世界トーナメントに出場する(左から)田丸、志朗、大﨑
2023年7月2日(日)エディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)『RISE WORLD SERIES 2023 1st Round』の記者会見が、5月18日(木)都内にて行われた。
今大会から「RISE WORLD SERIES 2023 -54kg Tournament』が開幕。日本人選手3名、外国人選手5名の計8名で3大会にわたってトーナメントが争われる。その出場選手8名とトーナメント組み合わせが発表された。
Aブロック1回戦で、RISE世界バンタム級王者・志朗(BeWELLキックボクシングジム)が初来日のルベン・セオアネ(スペイン)と対戦。
志朗はジュニアキックを経て2009年8月にタイでプロデビュー、翌年1月に国内でプロデビューを果たした。2016年1月にはISKAムエタイ世界バンタム級王座を獲得して2度の防衛に成功。2018年11月からはRISEに参戦し、那須川天心とは2度対戦。2022年4月には江幡塁をハイキックでKOしたが、6月の『THE MATCH 2022』では玖村将史にダウンを奪われて敗れた。10月には大﨑孔稀に延長戦の末に勝利。12月に鈴木真彦を破り、2023年3月にディーゼルレックをハイキックでKOし、RISE世界バンタム級王座に就いた。戦績は28勝(12KO)5敗4分(タイの試合は除く)。
セオアネは10勝(3KO)1敗とキャリアは浅い21歳だが、K-1にも来日したISKA世界王者アクラム・ハミディに勝利している。今回ISKAの推薦を受けての参戦。伊藤隆RISE代表は「ムエタイを軸にしている若くてアグレッシブな選手」と評した。
もうひとつのAブロック1回戦では、クマンドーイ・ペッティンディーアカデミー(タイ)がモハメッド・カルーア(ベルギー)と唯一の外国人対決。
クマンドーイは2020年大晦日に開催された『RIZIN.26』で那須川天心とヒジ打ちなし&ワンキャッチワンアタックのキックボクシングルールで対戦、判定で敗れたとは言え思い切りのよいパンチと重いミドルキックで場内を沸かせた。過去にはロッタン・ジットムアンノンに勝利している。これまでオムノーイスタジアム認定フライ級王座、WBCムエタイ世界スーパーバンタム級王座を獲得し、2022年3月には「True4U」スーパーフライ級王座とラジャダムナンスタジアム認定同級王座が懸けられたダブルタイトルマッチにて、左フックでダウンを奪い二冠王に。4月の来日では福田海斗にダウンを奪われて敗れている。伊藤代表は「ムエタイ史上屈指の攻撃力を持ち、ボクシング転向を目指してパンチを強化している」と評した。
カルーアはEnfusionに出場している22勝(4KO)7敗の24歳。163cmのクマンドーイに対して身長171cm。昨年9月に初来日し、元NJKFバンタム級王者・甲斐元太郎に勝利してISKAムエタイ・インターコンチネンタル・バンタム級王座に就いたほか、WFMCヨーロッパフェザー級王座も獲得している。
Bブロック1回戦では、RISEスーパーフライ級王者でISKAオリエンタルルール世界フライ級王者の大﨑一貴(OISHI GYM)がフレッド“The Joker”コルデイロ(ポルトガル)と対戦。
大﨑はタイ・ルンピニースタジアムで8連続KO勝利を飾り、同スタジアム王座に挑戦したこともある。2018年には「KING OF KNOCK OUT初代フライ級(51kg)王座決定トーナメント」で準優勝。RISEには2020年2月に初参戦し、9月に田丸辰を破ってスーパーフライ級王座を奪取。2022年10月には「RISE DEAD OR ALIVE 2021 -53kgトーナメント」優勝者・風音に判定勝ちして53kg最強を証明した。今年4月、ISKA世界王座決定戦でKO勝ちし、念願の世界王座に就いている。現在18連勝中。戦績は40勝(21KO)5敗2分1無効試合。
コルデイロは2016年に初来日し、那須川天心とISKAオリエンタルルール世界バンタム級王座決定戦を争って5R判定で敗れたが、回転技と粘り強いファイトスタイルで那須川を苦戦させた。2019年のWORLD SERISEでは1回戦でルンキットに敗れている。その後、2021年8月にISKAムエタイルール欧州バンタム級王座、今年3月にはISKA世界バンタム級王座も獲得した。戦績は29勝(16KO)7敗。
もうひとつのBブロック1回戦では、田丸辰(TRY HARD GYM)とペッシラー・ウォー・ウラチャー(タイ)が対戦。
田丸はジュニアキックボクシング出身で、卓越したボクシング技術とディフェンス能力でプロデビュー後は10戦全勝(2KO)と無敗の快進撃で2018年11月に初代RISEスーパーフライ級王者となった。2019年9月にRISEバンタム級王者・鈴木真彦とRISE王者対決を行い延長戦の末に初黒星を喫し、2020年9月の2度目の防衛戦で大崎一貴に敗れて王座陥落。2021年7月の「RISE DEAD OR ALIVE 2021 -53kgトーナメント」でも1回戦で政所仁に敗れるなどスランプに陥ったが、2022年に階級を下げて臨んだ「初代RISEフライ級(-51.5kg)王座決定トーナメント」で優勝し、二階級制覇を達成した。今年1月にはクンスックノーイ、3月には風音に勝利している。戦績は14勝(2KO)3敗1無効試合。
ペッシラーは2021年4月のBOMにて石井一成とWBCムエタイ世界スーパーフライ級(52.16kg)王者決定戦が組まれるも、コロナ禍のため来日が中止。サウスポースタイルのフィームー(ミドルキックを主体にして離れて戦うテクニシャンタイプ)。KO率はそこまで高くないがタイのギャンブラーには人気の高い選手だという。16歳までにTrue4U 108ポンド王座とWPMF世界ライトフライ級王座を保持。2019年12月のBOMに初来日し、WPMF世界ライトフライ級(48.99kg) 王座決定戦で当時ラジャダムナンスタジアム認定ミニフライ級王者だった竜哉・エイワスポーツジムと対戦。左ミドルとヒザ蹴りを駆使して判定2-0で勝利を奪っている。また、昨年6月にはクマンドーイにもダウンを奪って勝利した。
会見には日本人選手3名が出席。志朗は「自分はWORLD SERIESに対する想いが全選手の中で一番強いと思う。前回(2019年)優勝できなかったので今回は絶対に優勝しないといけない。世界タイトルを獲ったので世界王者が負けるわけにはいかない。世界王者らしい試合を見せるので期待してください」と2度目の挑戦に燃える。
対するセオアネからは「日本で全てを手に入れる。俺が行くぞ」とのビデオメッセージが公開された。映像の中では2本のベルトを両肩から下げているが、タイトル名は不明。
大﨑は「相手はKO率も高い選手ですが、僕も高い方だと思うので噛み合う試合になると思います。4カードの中で一番面白い試合をしますので楽しみにしていてください」と、ただ勝つだけでなく1回戦で一番面白い試合を見せるとした。
対戦するコルデイロからは「対戦相手にメッセージがある。しっかり練習して準備しとけよ。ポルトガルから完璧なKOをしにいくからな」とのビデオメッセージが公開された。
田丸は「前回のタイ人との試合では倒せなかったので、今回のペッシラー選手をしっかりKOで倒したいと思います」とKO宣言。
ペッシラーからは「日本でRISEの試合が決まりました。かかってこい! 大﨑! 志朗!」と言って、首を掻っ切るポーズの挑発的なビデオメッセージが公開された。
クマンドーイとカルーアのビデオメッセージも公開され、クマンドーイは「日本で試合が決まってとても嬉しいです。ファンをガッカリさせる試合はしません」、カルーアは「日本での試合の準備は出来ている。ベルトを獲るぞ。この渡航を無駄にはしない。強いパンチで決める」とそれぞれコメントしている。
なお、トーナメント優勝者には記念のベルトと優勝賞金1000万円(準優勝は100万円)が贈られることも発表された。