ヒロヤ「僕が求めていたことは勝って覆すことだったので──」
━━試合後の率直な感想をお聞かせいただけますか。
「やっぱこの試合に賭けてた思いというのは僕の人生のなかで一番大きい舞台で、ここを掴めなかったら、まあもう格闘家としてチャンスはないだろうなっていうくらい、僕の人生において大きなチャンスだったんですけど、それをいい試合だったなと声はかけてもらえたのですが、いい試合というかまあ僅差だった分、本当に悔しいです」
━━実際に拳を交えて伊藤選手の印象が違ったところはありましたか。
「戦う前と印象は一緒かなっていうふうには思いました。やっぱストライキングが強くて、テイクダウンディフェンスがうまくて、テイクダウンに行って切られて、それでも行かないと3Rか2Rで打撃でまとめられると思っていたので、そういう意味では試合前と試合後の印象は同じでした」
━━判定が2-1で相手に入り、自分に入った、という瞬間はどのように感じていましたか。
「本当にそのジャッジの判定を聞く前に、僕はこの試合に賭けていた思いがあったので自分が持っている力は全て出せたのかな、とあの時感じて、そこで感極まってしまった部分はあるんですけど、ああいうジャッジを聞いて、ここでぐずぐず言ってもファイターとしてはカッコ悪いので。まあ自分が弱かったのだと思います」
━━初参戦のRIZINの舞台の印象は?
「やっぱり(朝倉)未来さんからもそうですけど、最初は僕朝倉未来1年チャレンジのオーディションが、渋谷のほうでボロボロのリングが1台だけ置いてあって、ここのオフィス(会見場)よりも半分くらいの大きさですごいちっちゃいところに未来さんと、YouTubeの動画が回っているところで始めて。
そういう結構プレッシャーのかかった試合を始めたところから、さいたまスーパーアリーナという夢の舞台にあげてもらえて、『すごい緊張するだろうね』と言われていて、僕自身、『緊張してしまって自分のやりたいことできなかったらどうしよう』とか、やっぱり前日でも思っていたので。試合になったら、リングに入ったら関係ないだろうとは思ってたんですけど、緊張することもあるとは想定してこの日を迎えたと言う感じです」
━━試合を終えたばかりですが、今後の展望を教えてください。
「やっぱこの試合が本当に最後になるんだっていうふうに僕は思って、キツい練習を今まで以上にやっていってやろうと、本当にしんどいときも“これで最後なんだ、これで負けたら俺はやめる”と思いながら毎日練習はしてたので。そうですね、なんかここで負けてサクっと『やっぱやります』っていうのはカッコ悪いなと思うのですけど、このまま負けたまま終わるのもカッコ悪いと思うので、いまの感情で発言はあまりできないのかなと。いろんな方々の声を聞いてから考えたいですね」
━━練習していることの100パーセント中どれくらい出せましたか。
「120パーセント出せたんじゃないかとは思っています。自分の、できることは、この大舞台で初めて出せたのかなというふうには思っています。いつもやっぱりDEEPだったりBreakingDownであったり試合はやっているのですが、いつも自分の強さっていうのが出せなかったりメンタルやキャリアもそうですけど『練習のほうが強いね』って。自分でも思っていたので、今日は伊藤選手みたいな本当に強い選手だからこそ気負わずに挑戦できたのかなという気持ちがあります」
━━試合後に未来選手とは話をしましたか。
「そうですね、『僅差だったけど、あれが悪いね』とか『ここだね』っていうふうに、あまり話してはいないのですけど。やっぱり勝ちを持って帰りたかったですね」
━━悪いところを指摘するというのは、次を期待されていると感じましたか?
「そうですね。ここで、未来さんに僕は人生変えてもらったんで、難しい心境ではあるんですけど、ここ最後にするんだという覚悟で出させてもらったので、でも未来さんに人生変えてもらって、こんな中途半端な感じで終わるのも失礼だなと思うし、自分でもカッコいい格闘家ではありたいと強く思います」
━━参戦のきっかけとなった西谷選手がセコンドについていましたが試合後にどんな会話を?
「西谷くんは勝ったと思っていたらしいです」
━━ご自身もそう思っていましたか?
「そうですね、自分やってる主観なんで、もう1回見直さないとなというのはあるのですけど、ジャッジがどこから見ているかなども運なのかなと思っています」
━━SNSでアンチの声があったということもありましたが、今日はヒロヤ選手の攻撃のたびに大きな歓声があがっていました。
「そうですね、すごく聞こえてました。やっぱり、あそこで沸いたんですけど、会場で僕を認めてくれている人ってやっぱりいないんだろうなって僕は思ってて。RIZINはすごい方々が後に続いていて、それのオマケくらいで出して僕は出させてもらってるくらいに見られるかと思っていたんですけど、やっぱり試合中に、3万人っていう大人数の歓声がすごい聞こえていて。リングに入ったら全然緊張しなかったんですけど、試合を、ラウンドを重ねるたびに、すごい人がいるんだな、ということと、応援がこんなにいるんだ、と肌で感じました」
━━今後については考えたいと。具体的に迷っていることがあるのですか。
「ひとりの男として、“吐いた唾は飲むな”というか、そういうしょうもないプライドですかね」
━━伊藤選手も実力は評価しているようでした。前評判を覆せたという感覚はありますか。
「うーん、僕が求めていたことは勝って覆すことだったので、いい勝負をして認めてもらうことは僕が求めていたことではないので。っていう感じですね」
━━師匠の未来さんをはじめ、いろいろなひとのサポートについて今思うことはありますか。
「僕が見ている背中は、黙っていろんな声を結果で示してきたひとなので、自分もそういうふうになりたかったですけど、自分はまだまだ全然だなっていうか。やっぱり結果で返したかったですね。繋げたかったです」
━━そのあたりには悔しい思いがあるのですか。
「そうですね、悔しい思いしかないです」