2019年7月28日(日)さいたまスーパーアリーナに16,930人(主催者発表・満員)の観衆を集め『RIZIN.17』が開催された。
メインの第12試合では70.0kg契約で矢地祐介と朝倉未来が対戦。朝倉が3R終了間際にダウンを奪い判定勝利し、年末のBellatorとの対抗戦で矢地に共闘を呼び掛けた。また、バンタム級相当の61.0kg契約試合では、RIZIN&Bellator2冠王の堀口恭司がリングサイドで見守るなか、石渡伸太郎が佐々木憂流迦にノースサウスチョークで一本勝ち、扇久保博正が元谷友貴に判定勝利し、石渡と扇久保が互いに対戦を承諾した。
第5~7試合では同じくライト級相当で、元UFCのジョニー・ケースが北岡悟にTKO勝ち、川尻達也がアリ・アブドゥルカリコフに判定勝ち、さらにホベルト・サトシ・ソウザが廣田瑞人にTKO勝ちし、10月12日に大阪で開幕する「RIZIN.19」ライト級GPに向け存在をアピール。榊原信行CEOは大会後総括でライト級GP出場選手について「ケースとホベルト・サトシ・ソウザは当確でいいんじゃないですかね」と語った。
▼第12試合 70.0kg契約 RIZIN MMAルール 5分3R ※ヒジあり×矢地祐介(69.90kg/KRAZY BEE)[判定0-3]○朝倉未来(69.85kg/トライフォース赤坂)
メインとなる第12試合では、70kg契約で朝倉未来(トライフォース赤坂)と矢地祐介(KRAZY BEE)が対戦する。
互いに右利きサウスポー。その精度とスピードは蹴りも含め朝倉に分があり、力強さでは前手の右フックも含め矢地が上回る。下がりながらダロン・クルックシャンクをマットに沈めたパンチも利き手の右だった。
互いに組み技を強化し、矢地は首相撲からのヒザ蹴り、さらに相手の蹴り足を取っての小外刈を合わせたテイクダウンも得意とするが、朝倉は「テイクダウンデフェンスに少し重きを置いているので蹴りは試合でもあまり使わないかもしれない」と研究済みだ。
グラウンドでは、2007年のアマチュア修斗からキャリアを積む矢地に一日の長があり、下になってもオーバーフックからの三角絞めで五味隆典を極める「寝技らしい寝技」も見せるが、トライフォース赤坂所属で和術慧舟會HEARTSや高阪剛率いるALLIANCEに出稽古もしている朝倉はレスリングを強化し、グラウンドでも立ち上がる術がある。
注視すべきはこの試合が70kg契約で行われること。本来バンタムからフェザー級(65kg)の朝倉が、増量して臨む矢地戦でいかにライト級にフィットできるか。矢地はスピードを損なわず、当日どこまで戻してパワフルに戦うか。矢地にとっては10月12日に大阪府立体育館大会で開幕するRIZINライト級GPに向け、2連敗のいまこれ以上負けられない一戦であり、「常に自由でいたい」という朝倉にとっては、主催者が望む試合に勝利し、発言権を得るためにも6連勝を飾りたいところだろう。
対戦相手の矢地について朝倉未来は、「余裕がないスかね。打撃で待てないのと、フェイントに対しても大きなリアクションしか返せない」とスタンドでの優位性を語ると、矢地の「空気を読まない」発言に対しても、「その『勝ちに徹する』試合が、寝技に持っていってやるみたいな感じかもしれないけど、俺から簡単にそうテイクダウン取れないから。向こうがどうしようが、どっちにしろ面白い試合になる」と一蹴。矢地の隠れた武器とするグラウンドについても「テイクダウンデフェンスに少し重きを置いている」と対応済みであることを語った。
「自分の強さの再確認になると思う」──気負いなく語る未来は70kgでも、背水の陣の矢地をのみこむか。
対する矢地は「うちのジムに中指立てたわけじゃないですか。『KRAZY BEE、勝ってないから』とかの発言(「RIZIN CONFESSIONS」にて)。あれは絶対許せないし、なんだアイツ? とジムの関係者もみんな思っている。その思いを晴らすのは俺しかいない。みんなの思いを拳に乗せて叩き潰したいって、毎日思っている」と憤る。
朝倉戦に向け、「今まで全くしてこなかった」出稽古も敢行。帝拳ボクシングジム、ロータス世田谷ではかつてRIZINで対戦した北岡悟、さらに青木真也ら「スペシャリストのいるところへ行って、一から足りない部分を教えてもらった」という。また、KRAZY BEEに出稽古に来る田中路教、ISAO、リオン武らトップファイターとも練習を行うことで自身の強みの再確認ができている。
「70kgの階級で世界の強いヤツとやってもそうそう組み負けたことないし、力が強いと思ったことはない。(朝倉は)70kgでやらなければよかったとみんなも本人も思うでしょうね」と、自分の階級で戦うことに絶対の自信を見せている。
70kg契約、5分3Rで対戦する矢地と朝倉、“令和の大喧嘩”で最後にマットに立っているのはどちらか?
1R、ともにサウスポー構え。左ローから入る矢地。朝倉の左ミドルに矢地は尻餅をつくが朝倉は深追いせず。立つ矢地はさらに左ロー。カーフキック狙いか。2発目はかわす朝倉。3発目を打つ矢地。距離を取る朝倉。矢地は左ロー。朝倉は右ボディフック!
しかし矢地も左ローをカーフキックで当てる。そこに朝倉は左ストレートを合わせにいく。圧力をかけていく矢地は右ハイで牽制。オーソ構えからスイッチして左ハイは朝倉。矢地の入りには左フックをボディに当てる。さらに右の二段蹴りは朝倉!
朝倉の前足に左ローは矢地。圧力かける朝倉は右フックで飛び込むと大きな左アッパーは空振りも残像を残す。さらに左ハイ。回ってかわす矢地の跳びヒザの打ち終わりに左右をまとめ、さらに左ローを当てる。
2R、グローブタッチする両者。前足を上げてからダブルレッグは矢地。しかし切って回る朝倉は笑顔。左ローを狙う矢地。さらに左ハイは朝倉がブロック。朝倉の左のカーフキックに矢地の右足が赤く腫れる! そしてボディブロー! さらに左ローに矢地の右足が流れる! 矢地は左右を振ってダブルレッグへ。テイクダウンもすぐに立つ朝倉。矢地は今度はボディロックでコーナーに押し込む。倒されない朝倉。背後からフックを狙う矢地。スタンドでサイドにつく矢地に正対した朝倉は突き放す。
圧力をかける朝倉は左ロー。朝倉の左から右の二段蹴りを掴んでシングルレッグは矢地。朝倉はトップロープを掴んでテイクダウンを防いで左右で追いかけると矢地はレフェリーに注意をうながす。ゴング。朝倉に「注意」が与えられる。
3R、左ローを当て遠間から右で飛び込む朝倉。さらに右ハイキック。下がる矢地は圧力をかけなおす。朝倉のカウンターを警戒する矢地。さらに右左にダブルレッグは矢地も朝倉は脇を差し上げ投げ返す。矢地のダブルレッグを切る朝倉が圧力をかけ右アッパー狙い。外した矢地に右ジャブ!アゴが上がる矢地。
朝倉は右の蹴りを打つと蹴り足をつかみにいく矢地。足を抜く朝倉。矢地のダブルレッグからの得意の小外刈りを切り返して上を取るのは朝倉! インサイドからパウンドを入れてから立ち上がる。左を振る朝倉。さらに矢地の右をかわすと脇を潜り振り回すパワフルな面も見せる。矢地は左ハイもかわす朝倉はワンツーからさらに左ロー!
左右を振り矢地を誘う朝倉。矢地も大きなワンツーから右を振ると朝倉は両手を広げて来いとアピール。矢地もカモンとポーズすると、大きなワンツー。矢地の右を浴びながらもスウェイで逃がした朝倉は、カウンターの左ストレート! 矢地がダウン! 残り時間を知ってか、そのまま追い打ちはせずに、朝倉は後ろを向いて手を挙げて勝利を確信したところでゴング。
判定は3-0で朝倉が勝利。リング上でマイクを渡された朝倉は、「まあ、なんかいろいろありましたけど、矢地くんと俺とリスク持ってやったからここまで盛り上がったと思います。煽り(映像)ではKRAZY BEEのことを馬鹿にするような感じになっちゃいましたけど、全然、リスペクトしてるんで、また出稽古で教えてください」と因縁の煽り映像からの和解を語ると、リング上での矢地との会話については「喋るより拳を交えたら伝わる」とし、「年末、Bellatorと対抗戦やるんだっけ? 一緒に戦って日本の格闘技を盛り上げましょう」と矢地に共闘を呼び掛けた。
また、70kgでの試合については、「タックル来られたときに重いなって思いました。でも1回もテイクダウンされなかったし、俺の腰の強さ分かりました?」と感触を語ると、今後については「そうですね。ちょっと考えときます」と答え、会場のファンに「格闘技盛り上がっているのもみんなのおかげです。ぜひ、会場に来てください。あと……YouTube登録してください」とアピールした。
さらに、試合後の会見では「ライト級GPにはぶっちゃけそこまで興味はないですね。フェザー級ならUFCでも通用すると思うけど、ライト級だとトップどころに勝てるとは思わない。そういう気持ちを持って(ライト級GPに)出たくない。フェザー級GPなら……」とあらためてライト級GP出場は拒否。しかし、榊原CEOは「フェザー級GPはない。ライト級GPに出てもらいたい。朝倉未来をくどきたい」と話しており、朝倉はどんな選択をするか。またあらためてBellatorとの対抗戦については「ファイトマネー次第です」と語った。
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▼第11試合 61.0kg契約 RIZIN MMAルール 5分3R ※ヒジあり○石渡伸太郎(61.00kg/CAVE)[2R 3分58秒 ノースサウスチョーク]×佐々木憂流迦(61.00kg/Serra Longo Fight Team)
5年半前に一度、接点があった石渡と佐々木。2014年2月に石渡がパンクラスバンタム級王座2度目の防衛成功した直後リングに上がった佐々木が「俺の喧嘩を買ってください」と対戦を申し入れ、当時は受け流した石渡だったが、時を経てRIZINの舞台で対戦が実現することになった。
石渡は2011年にPANCRASEバンタム級王者となり、8年間防衛。その間、DEEPバンタム級王者・大塚隆史、ビクター・ヘンリーらも下している。
堀口恭司とは、2013年6月の「VTJ 2nd」と2017年大晦日の「RIZIN」で2度対戦し、いずれも敗北。今回、1年8カ月ぶりの復帰戦を決め、日本バンタム級トップ勢と鎬を削り、堀口との3度目対戦を目指す。
公開練習では佐々木について「以前は一芸だけという感じに見えたけど、今は打撃もトータルでやる選手になったのかなと」印象を語り、「1ミリもナメてないけど、全部勝っているかなと思っています」と自信を語った。勝てば堀口との3度目対戦に近づくが、1年7カ月ぶりの試合に向け、「28日以降の人生は考えていない」と語っている。
対する佐々木は、元修斗環太平洋バンタム級王者。UFCではパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを2度獲得するなど活躍し、2018年大晦日にRIIZNデビュー。“門番”マネル・ケイプに判定勝ちを収めている。
2019年4月の「RIZIN.15」では朝倉海と対戦予定だったが、内臓疾患により急遽欠場。石渡との試合が約8カ月ぶりの復帰戦となる。59kg契約で戦った前戦と異なり、今回はバンタム級相当の61kg契約。セコンドにはUFC世界バンタム級2位のアルジャメイン・スターリングが就く。
佐々木が先に入場。続けて赤コーナーの石渡が入場。TEAM OTOKOGIの植松直哉らがつく。リングサイドには堀口恭司。
1R、いきなり跳びヒザで石渡に飛び込む佐々木、ともにサウスポー構えから右ボディは石渡。長い右から左を打つ佐々木。かわす石渡は左のフェイントから組み。ヒザを連打で突く佐々木。押し込む石渡に右は差す佐々木。ブレーク。
左から右で飛び込む石渡、そこに前蹴りで牽制する佐々木。左ローは佐々木。石渡は左フックをヒット! そのまま左で差して回して倒すのは石渡! コーナーの「ハーフでいい」の声にハーフから細かいパウンドは石渡。下から蹴り上げは佐々木! それを嫌ったか距離を取り、立ち際を右ハイは石渡。かわした佐々木はシングルレッグでその蹴り足の足首をつかみテイクダウン! ハーフから佐々木はヒジを狙うが、石渡はオーバーフックで打つ距離を取らせない。
2R、佐々木は左ボディロックからテイクダウンも足がロープ外に出てしまう。左を振り、シングルレッグは佐々木! そこからボディロックに移行し、腰を殺そうとする佐々木だが、右で差して立つ石渡が体を入れ替える。ヒザを突く石渡。頭を下げると佐々木はギロチンチョークを狙うが、外した石渡に佐々木はバック狙い! ここを正対した石渡は小外がけで前方に倒してテイクダウン! ここは佐々木も立ち、右ジャブを突く。
スタンド。石渡の左ローに左ストレートは佐々木! 頭を上げさせられる石渡。詰める石渡は左のフェイントから右フックでダウンを奪うとその倒れ際に右ヒザをヒット! 頭からマットに崩れる佐々木。そこに石渡は頭部に左ヒザ4連打! 決めどころにまとめられるのが石渡の強さ。佐々木は四つん這いで頭から崩れると、さらにフロントからチョーク狙いに仰向けに正対する佐々木に石渡は上からノースサウスチョーク! 佐々木がタップした。
石渡はリング上でマイクを持つと「RIZINファンのみなさん、ただいま! バッチリ1年7カ月ぶりが出て、大振りでした。僕が休んでいる間に、不名誉な名前がつけられて──『四天王』、トップにいる人(堀口)には笑われているだろうから。(堀口にカメラがパンし、笑顔を見せる)『何が四天王だ?』と、以上です」と、自身がほかの選手と横並びではないことを示すと、さらに扇久保からこの試合の勝者への対戦要求に「ひとつだけ。僕と扇久保選手、見分けつきますか?」と観客を和ませると、続けて「2人がやって手を挙げられている方が僕です」と、勝利を予告した。
そして最後に「入場式から声援をもらえて今日、幸せです。これからも応援してください。ありがとうございました」と挨拶し、セミファイナルを締めた。
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▼第10試合 61.0kg契約 RIZIN MMAルール 5分3R ※ヒジあり×元谷友貴(60.75kg/フリー)[判定1-2]○扇久保博正(60.80kg/パラエストラ松戸)
修斗世界フライ級王者・扇久保博正(パラエストラ松戸)と元DEEPフライ&バンタム級王者・元谷友貴(フリー)が対戦。
この試合は元々、2014年10月に行われた『VTJフライ級トーナメント』で優勝した扇久保が、元谷にフライ級日本一を決めようと対戦を呼び掛けたことが発端。さらに今年5月6日、修斗世界フライ級王座2度目の防衛に成功した扇久保が「RIZINでやり残したことがあるので、出来れば元谷選手とやらせてください」と再度アピール。5年越しで実現することになった。
元谷は「1R目からアグレッシブに倒す試合をしたいです。あっちがしたい攻防は多分グラップリングで、自分はどちらでいってもいいんですが、立っての打撃でもグラウンドになったらパウンドでも倒すスタイルで行きます。できるだけ上をとって殴りたいです」と、扇久保の寝技に対して徹底した打撃で倒しに行くと宣言。
扇久保については「タックルから寝かしつけるのがしつこい」とテイクダウンを警戒。柔術技術でも定評のある元谷だが、「柔術的な下からのサブミッションにはかからないと思っています」と語っている。
対する扇久保は公開練習で元谷について「最近の試合を見ると下(のポジション)からの極めとかは強いので、流れの中でスポッと入ってしまうと抜けられなかったりするので、そこは警戒して戦おうと思っています」と寝技を警戒しながらも、「(勝利のイメージは)浮かんでいます。どうなっても僕が勝つと思います。打撃でもレスリングの勝負でも寝技でも、譲る気はないですね。僕が勝つと思います」と自信も見せている。
さらに「互いに落ち込んでいた日本格闘技界の時でも続けてきた、そういう意識はありますね」と、RIZIN誕生以前の日本格闘技を戦い抜いてきた自負を語っている。
1R、サウスポー構えの元谷とオーソドックス構えから入る扇久保は、左ハイで元谷の上体を上げさせてからダブルレッグテイクダウンへ! 首を抱え、ギロチンを狙う元谷。しかし元谷の足を上げ首を抜く扇久保は、ハーフからパウンド。さらにサイドを奪い元谷に背中を着かせる。
ヒジを落とす扇久保。亀から腰を切り足を戻す元谷。しかしついていく扇久保。亀からヒザを立て立つ元谷を再びバックからリフトしテイクダウンは扇久保! バック奪うとすぐさまリアネイキドチョークへ。元谷もすぐに腰をずらし解除。その立ち上がり際に再びダブルレッグは扇久保! しかし、下の元谷はバックに回り、足を巻く! 背後からヒジを突く元谷。しかし、扇久保も横に落とし上に、元谷の立ち上がり際にサツカーキックを狙う。
2R、左右で前に出る元谷。そこにカウンターのダブルレッグテイクダウンは扇久保。一瞬頭を抱えるも外して尻で立とうとする元谷。それを肩で制して寝かせようとする扇久保。しかし腰を切る元谷は立つことに成功する。
元谷は前蹴りを顔面へ! さらに左ストレートで前に出る元谷。そこにダブルレッグテイクダウンは扇久保。腰を殺し動きを止めると元谷は背中を見せながら立つがそこに扇久保はみたびダブルレッグテイクダウン! しかしすぐに立つようになった元谷は左の蹴り! さらに左右を振るが、扇久保も左ハイを打ちながらダブルレッグへ。ここも時間をかけずに立つ元谷は左ヒザ! 扇久保も右アッパーから左フックで元谷のアゴを上げさせる。扇久保のダブルレッグを差し上げる元谷。ノンストップのタフな展開に。
3R、二段蹴りを狙う元谷。かわす扇久保。元谷は前蹴りから左ヒザを突く。右で差して押し込む扇久保がボディロックから投げも元谷は首投げで切り返す。両者立つと打ち合いに。元谷の左右に扇久保も退かず。しかし元谷の左がヒット! 連打で攻める元谷に扇久保がダブルレッグテイクダウン! 立とうとする元谷を寝かしつける扇久保。背中つけずスイッチ狙いの元谷は足を抜いて立つと左右! 左前蹴りは元谷。さらに左フック、そして左右も浴びる扇久保。ここでダブルレッグでテイクダウン奪う扇久保! 死力を尽くす両者。下からアームロックを狙う元谷に腕を外し、枕で頭を巻き、肩固めに入る扇久保。ゴング。
3Rの死闘、トータルのRIZINジャッジは、判定2-1で扇久保を支持。勝者は頭を抱えてひざまずいて勝利を喜んだ。
リング上でマイクを握った扇久保は「皆さんありがとうございました。元谷選手ありがとうございました。榊原さん、次、石渡選手と憂流迦選手の勝った方とやらせてください。みなさん楽しかったですか? これからも日本のRIZINを盛り上げていきますので、堀口、天心だけじゃなく僕らにも注目してください」とファンに存在をアピールした。
●堀口恭司がリングで凱旋挨拶
「皆さんの応援のおかげでベラトールのベルトを持って帰ってこれました。応援ありがとうございました。8月18日に試合が決まっていますので、しっかりKOか一本で倒したいと思っているので応援よろしくお願いします。以上です」
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▼第9試合 RIZIN MMAルール 93kg契約 5分3R○イヴァン・シュトルコフ(93.00kg/ロシア)[2R 4分10秒 TKO]×キム・フン(92.90kg/韓国)
シュトルコフはこれまで16戦15勝1分と無敗のロシアンファイターで、MMAデビュー10連勝で臨んだ2017年7月のRCC Boxing Promotions日露対抗戦では、石井慧に2R TKO勝利を収めている。
2016年11月にアントニオ・シウバに、17年2月にロドニー・ウォレスにいずれも判定勝利し、元UFCファイターを連続撃破。さらに2018年にもRussian Cagefighting Championshipでファビオ・マルドナド、チアゴ・シウバの元UFCのライトヘビー級ファイターからも勝利を挙げ、2019年4月にUFCファイトナイト・ロシアに参戦が決定していたが、「体調不良で欠場」となっていた。
その後、「ドーピングによるUFCとの契約解除」「USADAから2年間の出場停止処分」との報道もあったが、今回、RIZIN参戦が決定した。関係者によれば、RIZINがシュトルコフと契約した時点では、USADAからシュトルコフのドーピングについての発表は出ていなかったという。契約後にテストステロン(人間の身体の中でも分泌)の検出がUSADAから発表された。“ウラル・ハルク”の異名を持つシュトルコフはどんなファイトを見せるか。
キムは25戦10勝12敗1分け。2017年7月の『ROAD FC』では185ポンド(83.9kg)のミドル級で福田力にTKO勝ちを収めている。2011年の『Legend FC 6』では、現UFC世界ミドル級王者ロバート・ウィテカーに170ポンドのウェルター級ながら三角絞めで一本勝ち。しかし、2012年に中村K太郎に、2013年にはミノワマンにいずれもTKO負けを喫している。10勝のうち6勝は1Rの早い段階で仕留めているが、シュトルコフとは階級差があり、キムにとって厳しい試合となりそうだ。
1R、ともにオーソドックス構え。詰めるシュトルコフは左で差してコーナーに押し込むが、フンも四つで凌ぐ。
左ジャブを突くシュトルコフ。さらに左から右のオーバーハンドを振る。フンの右ローにカウンターの左右で前進するシュトルコフは、右から左の飛び込みが速い。四つながら腕を巻き込んでボディロックから回してテイクダウン! フンはオモプラッタからシュトルコフの首にゴゴプラッタ狙い! しかし左手を足に当てて頭を上げて脱するシュトルコフ。インサイドガードから単発なからパウンドする。ゴング。
2R、右前蹴りで牽制するフン。左右を振るがフンの蹴りが股間に入り中断。再開。ボディから顔面と打ち分けて左右を振り前進するシュトルコフ。しかしフンはコーナー背に凌ぐ。
ダブルレッグテイクダウンはシュトルコフ。しかしすぐに立つフン。再びダブルレッグテイクダウンはシュトルコフ。ラバーガード狙うフンに腕抜き、片足を抜きハーフの上からヒジを突く。フンは二重がらみでハーフガードを取るが、立ち上がれず。
足を抜きマウントを奪うシュトルコフはパウンド。背中を見せたフンのバックマウントからさらにパウンドし、TKO。戦績を17戦無敗とした。
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▼第8試合 RIZIN キックボクシングルール 3分3R(62.0kg)○大雅(62.00kg/TRY HARD GYM)[判定3-0]※30-27×2,30-26×町田 光(61.70kg/橋本道場)
大雅は2012年(当時16歳)にプロデビューすると、14年にKrush 55kg級、17年にK-1 スーパー・フェザー級ワールドGPで王者になるなど、若くして実績を残してきた。RIZINのリングでは観客を沸かせる戦いを見せるも、2018年9月に原口健飛を相手にドロー、2019年4月にタリソン・ゴメス・フェレイラに2R TKO負けを喫するなど、1敗1分と未だ白星に恵まれておらず、またキックでも中国のチュウ・シュー、タイのセクサンに判定で敗れるなど3連敗中のため、RIZINで2017年6月・皇治戦以来となる白星をつかみたいところ。
町田は55戦のキャリアを持ち、WPMF世界スーパーフェザー級王座、所属するINNOVATIONのスーパーフェザー級王座など計5つのタイトルを獲得してきた日本トップクラスの実力者。近年はKNOCK OUTを主戦場として活躍し、2017年12月には大月晴明を右ハイキックでKOしている。6月にはシュートボクシングに初参戦し、SB日本ライト級1位・村田聖明からバックドロップでシュートポイントを奪うなどして勝利している。
1R、サウスポー構えの大雅にオーソドックス構えの町田。左で詰める大雅。ガード低く飛び込む大雅は跳び蹴りを狙い、町田は得意技の居合パンチへ! かわす大雅は居合パンチに対抗して円を描いて居合パンチの仕草を真似てみせる。詰める町田はヒザ蹴りから飛び込み。それを受け止める大雅はボディ打ち。
2R、遠間から右アッパーで飛び込む大雅。フィジカル強く押し込む町田に大雅はボディ、左フック。町田も近距離からアッパーなど強弱をつける。さらに居合パンチ! 飛び込んでのヒザまで突く。しかし大雅は左ストレートが顔面にヒット。スーパーマンパンチの左も繰り出し、そこからの左右のラッシュで町田をコーナーまで下がらせる。
3R、左の飛び込みのギアを上げた大雅。詰めてくる町田に大雅は跳びヒザも。しかし下がらない町田もヒザ。大雅は左をジャブ、ストレートで使う。クリンチ詰める町田に距離空くと大雅は左で飛び込む。強引に詰める町田に左ボディ、下がりながらも左フックを顔面に決めた大雅に町田は両手を着いてダウン。立ち上がるがゴング。
判定は3-0で大雅が勝利。「久しぶりに勝てました。今日もダメダメだったけど、これからRIZINファイターとしてRIZINをもっとでかくして盛り上げるので応援よろしくお願いします。僕の目指しているところは変わってないんで、これからも追いかけていきます」
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▼第7試合 RIZIN MMAルール(71.0kg)5分3R ※ヒジあり×北岡 悟(70.65kg/ロータス世田谷/パンクラスイズム横浜)[1R終了時 TKO]○ジョニー・ケース(70.75kg/米国/MMA LAB)
元DEEP&戦極ライト級王者の北岡はMMA70戦を超えるベテランファイター。RIZINでは元UFCファイターのダロン・クルックシャンク、川尻達也に勝利し、矢地祐介、ストラッサー起一(75kg契約)、ディエゴ・ブランダオン、ホベルト・サトシ・ソウザに敗れている。
対戦相手のケースはUFC4勝2敗。2014年9月のUFC JAPANで徳留一樹にギロチンチョークで一本勝ち、2018年年末のRIZINデビュー戦では矢地祐介の右目尻をパンチでカットしてレフェリーストップ勝ち。これまでに北岡が敗れている徳留と矢地という2人の強豪選手に勝利している。25勝のうち17勝が打撃による勝利、さらに1Rでの打撃の勝利が14勝と、決定力のある打撃を誇る。また、レスリングベースらしく重い腰を持ち、ダブル・シングルレッグのみならず、巧みなニータップ、四つ組み、1本脇を差せば崩して投げる組み技の強さも見せており、がぶりからのギロチンも得意としている。
1R、サウスポー構えの北岡、オーソドックス構えのケース。身長差は9cm。ダブルレッグで詰める北岡は左足にシングルレッグに移行。右手で鉄槌・ヒジを打つケースは北岡の右足をつかんで連打! ドライブできない北岡。ケースが足を離すとコーナーまで押し込む北岡。左を差してテイクダウンを狙うが、小外でテイクダウンはケース!
北岡はハーフから潜り、外がけから足関節を狙うが、潰される。ディープハーフからさらに足を手繰りフットロックシングルレッグも狙う北岡だが、そこに鉄槌・ヒジが連打で落とされる。ゴングも北岡はダメージが大きくコーナーに戻れない。コーナーマンの2人の肩を貸りて自陣に戻るが、続けられるのか? コーナーーからタオルが投入され、試合が決した。北岡は担架に乗せられてリングを後にした。
ケースは試合後、「ありがとうございました。ファンのみんな心の底から愛しています。RIZIN、世界最高です。対戦相手にも拍手を」と敗者を気遣った。
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▼第6試合 RIZIN MMAルール (71.0kg契約) 5分3R ※ヒジあり○川尻達也(70.80kg/T-BLOOD)[判定3-0]×アリ・アブドゥルカリコフ(70.95kg/ロシア/Golden Team)
2000年4月プロデビューのベテラン・川尻は昨年大晦日、北岡悟に判定負けを喫して以来7カ月ぶりの復帰戦。前回の70.0kg契約に続き、今回は71.0kg契約での試合に臨む。北岡戦の直後は「終わってるね」と進退に関わる発言をし、その動向が注目されていたが、10月に開幕を予定しているRIZINライト級GP出場を目指す方向性のようだ。
今回対戦するアリは、ロシア国内や国際大会で数々のタイトルを獲得してきたウーシュー散打の世界的名手。2013年9月にロシアの格闘技プロモーション『REAL STEEL 2013』でプロデビューを果たすと、イワン・ウリャンチェンコを2Rにパンチで沈め、TKO勝利を飾る。14年からはアマチュア世界大会にも積極的に参戦し、17年までに9戦7勝2敗という好戦績を残した。
プロ2戦目となる15年4月の『M-1 Challenge』では後にUFCファイターとなるスペインのヨエル・アルバレスを相手に1R34秒スピニング・ヒール・キック(上段後ろ廻し蹴り)でKO勝利。その後もロシアを中心にカザフスタンなどのMMAプロモーションに参戦し、現在、プロ戦績は7戦7勝(3KO)と連勝街道を走り続けている。川尻の身長171cmに対し、176cmと5cm上回る。
1R、ともにオーソドックス構え。詰める川尻はアリのバックフィストをブロックしながらシングルレッグも切るアリ。ダブルレッグに入るが簡単にアリにがぶられる。亀から立つ川尻は次はシングルレッグも片足で立つアリ。さらに片足を両足で挟む川尻だが、コーナーで凌ぐアリ。再度シングルレッグからボディロックする川尻だが、ロープの外に片足を出して切るアリ。
スタンドから右前蹴りはアリ。すぐに詰める川尻。スタミナを使いアタックを続けるとシングルからボディロック、回して捨て身になりそうなところを上に! しかし脇を差して立つアリに川尻はキムラアームロックで後方に回す! アリは後ろから抱きつきゴング。
2R、川尻の右に跳びヒザを狙うアリ。ここは浅い。左で差して詰めるアリを突き放す川尻。左の前蹴り、ミドルのダブルに詰めてボディロックから再びテイクダウンは川尻。ハーフから脇を差すが、リバーサルはアリ! 川尻はいったん亀になって背中を預けながらヒザを立てて立つと背後のアリにキムラ狙いで正対。後方に回してトップを奪うとパスガード。足の立ち際にアームインギロチン! しかし首を抜くアリ。下の川尻はオープンガードから腕十字狙い。アリは頭をつけて凌ぐ。
3R、中央を取る川尻。アリの右ハイをアゴに受けるが組みでは倒れず。さらに右の前蹴りがかすめると組んできたアリのバックに回る川尻。しかし脇を差しバックを取り返すアリに背後のアリにみたびキムラで回す川尻! ハーフからキムラロックをしぼる川尻はマウントに移行! さらに得意の肩固め、川ちゃん固めへ。足をロープにかけて凌ぐアリ。なおマウントの川尻は細かいパウンド。ヒジ!さらにアリの左手を縛ってのパウンド。声を挙げながら川尻はパンチ、ヒジを落とし、ゴング。アリは判定後、コーナーにもたれかかり座り込んだ。
判定は3-0で川尻が勝利。予告通り泥臭く、しかしこれまでのキャリアの積み重ねを試合で発揮した川尻。試合後、川尻はマイクを持つと「アリ選手ありがとう。あなたがいたからハードに練習できました。連敗続いて勝てなくて、自分に自信を持てなくてそれでも辞められなくて、今日やっと勝てたぞー! 最後に一言だけ言わせてください。格闘技最高! ありがとう! 今日は花火大会だから、いっぱい花火打ち上げようね」とGPに向けて、意気込みを見せた。
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▼第5試合 RIZIN MMAルール 5分3R(71.0kg)※ヒジなし○ホベルト・サトシ・ソウザ(70.85kg/ブラジル/ボンサイ柔術) [1R 3分05秒 TKO]※右ロングフック×廣田瑞人(70.95kg/CAVE)
廣田は元DEEPライト級、元SRCライト級、元CAGE FORCEライト級王者で、元UFCファイター。相撲の経験とインターハイにも2度出場したボクシングテクニックで、菊野克紀、今成正和、北岡悟、石田光洋といった国内トップファイターたちから勝利を奪ってきた。日本での試合は2015年9月、UFCでの石原夜叉坊戦以来となる。
対するサトシは4月の『RIZIN.15』で北岡悟をTKOに下した柔術家で、ブラジリアン柔術世界選手権2006、2009、2010を制している。MMA戦績は8戦全勝無敗。豊橋への出稽古で打撃も磨いている。
1R、ともにオーソドックス構え。対峙するとサトシの長身が際立つ。左ハイで牽制してから低い高速のダブルレッグテイクダウンはサトシ。左手でヒザを後方に押して超えるとハーフから左で首を抱え廣田に背中を着かせると細かいが強めのパウンドを側頭部に連打で当てる。
左肩で廣田の顎を押し、左手を枕に右脇は差し切れずにクラッチするサトシは、「アクション」の声に上体を立てると、そこで廣田も上体を立ててダブルアンダーで両脇を差して足はフックガードに戻す。サトシの上体の離し際に下から蹴り上げる廣田。立つサトシにブレークがかかる。
スタンド再開。左フックから右ハイを放つサトシ。下がってかわす廣田にダブルレッグへ。差し上げる廣田。離れてコーナーに詰まるサトシだが、遠間から右のロングフック! そこに左を合わせにいく廣田だが空振り。さらにオーソに戻し右フックをもう一度打つサトシ。右を合わせにいくも先にもらった廣田は後方にダウン! すぐにサイドに滑り込んだサトシは鉄槌を4連打し、試合を決めた。
試合後、サトシはトロフィーを手に日本語で「皆さん、元気ですか。ごめん。今日はちょっと難しい話がある。ほんとうに有難い人はいっぱいいる。私のチーム、私の家族……。けど、今日のこのトロフィーは、一人ね、一人にあげたい。坂本健(ブルテリア・ボンサイ代表)、坂本健! いつも私を手伝ってくれて本当にありがとう。ごめんね、1カ月前、あなたのお母さん亡くなったね。だから、今日(のために)、たくさん練習して、お願い、お母さんに持っていって。ごめんね、今日もまた柔術、ちょっとだけね(笑)。でも、次からもっと柔術使いたい。絶対にみんなに見せたい。UFCじゃない、ここRIZINだよ!」と絶叫した。
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▼第4試合 RIZIN MMAルール 5分3R(93.0kg)※ヒジあり○ジェイク・ヒューン(92.85kg/米国/Unit 27)[3R 2分19秒 TKO]※マウントからのヒジでレフェリーストップ×ビタリー・シュメトフ(90.25kg/ロシア/USSR FIGHTERS)
シュメトフは7歳から兄セルゲイと共にムエタイ、サンボに取り組み、総合格闘技とキックボクシングのローカル大会でキャリアを重ねてロシアのムエタイ王者にも2度輝いている。2006年の8月と10月には『MARS』(2008年に活動停止)に参戦し、日本で2試合を行った。元極真空手でK-1ファイターのニコラス・ペタスと1年間トレーニングを積んだ経験もある。
2017年からSNSで再三に渡ってRIZINにラブコールを送ったことがマニアックな人気を博し、アポなしのRIZIN事務所への突撃訪問、RIZIN.15の前日公開計量や大会当日の乱入などの活動が実って、遂にRIZIN初参戦の切符を手に入れたのだ。
対するヒューンはレスリングをバックボーンに持ち、2011年4月にMMAでプロデビュー。UFCの登竜門リアリティショー『TUF』に出場するがUFC参戦はかなわず、WSOFで活躍。2017年にはROAD FCにも参戦した。2018年9月からはRIZINに参戦し、イリー・プロハースカには敗れたものの6月のロッキー・マルティネス戦では勝利。ド派手な殴り合いを信条としている。
1R、ともにオーソドックス構え。ヒューンの左ハイをブロックするシュメトフ。さらに回転してのバックフィストはシュメトフ。ブロックするヒューンも下がりながら左を狙う。
サウスポー構えにスイッチするヒューン。さらにオーソに戻すとシュメトフは右の後ろ廻し蹴りを当てる。バランスを崩したヒューンだがダブルレッグからテイクダウン! ハーフで潜るシュメトフをヒジで剥がすがサッカーキックにはシュメトフに立たれる。
左ミドルはシュメトフ! さらにシングルレッグに入るが、ヒューンはスイッチからバックを取り返すと上に。ハーフからヒジを落とし、鼻血を誘うと、実力差を感じたか自ら離れてスタンドを望む。
2R、ともにオーソドックス構えから。左ローはヒューン。さらに左フック。シュメトフのバックフィストは遠い。ヒューンのローブローで中断。再開。
歩きながら左ミドル打つヒューン! さらに詰めて右ボディ、首相撲からヒザの連打。クリンチアッパー連打とコーナーに詰まり防戦一方となるシュメトフ。しかしシュメトフのヒザがローブローに。再び中断。
インターバル後、再開。左ジャブ、左ミドルを掴んで倒すシュメトフ、ヒューンの立ち際にシュメトフはサッカーキックを打つ。そこでスイッチが入ったか。ヒューンは左を振ってコーナーに詰めてダブルレッグをリフトしてテイクダウン! パンドからサイド奪いアメリカーナを狙うが、極まらず。マウントに移行しパウンド。脇を開けさせるがゴング。
3R、シュメトフのバックフィスト、ハイキックをブロックしたヒューン。今度はヒザを着いての低いダブルレッグテイクダウン! すぐにマウントを奪うと、ヒジ打ち! 左目上をカットし出血したシュメトフ。レフェリーがストップした。
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▼第3試合 RIZIN 女子MMAルール 5分3R(49.0kg)※ヒジあり○ハム・ソヒ(48.90kg/韓国/TEAM MAD)[1R TKO] ×前澤 智(48.75kg/リバーサルジム立川ALPHA)
ソヒはキックボクシングや散打で培った打撃を持ち、2007年2月に初来日して『DEEP』でプロデビュー。そのデビュー戦でDEEP女子ライト級王者・渡辺久江から勝利をもぎ取り一気に注目を集めた。日本を主戦場にし、2008年のスマックガールライト級トーナメントでは準決勝で藤井惠に敗れ、2010年のJEWELS初代ライト級王者決定トーナメントでは決勝で浜崎朱加に敗れるなどタイトルに手が届かなかったが、2013年5月にスギロックを破りDEEP JEWELSフェザー級(-48kg)王座を奪取。
その後、2度の防衛を果たして2014年からは韓国人女性ファイターとして初めてのUFC参戦を果たすと、1勝2敗の戦績を残した。2017年6月からは韓国『ROAD FC』に舞台を移し、初代ROAD FC女子アトム級王座決定戦で当時のDEEP JEWELS同級王者・黒部三奈からTKOで勝利して初代王者となった。さらに12月の初防衛戦では『RIZIN.16』で浜崎と一進一退の攻防を演じた現Invicta FC同級王者ジン・ユ・フレイに1RでKO勝利を飾っている。
注目のRIZIN初参戦となるそのソヒを迎え撃つは、DEEP JEWELSアトム級王者の前澤。中学から大学まで柔道を学び、寝技強化で始めたブラジリアン柔術がきっかけで総合格闘技の道へと進む。2012年にJEWELSでプロデビューすると連敗を喫したが、着実に力をつけてタイトルに近づき、2018年12月に黒部三奈を破り第6代DEEP JEWELSアトム級王座に就いた。今年3月には浅倉カンナとの勝負に挑んだが判定負け。RIZIN初参戦でビッグアップセットを狙う。
1R、日本でのプロデビュー戦のコスチュームを着用したソヒと、金原正徳代表のテーマカラーの黄色をコスチュームに採り入れた前澤。サウスポー構えのソヒ。オーソドックス構えの前澤は小刻みにステップしダブルレッグに入るが固執せず、すぐ離れる。右を振る。左ストレートから首相撲でコーナーに詰めたソヒはヒザ。右脇が上がる前澤だが下げると突き放す。
前手を立てて視界を塞ぐソヒ。詰めると右ヒザをテンカオでボディに突き刺すと頭が下がった前澤にすぐに右ヒザを連打! 決めどころを逃さないソヒはコーナーに倒れ込んだ前澤が足を手繰りにいこうとしてもそこにさらに左ヒザを連打! 前澤の頭が後方に跳ぶのを見て、レフェリーが間に入った。
勝利をしたソヒはリング上で「ほんとうにありがとうございます。みなさんが応援してくださったおかげです」と日本語で挨拶。さらに「私、タイトルに挑戦したい気持ちも強いですが、まず山本美憂選手と試合をしたいです。お願いします!」とリングサイドにいた美憂に対戦をアピール。山本もリングに上がり、「私もいつか試合をしたいなと思ってました。よろしくお願いします」と対戦要求をうけいれた。
DEEP JEWELS王者の前澤に完勝したソヒと、4連勝中の山本の対戦は決定するのか、そしてそれは浜崎朱加への挑戦者決定戦となるのか?
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▼第2試合 RIZIN MMAルール 63kg契約 5分3R×KINGレイナ(63.00kg/FIGHTCLUB 428)[判定0-3]○ステファニー・エッガー(62.85kg/スイス)
KINGレイナが約1年振りにRIZIN参戦。MMA3勝1敗のステファニー・エッガーと63.0kg契約で対戦する。2018年から65kg~70kgの間で試合を行ってきたKINGレイナにとって、初の63kgでの試合となる。
KINGレイナは、前回のRIZINでは65kg契約でケイトリン・ヤングに判定負け。同年12月のDEEP JEWELSでは65kg契約でジュディー・ルイスから判定勝利、19年3月には68kg契約で上田真央を1R 25秒の秒殺KOで沈め、再びRIZINでの復活を狙う。
KINGレイナ同様、柔道をバックボーンに持つエッガーは、2013年のU23欧州70kg級王者。MMA3勝の全てを1本・TKOで決めている。2016年11月には「Invicta FC 20」に135ポンド(61.23kg)で出場。アレクサ・コナーズにスプリット判定で敗れるも、前戦2018年3月の「Buddy MMA Clash 2」では1R TKO勝ちを収めている。
1R、オーソドックス構えから右ストレートを当て右で差すKINGレイナだが、ボディロックからバックに回りリフトしテイクダウンはエッガー。バックマウントからパウンド・チョークを狙うエッガーにKINGレイナは亀から立ち、正対するとカーナーに押し込みヒザ突くエッガーを突き放す。
右ストレートを伸ばすKINGレイナ! さらに右に長身のエッガーはバランスを崩すが右を返す。詰めるKINGレイナは予告通り右ストレートを狙う。さらに右ローをダブルと上下に散らす。
2R、詰めるエッガーが右で差すと体を入れ替えるKINGレイナは離れて右ミドル。長い左右はエッガー。かわすKINGレイナはボディストレート突くが、さらにエッガーは右を伸ばしてボディロックからテイクダウン! バック見せるKINGレイナに足を巻き脇を差すが、足を解くとKINGレイナは亀から中腰で前に落とすとスタンドへ。
間合いを詰め右を打つエッガーに、右を振るKINGレイナ。さらに詰めて右を振るが、大きな振りにエッガーはかいくぐってダブルレッグからボディロックに切り替え再びテイクダウン。足をかけようとしたところでゴング。
3R、詰めるKINGレイナに下がりながらもジャブ&右を振るエッガー。さらに左ボディも。KINGレイナは右ローを被弾しながらも前へ。しかし大きな右にエッガーに脇を潜られボディロックを許すと、エッガーはスタンドサイドについてヒザに乗せてテイクダウン! 亀になるKINGレイナに両足をかけ、リストコントロールするエッガーはバックからリアネイキドチョークへ。足を外したKINGレイナは落としてスタンドへ。詰めて左右を振り右は当てるが、打ち下ろしの右はエッガー! しかし疲労から動きが止まるとKINGレイナが左右で前に出たところでゴング。
判定は3Rに渡りテイクダウンからコントロールしチョーク狙い。打撃では下がりながらも長身から打ち下ろしの右を当てたエッガーが3-0勝利。ボディロックから再三テイクダウンされ、亀の状態から立ったものの、バックは奪われ続けたKINGレイナは、泣きながら花道を後にした。
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▼第1試合 RIZIN キックボクシングルール 67.0kg契約 3分3R×渡部太基(66.95kg/TEAM TEPPEN)[判定0-2]28-29×2,28-28○Hideki(66.80kg/ボリビア/RISE/team Gloria)
TEPPEN GYMから那須川天心、白鳥大珠に続く“第3の男”として元Krush王者・渡部が初参戦。対するはRISEの元トップランカーであるHideki。
渡部は毎回のように激闘を繰り広げる攻撃型ファイターだが、約3年間も黒星から遠ざかっている。Hidekiは“ボリビアの剛腕”のニックネーム通り、強烈なパンチが武器。2017年2月、RISEスーパーライト級タイトルに挑戦する予定だったが、試合当日インフルエンザを発症して欠場、RISEを無期限出場停止処分となって関東のリングには久しぶりの登場となる。
1R、サウスポー構えの渡部のセコンドには移籍先の那須川天心。オーソドックス構えのHideki。静かな立ち上がり。圧力をかける渡部はコーナーにつめて左ミドル、右ハイ。追う渡部に右にサークリングするHidekiは、渡部の前手をはたいての右ストレート! 当てて左右で詰めると背中を見せた渡部にダウンが宣告される。さらにコーナーに詰めての右はHidekiも渡部は凌ぐ。
2R、右ミドルハイでコーナーに詰めるHidekiは左右ボディから上と散らしてラッシュ。しかし渡部は左ロー! さらに左ローにHidekiの足が流れる。下がりながら右を狙うHideki。渡部は右ローを連打! 渡部が頭下がるところに右アッパーはHideki。さらに左ロー! 蹴りを上下に散らす渡部がペースを取り戻した2R。
3R、左ローから入る渡部。左前蹴りも腹に突く。下がるHidekiに左ミドルは渡部。追うとさらに前蹴りから左ミドル。そこに右を狙うHidekiだが単発に。近距離の右アッパーはHidekiも、渡部は歩くように近づき左右フックをコツコツ当てると左ローを連打しコーナーに詰める。下がりながら右ストレートを返すHidekiだが、渡部がローで詰めたところでゴング。
判定は1Rに右ストレートでダウンを奪ったHidekiが追い上げる渡部を振り切り勝利した。
●Hkidekiのコメント体格差と久しぶりの大きな大会で勝ちに徹してしまった
「今回の相手はいつもより階級が上で、ダウンを取ってから本来なら畳みかけるところで守りに入ってしまった。見ている人は面白くない試合だったと思います。3年ぶりの大きな大会でどうしても負けられないというのがあって、勝ちに徹してしまった。畳みかけるところで足を使って、消極的になってしまった。体格差と久しぶりの試合というのが原因です。現在はABWという団体に出ていて、フリーなのでいろいろなジムへ行って実戦でいろいろな選手と練習しています。一応勝ったんですが、消極て的な試合をしてしまったので、こうしたいとは言えません。お客さんを盛り上げて結果につなげるのが一流なので、今回はそれ出来なかったので、今後どうしたいかは言えません。またいい話があれば今日の反省点を活かしたい。本当は天心選手とやれればいいんですが、階級が全然違うので。今は誰っすかね? 普段は63~65kgくらいでやっているので、そこで名前のある選手なら誰でもいいのでやりたいです」
●渡部のコメント50戦目の節目で考えるところもある。ゆっくり考えます
「もらっちゃったなって感じです。悔しいです。もらった瞬間は覚えてない。一発だけを警戒していたつもりでしたが、右だけ気を付けようと思った矢先にもらってしまった。意外とダウンしてカウントされている間にダメージは回復しましたね。(そこから挽回できなかったのは)相手が思った以上に逃げていたので。追えばよかったんですが、追いづらくて。追ったつもりでしたが。追えなかった。(一発もらって)もう後がないと思って自分の中でやり返しに行く感覚ですが、最初は頭を使っていこうと思っていたんですが。練習している感覚では、何で勝てないんだろうって思います。勝てる自信もあるんですが、結果につながらないのが歯がゆい。今回50戦目の節目で考えるところもありますが、今すぐどうこうは言えません。ちょっとゆっくり考えます」