2023年6月11日(日)東京・後楽園ホール『MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.2』にて、トンミーチャイ・FELLOW GYM(タイ/FELLOW GYM)とKNOCK OUT-RED フェザー級3分3R延長1Rで対戦する小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺)のインタビューが主催者を通じて届いた。
小笠原はジュニアキックで活躍後、2011年7月にプロデビュー。2013年5月にプロ9戦目でREBELS-MUAYTHAIフライ級王座を獲得、2015年7月にはREBELS52.5kg級王座も手にした。2017年9月、ISKA K-1ルール世界バンタム級王座を獲得。2021年3月にはトーナメントを制してKNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者となり、2022年9月にTAKERUにTKO勝ちして第2代KNOCK OUT-REDフェザー級王座に就き2階級制覇を達成。今年3月には2022年ムエタイMVPでルンピニースタジアム3階級制覇を達成しているロンナチャイをダウン寸前まで追い込む完勝を収めた。サウスポーから放たれる左ストレート、左ミドルキックが得意。戦績は41勝(20KO)7敗1分。
今回対戦するトンミーチャイは多くのムエタイファイターを擁する大阪「FELLOW GYM」からの参戦で、2019年から日本のリングでは3勝(2KO)2敗1分の成績。元タイ・イサーン地区王者の肩書きを持ち、2021年11月の『ジャパンキックボクシング協会』では62kg契約で永澤サムエル聖光に2RでKO負け、2022年1月の『NO KICK NO LIFE』にて62kg契約で髙橋聖人と引き分け、2022年10月の『ホーストカップ』では60.5kg契約で泰良拓也に判定勝ち。最近2試合は連勝している。
練習には危機感も持って臨んでます
──今回対戦するトンミーチャイ選手にはどのような印象がありますか?
「日本での試合を3試合分ぐらい動画をもらって見たんですけど、体がちょっと大きいかなという感じですかね。打たれても首を振って前に出てくるタイプで、気持ちとかは強い選手かなという印象ですね」
──技術面の話が出てこないですね。
「やっぱり前回対戦したロンナチャイとかに比べると、テクニックやうまさという部分では劣るのかなというのはあります。ただ、振ってくるフックとか蹴りが弱いわけではないし、相手も本気で来るわけだから、気をつけなくちゃいけない部分というのは、戦いの中であるだろうなとは思います」
──そこは実際に対峙して判断すると。
「ただ、僕が見た試合は日本でのもので、ライト級とか上の階級でやっていた試合もあったんですよ。対戦する日本人の方が大きくて有利な試合もあって、今回は適正階級ということであれば、また違ってくるかなとも思いますけどね」
──トンミーチャイ選手はジムの意向もあって、ムエタイと日本流のキックボクシングをミックスしたスタイルを作っているところということです。
「ああ、なるほど。確かにパンチを振ってきたりとか、ギャンブルの中でやるムエタイらしくポイントを取って勝つというようなスタイルではない感じですね。そこがそういう部分なんでしょう」
──そんな相手に、今回はどう戦おうと思っていますか?
「やっぱり前回のロンナチャイと比べたら、タイで名前が売れている選手というわけではないし、ランクで言ったら下がるのは事実なので、そこに絶対勝つというのは当たり前で、前から言っているように自分の強さを証明できるような、『あ、小笠原瑛作ってやっぱり強いんだな』と思われるような試合にしなきゃいけないのかなとは思ってます」
──強敵であるロンナチャイに勝ち切ったからこそ、そういう気持ちが改めて強くなっている感じですか。
「そうですね。あの勝利は自分の中で自信になっているし、だからこそ今回のような相手には勝つのは当たり前で、そこにプラスアルファで強さを証明しないといけないなというところですね」
──その「強さ」というのは、倒し方とかそういう部分ですか?
「倒すのが全てではないというところもあるんですけど、やっぱり一番分かりやすいのはKOですからね。ただ、もしもそこまで行けなかったとしても、試合内容だったりでお客さんの感情を動かすような試合にしたいなとは思います」
──3月の代々木大会は、いろんな意味でいったんピークを迎えた大会だったと思います。そこを勝って通過した上で、今大会に臨むモチベーションとは?
「代々木大会が成功して、『KNOCK OUT』が盛り上がってるっていうのは示せたと思うんですよね。ただ、いつも大会場でやれるわけではないので、こういう後楽園での大会こそ、『ああ、小笠原瑛作はいつ見ても面白いな』と改めて認めてもらえるような試合をしないといけないと思うんですよね。それはビッグマッチであろうと後楽園大会であろうと同じだと思うので、ここでそれを証明したいですよね」
──あのビッグマッチを、自分だけでなくみんなの手で成功させたからこそ、新たに湧き上がった思いというのもありますよね。
「ありますね。あの大会があって、特にいい試合、いい勝ち方をした後というのはモチベーションが上がりますから。逆に負けた後、次の試合に向かうまでの練習って本当に苦しいし、もがいてもがいてという感じで、本当にキツいんですよ。そこでこそ成長できる部分はもちろん大きいんですけど、今回はいいイメージのまま次に向かってるからモチベーションもすごく高いです。だからといって危機感がないわけではないし、もっともっと『KNOCK OUT』を大きくしないといけないし、自分自身ももっと大きい舞台でやりたいですからね。だから練習には危機感も持って臨んでます」
──今回の大会は、龍聖選手と小笠原選手が揃って外国人選手を迎え撃つという構図です。最近は龍聖選手がクロスポイント吉祥寺に出稽古に来たりしていることもあって、同じ大会で試合をするにあたっての意識もだいぶ変わってるようですね。
「そうですね。僕がREDで彼がBLACKということもあるし、ライバルという目で見ているわけでもないですね。僕がフェザー級に上げた当初は、当時のREDのチャンピオンもいたしBLACKには龍聖もいるという状況だったので、そこに僕が入って、外国人とか他団体の選手とかも入れてトーナメントをやれば盛り上がるだろうなという気持ちもありました。ただそこから状況も変わったし、『KNOCK OUT』をこれからもっと大きくするという意味でも、お互いがそれぞれに頑張って盛り上げていった方がいいのかなと。それこそ、世界にはもっと強い選手はまだゴロゴロいるわけですからね。僕自身、一番強い関心を持っているのは『対世界』ですから、僕と龍聖もそれぞれに世界と戦っていくというのが、大会を大きくしていくのに一番いい手段なのかなと。もちろん龍聖選手とは戦うべき時が来たら戦いますけど、それはお互いにもっと知名度とか注目度が上がった時でいいのかなとも思います」
──なるほど。
「悔しいけど、現状では他団体の選手の方が知名度とかあるじゃないですか。だったら僕たちがそういうところの選手たちと戦って『KNOCK OUT』としての強さを証明して、その上で……というのも面白いですよね」
──それは最高のシチュエーションですね。
「まあファンからしたら、会見でお互いに『殺してやる!』とか言い合ってぶつかるようなのが盛り上がるのかもしれないですけど、僕はタイプ的に、そんなに人を嫌いにもなれないですから(笑)。僕らが目指してるのはキックボクシング、ムエタイという競技の中でどちらが強いか、というところなので」
──今回なんか特に、両選手が試合内容で競い合うのが一番だし、それこそが大会を盛り上げる最高の手段でしょうからね。では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
「ロンナチャイというムエタイMVPに勝って、改めて小笠原瑛作の強さを証明する試合に、必ずします。『小笠原瑛作はやっぱり強い』『ロンナチャイ戦後も成長してるなあ』と思ってもらえる試合をするので、そこに注目してほしいと思います」