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【UFC】王座奪還したアデサニヤと敗れたペレイラが“再会”を約束「闘う魂は奪えない」

2023/04/10 13:04
 2023年4月8日(日本時間9日)、米国フロリダ州マイアミのマイアミデードアリーナにて『UFC 287』が開催され、メインイベントの「UFC世界ミドル級選手権試合」(5分5R)で、王者アレックス・ペレイラ(ブラジル)が、前王者のイスラエル・アデサニヤ(ナイジェリア)を挑戦者に迎え、初防衛戦に臨んだ。  両者は、2022年11月の『UFC 281』以来の再戦で、前回は、初回に当時王者のアデサニヤが左フックでペレイラをKO寸前まで追い込んだものの、最終5Rにペレイラがショートレンジの打撃で反撃。アデサニヤを金網に詰めての左フックで5R TKO勝ちで新王者となった。さらに、両者はキック時代にも2度対戦し、2度ペレイラが左フックを効かせて勝利している。  キックも含め“4度目”の対戦だった今回の試合は、ペレイラの圧力にアデサニヤがケージを背に詰まると、ペレイラは必殺の左フックに。そこにアデサニヤは乾坤一擲の右ストレートを内側に2度振り抜き、ペレイラをKO。王座を奪還した。  倒れた“ポアタン”に、ペレイラの入場時のポーズである弓矢を引く動きで、これまで敗れた3本の矢を放ったアデサニヤは、ケージの中で、歓喜の言葉を語っている。 「ここにいいる人も、テレビで見ている人たちもこのくらいの幸せを知ってほしい。人生で一度だけでいい。俺がいまどれだけ幸せかを感じてほしい。でもみんなが人生において挑戦することを止めてしまったらこういう幸せは味わえない。これはすごく甘いんだ。  アレックスは最高のチャンピオンだ。俺は悪者のストーリーかもしれないけど、今日は俺の日だった。俺を倒してくれてありがとう。なぜなら俺は一皮むけてもっといいファイターに、より良い人間になれたから。  最後は神からの一撃だった。何度やられても、酷く言われて立ち上がれなくなっても、落ち込んでいるだけじゃ良い結果は得られない。心を強く持ち、幸せが来るように感じるんだ。一生に一度でいい。俺はこの幸せを感じているんだ。何回も何回も何回も」。  同じ相手に3度も敗れたなかでの復活劇は、その後のバックステージでも新たなストーリーを生んでいる。 [nextpage] 今度は俺がブラジルに行くよ(アデサニヤ)  試合後、バックステージで顔を合わせた両者が健闘を称え合うなかで、次への約束をかわした。  マットに失神したペレイラは、勝者とハグをかわし、「まさに戦士だね。今日は君が主役だった」とアデサニヤを讃えた。  新王者は、「いつも(米国に)来てもらっているから、今度は俺がブラジルに行くよ。トレーニングでも一緒に出来たらとは思っているよ。とにかくブラジルで会いたい。みんなにも会いたいし。前回行ったときはノックアウトされちゃったからね」と、2017年3月の『Glory of Heroes 7』でペレイラに3R KO負けしたブラジルで、ともに練習をしたいと申し出ている。 (C)Zuffa LLC/UFC   その言葉に、ペレイラは、チームメイトを指して、戦友アデサニヤを迎え入れた。 「ほんとうに心から正直に思っている。ユースリーと話していたんだけど、彼のことは知っているだろう? 俺たちはほんとうのライバルだった。いまはすごく良い友達で俺のことを支えてくれている。今日は君が主役さ。ほんとうにおめでとう」  右手を差し出したペレイラのかたわらには、ユースリ・ベルガルイの姿があった。  このチュニジア系オランダ人でミドル級のキックボクサーは、GLORYチャンピオンシップに3度挑戦し、ペレイラとアデサニヤに敗れているが、今回、ペレイラのチームメイトとして、マイアミ入りしていた。  かつて拳を交えたベルガルイにも視線を移し、うなずいたアデサニヤは、「あれを習ってみたいんだ」と、ペレイラに蹴りの仕草を見せて、再び手を合わせると一拍置いて、ペレイラを見つめ、こう語った。 「正直、とても偉大なチャンピオンだと思っている。何があろうと、誰がなんと言おうと、偉大なチャンピオンだ。心から尊敬している」  ペレイラの胸と腰を指差して叩くアデサニヤに、ペレイラは右腕の闘いの化身であるドラゴンのタトゥーを指して、「誰も俺からは奪えない」と闘魂は奪えないとしながらも「だけど、君はこれを奪った」と、アデサニヤの腰にあるベルトに指を置いた。  アデサニヤも「こっちじゃなくてね」とペレイラのハートを叩き、「オブリガード(ありがとう)」とポルトガル語で挨拶、再び熱くハグをかわした両者は再びライバルへと戻っていった。  石の拳を意味する“ポアタン”の異名を持つペレイラは、再び拳を磨き戦場に戻って来る。そのときは、MMAでのアデサニヤとの3度目の対戦か、あるいはライトヘビー級という新たな階級への挑戦も視野に入る(※13日にライトヘビー級転向を表明)。  そしてベルトを腰に戻したアデサニヤは、再び王座防衛の修羅の道を進むべく、ペレイラとのエールをこう語っている。 「彼がこの人生で経験した逆境は、かつて自分が経験してきたことで、彼もそこにたどり着いた。それは彼にとって素晴らしい物語だ」  次にアデサニヤとペレイラが再会するのは、ブラジルか。それとも5度目のマット上か。
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