2023年6月24日(土・現地時間)フランス・パリのゼニスアリーナ(8,000人収容)にて開催されるMTGP((Muay Thai Grand Prix)主催『Impact in Paris』にて、復帰戦を行うK-1三階級制覇・武尊(team VASILEUS)が1日(木)東京・祐天寺のALONZAジムで公開練習を行った。
武尊はISKA K-1ルール世界-61.0kg王座決定戦として3分5RでISKA世界スーパーライト級王者のベイリー・サグデン(イギリス)と対戦する。
まずはシャドーでスピードのある動きを見せた武尊は、続くミット打ちでパワフルなローキック、右ストレート、左フック、得意の前蹴り、そしてバックスピンキックを繰り出す。最後は弟分の晃貴を相手にスパーリングを行い、序盤はカウンターを狙ったりスリッピングアウェイで晃貴のパンチをかわしたりし、終盤は右ストレートと右ボディを中心としたパワフルかつスピードのあるパンチを叩き込んでいった。
試合まであと約3週間あるが「追い込めている」と武尊。声はその疲れでややかすれ気味。ミット打ちで合計3度出したバックスピンキックのことを真っ先に聞かれると、「元々使ってはいて、空手をやっていたので空手の蹴りをやりました。まだ試合で見せていない技もあるので次の試合で見せたいのもあるし、タイガーマスクを襲名したのでやりました。ローリングソバットですね」と、初代タイガーマスクのローリングソバットを意識してやったという。
「ちょうど昨日の夜に(タイガーマスクの映像を)見ました。実戦で使える動きを意識して佐山(聡=初代タイガーマスク)さんがやっていたので、この攻撃が使えるかなと思ってちょっと見ました。タイガーマスク時代、修斗の時もだし、実戦の技を使っているところを見ています」と、タイガーマスクの動きも取り入れているとした。
「バックスピンキックは空手時代から使っていた得意技でした、キックボクシングと融合させて使えるかなと思っています」と、空手時代の技もキックボクシングの試合で使えるように考えているようだった。
佐山からは5月24日に行われた7代目タイガーマスク襲名の記者会見で「エールをいただきました」とも。
ボクシングジムへの出稽古について聞かれると「アメリカでも出稽古させてもらって。僕はけっこう独自のパンチの打ち方をしていたので、それで倒せていたけれど怪我も多かったのでそこを直したり、日本のジムではスパーリングに行って日本トップレベルの選手と手を合わせて、パンチの感覚を研ぎ澄ませたいというのがありました」とその目的を話す。「短いラウンドでやってるけれど手応えはあると思います」とする。
パンチに特化した練習をしているわけではなく「特にどうと言うよりかは、この時期にいつもやっている追い込みをやっているので特に(違い)はないです」と、いつも通りの追い込みをしている。
練習状況について聞かれると「最近の試合は、前回は減量もあったのもあって身体のパワー部分で言ったら今までの100はとっくに超えている。110~120までパワーは上がっていますね。今回61kgなのでパワーの面では(前回よりも上)。トータルでスタミナ、技術はこれから3週間で仕上げていきます」と、パワーアップを感じるとした。
その61kgの試合体重に関しては「プラスなところもあるし、当日になると体重差が出てくるのでそこの部分はやらないと分からない。でもコンディション調整よりもパワーを付ける練習がより出来るようになるので、身体の感覚は上がっていますね」という。
昨年6月の那須川天心戦の後、手術をした右膝については「問題なく蹴れるようになったし、蹴られても違和感はなくなった」ともはや問題はないようだ。
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いい意味でプラスの感情で格闘技を楽しめている
海外での試合であることには「時差があるので調整も考えるし、あとは食事。水の違いもあると聞いたのでコンディション面は気を付けたい」と慎重だ。
芸能人の知り合いからの応援はとの質問には「特にないです」と答え、「最近は会ってないです。試合前はプライベートの友人と会わないようにしています」ときっぱり。
今回の海外遠征には、白鳥大珠(TEAM TEPPEN)と大雅(TRY HARD GYM)との3人でTEAM JAPANの形で行くことが決まっている。「みんなで勝とうと話しました。2人とも戦ったことがある選手なので、他団体の一選手ではないのでチームとして全勝で日本の強さを見せられればいいなと思います」と、全員で勝ちたいと力強く宣言。
那須川天心との世紀の一戦から約1年、この1年で最も成長した部分は何かと問われると「メンタル的には、今までは負けることへの恐怖で練習を頑張っていて。試合前は負ける恐怖との戦いをしていました。でも今回の試合は格闘技を楽しみたいと思ってやっているし、“負けたくない”というよりも“勝ちたい”という気持ちです。同じことなんですが、僕の中では意味合いが違う。そこがプラスになっています」と答える。
それは那須川戦で吹っ切れたということなのか。武尊は「吹っ切れたのもあるし、負けたことで…今までは負けることは死だと思っていたんですね。そういう気持ちで試合をしていたんですが、負けた後も応援してくれる人がいて、自分の中で考え方も変わって。いい意味でプラスの感情で格闘技を楽しめています」と、マインドの部分でかなりの変化があった様子。
自分のファイトスタイルは国や人種も関係なく沸かせる自信はあるか。その質問には「海外でも昔、高校生の時に試合をしましたが、海外のお客さんの方が打ち合い、激しい試合を喜んでくれる。感情を出して応援してくれます。日本人もアツく応援してくれますが、国民性がシャイなので。海外で試合をして沸かせられる自信はあるし、海外の格闘技ファンにも日本の格闘家にはこんなに面白い選手がいるんだよってところを見せたいと思います」と、日本同様、海外でもアツい試合で沸かせてみせると宣言した。
最後にはスパーリングパートナーを務めた晃貴を紹介し、晃貴は「7月17日に両国国技館で行われるK-1に出場するので、武尊くんみたいにKOで勝つのでよろしくお願いします」とアピールしていた。