2023年6月16日(金)東京・後楽園ホール『Krush,150』の対戦カード第一弾発表記者会見が、5月9日(火)都内にて行われた。
Krushライト級タイトルマッチ3分3R延長1Rで、王者・大沢文也(ザウルスプロモーション)vs.挑戦者・里見柚己(team NOVA)が決定。
大沢は小学生の時から始めたボクシングで優れたテクニックを持つベテラン選手。2018年9月にはKrushライト級王座に挑戦してタイトル奪取ならずも、同年12月の「K-1ライト級世界最強決定トーナメント」では準優勝を果たした。2022年4月に瓦田脩二を破り、第7代王座に就くと8月のK-1ではデンサヤームに判定勝ち。戦績は29勝(3KO)19敗3分1無効試合。
里見は2019年8月にベテランの山本真弘から得意の左ストレートでKO勝ちして名を上げた。スーパー・フェザー級からライト級に階級を上げて2021年7月・9月の「第6代Krushライト級王座決定トーナメント」では川崎真一朗にKO勝ち、弘輝に判定勝ちで決勝へ進出するも瓦田脩二に敗れて戴冠ならず。2022年8月には元スーパー・フェザー級王者の西京佑馬に判定勝ち。戦績は18勝(8KO)10敗1分1無効試合。
両者は今年1月、大沢の初防衛戦として対戦し、1Rにダウンを奪った大沢が判定3-0(30-28×2、29-28)で勝利したが、ダウンを奪った攻撃が映像検証の結果反則であったと判断され、ノーコンテストに変更された。そのため、今回ダイレクトリマッチでのタイトルマッチとなった。
再びタイトルマッチのチャンスが巡ってきた里見は「1月にタイトルマッチをさせてもらって、あの日の結果は負けで自分もさんざん『倒さないと勝ちじゃない』と思っていて負けて。1週間経ってK-1の方から連絡をいただいて無効試合に変わって。自分の中では強い選手に勝ってまた登り詰めようと思っていたんですが、このダイレクトリマッチが決まりました。Krushでこういう前例はないと思うので、より一層盛り上げられるように頑張りたいと思います」との意気込み。
それに対して大沢は明らかに不服そうな表情で「意気込み…特にありません」のひと言。
改めて互いの印象を聞かれると、里見は「上手いのは分かっていたので上手かったし、1Rのダウンになった時に自分が焦っちゃって空回りしまくって、そのまま終わった感じでした」と振り返る。
大沢は「相手の印象と言うよりも相手のセコンドの印象が強い。相手のセコンドにやられた。僕が出す技、やりたいことをセコンドが分かっていた感じで。それが凄いピッタリ当ててきたので、セコンドがとにかくやりづらかった印象です」と、里見のセコンドの声が聞こえてきて自分がやることが読まれていたとした。
今回の完全決着戦へ向けた気持ちは、「1月でまだ最近なので、この直近でタイトルマッチなのでまた自分の実力をしっかり出していい形で終われたらと思っています」と里見。
大沢は「そもそも完全決着って。そもそも2018年か2019年だか分からないけれど1回勝ってるし(2019年6月に大沢が判定勝ち)、この前もダウンがなければと言われてますけれど、いやいやいや、ダウンがなかったらその戦い方するし。完全決着ってよく分からない。俺の中では2戦2勝なのでパッと終わらせて次のステージへ行きたい」とまくしたてる。
ダイレクトリマッチになったことが不服だとする大沢は「マジでムカついています。なんで? って感じですね。自分としては蹴り足をキャッチして離しているので、バスケで言うところのゼロステップルールって感じです。反則ギリギリ、それも技術だと思っているので。凄いムカついているし、何でもう1回やらないのって感じだし、正直メリットが何もない。デメリットしかない。ただね、凄いムカついているけれど、里見選手のことは正直凄い認めてるから。里見の上手さ、強さ、試合をやった時も凄い上手いなって対策してるなって認めているので。周りのごちゃごちゃ言ってるバカなアンチたちがいっぱいいるのでそいつらを黙らせたいと思っている。今回は打ち合おうかな」と怒りをあらわにし、今回は打ち合って勝つという。
【写真】前回の対戦、大沢が里見の蹴りをキャッチして流し、体勢が崩れた里見に大沢が右フックを見舞ってダウンを奪った 前回の試合前はドロドロの泥試合で判定勝ちと宣言していた大沢。本当に打ち合うつもりかと聞かれると「僕、タイトルマッチで瓦田からタイトルを獲った時に何て言いました? 今回は前に行く、と言いました。言った通りでしたよね。前回は何て言いました? ドロドロの試合って言いましたよね。その通りでしたよね。僕、言ったことはちゃんとやるので今回は前へ出ますよ…というのも伏線かもしれません」と、煙に巻くようなコメント。
半年という期間で今度は勝てるという自信はあるか。里見は「それはもう勝ちますし、倒しに行く姿勢は全く変えない。3回目になりますが、(2回目は)前回よりも全然違いましたし、Krushのタイトルマッチという重み、Krushのメインということで動きが悪かったのも後で映像を見て分かったので、今はいろいろ考えながらやっています」と、前回はプレッシャーで動きが悪かったので改善するとした。
すると大沢がマイクを持ち、「動きが悪くなったって言うけれど、練習の動きが出来ない、試合と練習で動きが違うとします。あのね、試合の実力が実力だから。練習でいくら強くても、練習でいくら上手くいってもそれが試合に出せなかったらそれは違うでしょう。ね、違くない? 試合の実力が一番の実力だから。関係ない、そういうの」と言い放つ。
大沢の言葉を受けて里見は「次、しっかり俺を見せます。もう口だけで終わるのは嫌なので、みんなを裏切ってしまったので次はしっかり見せます」と次こそは実力を出すとし、大沢の「今回は打ち合おうかな」という言葉に「それはそれで楽しみにしています」と返答した。
最後に里見は「1カ月後、リングの上で証明します」とキッパリ。大沢は「勝ちが正義だと思っているので何よりも勝つことが一番だと思っているので。今は感情的になってイライラしていますが、それでも里見選手の実力は認めているので、それを踏まえて完全に仕上げて返り討ちにします」と宣言した。