キックボクシング
レポート

【新日本キック】重森陽太が判定負けでラジャ王座獲得ならず、髙橋亨汰は元ルンピニーランカーをヒジで切り裂きTKOで王座獲得

2023/02/20 18:02
新日本キックボクシング協会「MAGNUM 57」2023年2月19日(日)東京・後楽園ホール ▼スペシャルメインイベント(第12試合)ラジャダムナンスタジアム認定ライト級タイトルマッチ 3分5R〇ジョーム・パランチャイ(タイ/王者)判定3-0 ※49-48×3×重森陽太(伊原道場稲城支部/WKBA世界&KNOCK OUT-REDライト級王者/挑戦者・同級10位)※ジョームがタイトル防衛に成功  重森は16歳でプロデビューし、10戦目で無敗のまま新日本キックボクシング協会の日本バンタム級王者となり、14戦目で初黒星を喫するまで無敗を保った。20歳で日本フェザー級王者となり二階級制覇を達成。2019年7月にWKBA世界ライト級王座を獲得して三階級制覇。2021年7月にはスアレック・ルークカムイから勝利を収め、KNOCK OUT-REDライト級王者にも輝いた。連勝街道を突き進んでいたが、2021年12月のシュートボクシングで笠原弘希に試合終了間際のバックドロップでシュートポイントを奪われて判定負け。2022年3月は大谷翔司に判定2-0で勝利するも、5月はテーパプットとドロー、7月には真吾 YAMATOにTKO負けと不調が続いた。しかし、10月にキヨソンセンに判定で完勝し、今回大一番を迎えることに。  ラジャダムナンスタジアム認定ライト級王者ジョームは、有名選手を多く抱える名門ジム所属。身長173cmでオーソドックス。スタイルは「クロップクルアン」とタイ語で言われるオールラウンダータイプだ。一昨年まではスーパーバンタム級からフェザー級で戦っており、2022年からライト級で戦っている。戦績は68勝16敗1分。  昨年は4戦して全勝、6月26日に王者ゴントラニー・ソー・ソムマーイとラジャダムナンでライト級のタイトルマッチをして、判定3-0(48-49×3)で勝利して王座に就いた。ゴントラニーはスター選手でパランマイ系の選手。今年の3月に空位だった王座を同じく有名選手のギンサーンレックに勝って新王座に就いたが、たった3カ月での陥落となった。ゴントラニーとは11月20日に7チャンネルTVマッチで再戦し、判定で返り討ちにしている。  パランチャイジムはギアットペット系で、7チャンネルやルンピニーを主戦場にしていたが、現在はルンピニーと別れて毎週日曜に7chとラジャダムナンで興行を開催。そこでタイトルマッチを行い(契約体重は規定より1ポンド軽い134ポンド)王者となったため、パランチャイジムで初めてのラジャダムナン王者となったわけだ。  1Rは探り合い。互いに遠い間合いから蹴りを出し合う中、重森は強い右ロー、右ミドルも当てていく。パランチャイも同じようにキックを返すが飛び込んでのヒジも見せる。  2R、重森は前蹴りをボディ、太ももへと刺して相手を突き放しながら、左ミドルを蹴り込んでいく。しかしパランチャイは徐々にプレッシャーを強めパンチの距離まで詰めてくると右ストレート、そして左のボディストレートを当てる。距離が詰まって首相撲になるが、組みでは互いに崩されず譲らない。  3Rになると蹴りの重森、パンチのパランチャイの構図が鮮明になってくる。左ミドルを中心に、ロー、ハイも蹴っていく重森だがパランチャイの圧が強く下がらされる場面が多くなる。ドンという音が響く強烈な左ボディストレートを何度も当てるパランチャイ。重森は後半になるとそのボディストレートへ合わせるヒザのカウンターを狙う。  4R、重森は突きさすように強い前蹴りを放つがパランチャイはこのラウンドも怯まず前に出てくる。左ボディから右フック、右ボディから左ストレートと対角線のコンビネーションも混ぜて攻めてくるパランチャイ。重森もパンチで撃ち合うが、パランチャイの右で顔が跳ね上がる。  5R、観客からの大応援コールに押されて前に出る重森は左右のローにハイ。パランチャイは詰めてパンチを振り、距離が無くなると首相撲へと変化する。終盤になるとパランチャイは勝ちを確信したか距離を取って下がる。最後は数秒を残し、互いに手を挙げて勝利をアピールし試合終了。  判定は、ジャッジ3人が49-48と1点差ながら、距離を潰してパンチでプレッシャーをかけ続けた王者を支持。パランチャイが、僅差ながら日本人10人目となるラジャ王座奪取の悲願を阻んだ。 [nextpage] ▼メインイベント(第11試合)WKBA世界62kg王座決定戦 3分5R延長1R〇髙橋亨汰(伊原道場本部/新日本ライト級王者)TKO 2R 0分39秒 ※ヒジによるカット×ラット(タイ/シッムンチャイジム/元ルンピニースタジアム認定フェザー級6位)※髙橋が新王座に就く。  髙橋は極真空手出身で、兄は極真会館第12回全世界空手道選手権大会4位の高橋佑汰。2015年10月にキックボクシングデビューし、多彩な蹴り技で2019年7月に日本ライト級王座に就いた。2020年9月にNJKFライト級2位・野津良太に初回TKO勝ち、10月にはベテランの健太を判定2-0で破る金星、2021年4月にWBCムエタイ日本スーパーフェザー級王者・山浦俊一に判定勝ち、6月と10月はTENKAICHIスーパーライト級歴代王者にそれぞれKO勝ちと、他団体の王者・ランカーを撃破している。2022年5月には1月に無効試合となっていた古村匡平との再戦で勝利し、7月にもポッシブルKをTKO撃破。10月には吉田凛汰朗をKOで沈めており、ひとつの引き分けを挟んで16連勝中。戦績は28勝(14KO)3敗2分1無効試合。  対するラットは元ルンピニーフェザー級6位で71戦51勝20敗。39歳のかなりのベテランながら2022年10月には木下竜輔を相手にヒジで切り裂いてTKO勝利を収めている。  1R、強い右ローはラット。髙橋も強い左ミドルを返すと、軸足を刈るような左ローでラットを転倒させる。サウスポーの髙橋は左ミドル、左ストレートで攻め込んでいくと、前手を伸ばして距離を取ろうとするラットの中へ入り込み左アッパーでダウンを奪う、ふらつきながら立ったラットだが、再開となるとパンチを振って勝負に出る。するとラットのフックが当たり髙橋の腰がガクンと落ちる。ラウンド採点は三者とも10-8で髙橋  2R、逆転を狙って前に出るラットに髙橋も呼応し、序盤から激しい打ち合いとなる。思い切りワンツー、ヒジを振ってくるラットだが髙橋も打ち返し、距離が詰まったところで左の縦ヒジを叩き込むとこれでラットが2度目のダウン。何とか立ち上がるも頭部からおびただしい出血がありドクターチェック。続行は不可能となり、髙橋が見事なTKO勝利でベルトを手にした。 [nextpage] ▼第10試合 WKBA日本バンタム級王座決定戦 3分5R〇志賀将大(エスジム)判定3-0 ※50-46×2、50-45×No-Ri-(ワイルドシーサーコザ)※志賀が王座に就く。  NJKFバンタム級王者で、13勝(4KO)3敗2分の戦績を持つ志賀と、沖縄出身、15勝(2KO)11敗1分のNo-Ri-で争われるWKBA日本バンタム級タイトルマッチ。  本来は王者である佐野佑馬が志賀を挑戦者に行う予定だったが、佐野がケガによる欠場に伴いベルトを返上。王座決定戦が行われることとなった。  1R、ローの蹴り合いから志賀が右ミドルがヒット。No-Ri-は志賀のミドルに左フックを合わせに行く。ワンツー、ハイキックを出すNo-Ri-に対し志賀はミドルと首相撲で組み立てる。  2R、バックキック、バックハンドブローやスーパーマンパンチなどトリッキーな攻撃を見せるNo-Ri-に対し志賀は変わらずミドル中心、左、右と両方で蹴り、近づいては首相撲。  3Rから志賀が首相撲で攻勢に出る。組み付かれると背を向けて逃げようとするNo-Ri-を捕まえたまま、背後からボディへヒザ、そして頭を下げさせて頭部へもヒザを放っていく。  4Rになると志賀は徹底して首相撲で攻めていく。毎回背を向けてしまうNo-Ri-へヒザの連打を浴びせる。No-Ri-はブレイクとなると左右のフックや飛びヒザも見せるが組まれると逃げるしかない。  5R、逆転を狙って前に出るNo-Ri-は思い切りワンツーを振っていくが、志賀は離れてはミドル、近づいては首相撲で追撃を許さない。終盤は足払いのようなローキックでNo-Ri-をコカし志賀が優位のまま試合を終えた。判定はジャッジ2者が50-46、1者が50-45と大差で志賀に軍配。盤石の試合運びで、NJKF王者でもある志賀が2本目のベルトを手に入れた。 [nextpage] ▼第9試合 57kg契約 3分3R×木下竜輔(伊原道場本部)KO 2R 3分00秒 ※右ストレート〇湯本剣二郎(Kick Life) [nextpage] ▼第8試合 58.5kg契約 3分3R〇ジョニー・オリベイラ(トーエルジム)判定3-0 ※30-29×2、29-28×国崇(拳之会/WKAムエタイ世界フェザー級王者)  ブラジル出身で今回が60戦目となるオリベイラは45歳のベテランながら筋骨隆々の肉体を持ち、2022年10月の前戦では仁琉丸を相手に判定勝利を挙げている。  対する国崇は小学生で少林寺拳法を学び、グローブ空手に転向。2000年7月にNJKFでプロデビューした。2003年7月にNKBバンタム級王座を獲得すると、NJKFバンタム&フェザー級王座、WBCムエタイ日本統一スーパーバンタム級王座、WBCムエタイ・インターナショナル同級王座、ISKAムエタイ世界フェザー級王者、WKAムエタイ世界フェザー級王座など合計7本ものベルトを獲得。また、ムエタイの二大殿堂であるラジャダムナンスタジアムとルンピニースタジアムでそれぞれランキング入りを果たし、両スタジアムのタイトルに挑戦したこともある。2021年4月には地元・岡山にて100戦目を達成したキック界の鉄人。  1R、ゆったりした構えで少しずつ距離を詰めていく国崇に対し、オリベイラは前蹴りとローキックで距離を取る。国崇は近距離から左ボディ、返しの右ローを当てていくが、オリベイラはローに合わせて右ストレート、さらに右ハイを蹴る。  2R、オリベイラがストレートを中心に前へ出る。国崇もジャブを突き、左フックで応戦するがオリベイラが右ストレート、右ハイを当て、さらに左右のストレートを何度も当てる。  3R、このラウンドもハイキックとストレートのオリベイラ、国崇はジャブに加えヒジも振るっていくが手数が出ない。後半になるとオリベイラは逃げ切り体勢に入ったか組み付きを多用。国崇は前に出てヒジを出していくが捉えることはできず試合終了。判定は3-0でオリベイラ。2ラウンドに効果的な打撃を当てたオリベイラがベテラン対決を制した。 [nextpage] ▼第7試合 58.5kg契約 3分3R×仁琉丸(富山ウルブズスクワッド道場)TKO 1R 2分18秒 ※右ストレート〇小林勇人(伊原道場本部) ▼第6試合 エキシビションマッチマルコ(伊原道場本部)勝敗無し 斗吾(伊原道場本部)※江原陸人がケガにより欠場のため斗吾とのエキシビションマッチに変更 ▼第5試合 スーパーライト級(ヒジなし)3分2R×勇生(富山ウルブズスクワッド道場)不戦勝 ※勇生がケガで欠場のため〇山田青空(GOD SIDE GYM)▼第4試合 女子51kg契約 2分3R×オンドラム(伊原道場本部)判定3-0 ※30-27×2、30-26〇青木 繭(SHINE沖縄) ▼第3試合 フェザー級 3分2R〇呉 嘉浩(伊原道場本部)判定3-0 19-18×2×古山和樹(エスジム) ▼第2試合 女子34kg契約 1分30秒2R アマチュアルール(首相撲あり、顔面ヒザ・ヒジなし)△西田永愛(伊原道場本部)ドロー 判定1-1 ※20-19、19-19、19-20△菊池柚葉(笹羅ジム) ▼第1試合 52kg契約 3分2R〇渡邊匠成(伊原道場本部)判定3-0 ※20-19×3×今吉勇樹(K-style GYM)
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