「朝倉兄弟。アジアで誰が最も強い兄弟か、まずは彼らと一番最初に競い合いたい」
3R目も中村に「減点1」のコール後、スタート。グローブタッチ。ノーガードでフェイントをいれつつ近づき、ミンウの右にカウンターの右を狙う中村。さらに左ジャブも、回るミンウは左ミドルを返す。左ジャブのミンウに右ボディストレートを突く中村。左ミドルハイから右ストレートへ。ブロッキングするミンウはすぐに右の打ち返しへ。これは読んでいる中村。右ローを2発のミンウ。
詰めて右のテンカオを突く中村だが、再び右ストレートを被弾。それでも詰める中村に、ミンウは後退して距離を取る。ワンツーを打ち込むミンウ。中村はスウェイでかわすと、両腕を降ろしたまま頭と肩を小刻みに揺らせてフェイントで詰めて、ガード上にワンツースリーフォーの4連打から首相撲ヒザと繋ぐ。
振りほどくミンウに遠間から右手を後ろ頭にかけてカニ挟みを狙う中村だが、ミンウは右足が外にかけさせず潰すと、すぐさまバックへ。シングルバックから仰向けにさせて両足をかけたミンウは完全バック。亀まで戻す中村に1、2Rと同様バックマウントを奪取しパウンド。仰向けにさせてボディトライアングルに足を組むと同時に左腕を喉下に。アゴ上から絞めて後ろ頭で組むと、その手を剥がそうとする中村の腕の力が抜けて失神!
すぐに腕を解いたミンウは、中村の足を上げて中村の気を戻すと、中村にハグ。気がついた中村は、上体を起こし、「ソーリー」と300gの体重超過を詫び、「ベリー・ストロング」とミンウを讃えた。「全然、覚えていない」という中村を抱き起こしたミンウはあらためてハグ。
3R 4分39秒、キム・ミンウがリアネイキドチョークでの一本勝ち。
勝ち名乗り後、コリアンモアイは「当初のプランは打撃で終わらせようと思っていたんですけど、相手がグラップリングが上手くて。1R目にグラウンドを混ぜてみたら、私のグラウンドの方がより強いなと思って。中村選手は、ベテランであることを感じたし、明らかにダメージがあるにもかかわらず平気な表情で、ずっとカウンター狙ってるのがすごかったです。難しい試合でした」と中村を讃えると、「復帰戦がうまくいったようで、すごく嬉しいです。兄と私が同時に出場して勝利を収めたから、人生で一番嬉しい日です」と笑顔を見せた。
セコンドのジョンフンも「兄弟で復帰戦だったので、緊張しすぎて集中できなかったんですけど、今、弟が勝つ瞬間を見て、胸が熱くなります」とコメント。
そして、キム・ミンウはケージのなかで、「日本の団体に、すごく有望なスターがいるんですよ、朝倉兄弟。アジアで誰が最も強い兄弟か、まずは彼らと一番最初に競い合いたいです」と、バンタムとフェザーで連勝したキム兄弟は、朝倉兄弟に「アジア最強兄弟」を賭けて戦いたいとした。
続けて、失神一本負けした中村にもマイクが手渡され、「何よりも20年やってきて初めて体重をオーバーしてしまい、ほんとうに申し訳ありませんでした。それでも試合を受けてくれてありがとうございました。結構、自信があったんですけど、何も出来ないくらい強かったんで、ほんとうに世界レベルの選手で、すごいいい経験になったと思うし、自分はまだまだこれから強くなれると思っているので、このくらいのレベルを目指してまだまだ強くなります。すごいいい大会で盛り上がっていると思うので、日本でも韓国でも格闘技がもっと盛り上がるといいと思います。カムサハムニダ」と挨拶。
バックステージでも、「(ミンウは)ROAD TO UFCで優勝候補と聞いていて、彼を相手に3Rのコンディションを作れなかった──それを抜きにしてもこういう強い選手と出来て嬉しいです。単純に強かった。打撃も組みも。でも日本以外で試合をするのはいい経験になります」と試合を振り返った。
2勝2敗と五分に戻された佐伯繁DEEP代表は、「やっぱりキム兄弟は強かった。中村大介の負けはショック。キム・ミンウ以外の選手だったら勝てると思います。フェザー級はミンウより強い選手がいっぱいいますから。日本で敵討ちをします。これで2勝2敗。次ですべてを賭けます。ブラックは3勝2敗で勝つつもりでこの試合順を組んだと思うけど、そうはさせない」と、険しい表情で語った。
メインでは、赤沢幸典(Tristar Gym 日本館/Team Cloud・3勝5敗)が、チェ・ウォンジュン(MMA Story・5勝5敗)と対戦する無差別級戦が残されている。最後に勝ち越すのは、DEEPかBLACK COMBATか。