『この男は欲張りだなぁ』ってパトリシオを見て思う
──この1年であなたが経験したすべてのことを考えると、長い間離れていたのに、ついに試合をする場に来ることができて、どれほど興奮しているのか、話してもらえますか?
「1年半ぶりの試合ということで、ここに戻って来られたことを嬉しく思ってる。長い間、試合から遠ざかってたから、去年は予想以上に個人的な学びに費やす時間が多くなったけれど、すべてが上手くいった。正しい決断を下し、正しい行動で復帰して、金曜の夜(※現地試合当日)は、成功を収めることができると思ってる。これは間違いなく、僕のキャリアの中で最大の戦いだ。特に怪我の後、深いところに放り込まれたことは確かだったから」
──どれほど大変だったか、つまりチャンピオンとして世界の頂点に立ち、GPも控えていて、ポスターのトップにも顔を出しているのに、あのような目に遭うというのは、精神的にはかなりハードだったのでしょうか。
「最初は確かに大変だった。昨年は3試合するチャンスを逃して、それは億万長者になるチャンスでもあったわけで。去年はそういう意味では面白かったというか、宇宙からのサインのようなものだと思ってて。自分はレガシーを築こうとしてこのスポーツの世界に入ったけど、少し前からお金の話になり、次は何を買おうかな、みたいな。マーチャンダイズとかそういう普段はあまり気にしないようなことも、次はどんなことするのかな、とか。それで、自分としてはこの復帰戦は自分が目指しているようなレガシーを築くのに、必要なものだって感じてる」
──GPを観ていて、「ああ、あの中に入りたかった」というような感じで、うずうずしていたのは当然という感じだと思うのですけどでも、あのGPを傍から観ていて得たものは何だったのでしょう? 最終的にパッチー・ミックスが頂点に立ったことは驚きましたか?
「これぞMMAというか、何が起こるか分からない。自分は堀口恭司に3R負けていて、最後はスピニングバックフィストで終わらせた。MMAはクレイジーなんだ。当然ながら、チームメイトで、マイボーイのラフェオン(ストッツ)が倒れ落ちる瞬間を見るのなんてクソみたいな気分だが、なるべくしてなった。彼(パッチー)は去年本当に良かったじゃないか、ミリオンダラーを手にするためにやるべきことを全てやっただろう。堀口を倒し、マゴメドフを倒し、あの美しいフィニッシュで頂点に立ち、有終の美を飾った。間違いなく感動的だったよ」
──あなたがBellatorに対して、「いける」「試合をやれる」というようなことを伝えてギアを上げていくのが、トーナメント決勝目前というあたりだったのかと思います。おそらくは、ただミックスとスタッツのどちらが上がってくるかを静観して、座して待つよりも、その前に誰かと戦いたい、と思ったのではないかと。という時に、いつ、どの段階でパトリシオと対戦するという選択肢が提示されたのでしょうか、すぐさまだったのか、自陣から出したことなのでしょうか。
「コーチから言われたんだ。『パトリシオが135ポンドに落として、三階級王者になろうとしているみたいだと聞いた』って。12月だか1月だかにパトリシオが彼のチームとともにインスタに投稿したところ、Bellatorが飛びついたって感じじゃないのかな。まあだから思うに、インスタの投稿どおりになったっていうようなことじゃないかな」
──実際のところ、パトリシオのバンタム級というのはどう思っていますか。
「準備期間が長かったから、栄養面もちゃんとやったんだろうとは思う。でも、僕は以前125ポンドで戦ったことがある(※UFCでブランドン・モレノらに勝利)から、10ポンド余計に減らすことがどんなことか、分かるよ。それは大変なことだ。パトリシオはいまゲームプランより、体重を落とすことに頭がいっているに違いない。オレも125の時はそうだった。でも、彼はきっと自分らしくいられると思っただろうし、そのための準備はできていると考えているんだろう」
──ピットブルがキャンプに以前のあなたたちのコーチのダニエル・ワンダレイを呼び寄せたことについてどう感じていますか。
「彼は僕の昔のコーチを連れてきて一緒にトレーニングしているのを知っているから、彼らは僕に対して何か心理的な駆け引きをしようとしているんだと思う。彼は3年前に僕のコーチだったんだけど、あれから僕はすごく変わったんだ。いいよ、ビジネスなんだから。彼は僕の昔のコーチだけど、彼には養うべき家族がいるんだ」
──ピットブルが新設されるフライ級も含め、4つ目のタイトルを狙っていることについては?
「この男は欲張りだなぁ。彼はレガシーを作ろうとしているのは分かるけど、僕のことは見過ごしているようだ」
──あなたがフライ級で二階級制覇する可能性は?
「理にかなっていれば、そうするだろうが、今のところ、余計な体重を減らしたくはないと思っているよ」
──ピットブルが三階級制覇を目指すというシナリオについて、どう感じていますか。
「“三階級王者”とか“俺が戻ってくる”とか、そういうシナリオは心配していない。スポーツでも、人間としても、僕はかなり良くなったと感じているんだ。この物語全体はソーシャルメディアにとってはクールなものだが、僕にとってはそこに行って仕事を成し遂げるもの。勝つために必要なことをしなければならないんだ」
──リングラスト(ブランクが空くこと)をどう思う?
「何も知らないね。“リング錆”と付き合うのは初めてだ。むしろ精神的なものだと思う。自然体で、自分らしくいることさ。僕が僕であれば、リングの錆はまったく問題にならないと思う。ここまでストレスが溜まっていた。この金曜の夜には解放されるよ!」