2022年12月31日(土)さいたまスーパーアリーナで開催された『RIZIN.40』の「スーパーアトム級(49kg)ワールドGP決勝戦で、現RIZIN女子スーパーアトム級&DEEP JEWELSストロー級王者の伊澤星花(フリー)と、パク・シウ(韓国/KRAZY BEE)が5分3Rで対戦。伊澤がパクに判定2-1で勝利し、GP優勝を果たした。
2021年10月の「DEEP 104 IMPACT」以来の再戦となった、今回の大晦日の決勝戦。
試合は、初回にスタンドバックを奪った伊澤に対して、パクはコーナー背にして凌ぐと、伊澤はスタンドでの「4の字ロック」で「思ったより足がパンパンになってキツかった」と足を消耗。
2Rは、パクが右ストレートをヒット。さらにアナコンダチョークとがぶりで攻勢に。伊澤もスタンドバックを奪うも両者、極めには至らず。
最終回は、パクの打撃の圧力に伊澤が下になる展開が増え、ギロチンチョークで跳びつくもパクは頭を下げずに極めさせず。前方に伊澤を落とすと踏みつけ、鉄槌連打で攻勢に立つも、伊澤のストレートフットロックで反撃。足を抜いたパクがフットスタンプで飛び込み、ゴングが鳴らされた。
互いに極めの姿勢に入るもニアフィニッシュはなく、打撃ではパクが優勢もダメージは見えず。コントロールの部分でバックを奪った伊澤に対し、上からコントロールのパクという展開のなか、判定はスプリットで伊澤が辛勝した。
1年2カ月ぶりの再戦を制した伊澤は、リング上で「パク・シウ選手、ほんとうに強くて、すごく怖かったです。ほんとうに強くなれるように頑張ります」と声をあげて号泣。
対するパクは「皆さん、こんにちは、パク・シウです」と、涙を流しながら日本語で話すと、続けて「今日は韓国語で話します。今日のために応援してくれた皆さんありがとうございます。努力しましたが、何も見せることが出来なくて申し訳ありません……また頑張って戻ってきます」と、言葉を詰まらせながら、挨拶した。
試合後のバックステージで、伊澤は「やっているときにすごいパク・シウ選手の強い気持ち感じて、“怖いな”と思った」「まだ自分は9戦しかしていないので、もっと強い海外の選手とか日本人とかと、望まれるような試合を強い選手とやっていけたらいいと思います」と今後について展望。
接戦の判定を掴み損ねたものの、急成長を遂げたパクは「RIZINルールでは、自分は勝ったと思った。自分のほうが打撃が強く、相手にダメージを与えたと思いました」と悔しい思いを吐露した。
試合後の両者の一問一答の全文は、以下の通りだ。
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伊澤星花「みんなに『世界一強いのは伊澤星花だ』と認められるような選手になりたい」
──スーパーアトム級(49.0kg)GP制覇おめでとうございます。
「優勝できてホッとしていますね」
──最終回にパク選手のフットスタンプがかなりありました。伊澤選手の意識が飛んだのではないかと思う場面がありましたが?
「3R目の最後、立ってフロントチョークをしている時に、小指がこう、ガッてなったときにオープンフィンガーグローブが外れちゃって。それを審判の方に『外れちゃいました』と言っているときに、めっちゃこう、(打って)近づいてきたので、『うわ、めっちゃ来る』と思って、足関節取らなきゃ! と思って足関節を取っていたので、意識はちゃんとありました」
──そういう合図を審判にしている時に攻撃が?
「そうですね。“めっちゃ来る!”と思って」
──ダメージは問題ありませんでしたか。
「その時に青あざが出来てしまったのですが、全然頭とかへのダメージは無かったです」
──今回GP決勝での再戦という形で、1年ぶりに手を合わせてみて、パク選手の印象の変化はいかがですか?
「とくに変わっているなという部分はなかったのですけど、やっぱりもともと腰が強くて、そこがそのままレベルが上がったのかなと思います」
──投げられた場面もパワーが上がったと感じましたか。
「そうですね、やっぱりフィジカルすごい強かったです」
──スプリットに割れた2-1の判定については?
「一番大きいのは、最後の踏みつけ、パウンドをまとめられたところなのかなと思います」
──終わった後に流していた涙はどのような気持ちから?
「やっているときにすごいパク・シウ選手の強い気持ち感じて、“怖いな”と思っていたので、そこから解放されて、試合終わった安心感とかで涙が出てきました」
──今までで一番しんどい試合に見えました。ご自身ではいかがですか。
「1R目に、四の字組んだ時に思ったより足がパンパンになっちゃって、そこからずっとしんどい試合で、ずっとキツかったです」
──そのキツい試合を乗り越えられた要因とは?
「やっぱりいつもK-Clannで、キツい走り込みや追い込みをしているので、そこでキツいところでも頑張るという気持ちがついているからだと思います」
──前回と比べてパク選手の成長は感じられましたか。
「前回やった時と強さ的には同じだったので、自分もそこまで成長できていないのかなというような気持ちのほうが大きいですね」
──自ら提案したGPを優勝したことについて思いは?
「しっかり『やりたい』って言った責任は果たせたのかなと思います」
──現王者でGPも制覇しました、今後の展望を。
「まだまだ自分は8、9戦(9勝無敗)くらいしかしていないので、もっともっと強くなりたいです。なのでこれからもっともっと強い海外の選手とか日本人とか海外の選手とか、望まれるような試合を強い選手とやっていけたらいいと思います」
──2021年の時点では「GP優勝」が目標でした。それを制覇した今、ファイターとして「こんな風になりたい」「こんなことやってみたい」「こんな試合を組んでほしい」といった野望は?
「もちろん私は世界一になりたいと思っているのですけど、階級とか団体とかまだ定まっていないので、どんどん強い選手とやって実力をつけてからどこかの団体で。いまはRIZINをもっと盛り上げていって、みんなに『世界一強いのは伊澤星花だ』と認められるような選手になりたいと思っています」
──来年、海外で試合をしたいという持ちもありますか。
「試合が組まれるなら、どこでも誰とでもやりたいと思っています」
──現Invicta FCアトム級(47.6kg)チャンピオンのジュリアン・デェコーシー選手が、2023年の抱負として「伊澤選手と戦いたい」とツイートしていますが、興味がありますか?(※12月28日に、マイケル・ビスピンの「2023年に起こるべき試合」というツイートに対して引用リツイートで「DeCoursey vs Izawa」とツイートしている)興味がありますか?)
「組まれたらやってもいいかなと思います」
──賞金700万円を手にしました。どのように使いますか。
「COROさんといい結婚式をあげたいと思います」
──賞金額から考えるとかなり豪華な結婚式を挙げられると思いますが、プランは決まっていますか?
「無いですけど。COROさんも試合があって自分も試合があるので、試合がないタイミングでしたいと思います……あるかな? 暗いところで、イルミネーションみたいな、星の結婚式がしたいです」
──その時ベルトは?
「持ってます!」
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パク・シウ「チームのみんなは『勝った試合だった』と励ましてくれました」
──試合後の率直な感想をお聞かせいただけますか。
「今回、私が試合して、(判定で)点数が思ったより全然つかなかったので、とても心の苦しい夜になりました」
──判定の結果に納得しない部分があったということですか?
「(ダメージ優先の)RIZINのルールだったため、自分は勝ったのではないかと思ったのですが、ルールはルールなので、負けは負けです」
──1年ぶりの再戦で、伊澤選手に変わった部分はありましたか?
「大きくは感じなかったのですが、ひとつだけ、打撃の強さに対して、そこは練習を重ねたのでは、という感想です」
──今回はどのようなプランで試合に挑もうと思ったのでしょうか。
「プランはいろいろあったのですけれど、うまくいかなかったです」
──試合を終えて、今後の目標・展望があったら教えてください。
「今のところは、何も考えていません」
──ご自身は、どの部分で判定を取られてしまったと思いますか?
「コントロール時間が結構長かったですが、その時間は自分にとってはディフェンスしている時間だったということになるのですけれども、そこを取られてしまったと思います」
──逆に自分についたのは、どの部分が評価されたと思っていますか?
「自分のほうが打撃が強く、相手にダメージを与えたと思っています。3R目は自分が打撃でダメージを与えていたと思うので……そのほかに関してはよく分かりません」
──試合後、チームメイトとはどういう話をされましたか。
「チームのみんなは『勝った試合だった』と私を励ましてくれました。『大丈夫だよ、次頑張ろう』という言葉をもらいました」