MMA
レポート

【ROAD】ヤン・ジヨンが1R TKO勝ちでROAD FCトーナメント出場へ「眠っているライオンの顎に触れるな」

2023/02/27 11:02
 2023年2月25日(土)韓国コヤン体育館にて『ROAD FC 063』が開催され、RIZIN2連勝中で朝倉海との試合を熱望しているヤン・ジヨン(韓国)が出場。平澤宏樹(日本)を1R 1分47秒、TKOに下した。  前日のフェイスオフから因縁があった。  対戦相手の平澤が壇上で対峙するジヨンの前で朝倉海のお面を自身の顔の前にかざしてフェイスオフ。  平澤はその意図をSNSで「ヤン選手との試合オファーを断る日本人が多いなかで、俺が真っ先に手をあげた。ヤン選手が闘いたがっていた海選手が来れないから、日本人のバンタム級を代表してヤン選手を倒しにきた。だから、海選手の代わりにまず俺を倒してからじゃないと目標には辿りつけないってこと」と説明。  しかし、ヤンは壇上でのこの行為に怒りの表情、さらにフェイスオフで平澤が喉元に突き付けた拳に一触即発となり、主催者が両者を離す状況になっていた。  ヤンは2月初旬に、2022年7月のRIZIN沖縄大会での海による「感謝の気持ちも込めてヤンジヨン選手と復帰戦で戦わせてもらいたいです」を引用し、「韓国人であれ日本人であれ、約束を守らないのは礼儀ではない。 真のファイターなら約束を守れ」と、日本語で対戦を要求するツイートをしていたが、朝倉戦は組まれず。ROAD参戦が決まっていた。  その気持ちを揶揄するような平澤の海のお面に「相手とは緊張したけど、本番は明日」と闘志。平澤も「最初理由もなく怒ってたけど、(意図を説明したら)納得しちゃってたヤン選手。例えるなら、数年前の朝倉兄弟。この舞台で結果を出す日本人は、必ず活躍していく。次は俺が日本を盛り上げる」と、かつてROAD FCで白星を挙げて、日本のメジャー舞台にのしあがった朝倉兄弟のように逆輸入ファイターとして名を上げると意気込みを記していた。  平澤はRIZINにも出場したグラント・ボグダノフが率いるグラップラーの1人で、2022年7月のJBJJF『第10回全日本ノーギ柔術選手権』アダルト青帯フェザー級優勝。5つのフィニッシュ勝利も記録しているが、同年12月の「EXFIGHT7」では、ストライカーの鈴木崇矢(EXFIGHT)と熱闘の末、判定負けしている。試合前にはKRAZY BEEでカイル・アグォン、金原正徳、山本アーセンらとトレーニングを行ってきた。  試合は、1Rで決した。  互いの前足が触るほどの近い距離に立つ両者。リーチは平澤が優るが、ヤンはサウスポー構えだ。右の外足を取ろうとするヤンは、平澤の左ストレートを外にかわしてさばいて右クロスをカウンターで狙う。  前に出て来た平澤を右ジャブの動きで下がらせると、細かくステップを踏んで、一瞬身体を沈めてから得意の踏み込んでの左ストレート! 後方にダウンした平澤の腰を右手で抱き、左手で高速パウンド。寝技師の平澤は前転しようとするが、ラッシュにレフェリーは若干早めのストップで間に入った。  試合後、ヤンは「眠っているライオンの顎に触れないで。 第1ラウンドで勝ちました」と投稿。さらに、「ケージに入るときは、相手を殺すという目標で上がる、試合が終わった時はお互いを尊重し、認め合う普遍的な武道の姿です。 勝ち負けじゃなくて、命懸けで戦っている選手たちに大きな拍手を送ってください。対戦相手に感謝とリスペクトです」と記している。  また、平澤も「まだ試合は終わってないと思ってます。ダウンしてから逆転する格闘技も俺のスタイルで、俺の愛する格闘技です。本物は必ず生き残る。押忍」と再起を誓っている。  この鮮烈な勝利により、ヤンは今年開催のROAD FC 63kg級トーナメント参加が決定的となり、RIZINでの朝倉海戦の実現は難しい状況だ。  ROAD FCのジョン・ムンホン代表はこれまで、8選手による63kgトーナメントの概要を、大晦日RIZINでフアン・アーチュレッタと激闘を繰り広げたキム・スーチョルとムン・ジェフンが出場すると明言。ヤンは試合後、ムン・ジェフンとのトーナメント1回戦での対戦をアピールしている。  本誌現地記者によれば、スーチョルと1勝1敗でフェザー級王座から陥落するも、12月にパク・スンモを肩固めで下し、スーチョルが返上した王座に返り咲いたパク・ヘジンの名前も挙がっており、ここにヤン・ジヨンが加わり、韓国人4選手がほぼ決定。そのほか「日本人選手も含めた海外4選手」を入れる予定だという。  トーナメントで存在感を示し、再びRIZINに上がる韓国人選手は誰になるか。  一方、2021年12月の大晦日のRIZINバンタム級JAPANグランプリ決勝で扇久保博正に判定負けして以降、試合から遠ざかっている朝倉は、ゴールデンウイークの復帰戦を目指し、現在、米国ラスベガスのシンジケートMMAでファイトキャンプを行っている。  4月30日の『RIZIN LANDMARK 5 in YOYOGI』(代々木第一体育館・ケージ使用)と5月6日の『RIZIN.42』(有明アリーナ・リング使用)には、このバンタム級とフェザー級のトップファイターが出揃う予定で、朝倉海の対戦相手が誰になるか。RIZINは3月初旬に両大会の会見を行う予定だ。
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.335
2024年11月22日発売
年末年始の主役たちを特集。UFC世界王座に挑む朝倉海、パントージャ独占インタビュー、大晦日・鈴木千裕vs.クレベル、井上直樹、久保優太。武尊、KANA。「武の世界」でプロハースカ、石井慧も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント