2023年6月11日(日)東京・後楽園ホール『MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.2』にて、チュームーシーフー(中国)とKNOCK OUT-BLACK -59.0kg契約3分3R延長1Rで対戦する龍聖(WIVERN)のインタビューが主催者を通じて届いた。
龍聖は小学1年生でキックボクシングを始め、HIROYAの指導を受けアマチュアで多くの経験を積んで2019年4月にプロデビュー(KO勝ち)。2021年10月にはKNOCK OUT-BLACKフェザー級王座決定戦で銀次を判定3-0に破り初代王座に就いた。2022年4月には初の国際戦でメディ・ジライフィ(スペイン)にも勝利、7月にはRIZINに初参戦して魁志に3RでTKO勝ち。12月には巌流島ルールに初挑戦、かつて皇治を苦しめたダウサコンを左ボディで初回KOに沈めてインパクトを残した。今年3月にはラジャダムナンスタジアム認定スーパーバンタム級王者ペットセーンセーブと-58.5kg契約で対戦し、延長戦でダウンを奪って勝利。14勝(9KO)の無敗記録を更新している。
現在タイ修行の真っ最中で、練習の様子などをSNSにアップしている。タイ行きの目的、そこから次の試合でやろうとしていることなどを語った。今回の試合での龍聖の目論見とは?
今度の試合では今までやってないことをやろうと思ってる
──タイでの練習のさなかに、ありがとうございます。いつからいつまでの滞在なんですか?
「5月半ばにこっちに来て、月末に帰るのでちょうど2週間ぐらいですね。今回、一番の目的はトレーナー探しなんです。イングラムの鈴木さんという方を紹介してもらって、鈴木さんにいろんなジムに連れていってもらっています。そこで練習もして、いいトレーナーさんがいたらジムの会長と交渉して、という感じです」
──SNSでもいくつかのジムで撮った写真を上げていましたね。いいトレーナーは見つかりましたか?
「まだです。なかなか条件の合う人はいなくて大変ですけど……これからの自分に関わってくることなので、頑張って探します」
──練習の方はどうですか?
「練習はいい感じですね。今回は蹴りをもう一度見直そうと思っていて。ジムが新体制になって、前回の試合を改めて見ても蹴りの回数が減ったなと思ったんです。パンチに偏ってしまったなと。日本のキックボクシングはパンチが多めですけど、僕は原点に戻るというか、やっぱりしっかり蹴らないとなと思ってます」
──なるほど。
「蹴りのことはタイに行く前からけっこう意識していて、いい感覚のままこっちに来られたので、いい感じで練習できてますね。こっちは気候とかも全然違うし、疲れ方も全然違うので、これで日本に帰って動いた時が楽しみです。すごくいい形になってるんじゃないかなと」
──タイには何度も行かれていますが、タイでの練習は好きですか?
「いや、嫌いですよ! メッチャ嫌いです」
──あ、そうなんですね(笑)。
「キツいというのもありますけど、特に今はすごく暑いし、ジム内の選手の数もすごく多いので、気持ち悪いんですよね。たくさんの男が裸で汗を流していて、ちょっと気持ち悪くなります(笑)」
──格闘技ジムって、そういうところなんじゃないですか(笑)。
「そうなんですけど……PKセンチャイムエタイジムに行った時は選手が40人ぐらいいたんですよ。それにトレーナーとか、他の人もいるじゃないですか。バカみたいに人がいて、気持ち悪くなりました(笑)」
【写真】タイで特訓中の龍聖。右は“天才”と謳われた伝説のムエタイ戦士サーマート・パヤクァルン(C)KNOCK OUT──じゃあ、トレーナーも見つけて、早く帰りたいと。
「もちろん、早く帰りたいですよ! でもやるしかないんで。タイ自体は自由だし、堅苦しいところもないし、のほほんと暮らす分にはよさそうだなと思うので嫌いじゃないんですけど、今はちょっと暑いし、ジムの環境によってはって感じです」──というところで、次のチュームーシーフー戦なんですが。相手の印象は?
「中国人! テクニックはそんなにないけどフィジカルでガンガン前に出てくる感じで」
──やりづらいというか、面倒くさそうな相手ですか?
「どうですかね? ハマればいいんですけど、ハマらなかったら面倒くさそうではありますね。向こうのやり方にハマったらイヤですね。だからこっちは先手を取って、優位に進めていきたいですね」
──今回の試合では、特に「こう戦いたい」というのはありますか?
「今回は、3Rちゃんと使いたいですね。向こうは体の強さがある選手なので、そんなにすぐは崩せないだろうなというのもあるし。ちゃんとしっかり試合を作れる選手が強いなと思っているので、今回はそれをやりたいなと思います」
──そう意識していると、見てしまう感じになったりはしないですか?
「まあ、多少はありますよ。僕の良さはガンガンいくところでもあるので、そこは難しいところですけど……。その良さはなくさないようにしながら相手をしっかり見て、というのは難しいと思いますけど、それができる選手が本当に強いと思うので、そういう風にやっていきたいです。次の試合で、というよりも、それが僕の理想ですね」
──今回は龍聖選手と小笠原瑛作選手が、それぞれに外国人選手を迎え撃つという大会になりました。
「そうですね。2人でしっかり勝って、『KNOCK OUT』の強さを見せたいという気持ちはあります」
──そういう点では、瑛作選手について思うところはかなり変わってきた感じですね。
「はい。ジムの体制が変わってからクロスポイント吉祥寺にも出稽古に行かせてもらっていて、すごくよくしてもらっているんですよね。本当に兄貴、先輩みたいな感じで。だから今は『KNOCK OUT』を一緒に盛り上げたいという気持ちが強いです」
──3月の代々木大会は瑛作選手も含めてみんなで盛り上げることができて、成功に終わりました。あれ以来の試合で、実質2023年のスタートという感じですが。
「でも代々木でやったペットセーンセーブ以上に気持ちの強い選手もなかなかいないだろうなと思うんですよね。今回のタイではロンナチャイともスパーしたし、ONEなど世界の舞台で戦っているチャンピオンとも練習してるんですけど、そこでもすごく手応えを感じているし、タイの関係者に聞いたらやっぱりペットセーンセーブは有名なんですよね。『俺はそんな相手に勝てたんだなあ』と改めて思って、自信になりました。それを経ての今大会なので、しっかり勝ちたいと思います」
──そういう部分も含めて、この試合で一番のテーマは?
「正直、自分が強くなっていくための消化試合としか思ってないんですよね。ただ自分の今の強さを試合で表現するだけという感じです。もちろん、こうしてタイにも来て備えてるし、やる気はメチャクチャありますよ」
──その成果も見せないとですからね。
「それと今回は相手がサウスポーなんですよね。最近はサウスポーの相手とやってなかったし、ちょっと苦手意識もあるので、そこについてはいい経験になるかなと思っています。これをやった先に何かがあるだろうなと」
──では最後に、今回の試合で特に注目してほしいポイントは?
「やっぱり蹴りですね。今回はたくさん蹴ろうと思っているので、そこを見てほしいです。あと、今まで『巌流島×INOKI BOM-BA-YE』も含めて15戦やってきましたけど、今度の試合では今までやってないことをやろうと思ってるんです。それも楽しみにしてほしいです。ずっと見てくれている人だったら、「あ、これもできるんだ!」と思ってもらえると思うので」