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2023年3月11日の『Bellator 292』(U-NEXT配信)で行われた優勝賞金100万ドル(約1億3千万円)のBellatorライト級ワールドGP1回戦で、元RIZINライト級GP2019優勝のトフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)が、アレクサンドル・シャブリー(ロシア)の「肋骨蹴り」に試合続行不可能に。3R TKO負けとなった。
同大会で元UFC王者のベンソン・ヘンダーソンをダウンさせた、現Bellator王者のウスマン・ヌルマゴメドフの縦蹴り=ブラジリアンキックに続く変則キックでの決着だった。
試合は3R、ムサエフの右オーバーハンドに、カウンターのシャブリーの前蹴りが胸から股間に滑り、ムサエフが手を挙げて後ろを向いてしゃがみこみローブローをアピール。
試合は中断され、インターバルが置かれたが、通訳を通したジェイソン・ハーゾグレフェリーの「出来るか?」の再三の呼びかけにムサエフは首を振り、続行不可能とみたレフェリーが両手を挙げて試合を止めた。
GPの強豪の一人と見られていたムサエフの1回戦敗退。
Alexander Shabliy is heading into the semi-finals of the #BellatorLWGP!
— Bellator MMA (@BellatorMMA) March 11, 2023
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このとき右で振りかぶって中に入って来るムサエフに対し、シャブリーは右の中足蹴りをムサエフの大胸筋下あたりを突いている。
これが「リブキック=肋骨蹴り」ではないかと、格闘技界で話題となっている。
試合後、Bellatorのスコット・コーカー代表は現地メディアに、ムサエフが肋骨を骨折したことを公表。試合ストップのダメージはローブローによるものではなく、正当な攻撃によるものだとの見解を示した。
松濤館流空手出身でATTで練習するシャブリーはムサエフの打撃に脅威を感じてなかった
実は、この蹴りを繰り出したシャブリーは幼い頃から伝統派の松濤館流空手を経験。その後、ムエタイも習得しており、前戦でシドニー・アウトローを27秒 KOしたムサエフの打撃についても「僕はそこに何もプレッシャーを感じてはいない」と本誌の取材に語っていた。
ロシアのペレスヴィエット・ファイトチーム所属ながら、フロリダのアメリカントップチーム(ATT)でも練習してお、今回のファイトショーツにもそのロゴをつけている。
そのATTには、日本のシュートボクシングに参戦経験を持ち、流行る以前からカーフ(ふくらはぎ)キックを得意技としていたカテウ・キビスが所属しており、そのキビスは、2年前から「普通のリブキックとは違う。肋骨を蹴られると、戦闘を続けることができなくなるんだ」と、「リブキック」の存在を北米メディアに語っていた。
空手出身のシャブリーが「肋骨」を狙っていたかは定かではないが、ムサエフのオーバーハンドに、中足蹴りを狙っていたのは確かだ。