HIROYUKI「最終決着戦として相応しいのかなと思う」
――2月のトーナメント一回戦で対戦した國本真義選手とは、2018年3月に新日本キックのリングで対決し引き分けて以降、5年ぶりの再戦でしたがいかがでしたか。
「一回やった時から凄くやりづらい選手だなとは思っていましたが、やはりやりづらかったですね。周りからは國本選手のカーフキックが効いていたと思われてますが、全然効いてなくて、僕がインローを出した時に相手の膝の変なところに当たってそれで痺れてしまいました。なかなか踏み込めない状況になったことで後手に回る戦い方になってズルズルと判定までいく戦い方になってしまいました。トーナメント一回戦で一番しょぼい勝ち方をしたかなと。それまで『NO KICK NO LIFE』では全試合KO勝ちしていたので、力みすぎてしまいました」
――準決勝が近づいてますが、調子はいかがですか?
「だいぶ仕上がってきているので試合が楽しみです」
――今回ワンデートーナメントで勝ち上がれば2試合になりますが、過去何番目ぐらいに練習してますか?
「ずっときつい練習をしているので分からないです(笑)。2試合やる意識で練習してますが、いつも通りの練習で特別にやっているメニューもありません」
――練習嫌いで有名でしたが、意識も変わりました?
「今でも嫌いですよ(苦笑)。嫌いですけど、練習をやらなきゃ勝てないし、倒せないです。練習しないで勝ってもやり切った嬉しさがなく、ラッキーだと感じていました。移籍後のRIKIXで練習して倒せるようになってからは、練習してきたことが報われたと思うようになったので全然違います」
――ずっと真面目に練習しておけば良かったと後悔はないですか?
「練習の大切さを知ったことで逆に今で良かったのかなと思います。ずっと練習をしてきて結果も出なかったら、僕の性格的にも辞めていたと思いますし。今年28歳になるのですが、今これだけ練習をしているんだから負けたらしょうがないと思えるぐらい練習しています」
――今までに1日2試合の経験は初ですか?
「一度、昨年3月の岡山ジム主催興行で「ZAIMAX MUAYTHAI53kg賞金トーナメント」に出たのですが、初戦で花岡(竜)選手に負けてしまったので2試合こなすことになれば初めての経験になります。ただ花岡選手とやった時はダウンをしてしまいましたが、体力的にはできると思いました。いつも試合後には酸欠でヘトヘトになることもないので、問題ないと思います」
――今回の相手、麗也選手とはアマチュアでの対戦も含めて1勝1敗3分と五分、生年月日も同じなんですよね。
「もう親戚みたいな感じです(笑)。この前、アマチュア大会の会場で会ったのですが、対戦相手として意識することもなく、麗也君は結婚したばかりなので「おめでとう」とは伝えました。所属していた団体が分裂したり、向こうは怪我もあって試合から離れたりしていた時期もあったのですが、麗也君のことはずっと気になっていたし、また試合をすることもあるのかなと思ってやはり気になる存在でした。こうやってトーナメント組み合わせ抽選した上でまた対戦することが決まってこれも運命なのかなと。決勝戦で当たっても面白かったのでしょうけど、お互いに怪我もなくベストコンディションで戦えるのは最終決着戦として相応しいのかなと思います」
――ここまで何度も対戦してお互いに手の内を知っているだけに、やり辛さはないですか?
「最後にやったのが8年前(2015年5月17日、新日本フライ級タイトルマッチで麗也が5RKO勝ち)ですし、当時の練習量と比べても今は何十倍も練習しているので、その時の僕と同じ感覚で戦うと麗也君はビックリすると思いますよ。ただ、麗也君も戦略を立てることが長けた選手なので、自分の弱点などを研究してくるんだろうなと思っています」
――前回戦った時と比べて今は何倍強くなっていますか?
「あの時の自分が今の自分とやっても相手にならないと思いますし、格段に強くなっているのは間違いないです」
――決勝戦が控えているだけに短期決着は狙いますか?
「そこはもうノリで決めますね。倒せるなら倒すし、無理に攻めて深手を負って決勝戦に万全な状態で行けないと思います。準決勝で勝つことがゴールではないので、そんな甘い相手ではないと分かってますが、決勝戦を見据えて勝ちたいと思います」
――麗也選手は一度引退していますが、一度引退している選手に負けられないという気持ちはないですか?
「特にそういうのはないですね。引退しているとは思わないですし、ただ長期離脱、怪我で休養していただけで今凄く練習していると思うのでそこまで気を抜いてないですし、倒しに行くつもりでやります」
――麗也選手は結婚したばかりでさらに負けられない理由が増えました。
「結婚したからといってどうなるわけでもないですし、僕にとっては関係ないことです(笑)」
――決勝戦にはどちらが勝ち上がってくると予想していますか?
「大本命の花岡君が上がってくる想定はしているのですが、山田選手も一筋縄では行かない選手だと思います。僕は花岡君に負けているのでせっかくならリベンジしたいですね。勝てるかどうかはやってみないと分からないですが、100%勝てないわけではありません」
――過酷なトーナメメントになりそうですね。
「決勝戦が5R制なんですよね。それを聞いた時に『マジかよ!?』と思いました(笑)」
――優勝したら賞金は何に使いますか?
「特に何を買いたいという物欲もなく、奥さんが財布を握っているので僕には関係ないですね(笑)。優勝賞金を獲って家族が幸せになるのなら、獲る価値はあるのかなと思います。賞金以上に地位、名誉が付いてきて、過酷なトーナメメントを制したという肩書きにもなると思いますので、そっちの方が大きいと思います」
――トーナメント優勝後に考えていることはありますか?
「今はベルトを持ってないですし、次で50戦目になります。これから何戦できるかは分かりませんが、せっかくなのでヒジありの世界タイトルに挑戦したいですね。あと、現役最後の方で一度でいいのでめちゃくちゃ強いタイ人とやってみたいですね。どれだけ自分が通用しないのかを肌で感じてみたいです」
――どれだけ自分が通用しないのか、ですか!?
「あっ、間違えました。自分がどれだけ通用するか、ですね(笑)」
――どれだけ通用すると思いますか?
「通用しないと思いますが(笑)、恐怖以上に自分がどこまで行けるのかに興味はあります」
――石井弘樹さん、緑川創さんといった先輩方が強豪選手とやったようにHIROYUKI選手も『NO KICK NO LIFE』で引退試合は決定ですかね。
「いや、しれっと引退したいので引退試合といってかしこまった形でやりたくないです(笑)」
――最後にファンにメッセージをお願いします。
「日本の強い選手が集まったトーナメントということで凄く注目度の高い中、そこで僕がインパクトある勝ち方で優勝します。会場に来てもらった方に『次もHIROYUKIを応援しよう』と思ってもらえるような試合をするので応援よろしくお願いします」