力強い右ミドルを蹴り込む福田、見事ダイレクトリマッチでのリベンジに成功した(C)MuayThai Super Fight
「スック ワンギントーン」
2019年7月31日(水・現地時間)タイ・ラジャダムナンスタジアム
▼第6試合 セミファイナル 119ポンド契約 3分5R
○カイト・ウォーワンチャイ(福田海斗/キング・ムエ/ラジャダムナンスタジアム認定スーパーフライ級6位)
判定3-0 ※49-48×3
×ジャルンリット・ラウェイムエタイ(タイ)
本場タイで活躍する福田が約3週間という短いスパンでラジャダムナンスタジアム『スック ワンギントーン』のセミファイナルに出場。7月5日にルンピニースタジアムで惜敗したジャルンリットを相手に、接戦ながら判定勝利を収めリベンジに成功。ラジャダムナンスタジアムのバンタム級ランキング入りが濃厚となった。
前回の試合ではチンダム(両者接戦で賭け率に差がなく、最終第5Rで勝負が決まる試合)となり、第5Rのラスト30秒あたりで福田がバランスを崩し、その動きだけで勝敗が決まってしまったという悔しい敗戦となっていた。この接戦を受け、『スック ワンギントーン』プロモーターであるウィナイ・ナックシン氏が即再戦をマッチメイク。約3週間という短いスパンながらセミファイナルで再戦となった。
前回は格上の福田118ポンド、ジャルンリットが119ポンドと1ポンドのハンディを背負う試合であったが、今回は両者119ポンド。とはいえ、ジャルンリットのテクニックを評価してか、試合前賭け率は福田寄りながら拮抗という状態であった。
試合は序盤、両者ともゆっくりのリズムからジャブや前蹴りで牽制。いつもは第1Rでも積極的に攻撃を繰り出す福田だが、この日はジリジリとプレッシャーをかけるのみで大きなアクションはない。この福田の慎重さを嫌ってか、序盤の賭け率は第2R終了時で5-4とジャルンリットが有利となった。
試合が動いたのは第3R、ここで福田が前に出て前蹴りとテンカオで攻め立てる。ジャルンリットは前回の対戦で勝敗のカギとなった左ミドルをタイミングよく蹴っていく。しかし福田は「左ミドルのディフェンスはしっかり練習してきた」という通り、スネブロックやキャッチでクリーンヒットはさせない。時折腕で受けてしまうものの、その後ヒザをすぐにリターンし印象を良くする。
ジャルンリットは離れては不利とみて首相撲勝負へ。ここでジャルンリットも上手さを見せ、パワーのある福田の首相撲に対しサイドに回りながら福田の体勢を崩していきヒザ。さらに深く組んで福田のアゴを上げさせる。この展開がジャルンリットに有利に働き、第3R終了時で5-4と依然としてジャルンリットがリード。
勝負となる第4R、福田はパンチから入りヒザ。ジャルンリットは積極的に深く組んで福田の動きを遮断しようとするが、福田にコカされギャンブラーの声援が一気に大きくなる。ジャルンリットは出足のスピードを速め徹底的に深く組む首相撲へ。福田のサイドへ回り込みながら深くロックしていく首相撲にアナウンサーも「なんて綺麗な組み方なんだ!」と絶賛。福田をコカすことにも成功し、流れをグッと引き寄せたかに見えた。
しかし福田は慌てず組み際にパンチ・ヒジを入れ、ジャルンリットの上手い組みに対しては正面に身体をくっ付け回り込ませず、試合巧者ぶりも発揮。そしてロープ際でジャルンリットのバランスを崩しヒザ、そして押し込もうとするジャルンリットをさらに体勢を入れ替えてヒザ! レフェリーのブレイク後さらに攻防は続き、左ミドルを当てるジャルンリットに対し、福田の大きな飛びヒザ。この終盤の攻防で福田が賭け率を逆転、5-3とリードした。
最終R、差がそれほど大きくないのでジャルンリットにも再逆転の可能性があり、両者とも最後まで息詰まった攻防を見せる。福田はジリジリとプレッシャーをかけジャルンリットの左ミドルのタイミングを奪う前蹴り、ジャルンリットは下がりながらも左ミドルを蹴るが福田にかわされパンチを被弾。慌てて組もうとするも福田のパンチをカウンターで受け動きが止まる。
依然プレッシャーをかける福田に対しロープを背負って細かい左ミドルを当てるが、福田の力強い右ミドルをリターンされここでほぼ勝負あり。最後は福田が外してゴング。ジャッジ3者とも49-48と接戦ながら福田が判定勝利をもぎ取った。
今回いつもの前へ前への戦い方に加え、試合巧者ぶりも発揮した福田。ギャンブラーからの支持も厚く福田に賭けていたギャンブラーから3万バーツのチップも贈られた。また、ラジャダムナンスタジアムのランキング制定委員会の関係者からは「この勝利でカイトは118ポンド(バンタム級)のランキングトップ10入りになるだろう。今日の試合を見ればみんな納得することさ」と述べた。
福田の次戦は9月11日(水)ラジャダムナンスタジアムでのビックマッチが予定されている。そしてその3週間後、出場が決まっている10月6日(日)名古屋ビックマッチ『Suk Wanchai MuayThai Super Fight vol.6』の対戦相手もまだ未定だが、超大物選手が候補に挙がっている。今年後半の活躍も目が離せなさそうだ。