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インタビュー

【RIZIN】斎藤裕が平本蓮戦の9日前に語ったこと「あのスタイルにはいいところと悪いところがある」「弥益戦の直前の体重変更がフェアかどうかは、やっている選手が一番分かる」「朝倉未来vs.平本蓮? 今回は自分が勝つので無い」=4月29日(土)代々木

2023/04/20 20:04
 2023年4月29日(土)東京・国立代々木競技場 第一体育館で開催される『RIZIN LANDMARK 5 in YOYOGI』のフェザー級(66.0kg)5分3Rで、平本蓮(剛毅會)と対戦する斎藤裕(パラエストラ小岩)が20日、所属ジムで公開練習を行った。  大木良太(KRAZYBEE)が持つミットにサウスポー構えから1分間のパンチを打ちこんだ斎藤は、平本が前戦の弥益ドミネーター聡志との試合で、これまでと異なるサウスポー構えで戦ったことを受けて、「左右どちらのタイプともスパーリングをやってきたので気にしない」と語り、MMAのなかの剛毅會空手についても「あのスタイルにはいいところと悪いところがある」と、平本の最大の武器である打撃について語った。  また、平本が前戦で70kg契約で弥益に判定勝ちしたことについては、「直前に4キロ変更は1階級違う。やっている選手には分かる」と、フェザー級の試合としてとらえることは難しいとの見解を示した。  榊原信行CEOは、同日に行われるフェザー級の朝倉未来vs.牛久絢太郎戦も含め、朝倉未来と平本蓮が勝利した場合、「2人とも勝つなら対戦は実現する。避けては通れない」と発言しているが、斎藤は「朝倉未来vs.平本蓮? 今回は自分が勝つので無いんじゃないかなと思います」と、平本が勝ち上がることは無いと断言した。  元修斗世界フェザー級王者の斎藤は、2020年8月にRIZINに初参戦。摩嶋一整戦にTKO勝ちすると、2020年11月に朝倉未来に判定勝ちでRIZINフェザー級王座を戴冠。ヴガール・ケラモフにも判定勝ち。しかし、牛久絢太郎にカットでのTKO負けで王座陥落すると、朝倉、牛久との再戦に敗れ、現在3連敗中。1年ぶりの試合で再起をかける。  対する平本は、K-1でゴンナパー・ウィラサクレックにKO勝ちするなど活躍後、2020年大晦日にRIZINデビュー。萩原京平、鈴木千裕に敗れるも、2022年7月に鈴木博昭にスプリット判定で勝利し、同年11月に弥益ドミネーター聡志に70kg契約で判定勝利し、MMA2連勝をマークした。MMAキャリア5戦目にして、キャリア29戦の斎藤に挑む。  元王者は、進境著しい新鋭の進撃を阻止するか。  斎藤は、平本戦に向け、「細かい攻防、二人の精神戦が見られたら、見ている人が沸き上がるような試合になる。“ああ、いい試合だったな、素晴らしかったな”と思ってもらえればいい、自分が勝って」と、ケージ復帰を魂の勝負で戦い、勝利するとした。  斎藤裕が平本蓮戦の9日前に語った、一問一答全文は以下の通りだ。 [nextpage] オファーを最初に聞いて、自分に来たかと。平本選手はやるにはいい相手 ──試合を10日前に控えたコンディションは? 「良好です。心身ともに安定しているというか。もういけますね、試合は」 ──最後にラーメンを食べたのは? 「お店で食べたのは、もう1月の中旬くらいかなと思います(笑)」 ──斎藤選手といえば、大の甘党と伺ったのですが、試合に向けて甘味も断たれているのですか。 「食べてないですね。ラーメンもルタオも食べてないですね。断っているというか、周りも気を遣ってくれてその話題に触れずにいてくれるというか(笑)。『試合に集中してくれ』と言われています。あんまりそういう欲が無くなっていますね。とにかく勝ちたいと思っているので。終わってからですね、ルタオのサーバーをパンクさせたいですね、今回も(笑)」 ──あらためて、今回の試合のテーマを。 「まあ、本当に勝ちたい気持ちが強いので、そのために最短、最善、その作戦を実行したいと思います」 ──一年ぶりの試合で、不安や緊張は? 「あんまりなくて。変わらない、いつもの試合という風にとらえています。期間が空いたから硬くなるとかはあんまりないです。あとは当日の会場の雰囲気、対戦相手と向き合ってどう感じるかは自分次第ですね」 ──今回、新しく格闘技を見る人にもここを見てほしいというポイントがあれば。 「初めて見る方、結構いると思うんですよね。今回、会場のチケットは早々にソールドアウトしてしまったんですけど、いまはPPVでも見られる時代なので、すごく話題の大会だと思うので、“格闘技って素晴らしいな、いいな”と思ってもらえる試合を。他の対戦カードもいいカードが多いので、そのなかで自分の試合が一番印象に残る形になれば、そう思ってもらえるかなと。いまはいろんな媒体やいろんな価値観、見方があるけど、格闘技はやっぱり素晴らしいと面白いと思ってもらえるような気概は持っています」 ──1年前の牛久戦から、この1年どんな思いで復帰戦までを過ごしてきましたか。 「前回から1年間、試合終わってちょっと休みたいと思ったので、次どうするかよりは、一旦フラットにしたいという気持ちがありました。その間、格闘技以外で視野が広がっていろいろなことをやって。それでも各団体の結果は追っていたので、こういう風になったんだ、と試合結果を見ながら思うことはありました」 ──その間、格闘技に対するモチベーションに変化は? 「変わらずというか、自分がすぐ試合する感じじゃなかったので、一定を保っていたと思います。“やってやろう”という気持ちよりは、その気持ちが出るまで、リラックスというか、安定させていましたね」 ──平本選手との試合のオファーが来たときの心境は? 「あのときは“自分に来たか”みたいな感じはありましたけど……まあ大晦日に発表したいということだと思ったので、あまり長い時間をかけずに今、決めなきゃいけないことなのかとは思って。やるにはいい相手だなと思いました」 ──「やるにはいい相手」というのは? 彼のキャリアが少ないということでしょうか。 「いろんな人にいろんなことを言われますが、まず試合が面白くなるなと思ったんですよね、自分で。そのときは日程や会場は発表されていなかったですけど、注目されるだろうし、自分としては、すごい練習を頑張れるかなとは思いましたね」 [nextpage] あのスタイルにはいいところと悪いところがある ──「練習を頑張れる相手」だったと。その平本選手のドミネーター戦を分析して、斎藤選手としてはどうしてあの展開になったと考えましたか。 「あれは、平本選手サイドの作戦がハマったというか。そういう風には見ていましたね。戦前からギリギリまでいろんなことがあって、“ドミネーターさんは気の毒だな”と思いながら僕は見ていたのですが、平本選手サイドのいろいろな策略・作戦がハマったんだなと。展開的には自分の空間をつくるのが上手なので、そこにうまくハメたなと思いました」 ──体重などいろんな問題があって、あの結果になった? 「結果論ですが、そういう風には見えました」 ──斎藤選手はああいう展開にはならない? 「どういう風に出てくるか分からないので、それ次第かなと思っていますね」 ──平本選手が剛毅會で空手を採り入れていることに関してはどうとらえていますか。 「空手に関しては、僕の想像のなかでの話ですが、空手のエッセンスを、自分がもっている打撃の技術のなかに、MMAのエッセンスのひとつとして取り組んで、アジャストしているように見えます。本人がどう思ってやっているかはちょっと分からないです」 ──その空手のエッセンスを、MMAに活かしていることはご自身にとって脅威ではありますか。 「うーん……極端な空手スタイルの選手と対戦したことがないので、どうなんだろう……やっぱりあのスタイルにはいいところと悪いところがあると思いますね」 ──際の打撃、距離が短いなかでの打撃については? 「接近戦に関しては、昔から平本選手はインサイドパンチは得意だったと思うので、そこはキックボクシング、ボクシングの技術を使うと思いますが、空手で間合いをつくるのが上手ですよね。構え方も含めて」 ──ピンポイントで当てられる強さは? 「まあ、ピンポイントでもらったら誰のパンチでも効くと思います。それをさせないために攻防があるんだと思うので、もらいたくはないですね。自信を持っているところはあるでしょう、打撃戦のなかでも。“ここにハメたら勝てる”という、彼の中で見えているものがあると思いますけど、そこにはハマりたくないと思っています」 ──そうさせない練習を? 「色々想定してやっている感じです」 [nextpage] 朝倉未来vs.平本蓮? 今回は自分が勝つので無いんじゃないかなと ──同日に朝倉選手が勝って、平本選手と対決と騒がれていますが、そういうことは耳に入ってきてどう感じていますか。 「僕の近くにいないんですけど、そう騒いでいる人は──。世間的にはそれで大きくなっているんですか? 朝倉選手サイドと平本選手サイドの応援団のぶつかりということですかね? 興行的には売上が見込める試合を組みたいというのはあると思いますが、今回は自分が勝つのでないんじゃないかなと思います。やっぱりそういう対戦というのも、タイミングだったり、時期だったり、流れがあると思うので、そこはまったく僕は考えていないです」 ──腹立たしかったりは? 「あんまりSNSを見ないので分からないですね。人ともあまり会っていないので。僕の周りにはそれで騒いでいる人はいないのかな、と」 ──今回の試合、状況としては3連敗中です。そこに対してのプレッシャーは? 「勝ち続けているとき、負け続けているときと心境はいろいろ違うんですけど、試合も前回から結構空いているというのもあって、心も身体も(これまでとは)別のように自分は勝手に思っていて。あまりネガティブな気持ちよりは、とにかくこの試合に集中して勝ちたいという前向きな気持ちで取り組んできたつもりなんで、それが試合にも出るんじゃないかなと思っていますね」 ──気持ちもリセットされた? 「あると思いますね。いろんな人に『明るくなったね』と言われました(笑)」 ──それまでは暗かった? 「もともとこういう感じなんですけど(笑)。なんかあるみたいで、“変な悲壮感が出ている”と言わたときもあって、そういうときもあったなと」 ──今までと違ったメンタルで試合に臨める? 「前はずっとこういう気持ちでやっていたつもりだったんですけど、流れとか歯車とかいろいろありますんで、気持ち新たに、というと違うかもしれないけど前向きな気持ちで試合に行けると思います」 ──斎藤選手にとって、RIZINでは初のケージでの試合になります。 「金網の試合は、修斗で試合をしたのが最後で、3年半とか前なので、金網に対応する練習はちゃんとやってきたつもりですね。やっぱりリングとケージでは、アプローチの仕方や、いろいろ違うところはあるので、そこはちょっと思い出しながらというか、新たにしっかり自分の感覚を持っていくつもりです」 ──ケージであることはご自身にとってプラスですか。 「そうですね。プラスになる面もありますね。対戦相手のスタイルもありますし、うまく使えれば有利な戦い方も出来ますね。立ち技の選手にとっての関係は……ディフェンスするときに(身体を)預けてというテクニックもありますが、僕にとってはやり方が増えるかなと思っています」 ──公開練習では新しいスタイルを。あれは秘策としてサウスポーに構えた。 「それを試合でやるということですね、はい(笑)」 ──どんな情報でも見せない? 「試合でやるかどうかは別として、サウスポー練習はずっとやっているのでああいう形になりました」 ──前回、平本選手は怪我の功名で普段はオーソなのをサウスポーに構えて、手を出して相手が入ってきたらショートでまとめる戦法でした。今回、どちらで構えるか分かりませんが、どちらで来てもいいように想定していますか。 「サウスポー、オーソドックス、どちらのタイプともスパーリングをやってきたので、僕としてはどちらでもいいと言うか、あまり気にしないですね。たぶんいろいろ入れ替えて来ると思うので」 ──セコンドはどうなりますか。 「上田(将勝 ※2012年の修斗で堀口恭司に勝利)さんと、以前から福島から来てくれる方ともうひとりを用意しています」 ──新たな体制になりますね。 「今回はそれがいいかなと思ったので、3人にちょっと協力してもらいます」 ──上田さんとはずっと練習をし、今回は練習を見てもらってきたこともあり、今回のメインのセコンドということですね。 「ずっとバンテージを巻いてもらっていたので、それを依頼するのと同時に、毎週あって練習して、いろいろ話も出来ているので、そこはお願いしたいと思って頼みました」 [nextpage] いろんなスタイルの選手と、いろんな状況で試合してきている。やられて感じてきたことも多い ──さきほど「弥益選手は気の毒だった」と感じて見ていたと。同じフェザー級の金原選手は直前の体重変更を含めて「平本の試合だった」と評しています。やはり直前で4キロが変わるのは、フェザー級の試合とは異なるものだと? 「そうですね……あまり角が立つこと言うと、あれなんで(笑)、平本選手のファンも怖いですからね(笑)。まあ、でも直前に4キロは1階級違いますよね。(その変更が)1カ月前の変更とかならまだよかったですけど、1週間とか10日切って、まったく減量していなかった選手と、結構落としていた選手と、それがフェアかどうか──という話ですよね。やっている選手は一番、分かるとは思うんですけど、なかなか世間ではそんなに分からないことなのかなと、試合後の反応を見て思いました」 ──本来のフェザー級では1勝の平本選手は、前回の試合で、相手のテイクダウンに対してはディフェンスに特化して、打撃を打ちこみました。自身は基本的にテイクダウンには行かないというスタイルが、MMAにおいて斎藤選手の戦いにどう影響しますか。 「テイクダウンしてこないって事前に分かっていれば、動きやすいですよね。最初の段階で手札が見えている状況なので、間違いなく動きやすいですよね」 ──とはいえ、テイクダウンディフェンスと打撃が強ければ、それでいいと考え、ケージが立ち上がるのにも有利に動くこともあります。 「試合をやっていくと分かってくるんですが、打撃がある、組み技がある、寝技があるなかで、自分から組みついてテイクダウンしていくのは思ったより大変なんですよね。練習ではみんなそうしてやっていきますが、実際に試合で相手に対峙してできるのは、やっぱり時間がかかると思います。それを僕はさんざんアマチュアからやってきたから分かる。  自分のやりたいことを──やりたいときに打ち合って、テイクダウンに行きたいときにテイクダウンするというのは、難しい。だから自分のスタイルがあると思うんですけど、そこまでの完成度の選手だったら──なかなか試合中に考えちゃいますよね」 ──それは、29戦やってきて難しさを知っていると。 「そうですね。いろんなスタイルの選手とやってきているので、いろんな状況でも試合してきているから、経験だったり、やられて感じることもすごい多いんですよね、試合って」 ──さきほど「格闘技って素晴らしいな、と思ってもらえる試合を」という言葉がありました。それは斎藤選手にとって、5分3R=15分のなかでどんな試合をさしますか。 「個人的な希望で言えば“1R1分で終わりたいな”という気持ちはあります(笑)。でも試合なんで相手がどうなるか分かりませんし、僕は“5分3R”やる覚悟は持っているんですけど、そのなかで“ほんとうに負けるわけない”と思っている二人が試合するので、攻防だったり、特に試合が長くなるにつれ、精神的なものが見えてくるんですよね。そうなったときに細かい攻防、二人の精神戦が見られたら、見ている人が沸き上がるような試合になるんじゃないかと。終わってみて、“ああ、いい試合だったな、素晴らしかったな”と思ってもらえればいいかなと。自分が勝って」 ──ところで、朝倉未来選手とも練習しているんですか? 「いやあ、それは、ちょっと……ね。3回目やるかもしれないんで、流石にちょっと。そういう声多いんですけど、どうなんですかね」 ──最後にファンにメッセージを。 「勝つために最善を尽くすつもりでいるので、本当に怪我しても何しても勝てればいいように僕は頑張ります。会場はもちろん、ぜひPPVでも当日、観ていただければと思います」
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