ラジャダムナン・ワールド・シリーズ(RWS)2023年2月25日(土)タイ・ラジャダムナンスタジアム
▼112ポンド契約(スーパーフライ級)3分3R〇吉成名高(=名高・エイワスポーツジム)KO 3R ※左ハイキック×パタックシン・シンヴィームエタイ(タイ/前オムノーイスタジアム・スーパーフライ級王者)
ムエタイ11冠王の吉成名高(=名高・エイワスポーツジム)が、タイ・ラジャダムナンスタジアムにて開催された『ラジャダムナン・ワールド・シリーズ(RWS)』に初出場した。タイでの試合は新型コロナウイルスの影響のため約3年ぶりとなる。
RWSはラジャダムナンスタジアムがムエタイの世界的普及のために各国から選手を招聘して行っているビッグマッチで、メイン企画は各階級8人ずつのリーグ戦だが、ブアカーオ・バンチャメークがエキシビションマッチで出場するなどワンマッチも豪華なカードが組まれる。名高は今回ワンマッチに出場。
対戦相手は前オムノーイスタジアムの112ポンド(スーパーフライ級)王者パタックシン。戦績は45勝15敗。名高は赤コーナーで登場した。
1R、サウスポーの名高にパタックシンはまず右インロー、名高もすぐに右ローを蹴り返す。名高は左ミドルから左ハイ、パタックシンが左ミドルを蹴ってくるとキャッチしてコカす。蹴りのフェイントをしながらパンチを狙う名高はパタックシンが右ローを蹴ってくるとすかさず左ローを蹴り返してバランスを崩させる。左ミドルを当て、相手の蹴り返しはバックステップでかわす名高。ラウンド終了間際に名高の左ハイがかすめた。
2Rも左ハイをヒットさせる名高。前蹴りのフェイントを多用して左ストレートを放っていく。名高が右フックからのヒザに行くとパタックシンは右フック。前蹴りとジャブで相手を下がらせ、パタックシンの右ストレートは鮮やかにかわす。左ボディストレートから左フックで攻める名高は、入り込むと左ヒジを2発。名高のスピードにパタックシンは追いつけていない。
3R、名高は右へ動きながらパタックシンが前へ出てくるとテンカオを突き刺す。そして左ハイ。ジャブ、前蹴り、ローと距離をとる名高はパタックシンの右フックをバックステップでかわす。右ローを蹴っていく名高にパタックシンは近寄ろうとしてジャンプしてのパンチ。右ボディを打った名高は次の瞬間、左フックを打ってきたパタックシンへカウンターの左ハイキック一閃!
この一発が見事に決まり、はじけ飛ぶようにしてダウンするパタックシン。完全に失神し、レフェリーが即座にストップ。リングサイドにいたタイ人女性観客たちがスマホに日の丸を出して勝利を祝福する。名高はコーナーに登って勝利をアピールした。
見事なKOで勝利を飾った名高は「3年半ぶりくらいのタイでの試合だったんですけれど、雰囲気だったりとかが日本と全然違くて。相手選手からもタイで絶対に負けられないというプライドを試合中に感じました。結果的に練習していたハイキック、会長の指示通りのハイキックだったんですけれど、KOにつながることが出来て本当に嬉しく思います」と試合を振り返る。
「タイでオープンスコアっていうのが凄く新鮮で、RWSならではというか。1Rは僕がとって、そこで相手が出てきて僕が上手くいなせて2Rもとれたから、3Rは普通にポイントで勝ちきるって手段もあったんですけれど、最後は倒しきりたいというのがあって。いつもはタイでの試合の時は勝てばいいって感じなんですけれど、今日は判定で勝つのとKOで勝つのとでは周りの反応も全然違うと思うので。KOにつなげることが出来てよかったです」と、KO出来たことを喜ぶ。
フィニッシュのハイキックは「ボディを嫌がっていて。ボディは元々狙っていたんですけれど、ボディストレートがなかなか上手く当たらなくて。三日月が2~3発いいのが当たって、ちょっとお腹を嫌がっているのは感じたのでそこでボディを打った時に相手のガードが下がったのもあって。そこで会長がボディのフェイントからハイを蹴れって言ったのが聞こえて、それ聞こえた次にやったら当たったんです。絶対に終わるだろうと思いました。凄い感触だったので」と、セコンドの指示通りに動いたからだという。
今後については「もちろん日本で勝つのも嬉しいですけれど、本場で現地の選手に勝つのはより嬉しさをムエタイをやっている選手は感じるので、これからも日本でも試合をやりたいですし、タイでもこうしてやっていきたいと思います」と、日本とタイの両国で活躍していきたいと語った。
そして「今回強い相手と勝てるかどうか不安はあったんですけれど、日本で応援してくれる皆様のコメントを見て元気をもらいましたし、これからも僕はムエタイに誇りを持ってやっていきたいと思っているのでこれからも応援してください」と日本のファンへメッセージを送った。