MMA
インタビュー

【UFC】マックス・ホロウェイ「ブアカーオが好きだった」「タケミチと俺は共通点がたくさんある」「アレンは俺がUFCでベストボクサーなのを知らない」「何かが欲しければ、頑張ればいい」=UFC10連勝中のアーノルド・アレンと対戦

2023/04/15 08:04
 2023年4月15日(日本時間16日AM6時~)米国ミズーリ州カンザスシティのTモバイル・センターで開催される『UFC Fight Night: Holloway vs. Allen』(U-NEXT配信)のメインイベントで、フェザー級4位のアーノルド・アレン(英国)と対戦するマックス・ホロウェイ(米国)が11日、本誌の単独インタビューに応じた。 【写真】前日計量でホロウェイとアレンはともに146ポンド(66.22kg)でパスした。  UFC10連勝中の“トリプルA”アレンとの対戦を前にナーバスな言葉が並ぶかと思いきや、ブアカーオの話題に始まり、『鬼滅の刃』や『東京リベンジャーズ』など日本の格闘技や文化への深い愛情を示したホロウェイ。  アレンとの試合を「答えは当日分かるはず」とし、最後に未来の子供たちへ、自身の経験に裏打ちされたメッセージを送ってくれた。 この試合のために多くのサウスポーと練習してきたよ ──マックス、今回は時間を割いていただきありがとうございました。『ゴング格闘技』です。 「いつも取材をありがとう。(表紙を見て)UFCと同じでK-1も30周年なんだね」 ──おおっ、その通りです。ホロウェイ選手はキックボクシング出身でしたね。好きなK-1ファイターはいましたか? 「もちろん。僕はK-1ファイターになりたかったからね。ずっと大好きなキックボクサーはブアカーオだね。彼はビーストだった」 ──K-1のなかでもムエタイファイターが好きだったんですね。 「彼はとにかく最高だよ。最初K-1に参戦した時、俺が覚えてるのは、ブアカーオはものすごい前蹴りやヒザ蹴りで勝ち上がったんだけど、K-1がその後、首相撲からのヒザ蹴りのリミットを設けたんだ。そうしたらブアカーオはフックで勝ち上がったんだよ。ムエタイファイターだったけど、よくK-1に順応したと思う」 ──順応といえば、あなたのキックボクシングも、MMAのなかで巧みに生きています。長いリーチを活かした正確なボクシングは、MMAの近い距離になったときも抜群の強さを誇りますね。アジャストが必要でしたか。 「俺はオアフ島の西側の町ワイナイで育ったからね。高校時代からストリートファイトが絶えなかったし、そういう距離になることも知っていた。いまでもグレイシーテクニックスとレガシームエタイの両方でトレーニングしているから、組みと打撃を分けて考えていないんだ」 ──そんななか、今回はUFC10連勝中という29歳のアーノルド・アレンと対戦します。あのサウスポースタイルの打撃について、どうとらえていますか。前戦のカルヴィン・ケイターは、アレンの左ストレートの打ち始めが見えていないように感じました。 「たしかにあの左ストレートは彼の武器だと思うよ。アレンは運動神経や動体視力の良い選手だし、彼のパンチはベストな部類に入るだろう。それにオールラウンドな選手だよね」 ──たしかにマクワン・アミルカーニ戦で見せたスクランブルやニンジャチョークでの一本勝ちもあります。 「レスリングで組むのも好きだしグラウンドも好きっぽい。それに左ストレートに加えて、いい右フックも持っている。だから当日どう出るかが楽しみだ。アレンは俺より『自分の方がボクシングはうまい』って言ってるらしいけど、彼は知らないらしいね、俺がUFCでベストボクサーなのを」 ──あなたがベストボクサーであり、試合ではタフなファイターになることも知っています。今回の試合に向けて、サウスポーのパートナーとも練習されたのでしょうか。 「この試合のために、たくさんのサウスポーのパートナーとトレーニングしてきたよ。左利きの選手やサウスポーにスイッチして戦える選手ときちんと拳を交わしてトレーニングをしているよ」 ──打撃においてアレンより勝っている部分は? 「分からないね。きれいごとは何でも言えるんだけど。『俺の方が打撃が上手い』とか、『レスリングやグラップリングは俺の方が上手い』とか。だけど当日、きっと事実が分かるよ。4月15日、君たちには16日か。そういった質問もたくさんされるけど、答えは当日分かるはずだよ」 [nextpage] 家族みんなで『鬼滅の刃』を見るんだけど、実はちょっと腹が立っていて── ──日本との時差についても気にしてくれるマックスですが、ところで日本のファンはあなたの家族のハロウィンの写真も楽しみにしているようです。あの『東京リベンジャーズ』や『鬼滅の刃』は主にどなたの趣味なんでしょうか。 「おー、嬉しいね。家族みんなが好きなんだよ。家族みんなで『鬼滅の刃』を見るんだけど……実はちょっと腹が立っていてね」 ──ああ、試合に向かうなかでそうそう見ていられないですよね。 「いや、新しい鬼滅のストーリーが出てるんだけど、先に見ようとしたら妻に『ダメ』って言われて(笑)。『家族みんなで見るから』って。俺は続きが知りたくて仕方ないし、妻は漫画で読んでるから先を知ってるんだよ? ズルいよね。俺も見てもいいじゃん!」 ──それは奥様の気持ちも分かります(苦笑)。アニメ版をお子さんも含め、みんなで一緒に見たいという。 「まあ、そりゃ俺もそうだけどさ(笑)。『東京リベンジャーズ』も好きさ。妻は俺のことを“クライベイビー”(泣き虫赤ちゃん)って言うから。タケミチと俺は共通点がたくさんある気がするよ(※もともと弱虫だが諦めない姿勢で信頼を得る主人公)」 ──ちなみに『鬼滅の刃』は日本だとU-NEXTで新エピソードが見ることができます。 「それ最高じゃん。そういえば映画を見逃しちゃいけないと思って見に行ったら、過去のエピソードと新しいエピソードが少し入っていて。見返すのはもちろん最高なんだけど、『新しいストーリーを見逃さなねーぞ』って見に行ったのになって(笑)」 ──コミックス版でも『鬼滅の刃』を読んでいるという奥様のアレッサ・クイゾンさんはプロサーファーでもあるのですよね。ESPNの映像を見ると、あなたもサーフィンをされるのですね。 「そうだね。俺と息子は妻の影響でサーフィンをするようになったんだ。実は、息子は先週末サーフィンの試合、コンテストがあったんだよ。サーフィンはすごく好きだし、息子もすごく気に入っていて、『将来はサーファーになりたい』って言ってるんだ。プロ格闘家よりサーファーになる方向で応援していきたいね」 ──なるほど。サーフィンと格闘家といえば、ジョエル・チューダーやブラジリアン柔術家がサーフィンを好みますが、サーフィンと格闘技に共通点はあるのでしょうか。 「うーん、あんまりないかな。唯一あるとすれば“負けること”があるということだけ。サーファーの友だちとかから自分の格闘家としての仕事を“クレイジーだ”って言われたりするけど、格闘技は相手が人間だろ? 殴られるのも人間からだ。ある程度コントロールはできるじゃないか。サーフィンは相手が自然だからね。すごい意地の悪い波があったりするよ。自然には絶対、敵わない」 [nextpage] 子供たちに「生まれた場所や、育った場所にとらわれないで何でもなれる」って伝えたいんだ ──負けを知ることで強くもなれます。あなたはアレックス・ヴォルカノフスキーを相手に3回、敗れましたが、うち最初の2戦は非常に僅差で、特に2戦目はあなたが勝っていてもおかしくありませんでした。 「そうだね。いまは目の前の試合に集中しているけど、155(ポンド=ライト級)の可能性はないわけじゃない。それは常にそこにある。もともと身体が大きいから、その気になれば、明日にでもそこに飛び込むことができるのは分かっているけど、そこに145(フェザー級の)ベルトを持って上がることができばなお素晴らしい。  ダスティン(ポイエー)ともライト級で再戦したし、彼はいま、155で世界のトップ3(2位)だろ? そして、アレックスはイスラム(マカチェフ)に対して自分の力を発揮した。スタイルが試合を作るんだ。僕たちはトップクラスにいることを証明した。だから、結局のところ、どうなるかは分からないけど、僕はポリネシア人だし、サモア系ハワイアンだし、食べ物が大好きだから、体重を増やすことは問題ない(笑)」 ──いつか4度目の対戦もあるかもしれないわけですね。フェザー級は、王者がヴォルカノフスキーで、暫定王者があなたが勝利しているヤイール・ロドリゲス、2位にあなたがいて、3位にブライアン・オルテガ、4位にアーノルド・アレンという順番です。今回、下位のランカーと戦う事について、どのように感じましたか。 「自分にとってランキングは関係ないよ。ビりだろうがトップだろうが。ベルトを持っていない相手は誰でも同じ。アレンはとてもいい選手だ。UFCで10連勝しているしね。とにかく戦って彼を仕留めないとね」 ──たしかに。ところであなたはいつも慈善事業に積極的で、とくに恵まれない子供たちをサポートしています。それはあなたが厳しい環境で育ったことが影響していますか。 「次の世代に影響を与えたいからだよ。ただそれだけだ。ハワイのオアフ島の町で育って、何かずっと重いものが肩に乗っかっているような気がして──ただ世界に飛び出たら、そんな事ないんだって気付けた。“何かが欲しければ、頑張ればいいんだ”って。だから地元の子供たちに“生まれた場所や、育った場所にとらわれないで何でもなれる”って伝えたくて。“君たちは最高だし、君たちは世界に出ていけるんだ”って、次の世代に教えたいんだ。“世界はもっと大きいよ”って」 ──それをあなたが身を持って示していますね。最後に日本からあなたの試合を楽しみにしているファンにメッセージを。 「みんな大好きだよ。日本のファンは日本で会うたびにいつも愛とリスペクトに満ち溢れている。また数週間後に日本に行くかもしれない。だから、京都とか東京とかで自分を見かけたら、恥ずかしがらずに声をかけてほしい。文化も人も大好きだし、ハワイの人と似ているところもあると思っている。いや君たちの方がもっとケアリング(情深く)でもっとギビング(慈愛に満ちている)かもしれない。日本に行くのは大好きだし、実は親友が日本人なんだ。無理やり『日本語教えて』って言ってるんだけど、難しいんだよね。高校の時、授業で日本語を選択したけど酷い落ちこぼれだったよ(笑)。ぜひ、今回、俺のUFCでの試合を観てほしい」 ──マックス、ファトウィークに入った大変な時期にインタビューをありがとうございます。 「とにかく君たちはベストだよ、また会おう!」
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