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インタビュー

【Bellator】プリマス「柔術が僕の人生を救った。バルナウイは僕を極めることはできない」×バルナウイ「ソーシャル・メディアで人々が何を言っているかは心に入れない」=5.12 ライト級ワールドGP

2023/05/12 15:05
 2023年5月12日(日本時間13日0時30分~U-NEXT配信)フランス・パリのアコーアリーナで開催される『Bellator296』ライト級ワールドGP1回戦で、元Bellator同級王者のブレント・プリマス(米国・11勝3敗・37歳)と、元ROAD FC王者のマンスール・バルナウイ(フランス・20勝4敗)が対戦する。  当初、シドニー・アウトロー(米国)がバルナウイと対戦予定だったが、アウトローのドーピング検査結果が陽性だったため、GPを欠場。替わってランキング6位のプリムスが、2022年10月にBellatorでMMA復帰を果たしたバルナウイと対戦することなった。 『ゴング格闘技』本誌でインタビューを掲載したバルナウイに続き、 ウェブ版では、GP緊急参戦が決定し、強力な寝技師と対戦することになったブレント・プリマスにインタビューを行った。  バルナウイが「寝技での僕の身体操作の原点は、少年時代にハマっていたパルクールだ」と明かしたのに対し、プリマスが語った幼少期は壮絶なもの。それでも「柔術に人生を救われた」というもう一人の黒帯は、いかにバルナウイと対するか。 ブレント・プリマス「ファイヤー・ボール・キッド! 五味が大好きだった」 ──渡仏前にZOOMインタビューありがとうございます。そちらはご自宅ですか? 「今オレゴンのユージーンに自宅でいるよ。後ろにあるのはこれまでのベルトとメダルだね」 ――今回、シドニー・アウトロー選手の欠場によるスクランブル参戦になります。5月12日(日本時間13日)の試合に向けて準備のほどはいかがですか? 「とても気分はいいし、すごく楽しみにしているよ。対戦相手のバルナウイもとてもタフだけど、時間はある。とにかく気分は最高さ」 ――どのような練習環境でしょうか。 「ATTのポートランドでトレーニングをして、ユージーンでも柔術黒帯のルーカス・“ハルク”・バルボーザとトレーニングをしたりして、チーム・オーヤマからもアドバイスを仰ぐ予定だよ」 (C)brentprimus155 ――チーム・オーヤマでは、日本の堀内佑馬選手とも練習をするようなこともこれまでありましたか。 「もちろん、ユーマとは会っているけど、身体のサイズが違うから、きっちり付き合ってトレーニングをしたりはしないかな」 ――ところでプリムス選手は、かなり大変な幼少期を過ごしたようですね。そこからどのように柔術に出会った黒帯を授かったのでしょうか。 「子供の頃に一度、警察で実の父親に会った以外は、刑務所の外で彼に会ったことがなかったような家庭で、13歳のすごく早い時期に養父から家を追い出されて、それからはトラブル続きだったよ……。毎週末、喧嘩を続けて、パーティー三昧だったりとか、お酒を飲んだりという荒れた生活をしていて、あまりにも喧嘩ばかりをしていたので、『そんなに喧嘩するんだったらケージでファイトしたほうがいいんじゃないか』ということで、ケージの試合が決まった2週間前に柔術を練習を始めた。そのときに、俺ならみんなやっつけられると思ったら、全員からボコボコにやられた(苦笑)。  でも、そのときにすごく愛を感じたんだ。柔術の技術だったり、パワーだったり、アグレッシブネスだったりというのを周囲から教わり、己の未熟さも知り、“ああ、俺が求めていたのはこれだ”というのを感じたから、パーティーとかそういう悪さを全部やめて、それからは毎日、1日に2、3回練習をしたり、練習漬けの毎日になって、柔術を始めて6年目で黒帯をもらった。そこからもう本当に人生が変わって、リスペクトを持ちながら生活をするようになったし、MMAに真摯に向き合っている。ヒクソンの映画や試合を見て、すごく感動したり、本当に人生がとても変わったんだ」 ――ヒクソンの映画『チョーク』ですよね。VALE TUDO JAPAN OPEN 1995をめぐるドキュメンタリーは自分も好きな映画です。あなたが黒帯を授けたファビアーノ・シェルナーは、たしかブラジリアン・トップチームのメンバーと一緒だったと思います。プリムス選手もBTTと交流があったりしましたか。 「僕はまだBTTのジムに行ったことはないんだけど、BTTのメンバーがジムに来てトレーニングしたりすることはあった。ファビアーノは、常にいろいろな選手をたくさん連れてきていたから、それが誰だったのか、分からないんだけどね」 ――柔術があなたの人生を救った。その点では、今回対戦するバルナウイと共通点もありますね。 「本当に柔術は自分の人生を変えた。柔術が自分をドラッグや刑務所に行くようなことから救ってくれたと思っている。そんな自分の心の中心にある柔術のスキルと、彼のすごく強い柔術のスキルがぶつかり合うことはすごく楽しみだよ」 ――いよいよライト級GPです。どのような気持ちでしょうか。 「今までずっとライト級で戦ってきた。最初にトーナメントに選ばれなかったことは確かに動揺したけど、集中してジムにいた。毎日、トーナメントに出られるように祈り、そして今、ここにいる。トーナメントには8人の選手が出場するので、何が起こるか分からないと思っていたし、そもそも、ここが僕のいるべき場所だったと感じているよ。今回の対戦相手もすごくいい選手だし、ベストな選手たちが揃っている。本当に大きなステージでチャンピオンたちもいるなか、僕もタフな試合に向けて準備が出来ている」 ――あなたは柔術黒帯ですが、今回の対戦相手のマンスール・バルナウイ選手も極めの強い選手です。彼の柔術の強さについてどんな印象を持っていますか。 「彼は身体がとても大きくてロングリーチを持っている。何より、柔術にとても長けていて、スイープが得意だ。リアネイキドチョークも強く、バックからの攻撃にすごく注意しなきゃいけない。でも、自分の柔術にもかなり自信があるから、不安は無いよ」 ――前戦でも、バルナウイ選手があえて下になるような形で、スイープして上を取り返していました。MMAに置いて、あれを実践できる強さをどうとらえていますか。 「全然彼のスイープスタイルを受け入れる準備はできているよ。上でも下でもとても自信を持って試合ができる。今回のキャンプでは、ルーカスら強豪グラップラーと練習して、一度も絞め落とされていないし、何時間も何時間もワールドクラスの黒帯がバックについて僕をフィニッシュさせようとしていたんだ。世界チャンプのルーカス・バルボーザと一緒に練習したんだ。だから、マンスールが僕の首を絞めて極めることはない。それは確かだ。正直、彼が僕とグラウンドに行きたいとは思わない。でも、グラウンドでもスタンドでも快適だし、準備は万端だよ」 (C)brentprimus155 ――ファイターたちの予想では、バルナウイが優勝候補の一人だという声が高かったです。ただ、10月の前戦は復帰戦だったということもあって、少しブランクを感じさせる部分もありました。プリムス選手は彼の動きについてどう考えていますか。 「前回の彼の試合(アダム・ピッコロッティ戦=2Rにバルナウイがリアネイキドチョークで一本勝ち)で思ったのは、自分が試合を握れるんじゃないかなという印象だった。彼はスタンドでもグラウンドでもとても頑張ってスイープもしていたけど、試合を見たとき、コーチも自分も、“これは大丈夫かな”というのが一致した意見だった。もちろん彼は強いので、何をするべきか課題を見つけて練習をしたよ」 ――プリムス選手はベンソン・ヘンダーソン選手に判定勝ち後、2022年6月にアレクサンドル・シャブリーに敗れました。あの課題をご自身ではどう捉えていますか。 「まず、ベンソンがウスマン・ヌルマゴメドフに敗れたのは残念だった。正直、ウスマンが優勢だとは思っていたけど、個人的にはベンソンに勝ってほしいと思っていたんだ。というのも彼はほんとうにすごくいい人だから、彼とベルトを賭けて再戦したかった。  シャブリー戦のことはとくに言い訳をするつもりはないけど、前回は自分らしさが全然出せなかった。トレーニングキャンプでアクシデントもあり、いろいろ気持ちが集中できなかったところもあった。もっとアグレッシブに行くべきだったし、相手がどういう出方をするのか様子を見すぎてしまった。アグレッシブに行くために何が必要か。その反省点を活かしているよ」 ――今回はスタンドも強化してきたのではないですか。 「その通りで、柔術に加え、実際スタンドアップに一番力を入れた。ムエタイコーチに加え、ボクシングコーチも加わり、フットワークにすごく集中して取り組んできたよ」 ――MMAのトータルで自信があるようですね。 「マンスールは僕のようなスキルを持つ選手と戦ったことがないと思う。ROAD FCの選手よりも、Bellatorの方がタフだから、ROAD FCのトーナメントで優勝したからといって、僕をやり過ごせると思っているならば、ここは違うことを見せるよ。どんな相手でも甘く見てはいけない。マンスールは僕のような選手と戦ったことがないのは分かっている。僕は彼の試合とは違うスキルセットを持っている。彼にとってはタフな戦いになると思う。彼もタフなのは知っているけど、金曜の夜に向けて準備はできているよ。ファンは、素晴らしいファイトを見ることができるだろう。僕は爆発的なスピードで、理路整然と、そして計算された戦いをして、勝利の手を挙げるつもりだ」 ――冷静かつ爆発的に戦うと。ところで、大晦日に日本で「RIZIN×Bellaotor」の対抗戦が開かれましたが、日本での試合にも興味はありますか。 「もちろん! 本当にすごく日本で試合をしたいと思っているよ。昔やっていたPRIDEとかVTJとかを見ていたし、日本の格闘技の文化や伝統的なものをすごく尊重している。観客が酔っぱらって罵り合うなかで試合をするんじゃなくて、選手も観客もリスペクトを持ってMMAに向き合っている。いつか本当に日本で試合が出来ることを願っているよ!」 ――ちなみに日本で好きなファイターは? 柔術家も多く出場していましたが。 「それが……やっぱり自分はずっとライト級だったので“ファイヤー・ボール・キッド”だね! ゴミ(五味隆典)をすごく応援していて、彼の重いパンチ、投げだとか、そういった試合の運び方もすごく好きだった。とにかく“ファイヤー・ボール・キッド”が大好きだよ!」 ――最後に日本の格闘技ファンにメッセージをお願いします。 「日本の皆さん、こんにちは。いつか日本で試合がしたいと思っています。自分のSNSのアカウントをフォローしてもらえるとうれしいです。あと、日本では5月12日の深夜からの試合をぜひU-NEXTで見てください!」 [nextpage] マンスール・バルナウイ「何よりもっともっと勝ちたい。それがチャンピオン相手ならなおさらだ」 「対戦相手変更の話は1カ月半前に聞いたよ。スタイルが違っても、準備の段階ではあまり変えなかった。元チャンピオンであることに意義はあるが、新しい試合であることに変わりはない。でも、私はファイターでもあるので、どの試合でも勝つという意識は持っている。対戦するのが別の世界チャンピオンということで興奮しているよ」 「私はファイターだから戦う。戦った後は、自分のチームと一緒にトレーニングに戻る。ソーシャル・メディアで人々が何を言っているかは、あまり気にしていない。人々が何を言っていようと、良いことであろうと悪いことであろうと、私はそれを心に入れないようにしている」 「(フィニッシュに多用しているリアネイキドチョークについて)それは私がすること。私のスタイル、私のファイトテクニックの一部だ。チャンスがあれば、いつでもそのチャンスを生かす」 「(トーナメントの経験について)準備に関しては、(ワンマッチと)あまり変わらない。対戦相手のスタイルに素早く適応しなければならない。トーナメントなので、戦うべき相手はたくさんいる。もちろん怪我をしないようにしなければならないけど、準備はほとんど同じで、どの試合も重要であることに変わりはない」 「(Bellatorヨーロッパでの活動について)ライト級ワールドグランプリのトーナメントやベルトをかけた戦いが、Bellatorと契約した理由の一つでもある。でも、(Bellatorが欧州を重視していることは)間違いなく私がここにサインした理由の一つです」 「(プリムス戦で勝利した場合、次にウスマン・ヌルマゴメドフとタイトルをかけて戦うことについて)モチベーションはそこそこあるよ。何よりもっともっと勝ちたいんだ。もちろん、タイトルマッチはBellatorの中で一番好きな試合だ。楽しみだし、感謝している。さっきも言ったように、僕は戦いたいんだ。対戦相手がいれば、いつでも戦うよ。それがチャンピオンならなおさらだ」 【写真】メインイベントでは、ミドル級1位のゲガール・ムサシが2位のファビアン・エドワーズと対戦。王者ジョニー・エブレンが持つミドル級王座挑戦をかけた戦いだ。
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