1993年4月30日に国立代々木競技場第一体育館にて第1回の『K-1 GRAND PRIX '93 ~10万ドル争奪格闘技世界最強トーナメント~』が初開催され、今年で生誕30周年を迎えたK-1。
30周年を記念して格闘技専門誌『ゴング格闘技』では「K-1 30th ANNIVERSARY」の特集が組まれ、2002年にミドル級(-70kg)の大会として始まった『K-1 WORLD MAX』で日本人スターとして輝いた魔裟斗、小比類巻貴之、武田幸三によるMAX鼎談会が行われた。
「これ、現役中だったら大変なことですからね(笑)」と小比類巻が言うように、今だからこそ実現した企画。
その中で魔裟斗が最初のMAX日本トーナメントでの小比類巻との決勝戦について触れ、「最初のトーナメントなんて二人とも鼻が折れて戦ったんだからね(笑)」(魔裟斗)、「二人とも鼻がデカかった(笑)」(小比類巻)と、鼻が折れた状態で決勝戦を戦ったとのエピソードを披露。
両者は当然手術となるのだが、そこで小比類巻は麻酔を打たないで手術をしてという驚きのエピソードを明かした。
「黒崎(健時)先生に『絶対麻酔はするなよ』と言われて、棒を鼻に突っ込まれてめっちゃ痛い(苦笑)。(理由は麻酔が)体に良くないって。鼻に突っ込んでバキバキって音がして『入ったな』と思ったらもう一回バキって。それが痛くて、しかも手術を失敗したんだよ(苦笑)」
武田は顔面を「250針縫った」とのエピソードを披露。「鼻は何回か折って、でも眼窩底骨折はないけど、上斜筋麻痺と網膜裂孔で首が傾いちゃって」と激闘の代償が今でもあるという。
魔裟斗から「手術したじゃないですか?」と聞かれると、「うん。ピントを合わせる手術をしたけど全然ダメ(苦笑)。今でも下が見えないからコンビニでお釣りを貰おうとして店員さんの手を触ってしまうんですよ。こんな顔なんで(ビックリされる)」と言って武田は笑い飛ばした。
聞いているだけで痛くなるような話のオンパレードだが、武田は「僕だけじゃなくてみんな満身創痍ですよ。それでもリングにはそれ以上に得るものがあるから」と、現役時代に負った怪我よりもリングで得たものの方がはるかに大きく悔いはないと語った。
他にも現役時代お互いをどう意識していたか、K-1 WORLD MAXが盛り上がった理由、トーナメントを戦うこと、ファンや報道についてなど、今だから語れる話を存分にした三者。3人揃ってのスリーショットや、若き日の対決写真なども見どころだ。
(ゴング格闘技 2023年5月号 No.325より抜粋/取材・茂田浩司)