2023年6月10日(土)タイ・ルンピニースタジアム『ONE Fight Night 11: Eersel vs. Menshikov』にて、タイフン・オズカン(オランダ/トルコ)と対戦するスーパーボン・シンハ・マウイン(タイ)のインタビューが主催者を通じて届いた。
スーパーボンはブアカーオの弟子で、2009年10月にムエタイでゲーオ・フェアテックスに勝利。Kunlun Fightで2016年世界トーナメントを制して世界にその名を轟かせた。あらゆる体勢から繰り出すミドル&ハイキックを得意とし、首相撲でも強さを発揮するテクニシャン。2020年7月のONEではシッティチャイ・シッソンピーノンからも勝利を収めている。2021年10月にジョルジオ・ペトロシアンをハイキックでKOしてフェザー級王座に就くと、2022年3月にはマラット・グレゴリアンを退けて初防衛に成功。しかし、2023年1月の2度目の防衛戦でチンギス・アラゾフにKO負けを喫し、王座を失った。今回は約5カ月ぶりの再起戦となる。戦績は113勝(27KO)35敗。
今回対戦するオズカンは2016年にEnfusion 70kg MAXトーナメントで優勝した。2018年にはアンディ・サワーを4RでKOしてEnfusion 72.5kg世界王座を獲得。2006年にはダビッド・キリアからも勝利を収めている。2021年10月の「ONEフェザー級キックボクシング・ワールドグランプリ」でONEに初参戦すると準々決勝でシッティチャイと対戦したが判定2-1で惜敗した。2022年2月はエンリコ・ケールに勝利するも、10月にはグレゴリアンに判定負け。2023年2月には古巣のEnfusionにてTKO勝ちを収めて再起を飾っている。戦績は86勝(29KO)10敗3分。
アラゾフへとのリマッチを手にするには必ず倒さなくてはならない相手
――対戦相手タイフン・オズカンの印象は?
「彼はスマートな戦いをする素晴らしい選手ですよね。ヨーロッパでもタイトルを獲っているし、危険なファイターなので決して侮れない選手です。いつかは戦うって思っていたし、やっと時が来たという気分です。盛り上がる試合になると思いますよ。彼はランカーの中でまだ戦ったことのない唯一の選手で、僕がチンギス・アラゾフへとのリマッチを手にするには必ず倒さなくてはならない相手です。
オズカンのファイトスタイルは、マラット・グレゴリアンに似ているかなと思います。パンチ力があって、パンチの組み合わせも良いし、トータル的に優れたキックボクサーです」
――オズカンと戦う上で警戒することは?
「彼は重くて鋭い拳を持っているので、油断はできないです。また、彼は高いファイトIQを持っています。彼は私が(マラット)グレゴリアンと戦ったときの試合を研究してくると思います。そして、この試合で試そうとするでしょう。逆に僕がみた彼のシッティチャイ戦やグレゴリアン戦からは、彼が状況の変化に非常にうまく対応できる選手だということが見受けられました。
一部の選手はアジャストする方法を知らないですね。彼らは左キックが得意なら、常に左キックを出してくるだけ。しかし、オズカンの場合はそうではありません。彼は左パンチ、右パンチ、右または左のキックに変えることができます。だから、相手は彼の動きを予測するのが難しくなります。彼と戦うなら、一瞬でも集中を失うことはできません。でも、勝者はただ一人、いかなる形になっても彼を倒します」
――オズカンのマラット・グレゴリアン戦はどう見た?
「グレゴリアンとの試合では、僕の個人的な意見では勝率は50-50です。もし自分がジャッジだったら、オズカンに勝ちを与えたでしょう。そして、彼が成長し続けているのがよくわかります。だから、彼を全く過小評価することはできません。
彼のシッティチャイ戦や、グレゴリアン戦を見れば、彼の実力がわかるでしょう。でも、時に彼の攻撃は一貫性がなく、パワーに欠けていますね。彼はただそれらの試合を接戦で負けただけであり、もし再戦したら、両方とも勝つかもしれないです」
――前回の試合を振り返って。
「あの試合について言い訳はありません。単純に僕が負けました。しっかりと準備をして臨んだ試合でしたが、あの日はアラゾフに運があった日なんだと思います」
――この試合に向けての今の心境は?
「今回は相手よりも大きなモチベーションがあると感じています。ベルトを取り戻して、ランキングに入っている全選手に勝ちたいです。そして、最も重要なことは、連敗は許されないということ。もし負ければ、今まで築いてきたすべてが一瞬にして崩れ落ちてしまうと思っています」
【写真】2021年10月、ペトロシアンをハイキックでKOした一戦は世界に衝撃を与えた――ルンピニースタジアムで戦うことについては?
「実際、古いルンピニーでしか試合をしたことがないですね。スタジアムが現在の場所に移転する前に海外で試合をするようになったので、新しいルンピニースタジアムで試合をするのは今回が初めてです。ルンピニーは長い間、ムエタイの歴史において象徴的なスタジアムで、ムエタイのメッカのような存在であり改装されたことで、ますます壮大な雰囲気になりました。
いつも試合を見にくるたびに、自分の闘志が燃やされます。特にリングサイドの席からの観戦は、自分がそこにいたいと思わせてくれますね。ここに座っているのではなく、自分もリングで戦いたいっていつも思います(笑)」
――ルンピニースタジアムでONEが次々に大会を行なっていることについてはどう思う?
「ONEがルンピニースタジアムでやっている全試合が、タイのファンにとって本当にご褒美だと思いますね。贅沢な試合ばかりです。普通、こんな大規模なイベントを見るためには、海外に行かないと見れないですから。でも、今はONEのおかげで週に一度でも世界クラスのイベントを見ることができるなんて、僕たちはラッキーですよね。
自分自身にとっても良いことです。自国で試合ができるので、海外への移動に時間を費やす必要がないし、僕を応援しに来るファンにとっても気楽ですね。シンガポールやマレーシア、アメリカでやっている大規模なイベントに観戦にいくための航空券を手に入れる余裕のない人々にとっても、素晴らしい機会だと思います。
今回の大会出場選手の中では、僕が唯一のタイ人ファイターです。たくさんの方が応援に来てくれることを楽しみにしています。ちなみに、数カ月前のONE Fight Nightで大会が始まる前に行ったファンとのサイン会は、朝6時からだったのに数百人が並んで参加をしてくれました。本当に感謝しているし、今度は試合を見に来てほしいです」
――ロッタンとは仲がいい?
「以前ロッタンと同じ県に住んでいました。多分10kmくらい離れていたとは思いますが。当時は仲が良いとかはなかったですね。彼がムエタイを始めた時、僕はすでにバンコクに引っ越していたので。ONEに参戦してから仲良くなりました。ロッタンはお喋りで、いつも電話してきて色んな相談をしてきます。同じ大会に出るときは一緒に食事をしたりします。ロッタンはファンを喜ばせる方法をわかっていますし、ブアカーオやカオサイのようにエンターテイナーです。あんな攻撃的な試合をしてくれたら、見る人はみんな釘付けですよね」
――日本のファンへメッセージを。
「日本から僕を応援してくれている皆さん、本当にありがとうございます。今週土曜日はぜひ僕の試合を見て、ご声援をよろしくお願いします!」