと思う。彼はこれまでKOされた事もないし、全然倒されない。だからゾンビという言葉はマックスにも似合うと思うし、対戦を楽しみにしているよ」──「Fight of the Year」になりますか?
「そうだね。もし想像通りに試合が展開していけば100%そうなるんじゃないかな」
──ギガ・チカゼについてのSNSのフェイク投稿について今は解決しているとギガは言っていましたが、その事について少し教えてください。
「ギガにはシンガポールでも会えたので既に伝えたが、あれはフェイク投稿だ信じて欲しいと言った。そして彼はOKと言ったよ。ただ投稿を自分も見たが、本当にリアルにできていて自分でもとてもリアルに見えた。だからギガには自分は人の家族や両親を侮辱するような人ではない、と伝えて理解してもらえました」
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色々なところに行って、心を開いて吸収し、自分にベストだと思った事にチャレンジすれば、アジア人にもチャンスはある
──この階級では同じ選手が何度もタイトルショットをしています。新しい風が必要だと思いますか? アルジャメインは階級を上げる事も検討しているそうですが、それについてはどう思いますか?彼はすぐにタイトルショットをする権利はあると思いますか?
「今、ヴォルカノフスキーを倒せる選手は、正直いないと思う。自分もオクタゴンで対戦した時に彼の強さに圧倒された。そんな事、普通はないのだけれど。ただヴォルカノも年齢を重ねていって、若手の選手も育ってきているから、将来は倒されるという事はあると思うが、もう少し時間がかかるのではないかと思う」
──RTUについてアジアでMMAを大きくしていく事については?
「MMAに答えというものはないと思っているが、正直アジアより西洋の方がテクニカル的な部分を育てるという事については発展していると思っている。韓国も日本も中国もアジアの国に関しては、それぞれ格闘技の育成も独特の文化があって、そこから飛び出す事は難しいかと思う。“米国に行って言われた事をそのままやれ”と言う訳ではないが、色々なところに行って、心を開いて色んな事を吸収し、自分にベストだと思った事にチャレンジして、自分が持っているものを発展させるのが大事だと思っている。戦士というよりもアスリートという感覚を身に着けていけば、アジア人でもUFCでもいいキャリアを築けるチャンスがあるのではないかと思っている」