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2022年5月6日(土)東京・有明アリーナで開催される『RIZIN.42』で「引退試合」に臨むことが発表された山本美憂(KRAZY BEE/SPIKE22)が、当初は最後のMMAの試合であることを公表せずに戦うつもりだったことを、榊原CEOが会見後に明かした。
早過ぎたレスリング女王で、遅れてやってきた日本女子MMAの立役者だった。
【写真】1994年5月の『第8回全日本女子レスリング選手権大会』に3年ぶりの出場を果たした山本美憂。通算6度目の全日本選手権優勝を果たした。
山本は、13歳で日本一になり、全日本4連覇を達成するなど、日本女子レスリング黎明期に軽量級の女王として君臨するも、世界選手権へは年齢制限により出場が認めらず。初めて出場した世界選手権は1991年の17歳のときで、史上最年少優勝を果たしている。オリンピックで女子レスリングが初めて正式種目になったのは、そこからさらに13年後の2004年で、アテネ五輪選考試合では3位に終わり、五輪出場は果たせなかった。
三児の母として子育てをしながら、2016年9月、42歳にしてMMA(総合格闘技)デビュー。RIZINデビュー戦でRENAとの試合を受けたことで注目を集め、日本の女子MMAの競技人口が一気に増えるきっかけとなっている。
会見で榊原信行CEOは、「山本美憂がいまの女子格闘技の歴史を引っ張ってきた。2016年6月にカナダで美憂と話をして、その3カ月後に日本でRENAと戦う。そこから13戦。彼女の日本の女子格への貢献度ってとっても大きいと思います」と、その軌跡を語った。
MMAデビューでの一本負けを含め、4戦目までは1勝3敗と辛酸を舐めたが、2018年から2019年にかけて4連勝をマーク。
2020年大みそかには王者・浜崎朱加に挑むも一本負けで戴冠ならず。以降、RENA、大島沙緒里を相手に3連敗し、48歳でMMA最後の試合に臨む。
会見で山本は、現RIZINスーパーアトム級&DEEP JEWELSストロー級王者・伊澤星花(フリー)との対戦決定の報に、「今回の試合でRIZIN MMAを本当に最後にしようと思っています。なぜなら自分はレスリングの頃から気持ちで戦ってきたので、100%自分がそこに打ち込める時でないと試合には出ないというのが自分のルールであって。レスリングの時もそうなんですが、どんなにまだまだ出来ると思っても気持ちがなかったら引退をしたり、この歳になっていきなりMMAやったり。そういう人生で。今回、MMAに対して自分が現役で戦っていく気持ちが、もう100%の情熱がないなと感じられたので今回で最後にしようと思いました」と引退を決意した理由を説明。
「最後にチャンピオンと試合が出来るって本当に私は世界一幸せなアスリートだと思っています。本当にありがとうございます。神様、家族、仲間、ファンの皆さんにありがとうと伝えたいです。試合は凄くいい試合になると思うので楽しみにしていてください」と、時折声を詰まらせ涙を堪えながら、王者との対戦を「幸せ」と語った。