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【ボクシング】那須川天心がプロボクシングデビュー戦で6R 判定勝ち。2Rに与那覇勇気からダウン奪う

2023/04/08 17:04
【ボクシング】那須川天心がプロボクシングデビュー戦で6R 判定勝ち。2Rに与那覇勇気からダウン奪う

(C)ゴング格闘技/Wakahara Mizuaki

『Prime Video Presents Live Boxing 4』速報

2023年4月8日(土)東京・有明アリーナ

▼スーパーバンタム級 3分6R
〇那須川天心(帝拳)元RISE世界フェザー級王者
[判定3-0] ※59-55, 60-53×2
×与那覇勇気(真正)日本バンタム級2位

 持ち前のスピードに加え、角度をつけたパンチ、サバキ、スーパーマンパンチ気味の飛び込み、瞬時の崩し、と格闘技で培った動きをボクシングに採り入れて戦ったプロボクシングデビュー戦だった。 強い体幹と、セオリー通りではない動き。一方で蹴りが無いなかでの遠い間合いでの効かせるボクシングのパンチをどう融合させて長いラウンドを戦うか、今後に期待が膨らむ動きを那須川は見せた。

 那須川は極真空手、ジュニアキックを経て2014年7月にRISEでプロデビュー。6戦目でRISEバンタム級王座を奪取したのを皮切りに、ISKAオリエンタルルール世界バンタム級王座、初代RISE世界フェザー級王座、ISKAフリースタイルルール世界フェザー級王座などを獲得し、RISE WORLD SERIES 2019 -58kg Tournamentでは優勝。2022年6月の武尊戦を最後に、キックボクシング42戦全勝、MMA4戦全勝、ミックスルール1勝の戦績を残してボクシングに転向。今回デビュー戦を迎えた。

 与那覇は、日本バンタム級2位。12勝(8KO)4敗1分の戦績を持つ攻撃型の選手で、思い切りよく打ち抜く右ストレートや左フック、右アッパーに破壊力を秘める。前戦は2022年10月の日本バンタム級最強挑戦者決定戦で、那須川のプロテストでスパーリング相手を務めた南出仁(セレス)に8R判定で敗れている。

 プロボクシングデビュー戦でジミー・レノン・ジュニアにコールされ、キック時代と同じ矢沢永吉の『止まらないHa〜Ha』で入場した那須川天心。グリーンのトランクスにシューズ。リング上でのコールに両手を挙げて『ドラゴンボール』の元気玉を集めるポーズから、相手に投げつける動きを見せる。

 1R、オーソドックス構えの与那覇が中央を取る、サウスポー構えの那須川は下がりながら左ボディ、ジャブ、左フックをかわされるが右ストレートを突く。

 右ジャブ、左ボディを当てる那須川。前に出る与那覇は左ボディ、右フックもさばく那須川。左ストレートから右を突く那須川だが、与那覇はブロックして前に。

 右のボディストレートを当てる与那覇。那須川は左を振って左フックをひっかけ回る。与那覇の詰めに左のダブルで押し戻す那須川。6R戦で動きはどうなるか。

 2R、前に出る与那覇にカウンターの右ストレートを当てる那須川。さらに与那覇のオーバーハンドをかわした那須川が右でダウンを奪う!

 右から左の打ち下ろしを当てる那須川。さらに左を上下に当てて。右ジャブフェイントから左! ボクシングのセオリーから外れた動きを見せる。

 右にステップして左ストレートを当てる那須川! ここで下がらず前に出る与那覇。右から右ボディストレートもローブロー。詰める与那覇に右を当ててゴング。ダンスしながらコーナーに戻る。

 3R、右ジャブを打って右サイドに出る那須川。さらに右ボディ。詰めてくる与那覇に左を突く。顔を腫らす与那覇。右ボディストレートも回る那須川。右ジャブのトリプルで右に回る那須川。与那覇の右は空振り。那須川はワンツーの左。さらに左ストレートをタメを作って打つと、今度はノーモーションでヒット。詰める与那覇をさばいてゴング。与那覇の出血は有効打によるもの。

 4R、追って右を振る与那覇。クリンチにキック的な崩しを見せる那須川。ワンツーの左で足を止めてクリンチするなどペースを落とす那須川だが、ワンツーの左を上下に打つ。追う与那覇。回る那須川は一転、与那覇の左に左ストレート! さらにしゃがみ込んでからのジャンピングパンチも。詰めて来たところに左を当てるとラッシュ! 前手で狙いを定めて打ちこむ。

 5R、前に出るが手が出ない与那覇。那須川は右ジャブダブル。与那覇の詰めにカウンターの左! 鼻血を出しながらボディ打ちで前に出る与那覇。那須川は与那覇が一息つくタイミングでワンテンポ早く手を出し、素早い右から左! あえてロープを背にして誘い、左ストレート、さらにボディ、前手の右も! 足をシャッフルさせて左ストレート! 与那覇のアゴが上がる。

 6R、前に出る与那覇。左ボディもハンドスピードは那須川。左右を振ると、那須川は左フック、右、左と繋ぎ、飛び込む左! しかし与那覇は左右ボディ。ここで那須川はクリンチ。

 下がって誘って左で飛び込む那須川。与那覇は右ボディ。それをヒジでブロッキングしながら左を打ち下ろす那須川。右ボディ、与那覇は得意のアッパーを見せるが、左を当てる那須川はラッシュ。粘る与那覇を相手に倒すことは出来ず。

 判定は3-0(59-55, 60-53×2)で那須川が勝利。プロボクシング初陣を飾った。

 試合後、那須川は「ボクシングファンの皆さん、初めまして那須川天心です。まず最初に与那覇選手、メリットが無いなか、僕のプロデビュー戦の試合を受けてくれてありがとうございます。初めて6Rやるっていうのは、試合前もほんとうにするんだ、と6R戦えるか分からないじゃないですか。フワフワして変な感じだったけど、それでも倒せなくてもダウンを取ったんで、ボクサー那須川天心として認めてみもらるかな、と。どうですか? 良かったすか? ボクシング初めて半年、これが限界じゃないんで、これからもっと進化していきます。チーム帝拳や今まで自分がお世話になってたキックボクシングのRISEの伊藤(隆)代表だったり、そして自分の親とか、本当にたくさんのチームに恵まれてるので、そのチームとともに戦って、必ずボクシングでも世界を獲ろうと思っています」と、世界王座獲りを宣言。

 続けて、入場について「やっぱYAZAWA、矢沢さんの曲じゃないと俺じゃない。試合前にいろいろみんなに聞かれたんですけど、これ言ってしまうと、生で見てくれている人、ワクワクがなくなってしまうと思うんで、あえて言わなかったんですけど、やっぱこの曲が僕なんで、今後もこの曲で入場したいと思います。演出どう? とか聞かれますけど、こうやって最高の会場で、KO出来なかったけど、最高のプロデビューを迎えられて、感謝しています。マジでありがとうございます」と語った。

 さらに、「今日は勝ててホッとしていますが、ほんとうにチャンピオンになるなら、こういう試合じゃダメだと思う。今後はしっかり倒して、みんなにアピールできたらいいと思うんで、まあ、まだダメージないんで、しっかりと次に向けて、いい試合ができるように生きていくんで」と王者になるためには倒し切ることが必要とした。

「この格闘技、ボクシングのためにこの半年間生きてきました。みんなも何か、僕が挑戦することによって活力だったり勇気を届けられたらいいと思うんで、俺も頑張りますけど、みんなも頑張って、一緒に日本を、世界を盛り上げていけたらなと思います」と語る那須川は、最後にスポンサーロゴの無いトランクスを見せて、「今回、スポンサー無しでやったんですけど、もしよかったらお願いします」と語り、トリケラトプス拳のポーズを見せた。リングを降りると、コーナーではなくリングサイドに座っていた父・那須川弘幸会長とハグ、さらにRISEの伊藤隆代表と握手をかわした。

 試合後、那須川は「いまはまあ、デビューがちゃんと出来て、大きな舞台で戦えてホッとしました。緊張はせず、楽しみながら試合ができました。半年やってきたことを出せて、ボクサーにない動きが出来た。6Rできたことはプラスにとらえたいし、ダウンをとったけどKO出来なかったことは課題として、いいところも悪いところもあって、今後の伸びしろが自分でも楽しみ」と手応えと課題を語った。

 また、解説席の長谷川穂積氏から「ラウンド間に座らなかったのはなぜ?」と問われ、「キックの癖ですかね、これまで1回も座ったことが無いので、無意識だったんで……(長いラウンドになると?)今度は座ってみます」と笑顔。

 今後については、「僕の後ろの世界戦を見てもレベルが高いので、僕も早くそのレベルに行きたい。今後も勝って強くなること。それだけは変わらない」と、力強く語った。

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