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2023年2月25日(土)にタイのルンピニースタジアムで開催される『ONE Fight Night 7』のメインイベント「ONE世界バンタム級王座決定戦」で、ファブリシオ・アンドラージ(ブラジル)と対戦するジョン・リネカー(ブラジル)。UFC以前の2011年9月の「Jungle Fight 32」以来のリングでの試合に向け、リネカーはいかに再戦に臨むか。
両者は2022年10月の『ONE FIGHT NIGHT 3』にて対戦。当時王者だったリネカーが計量失敗により王座剥奪の上で、アンドラージが勝った場合のみ戴冠の試合で、アンドラージ優勢のなか、3R途中にアンドラージのヒザ蹴りがリネカーの下腹部に当たり、リネカーが試合続行不可能に。偶発性の下腹部攻撃によるノーコンテストとなっていた。
リネカーはUFCで12勝3敗の戦績を築くと2019年10月にONEに参戦。2022年3月に王者ビビアーノ・フェルナンデスのタイトルに挑戦し、KO勝利で新王者に輝いた。MMA戦績は35勝9敗1無効試合。
対するアンドラージは中国のクンルンファイトや武林風でキックやムエタイを戦ったストライカー。2020年7月にONE参戦から5連勝し、2021年2月には佐藤将光に判定勝利し、実力を証明した。MMA8勝2敗1無効試合。
超新星アンドラージとの5Rの再戦をリネカーはいかに戦うか。
試合は5Rあった。あの時点で完全に自分が負けていたとは思っていない
──2022年は3月にビビアーノ・フェルナンデスにKO勝ちし、10月にファブリシオ・アンドラージとノーコンテストの1勝1NCでした。どうとらえていますか。
「とても良い年だった。世界チャンピオンになるという夢が実現した。それはこれまでの人生の中で一番大きな達成だった。最終的には、(アンドラージ戦の)計量ミスでタイトルを失ってしまい、精神的に大きく動揺した。計量については以前から課題になっていたが、今回、実は体重を落とすこと自体はそれ程苦労しなかったと思っているので、些細なミスだと思っている。しかし、2022年の戦い自体は満足している。前戦では、(相手の下腹部の攻撃で)ファウルカップを壊してしまった。それで残念だったが、試合を続行することが出来なかった。でも再戦が決まり、今、私はベルトを取り戻すチャンスを手にしているので、全てが収まる場所に収まったという感じだ」
──昨年ONEで最も印象に残っていることは?
「間違いなく、一番印象深いのはビビアーノ・フェルナンデスに勝った時だ。この試合がタイトルマッチでベルトをかけた戦いだったことを忘れてしまうほど、戦いに集中していた。勝者コールをされた瞬間、マットに膝をついて感謝の気持ちを神様に伝えた。そしてチャトリ代表がベルトを私の肩にかけた時、その重さに驚いた。それで周囲に『ほら、ベルトだ!』と叫び、そこで初めて自分がチャンピオンであることを実感して喜んだんだ」
──前回のアンドラージ戦で最も学んだことは?
「とてもタフな戦いだったが、この試合から学んだことは、ミスは許されないということ。100%の集中と万全な準備が必要だ。それがあの試合から得た大きな教訓だ。ケージの中では、一切のミスは許されない」
──前戦で下腹部へのヒザ攻撃を受ける前まで、あなたが試合に負けていたという意見がある。それに対してどう考えていますか。
「映像で試合を見返したが、1Rは自分の負けだった。2Rは戦いの流れをイーブンに持ち返したが、3Rで劣勢になり始めたが、あの反則のヒザ蹴りが入った。だから、最終的にどちらが勝者になるかは、誰にも判断できないと理解している。試合は5Rあった訳だから、何があってもおかしくない状況だった。あの時点で完全に自分が負けていたとは思っていない。2Rで言えば、あのラウンドは自分が取ったと思っている。3Rも劣勢から持ち返し始めた時にあのヒザ攻撃を受けたので、やはり、残り2Rあったことも考えると、どちらが勝者だったかは言えないと思う」
──次の再戦で、あのヒザ蹴りが再び下腹部に入るリスクを恐れはしないですか。
「彼のヒザ蹴りはとても強かった。あの時はとても耐えられない程の激痛だったので、気持ち的には怖い。しかし、対策として鉄製のファールカップを入手したので、もうカップが割れることはないので大丈夫だ」
──1度アンドラージと対戦したことで、この経験が自分にとってのアドバンテージになると思いますか。
「彼の戦いにいくつか“穴”があることに気づいた。同時に彼の強さも理解したし、この経験で知り得たことは次の試合の役に立つはずだ。前回の様に多く彼の打撃を被弾することはないだろう。次戦はより視野を広げた戦略で挑むつもりだ」
──長いジャブ、カウンターのヒザがある彼のファイトスタイルを体感し、次戦では自身の戦略を変えることになりそうですね。
「試合を映像で見た。ケージの中で自分の目を通してみたものと、映像を通したものと、2つのビジョンで観察できた。私は彼にジャブをたくさん打たせ、それが私の顔に大きなダメージを与えていた。彼のパンチにそれほどのダメージを感じていなかったし、恐れてもいなかったから、ジャブを受け過ぎて、顔にかなりのアザを作ってしまったんだ。
それ以外でのダメージは、脇腹へのヒザと、下腹部へのヒザだけだ。もしあの反則技がなければ、彼は5ラウンドも私と戦わなければならなかっただろう。そして、最後まで戦争になるところだった。しかし、残念ながら、あの反則技は起こってしまった。
今は以前の2倍のトレーニングをして、この再戦に集中している。確かに、次の試合は全く違うものになるが、自分の作戦はあまり変わらない。先ほども言ったように、今回の対戦では、攻撃する時に彼の動きがある程度見えたので、再戦ではより自信を持って挑む。私の強みである打撃を活かすつもりだ」
──予想する試合展開は?
「ひたすら自分のゲームに集中しているはずだ。ノンストップで戦い続ける。私はそれを実行するためにトレーニングを行なっている。この戦いで唯一やらないことは、後ろに下がること。常に圧力をかけ続け、自分の得意な戦いに持っていくつもりだ」
──2023年の目標は?
「もちろん、今年の目標は王座を取り戻すこと。王座は私のもの。それを取り戻すんだ。それからは王座を守る。特別ルールでのスーパーファイトやサブミッション・グラップリングの試合にも挑戦してみたい。歴史を作りたい。私のキャリアにはまだまだ達成しなければならないことがたくさんあるんだ」