2023年3月12日(日)東京・国立代々木競技場第一体育館で開催された『K-1 WORLD GP 2023~K’FESTA.6~』。
第20試合のK-1 WORLD GPライト級タイトルマッチ3分3R延長1Rで、第5代王者・朝久泰央(朝久道場)に判定3-0(30-29×3)で勝利し、第6代王座に就いた与座優貴(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)が試合後インタビューに答えた。
「タイトルマッチというのは、いつもの試合と違って特別なものがあるなと思いました。自分のパフォーマンスも全然出せなかったし、王者の意地も前回やったとき以上に感じましたし、タイトルマッチは凄いものなんだと思いましたね。(朝久は)前回やった時よりもタイトルマッチというのもあって前回以上に退かないというか。自分が蹴っても退かないし、蹴り返してくるし、王者の執念を凄い感じた試合になりましたね」
その執念をむき出しにして向かってきた朝久に競り勝てたのは「気持ちです。王者になりたいという気持ちだと思います。その気持ちで苦しい時にもう一歩前に出られたので、気持ちで勝てた試合だと思っています」と、“気持ち”を勝因にあげた。
「実感はまだ沸いてないですが、これがもっと似合う王者になっていかないとな、とは思っています」と、手にしたチャンピオンベルトを見て笑顔を浮かべた与座。
試合後のリング上で何やら会話を交わしていた両者だが、戦い終わってノーサイドという雰囲気ではなく、不穏な空気を感じる様子だった。
そのことについて聞かれた与座は「勝ったんですけれど、自分の中では完勝のイメージがあまりなかったので、まだ映像を見てないので分からないんですけれど。その時は率直に『3回目やろうぜ』って。すぐにとかではないですけれど、タイミングが合えばもう1回やるライバルというか選手なのかなと思っているので、もう1回いつか、という感じです」と、もう一度戦おうと言ったのだという。
すると朝久からは「『嫌いだから握手は出来ない』と言われました(苦笑)。それも踏まえて、いつか3回目があるのかなって」と、まだ2人の戦いは終わっていないようだ。
しかし、与座は「仲よくしたりはないですけれど、お互いがお互いの存在があったからここまで高め合えたと思うし。ただ握手はしてくれなかったので(笑)。次、また試合をするかもしれないので負けないように強くなっておきます」と、相手の存在があったからこそ自分も強くなれたことに感謝の気持ちを持っているようだった。
一方、朝久は「純粋に情けない。プライベートでいろいろあったとか言いながらこの1年間人生で一番濃かったんじゃないかってくらい濃い1年を過ごしてきたつもりなんですけれど。ちょうど1年前にプライベートでいろいろあって、本当に勝たなくちゃいけなかったのに勝てなくて。自分の力不足です。そのプライベートを言い訳にはしたつもりはないけれど、結果的にそうなってしまって。自分を彼女にふられただの好き勝手言ってくれた人たちに、ほらねって全員を見返すつもりで頑張ってきた1年ですけれど、結果的に口だけの情けない野郎になってしまって。自分自身が情けないですね」と、自分が情けなかったの一言だという。
2度目の拳を交えた与座の印象を聞くと「本人にも伝えたけれど、自分は相変わらずクズだと思っているし、クズに変わりはないと思っている」と強めの言葉。リング上で不穏な空気が漂っていたのは、これが原因だったのだろうか。しかし、朝久は続けて「けれど、彼のおかげで人生で一番濃かったんじゃないかっていうような、本当に死とずっと向き合ってきたような1年だったので、会いこそしないですけれど感謝すべきクズですかね。クズだと思っています」と、与座同様に対戦相手として自分を高めてくれたと話した。
次は与座を追いかける番かとの質問には「追いかけるというより、そういう言い方はあまり好きじゃないけれど、情けない自分を超える、そんな日々ですかね。彼どうこうじゃないので。自分が情けない限りです」と、情けない自分を鍛え直したいとした。
試合に向けての練習のことを聞かれると「練習は…何を言っても言い訳にしかならないですけれど、会見でひと悶着あって自分は2Rくらいまでには倒せるつもりでいたし、言ったからには倒すつもりで練習していたんですけれど、手の骨が粉々になっちゃって。彼も怪我するくらいの練習をしていたと思いますし、自分は強気な発言とか本心で思っていますし、そういったはったりだけで倒せるつもりでいたのでアレですけれど。1R終わって正直イーブンかなと思って、彼の脚が壊れたのは分かったんですけれど2、3Rで痛み止めが切れたというか。倒せるつもりのパンチも打てなかったし。それが自分の力不足ですけれどね。何を言ったって結果は結果ですから。情けないです、本当に」と、手を骨折していたことを明かした。
今後については「手も手術するかもしれないし、情けない自分を鍛え直すだけなのでまた朝久泰央に期待してもらえたら嬉しいですね。朝久空手という括りで自分は見られていますけれど、全然自分のは朝久空手と言えるほどの動きも出来ていないですし、朝久泰央の未熟さが出ただけだと思っているので。またこれから、朝久空手の本当の強さは兄貴がまた見せてくれると思いますし、自分はまだ朝久空手を体現するというよりも朝久泰央として、周りの人たちに結果で返さないと何にもならないので、手の手術をすることになると思うんですけれどそれからやり直しですね」と、まずは怪我を治してやり直すと語った。