2023年3月11日(日本時間12日)に米国ネバダ州ラスベガスのバージンホテル・ラスベガス ザ・シアターにて『UFC Fight Night: Yan vs. Dvalishvili』が開催された。
プレリミナリーでは、現DEEPバンタム級王者のビクター・ヘンリーがUFC3戦目に臨んだ。
▼バンタム級 5分3R〇ビクター・ヘンリー(米国)23勝6敗(UFC2勝1敗)136lbs/61.69kg[判定3-0]※30-27, 29-28, 28-29×トニー・グレーブリー(米国)23勝9敗(UFC4勝4敗)136lbs/61.69kg
ヘンリーは、RIZINでトレント・ガーダムに一本勝ち、バンタム級に落とした金原正徳をKOするなど2連勝後、LOXFバンタム級王者となり、UFCで欠場選手の代役でオクタゴンデビューのチャンスを掴んだヘンリー。
2022年1月の初戦は実力者ハオーニ・バルセロスに判定3-0で完勝も、2戦目はハファエル・アスンソンに判定負けで1勝1敗。
対するグレーブリーはテコンドー指導者の父に習い、大学までレスリングを学ぶ。Contender Series 2019を勝ち上がり、UFCデビュー戦はブレット・ジョンズにリアネイキドチョークで一本負けもその後4勝1敗。2022年9月の前戦はジャビッド・バシャラートに判定負けでUFC4勝3敗となっている。
1R、右カーフでヘンリーをこかすグレーブリー。さらに右カーフ。ヘンリーは右前蹴りを腹に突き前に。さらに右ミドルも。「ナイス」とコーナーのジョシュ・バーネット。続けてダブルレッグに入るが、切るグレーブリーが左右で前に出ると左で差して押し込み。四つに持ち込むヘンリーにヒザを突き、右ヒジで離れる。
右前蹴り、さらに左サイドキックを腹に入れるヘンリー。右ジャブのダブルを突き、右ロー。そこに低いダブルレッグはグレーブリー。尻を着いたヘンリーは立ち上がるがそこにボディロックで崩すグレーブリー。ヘンリーはアームロックを狙う。
2R、左を振り前に出るグレーブリーだが、ヘンリーの左右連打の圧力にグレーブリーは組み。2度がぶるヘンリーは、グレーブリーの打ち返しにも押し戻し前に。組むグレーブリーをもろ差しから押し込むヘンリー。ヒザを突き、右ヒジ、腹に前蹴り。ラウンド中盤でグレーブリーはダブルレッグ! 背中を見せて立ち上がるヘンリーは正対。右ヒザをテンカオで突くヘンリーは猛攻! さらに左ヒザ。右前蹴り、ストレートにグレーブリーは後退。右アッパーのグレーブリーだが単発。ダブルレッグにヘンリーは左ヒジ連打! 一瞬動きが止まるグレーブリーはテイクダウン狙いも小手に巻いて残すヘンリーが前に出てホーン。ヘンリーが取り返したラウンド。
3R、グローブタッチ。左右を突くグレーブリーに、ヘンリーも左右前蹴り。グレーブリーも左ミドル。そしてダブルレッグに。ここも切るヘンリー。左から右アッパーをかわす。組むグレーブリーを切るヘンリー。左右から左フックを当てるグレーブリー。ヘンリーも左右から左ストレートを突く。右カーフはグレーブリー。ダブルレッグも切るヘンリーはがぶりも2Rのラッシュで疲弊か。しかし組んで右ヒザ。右ストレートをヒット! 盛り返したヘンリーは押し込み右ヒジ。
グレーブリーの組みにヘンリーは前転の足関節、ヒールフックからヒザ十字へ。ここはヒザを曲げたグレーブリーがパウンドから肩固めへ、これを後転してすぐに外したヘンリーは、シングルレッグから脇を潜ってバックに。これを外したグレーブリーに、残り10秒で押し込むヘンリー。グレーブリーが体を入れ替えホーン。タフな試合を繰り広げた両者は、試合後、互いに跪いて健闘を称え合った。
判定はスプリットに割れ、30-27, 29-28, 28-29でヘンリーが接戦をモノに。ケージの中でのダニエル・コーミエーのインタビューに「コーミエーじゃないか」と返すと、「今日は十分じゃない。もっと出来ると思った。カーディオを強化してきたんだ。前回の試合よりは実力を証明できたと思う。ハオーニ・バルセロス戦がフロックじゃないことを見せたかったんだ」と語った。
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アスンソンがグローブを置く「19年やって今が退く時」
▼バンタム級 5分3R〇デイビー・グラント(英国)15勝6敗(UFC6勝5敗)136lbs/61.69kg[3R 4分43秒 横三角絞め]×ハファエル・アスンソン(ブラジル)28勝10敗(UFC12勝7敗)136lbs/61.69kg
ベテランのアスンソンは7連勝後、T.J.ディラショーに判定負けも、その後アルジャメイン・スターリング・マルロン・モラエス、マシュー・ロペス、ロブ・フォントを相手に4連勝。
しかし、2019年2月にモラエスとの再戦で敗れると、そこから4連敗。ランキングからも外れ、前戦でビクター・ヘンリーに判定勝ちで4年ぶりの勝利を掴んでいる。
対するグラントは、2013年のTUF18準優勝。2019年からはUFC4勝2敗。2022年5月の前戦でルイス・スモルカに3R KO勝ちしている。
1R、オーソドックス構えのグラントは右カーフキック。スイッチして前足を変えるアスンソンはグラントの右前蹴りを掴んで右ストレートを入れてテイクダウウン。グラントの下からの三角絞めをかついでバックを奪うと、左足をかけてグラントの左足を伸ばしながらバック狙い。グラントは右手首のコントロールを外して正対して離れる。
ワンツーのグラントの打ち終わりに前手の右を入れるアスンソン。グラントは右カーフ。アスンソンはワンツーの右をオーバーハンドで突く、グラントは圧力をかけるとボディストレートから右ヒザに繋ぐ。組むアスンソンはヒジ打ち離れる。
2R、蹴りで圧力をかけワンツーの右をガード上に当てるグラント。右ローも。さらにワンツーを打ち込むが、それをかい潜ったアスンソンはシングルレッグへ。金網背に差し上げるグラントは突き放しスタンド勝負。右ロー。遠間から右関節蹴り、サイドキックも浅い。左ミドルを返すアスンソンだが単発。グラントは右後ろ廻し蹴りから前に。
左右フックもそこにボディロックするアスンソン。しかしグラントは左で差して凌ぐ。それを潰してアスンソンがバックを奪ったところでホーン。
3R、跳びヒザで前に出るグラント。右オーバーハンドは空振り。アスンソンは左ジャブで押し戻すが、圧力が止まらないグラントは、右フックを当ててアスンソンからダウンを奪取! そこにアスンソンはシングルレッグから両足を手繰りテイクダウウン! しかしグラントは亀から立ち上がり前に。左ボディ、右フックでアスンソンを詰めると、アスンソンはシングルレッグへ。ここでケージを掴んだグラントに「減点1」。
減点されたグラントは前に。左右を突き、右ハイ、さらに右バックヒジを当てると、崩れながらもシングルレッグに来たアスンソンに横三角絞めへ! リバースで足を三角に組み、アスンソンのボディを両手で引き寄せるとアスンソンが失神。グラントは2連勝をマークした。
試合後、グラントは「接戦だったけど、玉砕覚悟で行って絞めてスクイーズした。誰とでも戦う」とフィニッシュを語った。
リザルトコール時にオープンフィンガーグローブをマットに置いたアスンソンは、「家族やチーム、UFC、神に感謝したい。19年やってタイトルショットにたどり着けなかったのが悔やまれるけど、こまでやってこれた。いまが退くときだと感じた。家族とゆっくり過ごしたい」と引退を表明した。