(C)ONE Championship
2023年6月23日の『ONE Friday Fights 22』(ルンピニー・スタジアム)での「MMAヘビー級統一王座決定戦」で、アルジャン・ブラー(インド)に3R KO勝ちし、ヘビー級とライトヘビー級の二階級制覇を達成したアナトリー・マリキン(ロシア)が大会後のインタビューに応じた。
MMA13勝無敗・全試合をフィニッシュ勝利しているマリキンは、2022年2月のヘビー級暫定王座決定戦でキリル・グリシェンコを右オーバーハンド一でKOし、暫定のベルトを巻いた。
さらに、2022年12月にはONEミドル&ライトヘビー級王者ライニア・デリダーの持つライトヘビー級王座に挑戦すると、1Rに右フック&鉄槌でパウンドアウト。ライトヘビー級王座も戴冠。。
2023年6月にはインド系カナダ人初のレスリング・フリースタイル五輪代表選手で、ヘビー級正規王者のアルジャン・ブラーと対戦し、打撃で圧倒。統一王者となっている。ONEのインタビューでマリキンは、三階級で戦う自信とともに、ONE愛を語った。
ONEは僕に「ホーム」を与えてくれた
──王座戦前、「ブラーを仕留めるには1Rで十分だ」と言っていましたが、実際は3Rで勝利を収めました。それで喜びが半減することはありましたか?
「それはない。もしろ、相手を褒めるべきだと思う。彼がタフなファイターだということがわかった。だから1Rで倒すことができなかっただけだ。勝つことは分かっていたし、全ラウンドでベストを尽くし、最高の試合をするつもりだった。彼は3Rまで戦い続けたので、その分長く彼を痛めつける結果になった。むしろ、彼がすぐに倒れなくて良かったんだ」
──試合では多くの打撃をヒットさせました。2Rにはボディを効かせてアッパーもクリーンヒットさせました。彼が予想以上にタフだったことは驚きでしたか?
「いいえ、彼のディフェンスが上手いのは知っていた。でも、彼の弱点はボディだ。彼は頭をしっかりと守るので、ボディに攻撃をまとめたんだ。冷静に対応した。ボディショットが効くのを待ち、彼に疲れが見えてから、強打を打ちまくった。チキンをオーブンでローストする様にね(笑)」
──勝利した時、ご夫人があなたの腕にキスをしていました。あなたの成功にとって、彼女はどれほど大きい存在ですか?
「僕の成功はすべて彼女のおかげだ。冷静沈着な態度を取れるのも、自信を持てるのもすべて彼女のおかげだ。妻は僕以上に僕を信じてくれている。僕でさえ試合前に悪いことを考えたり、躊躇する気持ちが沸き上がるが、彼女にはそれがない。だから、6年間はまるで1日のようにあっという間に過ぎ去り、僕たちにはまだ長い長い年月があると信じている」
──ヘビー級統一王者となったいま、世界トップのヘビー級選手との対戦で興味ある選手は?
「フランシス・ガヌーと戦ってみたい。彼が、皆が思っているほど実際に強いのかどうか、その実力を確かめたい。ただ、彼が僕のテストをパスするとは思わない」
──報道によれば、現Bellatorライトヘビー級王者のワジム・ネムコフは、UFC移籍を準備していることを認め、1試合のファイトマネーは100万ドルだと言います。あなたはどの様な条件であれば、移籍を考えますか?
「ONEを離脱する条件はない。僕が誰からも必要とされていなかった時、チャトリ代表とONEは僕に仕事を与え、僕に“ホーム”を与えてくれた。この先、UFCや他のプロモーションが、僕にどんな対価を提示したとしても、ONEが僕を必要とする限り、僕がONEのファイターである限り、僕はここで戦う。ONEが僕を解雇しないのであれば、僕はONEで格闘人生を終わらせたい」
──セコンドとして、UFCのピョートル・ヤンのサポートをしたいと発言していましたが、あなたのジムに彼を呼びますか?(※ヤンは次のトレーニングキャンプではタイガームエタイを離れ、別のジムで練習を行うと発表している)
「もちろんだ。ピョートルはすでに僕のジムに来たことがあるし、次戦の準備をする時は、彼は必ず僕のジムに来て練習するはずだ。彼は僕の友人でいつでも大歓迎だ」
──あらたな挑戦という意味で、キックボクシングやグラップリングの試合に出場する価値はあると思いますか?
「キックボクシングについては、もちろんノーだ。僕は自分の可能性を過大評価しないし、現実的に物事を見ている。僕のキックボクシングの技術はストロングポイントではないし、蹴りやヒジ打ちはむしろ弱いかと思う。グラップリングマッチについては、ブシェシャ(マーカス・アルメイダ)やデ・リダーと戦うのは良いアイデアかなと思う。
ある程度、体重のあるファイターなら誰でもいい。アミル・アリアックバリとのグラップリングならいつでも良いしね。7月でも8月でも大丈夫だ。それは最高のイベントになるはずだ。アリアックバリとマリキンがグラップリングで再戦だ!」
──6月のアルジャン・ブラーとの試合後、あなたはデ・リダーに対戦要求しましたが、デ・リダーは「その前にシャミル・エルドアンと対戦して、その後にマリキンと対戦したい」と答えています。それについて、どう思いますか?
「もしシャミルとデ・リダーが戦えば、シャミルが93kg(ミドル級)の王者になるはずだ。そうなると、僕とデ・リダーが戦うチャンスはない。僕はシャミルと練習仲間で、僕がシャミルと戦うことはない」
──中国のファン・ロンをKOしたシャミル・エルドアンをどう評価していますか?
「彼は僕の友人だ。彼は過去にフリースタイル・レスリングで僕に勝ったことがある。彼は素晴らしいレスリング能力を持ち、キックボクシングの技術も高い。彼は冷静でバランスの取れた良いファイターだし、国を代表する素晴らしい選手だ」
──もしONEがあなたに強敵を準備しなければ、あなたの勢いが停滞すると危惧する声があります。
「それはない。僕は93kg、102kg、120kgの3階級で戦えるので、必ず戦うべき相手はいるはず。グラップリングもできる。今後2、3年は仕事があると思うので、試合に出ることに問題はないよ」