東京の町をゆくマゴメドシャリポフ。Bellatorパートの必見カードのセコンドにつく(C)ゴング格闘技
2023年7月30日(日)『超RIZIN.2』(さいたまスーパーアリーナ)で12時開始予定の「Bellatorパート」の第2試合バンタム級(5分3R)にて、ダニー・サバテーロ(米国)と対戦するマゴメド・マゴメドフ(ロシア)と、そのチームのザビット・マゴメドシャリポフに本誌がインタビューした。
今回マゴメドフのセコンドにつく予定のマゴメドシャリポフは、MMA18勝1敗、UFC6戦無敗のまま引退した幻の名ファイター。ほとんどメディアに出ることがない元ACBフェザー級王者にして元UFCフェザー級コンテンダーは、今回、本誌の取材に、自身の口から、現在はコーチ業に専念していること、武術学校時代からの盟友のマゴメドフらをサポートしていることなどを語ってくれた。
【写真】ダブリン大会でのマゴメドフと弟のハサンとマゴメドシャリポフ。(C)Bellator
「マゴメドフの調子はすごくいいですよ。減量も順調で、身体もすごくいい仕上がりで。もう準備万端です(※計量パス)」というマゴメドシャリポフ。
BELLATOR x RIZIN Official Weigh-In Results: Magomed Magomedov (@magomedovtiger1) (136 lbs) pic.twitter.com/pM0G4M3LcT
— Bellator Public Relations (@BellatorPR) July 29, 2023
今回、来日までしてセコンド入りしたのは、「マゴメドフは寄宿学校時代からの親友だし、今回は彼のサポートのために日本に来ました」と、あらためて苦楽を共にした友人であり、練習仲間のマゴメドフの大一番のために、日本に帯同したことを語った。
散打とレスリングをベースとするマゴメドフとマゴメドシャリポフは、ダゲスタンの山々に囲まれた武術寄宿学校「パエストロン・スヴェタ(世界の五方位)」で育った。同校は、1日に3部練習が行われ、帰宅が許されるのは月に1日のみという厳しい環境の全寮制の国立校で、そこで両者は多感な10代を過ごしている。
MMAファイターとしては第一線を退いた32歳のマゴメドシャリポフは「初めて日本に来て、さきほど少し散歩しましたが、とてもいいところですね。美しくて、楽しく過ごしています」と笑顔を見せた。
ダゲスタンファイターのなかでも、底知れない強さを見せていたマゴメドシャリポフは、独自のタイミングと創造力豊かな戦いを誇り、スタンドでの精度の高いパンチ・キックや回転系の技、さまざまなテイクダウンから抑え込み&コントロール、さらにアナコンダ、ギロチン、裸絞めなどチョーク系のみならずスロエフストレッチを極めるなど、多彩なサブミッションも持っていた。
ダゲスタンでマゴメドフは『アブドゥルマナプ・マゴメドフ・スクール』(元UFC王者ハビブ・マゴメドフの父のジム)でのトレーニングや、米国のヒカルド・アルメイダ柔術、マーク・ヘンリーのもとでも学ぶなど、マゴメドシャリポフ&マゴメドフには多くのMMAの引き出しがある。
そのクリエイティブな戦いに、2019年11月のUFC以降、いまだに現役復帰の待望論が絶えないが、マゴメドシャリポフは「いやいや、今やただの観光客ですから(笑)。これまで試合を見てくれてありがとうございます」と小さな笑みを浮かべる。それはすでにファイターの眼差しではなく、MMAを指導者として探求する者のそれだった。
現役中に病も患い、医学の道に進むとの報道もあったが、マゴメドシャリポフは、「いまはMMAを引退しましたが、今回のようにマゴメドや、弟のハサン(マゴメドシャリポフ=MMA8勝無敗)のトレーニングなどを中心に、コーチとしてやっていくつもりです」と語ってくれた。
今大会では、昼のBellatorパートながら、そのマゴメドフとATTのダニー・サバテーロによる“ダゲスタンレスリング×アメリカンレスリング”の好カードが組まれている。マゴメドシャリポフ&マゴメドフはこのフォークスタイルレスリングの猛者に対し、どんなMMAで対抗するか。続いて、マゴメドフの言葉も紹介したい。