東京の街を歩きながらK-1での出来事を振り返るアーツ(左)とホースト 撮影/若原瑞昌
1993年4月30日に国立代々木競技場第一体育館にて第1回の『K-1 GRAND PRIX '93 ~10万ドル争奪格闘技世界最強トーナメント~』が初開催され、今年で生誕30周年を迎えたK-1。
30周年を記念して格闘技専門誌『ゴング格闘技』では「K-1 30th ANNIVERSARY」の特集が組まれ、K-1を代表するファイターとしてヘビー級世界トーナメントを4度制したアーネスト・ホーストと3度制したピーター・アーツ(共にオランダ)による“ミスターK-1”同士による対談が組まれた。
ホーストは「懐かしいですね。あれから30年も月日が流れたことが不思議です」、アーツは「でも、いろいろなことがありました。アンディ・フグ、マイク・ベルナルド、ブランコ・シカティック……、あの時の戦友はもういない」と、この30年間を振り返る。
2人はライバル関係にあり、6度対戦してホーストの4勝2敗という対戦成績となっている。その中でも2人が忘れられないのは、2006年にオランダでホーストの引退試合として行われた一戦だ。当初はホーストが因縁のボブ・サップを相手に指名し、リベンジマッチとして行われる予定だったのだが、サップは試合1時間前に“逃亡”。代わってテレビ解説を務めていたアーツが急遽ホーストと戦うことになったのである。
【写真】1993年4月30日、K-1旗揚げ戦のヘビー級トーナメント1回戦で対戦した両者
試合は3Rを戦って判定2-0という結果になっているが、ホーストは「ピーターには、本当に感謝の言葉しかない」と言い、「これは訂正してほしいんですけど、あの試合はエキシビションマッチです。私はサップとの試合のために準備をしてきましたので、対戦カードが変更になった時点でエキシビションマッチならばと受けることになりました。それにピーターも試合1時間前のオファーです。どう考えても公式戦になりません。K-1側は公式戦にしてほしいとのことなので黙っていましたが、オランダでは非公式戦として捉えています。これは訂正させてください」と、17年目にして両者の対戦成績は3勝2敗であると明らかにした。
他にも両者は他界したアンディ・フグとマイク・ベルナルドの思い出、1993年の初となるK-1トーナメントでの出来事、2人のライバル関係と初対戦時の詳細、そしてボブ・サップ逃走事件の真相と30周年を迎えたK-1への想いなどを語っている。年輪を刻んだツーショットや、若き日の試合写真なども見どころ。
(ゴング格闘技 2023年5月号 No.325より抜粋/取材・松井孝夫/通訳・稲垣收)