ヒロヤ「パトリッキーの5分5R、試合形式のスパーリングは──」
基本的に練習の模様はさわりのみで動画もあまりアップしていない両陣営だが、その内容については、同じ『超RIZIN.2』で58kg契約で伊藤裕樹(ネックス)と対戦するヒロヤ(トライフォース赤坂)が刺激を受けていることを本誌の取材に明かした。
「試合に近づくにつれて、心身ともにいい感じになってきています。この試合に賭けているという思いで(相手を)上回っている。もう相手の分析もしっかりできている」と自信を見せたヒロヤは、連日のピットブルブラザーズとの合同キャンプについて、「日本とは違う」部分について語った。
現在、パトリッキー陣営は、弟のパトリシオとともに、レスリングコーチのエリック・アルバラシン、MMAコーチのチアゴ・トゥーラォン、さらにコンディショニングコーチらも帯同しているという。またトライフォース赤坂には、朝倉海が招聘したエリー・ケーリッシュコーチ、K-1トップファイターのマハムード・サッタリ、BRAVEの武田光司らも合流している。
ヒロヤは練習環境の変化について、「ピットブル兄弟と一緒に来ているボクシングやキックボクシングのトレーナー、メディカルチェックのドクター。コンディショニングコーチ、レスリングのコーチやキャプテン(アルバラシン)ら、様々なコーチの一人ひとりが選手を見てくれていて、コーチ同士もその選手の状態や出来ることが共有されている」と、北米トップファイターの必勝体制に感銘を受けたという。
また、追い込みのなかでの「試合形式」での練習には、その環境の作り方にも刺激を受けた。
「練習のメニューが日本と違うのが、テクニックの日、“この場面からスタート”という限定のシチュエーションスパーリングの日、ちょっと緩めの日だったり、スパーリングするときは5分5Rの試合形式でお互いにセコンドをつけて結構、感情入れてする選手が多くて、日本の選手は試合前は“リラックス、リラックス、落ち着いて”という選手が多いけど、彼らは逆でちゃんと気持ちを上げてスパーリングに挑むという、そこが全然、日本の選手と違います」
自身は、実績では格上の相手と戦うが、朝倉未来からは「『練習の時のヒロヤくんを出せたら、うまくいくんじゃない』と言われています。僕自身、そこがうまくできていないという実感はあるので、練習の自分を出せるように」と、練習のように試合でも戦える気持ちを作っている。
「普通の選手と違って、求められているものというよりは、“試されている”ものがある。そういう試されているものに対して、見返してやろうという気持ち。面白い試合、華があるとか、そういうところじゃなくて、絶対に勝つだけ」
その試されているものは、強さにほかならない。DEEPフライ級GPベスト4の伊藤を相手に、ヒロヤは自身のストロングポイントを出すことが出来るか。
右の強打に加え、下になってもリバーサルする力強さ、そして組んでの一発のサブミッションと、ストライカーの伊藤に対して、組みで上回ることが出来なければ勝機は狭まる。
ピットブルブラザーズによる、ギャラリーもセコンドもいるなかでの試合形式のスパーリングを見てきた。自身も初のさいたまスーパーアリーナでの大抜擢のなかで、勝利を優先するためには、たとえブーイングが起きるような展開になっても勝ち切る必要がある。
「そうですね。ブーイングが起こるのか、起こらないのかは(分からないけど)僕があんまり“出来ない”と思われているので、なってみないと分からないですけど(ほかの展開もある)。全然、邪念はなくて、周りの声も意識しないです。たぶんセコンドの声しか入らない」と「勝利」の2文字だけを目指す。