ONE Fight Night 13: Allazov vs. Grigorian 速報
2023年8月5日(土)タイ・バンコク ルンピニー・スタジアム
▼メインイベント(第10試合)ONEフェザー級キックボクシング世界選手権試合 3分5R〇チンギス・アラゾフ(アゼルバイジャン/ベラルーシ)[判定3-0]×マラット・グレゴリアン(アルメニア)※アラゾフが初防衛に成功
王者チンギス・アラゾフ(アゼルバイジャン / ベラルーシ)が、マラット・グレゴリアン(アルメニア)を挑戦者に迎え、初の防衛戦に臨む。
元K-1世界王者同士の両者の対決は3度目。
これまで2013年に2度対戦しており、初戦はグレゴリアンの反則のヒジでアラゾフが切られ無効試合となり、再戦ではグレゴリアンが判定勝ちしている。
その後、2022年1月のONEフェザー級キックボクシング ワールドGP準決勝で対戦予定だったが、グレゴリアン(アルメニア)が新型コロナウイルスの影響により欠場。アラゾフは代役のジョー・ナタウットを1R KOに下し、決勝でシッティチャイ・シッソンピーノンにも判定勝ち、GP優勝を果たしている。
2017年のK-1 WORLD GPスーパー・ウェルター級王者であるアラゾフは、2023年1月のONE Fight Night6で これまで2度の王座戦が延期になっていた王者スーパーボン・シンハ・マウインと対戦。2Rに3度のダウンを奪い、KO勝利。第2代ONEフェザー級王座にもついている。
対するグレゴリアンは2015年のK-1 WORLD GP -70kg王者で、GLORYでも3度、世界王者についた実力者。
2021年10月にアンディ・サワーを2R KOに下し引退に追い込むと、2022年3月にコロナから復帰。ONEキックボクシング フェザー級王座戦でスーパーボンに判定負けで戴冠を逃している。
2度目の対戦から10年、現在4連勝中のアラゾフは波に乗った状態で今回の試合に臨む。対するグレゴリアンは、ONEの「ケージサークル」では4戦3勝。これまでアラゾフ相手に強みを見せており、3度目対戦も制してベルトを巻くか。
そして、今大会は、タイ・バンコクのムエタイの聖地ルンピニー・スタジアムで開催されるため、その決戦の舞台は「リング」だ。コーナーのある四角いリングで、最後に手を挙げている地上最強の70kgストライカーは、アラゾフかグレゴリアンか。
1R、サウスポー構えから入るアラゾフ。オーソのグレゴリアンが先に圧力をかける。ロープを左右に回るアラゾフはワンツーから左ロー。グレゴリアンはガードしながら前に。アラゾフは下がりながらインロー、ヒザ、左ハイ。ブロッキングのグレゴリアンは構わず追う。
2R、ステップを踏みながらジャブ&ロー。左ハイのアラゾフ。グレゴリアンは頭のガードの位置を全く変えずに圧力。カウンターを狙う。下がりながらこつこつ突くアラゾフを詰めると左右ボディ打ちから顔面にラッシュするグレゴリアン。コーナーから出たアラゾフに、左ボディ。アラゾフも押し返して右テンカオ! ブロッキングするグレゴリアンは左を振ったところでゴング。
3R、奥足の右ローを突いて行くグレゴリアン。スイッチして回るアラゾフは左ヒザ、グレゴリアンの左フックをダッキングでかわして右に回る。左ミドルを当てたアラゾフに、右ロー、左右で前に出るグレゴリアンにアラゾフは尻もちから立ち上がる。
前に出るグレゴリアンに前蹴りのアラゾフ。腹に突き、グレゴリアンを止めようとする。しかし圧力が止まらないグレゴリアは左ボディ、右フックで詰める。さばくアラゾフはコーナーから出る。
4R、足が止まってきたアラゾフに左ボディはグレゴリアン。インローはアラゾフ! アラゾフは左ボディ。コーナーに詰まり右ヒザを返す。左インローを当てるアラゾフ。詰めてヒザのグレゴリアンだが、手数が落ちる。アラゾフは下がりながらも左ミドル。グレゴリアンも左ボディも、アラゾフはスイッチしてリズムよく左右の蹴り、ジャブを突く。
5R、圧力をかけるグレゴリアンは左アッパー、右ストレート、左フック。しかしクリーンヒットはさせないアラゾフは左右に回ってかわして最終Rの流しへ。
レフェリーからの「ファイト」の声に、左の蹴りを上下に突き、グレゴリアンの左フックを右に潜って抜けて、左サイドキック。距離を潰したグレゴリアンは左ボディを効かせて前に出ると、下がるグレゴリアンはコーナー背にクリンチ。追うグレゴリアンは左ボディ、アッパーも、凌ぐアラゾフも決定打は当てさせず。
判定は3-0でステップを駆使して手数でも上回ったアラゾフが勝利。ルンピニースタジアムのファンに「サワディカップ」と挨拶すると、「今日は私の日だった。グレゴリアンは危険なファイターで難しい試合だった。10年前は祖父がいたけど、いまは亡くなった。彼にこの勝利を捧げたい」と語った。
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▼コ・メインイベント(第9試合)ONEフライ級 サブミッション・グラップリング 世界タイトルマッチ 10分1R〇マイキー・ムスメシ(米国)[7分30秒 腕十字]×ジャレッド・ブルックス(米国)
ONEフライ級サブミッショングラップリング世界タイトルマッチ。グラップリング王者マイキー・ムスメシに、MMAでストロー級世界王者のジャレッド・ブルックスが挑戦する。マイキーの姉のタミーはブルックスの練習仲間でもある。
先に両手を広げて近づくムスメシ。組んで引き込みクローズドガードに入れる。インサイドガードのブルックスは、両手を着かず、ムスメシのアゴを押す。
ラバーガード狙いに上体を上げたブルックスに足関節、ヒザ十字から、足を首と鎖骨で挟みマイキーロックへ。察知し、早めにヒザを抜くブルックスは正対。
再びクローズドガードの中から抜けたブルックスは、ムスメシの引き込み、足関節に足を組ませず。ヒザ十字の脱出も、ムスメシはバック奪取! 4の字ロックへ。しかし時間がかかり、レフェリーのシャオリンはブレークをコール。
ムスメシは再び引き込み。左腕をオーバーフックするムスメシは、三角絞めを逆で組むが、ブルックスは右拳をかろうじて中に入れるが、ムスメシは組み直して腕十字をマイキーロックの形で首横に挟んで極めに、最後は右脇に挟んでタップを奪った。
試合後、ムスメシは笑顔で「ルンピニースタジアムで試合が出来て嬉しい。ジャレッドはとてもタフで準備してきた技が出せなかった」と語った。
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▼第8試合 フェザー級 キックボクシング 3分3R〇タワンチャイ・PK・センチャイ(タイ)※ONEムエタイ世界フェザー級王者[2R 0分29秒 TKO]×ダビッド・キリア(ジョージア)
タワンチャイは地方で試合経験を積んだ後、14歳でルンピニースタジアムに上がった。2018年にはクラップダムを3度破り、同年のルンピニースタジアム・オブ・ザ・イヤーとタイ国スポーツ局ファイター・オブ・ザ・イヤーなど4つの年間MVPを受賞。シントンノーイ、ヌンラーンレック、センマニー、モンコンチャイ、フェラーリらにも勝利を収め、2021年5月にONE初参戦。
2022年9月、ONEでの5戦目でペットモラコットを破りONEムエタイ世界フェザー級王座を奪取した。長身を利したフィームー(テクニシャン)で、近代ムエタイでも1、2を争う実力者&人気選手。
2023年2月にジャマール・ユスポフを1Rわずか49秒、ローキックでKOして初防衛に成功している。戦績は129勝31敗2分。また、10月7日の『ONE Fight Night 15』ではスーパーボンを挑戦者に迎えての2度目の防衛戦が決定している。
キリアは9歳から芦原空手を学び、ゴールデン・グローリーではセーム・シュルトのトレーニングパートナーを務めた。15歳でキックボクシングを始め、2011年からはGLORYに参戦。2014年3月にはアンディ・リスティをKOで破り、GLORY世界ライト級王座に就いた。
2015年からは『Kunlun Fight』に参戦し、シッティチャイやジョムトーンと対戦。ONEには2021年2月から参戦し、エンリコ・ケールには勝利するも4戦して1勝3敗。ここ2戦はフランスとドイツの大会で勝利している。戦績は39勝(18KO)20敗1分。
1R、サウスポー構えのタワンチャイと、オーソドックス構えのキリア。右ローから入るタワンチャイ。キリアは左前手ジャブも空振り。右前蹴りと距離を保つタワンチャイ。さらにインロー、ミドル。
ガード固めて圧力をかけるキリアの左フックは再び空振り。タワンチャイは左に回って左ミドルを当てる。右ストレートでロープに詰めたキリアだが単発。左ミドルが当たるタワンチャイ。さらにキリアの入りに左ストレートも。タワンチャイのラウンドに。
2R、先に左ミドルハイはタワンチャイ。そして左右の前蹴りで寄せ付けず。キリアの左フックをかわすと、左ミドル! 一瞬下がるキリアは再び前に出るが、タワンチャイは左回りで左ヒザ! 今度は右に回っての左ミドルと、左の攻撃を上下に散らす。
キックボクシングルールでも左の蹴りで距離感を制するタワンチャイ。キリアは左前蹴りからの入りで詰めての左右をさばくタワンチャイは左ミドル。しかしそこにキリアは右ストレートを返す。
3R、左ミドルから入るタワンチャイ。さらに左インロー。左ミドル! 左ミドルを腕で受け続けたキリアは右腕が上がらず。左手を挙げて続行不可能アピールし、レフェリーが間に入った。キリアは右腕が折れたか。添え木をつけてタワンチャイの勝ち名乗りを聞いた。
5万ドルのボーナスを獲得したタワンチャイは、次は10月6日のフェザー級ムエタイルールでのスーパーボン戦に向かう。
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▼第7試合 キャッチウェイト (68.5kg) MMA 5分3R〇ジョン・リネカー(ブラジル)※計量ミス[3R 4分56秒 TKO]×キム・ジェウォン (韓国)
元ONEバンタム級世界王者で同級1位の“ハンズ・オブ・ストーン”ジョン・リネカー(ブラジル)が、キム・ジェウォン(韓国)と対戦も、リネカーが計量ミスでキャッチウェイト (68.5kg) 戦に。両者合わせて26KOという強打者対決。
リネカーは、UFC12勝3敗。2019年からONEに参戦すると3連勝で、2022年3月に王者ビビアーノ・フェルナンデスに挑戦し、KO勝ちで王者に。
初防衛戦でファブリシオ・アンドラージに攻め込まれるもローブローを受けてノーコンテスト。2023年2月のダイレクトリマッチでは4R TKO負けで王座陥落し、今回が再起戦となる。
対するジェウォンは、13勝中9KO。2021年9月に元二階級制覇王者のマーティン・ニューエンを失神KOで下すと、2022年11月には元王者のケビン・ベリンゴンも1R KO。
“チャンピオンキラー”ぶりを発揮したが、2023年1月の前戦では、元修斗世界バンタム級王者の佐藤将光に判定負けしている。
ルンピニースタジアムのリングでのMMA。
1R、ともにオーソドックス構え。ジャブ&ローで先に圧力をかけるジェウォン。リネカーも右ローを返すと左フックで飛び込み。かわしたジェウォンはダブルレッグテイクダウン。
ギロチンは固執せず外したリネカーに、ジェウォンは上からヒジ! 脇差し立とうとするリネカーの立ち際にバックも狙う。正対したリネカーにヒジを内、サイドバックにつき、バックから左足をかけようとするジェウォン! リネカーは再び正対して下に。
肩固め狙いのジェウォンを下からテッポウで前転させてリバーサルしたリネカーが上に。ゴングに下のジェウォンの手を取り立ち上がらせる。
2R、右ボディを当てるリネカーは右カーフキックも当ててジェウォンのバランスを崩す。右ボディを当ててダブルレッグテイクダウンを奪うリネカー。ジェウォンは下から腕十字狙いも外すリネカー。
右カーフ、左ジャブを当てるリネカー。しかしジェウォンも組んで脇を潜りスタンドバックも、正対し突き放すリネカーはスタンドに。ボディ打ちから右を顔面に打ち分け、スイッチして右から左を見せるがジェウォンも左インロー、ミドルは掴まれる。足を抜くジェウォン。リネカーは計量ミスの影響もあるか、いつもの圧力に欠ける。
3R、ワンツー、ローのリネカーだが、いつもより手数は少ない。ジャブを返すジェウォンに、右ボディを突くが、右を返すジェウォン。押し込むリネカーはクリンチボクシングも突き放すジェウォンは左右のテンカオ! リネカーの右ローにはジャブ、前蹴りを合わせる。
右ロングフックも単発なリネカー。ジェウォンのヒザを被弾しながらも右フックで応戦! さらに右フックからボディ打ちで徐々に前に出たリネカーは、右ボディ打ちからの左フックでダウンを奪取! パウンドにレフェリーが間に入った。
3R 4分56秒、残り4秒、終了間際に逆転勝ちしたリネカーは、両手を挙げてガッツポーズ。「自分を信じ続けたら勝てた。ファブリシオ・アンドラージと戦いたい」と語った。
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▼第6試合 キャッチウエイト(-53.5kg)キックボクシング 3分3R〇“スーパーガール”アンナ・ジャルーンサック(タイ)[判定3-0]×ララ・フェルナンデス(スペイン)
スーパーガールことアンナはONEで活躍しているワンダーガール・フェアテックスの妹。2020年2月の『RISE GIRLS POWER 2』に16歳で初来日しており、キム・スヨンに強烈なワンツーで判定勝ちを収めた。ONEには2020年9月から参戦し、ミラグロス・ロペスにKO勝ち、エカテリーナ・ヴァンダリーバに判定勝ちと連勝していたが、2023年1月にスタンプ・フェアテックスに判定2-1で惜敗。この試合は両者の対戦相手が欠場となったため急遽組まれたものだった。
フェルナンデスは2021年アマチュアムエタイIFMA世界選手権で銅メダルを獲得。プロデビューは2011年11月でデビュー戦から5連敗を喫し、2018年には『Enfusion』に参戦するも2連敗。
しかし、その後は連勝して2019年11月にはISKAオリエンタルルール世界スーパーフェザー級王座を獲得。2020年3月にはWBCムエタイ世界フライ級王座も獲得した。
ONEには2022年7月から参戦し、いきなりONE女子アトム級ムエタイ世界王座決定戦をジャネット・トッドと争ったが判定負け。2戦目は12月にダンコンファーに判定勝ちも、2023年7月のペッティージャー・オーミークン戦では1Rわずか26秒でTKO負けを喫した。戦績は41勝15敗3分。
1R、アンナの強烈なワンツーでスタート。前に出るのはフェルナンデスだが、すぐにアンナがワンツーで押し返す。アンナの右ストレートでグラついたように見えたフェルナンデスだが、右ローを蹴りながら前へ出る。両者ともワンツー・ミドルを繰り出す中、アンナの右ストレートが鋭く放たれる。フェルナンデスは左ミドルに加えて左ボディ。フェルナンデスの右ローも決まる。
2R、手数で前へ出るフェルナンデスに一発の重い右ストレート&右ボディストレートのアンナ。ワンツーから右ロー、ワンツーから右ミドルにつなぐフェルナンデスを右ストレートで仰け反らせるアンナ。強い右ボディストレートに下がるフェルナンデスへアンナが連打をまとめた。
3R、いきなり右ボディストレートを打つアンナ。フェルナンデスは右ローを蹴っていくが、アンナが右ストレートを当てる。右ローにつなぐコンビネーションで前へ出るフェルナンデスにアンナが下がり始めるが、右ミドルと左ボディを打ち返す。
完全にペースダウンしたアンナへフェルナンデスが左フックからの右ロー、カウンターの左ボディ。さらに右ストレートが顔面を捉える。アンナも下がりながら右ミドル&ワンツーで抵抗。
3Rは危ない場面もあったが、判定3-0でアンナが勝利を収めた。アンナは「誰とでもやるけれどベルトが欲しい」とタイトル挑戦をアピールした。
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▼第5試合 MMAヘビー級 5分3R×マーカス・“ブシェシャ”・アルメイダ(ブラジル)[判定0-3]〇オマール・ケイン(セネガル)
ヘビー級。17度柔術世界王者“ブシェシャ”アルメイダはONE4試合連続フィニッシュ勝利中。2022年8月の前戦ではキリル・グリシェンコにヒールフックで一本勝ち。対するケインは、セネガル相撲、レスリングベース。ONE4勝1敗で、2021年4月にグリシェンコに敗れるも、ガザエフ、ウズベキスタンのミルザムハマエドフ相手に2連勝中。
1R、ともにオーソドックス構え。右を振るブシェシャにワンツーで詰めるケイン。引き込んだブシェシャは、下から跳ね上げたブシェシャに前転されずにハーフに着地。スタンドに戻ると、ケインは右アッパー、右ロー! 足が流れるブシェシャ。組むがブシェシャは小手に巻いての内股も残すブシェシャ。
組みからまたも下になるブシェシャは、下から横三角絞め、外掛け足関節に。しかし、足を抜いたケイン。すぐにシングルレッグに入るブシェシャだが、がぶるケインは腹にパンチ。
スタンドに。ともにスタミナ厳しいなか、殴り合いで優勢なのはケイン。押し倒してゴングも2人ともすぐには立ち上がれず。
2R、組んで押し込むブシェシャがロープを掴み注意。スタンド再開。右アッパーを当てるケイン。ブシェシャはダブルレッグテイクダウン! マウントからパウンド。ケインはハーフに戻すが、またもマウントを奪われ、下から抱き着き、脇を差して立ち上がるケイン! ブシェシャの腕十字狙いも外して上からキック。
ブシェシャはダブルレッグから引き込みでクローズドガードに入れる。
3R、ブシェシャは左フックの空振りが軸がぶれる。ハーブ・ディーンの「ファイト」の声に、ブシェシャはダブルレッグからバックテイク、バックマウントを奪うが、後ずさり尻を潜って立ち上がるケイン。
スタンドからまたも引き込むブシェシャ。背中を着かされたブシェシャは背中を見せて立ちあがろうとするが、そこにサイドバックを奪うケインはパウンドも掴みの反則。
スタンド再開。いきなり殴り合った両者。ブシェシャは右をかすめて強振! ケインも左右を振るが、ショーツを掴んだとして「イエローカード」で20%減点に。
再開。右を当てるケイン。シングルレッグに入るが、切ったケインにブシェシャは引き込み下に。上からケインが蹴ってゴング。
判定3-0勝利コールにケインは倒れ込み、勝利者インタビューもセコンドの肩を借りて息絶え絶え。しかし、インタビュアーミッチ・チルソンからの「イエローカードはあったけど、5万ドルだ」の声に、息を吹き返し、両手を挙げてガッツポーズ! そしてセネガル国旗を肩にかけてマットに跪いた。
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▼第4試合 キャッチウェイト(61.3kg)ムエタイ 3分3R〇エリアス・マムーディ(アルジェリア)[1R 1分38秒 TKO]×エドガー・タバレス(メキシコ)
マムーディは2016年11月のK-1 WORLD GP初代フェザー級王座決定トーナメントに初来日し、準決勝に進出も小澤海斗に判定負け。2017年4月のKrushでは西京春馬に判定負け。2018年6月のK-1 WORLD GP第2代フェザー級王座決定トーナメントでは村越優汰と延長戦まで戦ったが判定2-1で1回戦敗退。しかし、2019年1月のONEでは小笠原裕典に勝利し、2月にはWBCムエタイ・インターナショナル・スーパーフェザー級王座に就いた。5月、ONEフライ級キックボクシングタイトルマッチでペッダム・ペッティンディーアカデミーに挑戦したが、マムーディが急所攻撃を受けて試合続行不可能となり、負傷判定で敗れ王座奪取ならず。2021年6月にONEでモンコルペット・ペッティンディーアカデミーに判定2-0で敗れ、今回が約2年ぶりの試合となる。
タバレスは2022年7月にメキシコ人初のWBCムエタイ・インターナショナル王者となり、2023年5月のONE初参戦でいきなりロッタン・ジットムアンノンが保持するONEフライ級ムエタイ世界王座に挑戦するも、2R1分34秒、ロッタンのヒジ打ちでKO負けを喫した。
この試合はマムーディがフライ級(-61.0kg)のリミットをわずかに0.25ポンド(0.11kg)オーバーしてしまい、61.3kgのキャッチウエイトにて行われる。
1R、高身長のマムーディはさっそく得意の首相撲からのヒザに持ち込み、続いてヒジと右ストレートからの左フックでダウンを奪う。続いての首相撲からのヒザ蹴り連打でダウンを追加。余裕のマムーディは後ろ廻し蹴りを繰り出し、ヒジ、首相撲からのヒザで圧倒する。最後も首相撲からのヒザ蹴り連打、左ヒザで顔面を突き刺し、速攻のKO勝利を収めた。
マムーディは「2年前に指を怪我してブランクがあったけれど強くなって帰って来ました」と笑顔でアピールした。
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▼第3試合 サブミッション・グラップリング キャッチウェイト (81.6kg)10分1R〇タイ・ルオトロ(米国)[1R 2分39秒 ヒールフック] ※外ヒール×ダギ・アサラナリエフ(トルコ)
180ポンドのキャッチウェイトでのサブミッショングラップリング。
ライト級サブミッション・グラップリング王者ケイド・ルオトロの兄タイ・ルオトロ。ONEではゲイリー・トノンにダースチョーク、マラット・ガフロフにリストロックで一本勝ち。2023年5月の前戦争ではMMAミドル級&ライトヘビー級MMA王者のライニアー・デ・リダーに判定勝ち。20歳。
対する“ダギ”ことアサラナリエフはMMAライト級2位。8勝中2つの一本勝ち。タイの対戦相手探しが難航するなか、対戦を受託した。MMA9勝2敗。
1R、アームドラッグ狙いから、あえて背中を見せるルオトロ。内股狙い、払い腰・カニ挟みから足関節狙い、横三角も外したアサラナリエフ。しかしルオトロは下から外掛け、外ヒールへ。後ろを向いたアサラナリエフはルオトロの尻を「1回」叩いてタップ、握手を求めに行ったルオトロだが、アサラナリエフのタップではないという主張に、ルオトロはすぐにバックに回り、リアネイキドチョーク。2度目のタップを奪った。ルオトロは5万ドルのボーナスを獲得した。
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▼第2試合 キャッチウェイト (78.9kg)ムエタイ 3分3R〇ルーランウィー・シッソンピーノン(タイ)[判定3-0]×ナウゼット・トルヒーリョ(スペイン)
ルーランウィーは2023年2月の『ONE Friday Fights 3』でイラクのムスタファ・タクレティに判定3-0で勝利、5月の『ONE Friday Fights 15』でロシアのウラジーミル・ガボフに判定3-0で2連勝を飾り、今回が本戦初出場。
トルヒーリョはWMCスペイン王座、ISKAヨーロッパ王座、IPCCインターコンチネンタル王座、ISKA世界王座を保持。ONEには今回が初参戦となる。
この試合はルーランウィーがライト級(-77kg)リミットを4ポンド(約1.8kg)オーバーしたため、78.9kgのキャッチウエイトにて行われる。
1R、圧を掛けながら前に出ていくスタンスが広めのサウスポーのルーランウィー。いきなり左ストレートをヒットさせる。トルヒーリョは頭を引き気味に左フックを繰り出すが、ルーランウィーはヒジで攻め込んでいく。ルーランウィーの左ミドルに右ストレートの連打で対抗するトルヒーリョ。ルーランウィーが左ストレートで前へ出てくると回転ヒジを繰り出すトルヒーリョ。ルーランウィーのヒザ蹴りにもヒジで対抗する。
2Rも前に出るのはルーランウィーで、このラウンドは首相撲からのヒザに持ち込む場面が多い。ルーランウィーの左ミドルと左ストレートにはヒジと右ストレートで対抗するトルヒーリョ。組み付こうとしたルーランウィーに右ヒジがクリーンヒットする。さらに左右フックを連続被弾。ルーランウィーの攻撃が当たらなくなり、トルヒーリョのパンチ、ヒザがカウンターでタイを捉える。これに下がり始めるルーランウィー。
3Rも再び前に出るルーランウィーが左ミドルから左ヒジ、トルヒーリョはヒザとヒジで応戦するが、左ミドルを蹴られて首相撲に捕まる。ルーランウィーは左ミドルから左ボディストレート、そして組み付いてのヒザ蹴り。左ミドルで完全にペースを握り、トルヒーリョは下がりながら左フックとヒジを狙うが、ルーランウィーの左ミドルをもらい続ける。さらに組み際に強烈なヒジを打つルーランウィー。
判定3-0でルーランウィーが勝ち名乗りを受けた。
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▼第1試合 MMA バンタム級 5分3R×ジャンロ・マーク・サンジャオ(フィリピン)[2R 2分53秒 キムラロック]〇エンク・オルギル・バータルフー(モンゴル)
「チームラカイ」のヘッドコーチであるマーク・サンジャオの息子のジャンロ・サンジャオと、日本でも活躍したジャダンバ・ナラントンガラグの弟子のエンク・オルギル・バータルフーがバンタム級で対戦。
「チームラカイ」のヘッドコーチであるマーク・サンジャオの息子のジャンロ・サンジャオと、日本でも活躍したジャダンバ・ナラントンガラグの弟子のエンク・オルギル・バータルフーがバンタム級で対戦。サンジャオはONE3連勝・MMA6戦無敗。バータルフーはONE Friday Fights2連勝・MMA8連勝中。
1R、ともにオーソドックス構え。右を当てたサンジャオが、左右から右ハイとラッシュ。シングルレッグ。バータルフーはネルソンからキムラ狙いで回してスタンドに戻す。
右ミドルを当てるサンジャオ。バータルフーも左ボディ打ちから左右で前に出るが、サンジャオの右を受けてダウン。しかしサンジャオの組みを再びネルソン、キムラで後方に回すも、ここはサンジャオが上に。しかし、際でバータルフーも譲らず。上を取り返してかつぎ狙い。膠着でブレーク。
右を当てるサンジャオは右バックヒジも、そこに組んでテイクダウンはバータルフー。サンジャオは下横三角絞めを狙う。
2R、右ハイから前に出て右を当ててテイクダウンを奪うバータルフー。サイドを奪うと頭つきのキムラロックに。背中をつけてふせぐサンジャオに、何度かトライしたバータルフーは背中側に回して極めた。
5万ドルのボーナスを獲得したMMA9連勝・ONE本戦初勝利のバータルフーは「サンジャオは若く強かった。亡くなった親友にこの勝利を捧げる」と語った。