7月21日(日)、東京・新木場スタジオコーストで開催される「PANCRASE 307」にて、ストロー級キング・オブ・パンクラス・タイトルマッチに臨む王者・砂辺光久(reversaL Gym OKINAWA CROSS×LINE)と、挑戦者・北方大地(パンクラス大阪 稲垣組/1位)が4日、PANCRASE事務所にて調印式&会見を行った。
2015年11月にストロー級キング・オブ・パンクラス決定戦で阿部博之を判定で破り、初代ストロー級王者となった砂辺光久は3度目の防衛戦。
一度目は、2016年12月に北方大地を相手に初防衛戦に臨み、2R、リアネイキドチョークで砂辺が一本勝ち。2度目は2018年4月に室伏シンヤのギロチンを砂辺が喉輪を極めたままスラムしパウンド勝利。そして、今回、再び北方を挑戦者に迎え、防衛戦に臨む。
39歳の砂辺はPANCRASEでは8年にわたり無敗記録を更新中。しかし、2018年9月のRIZINでDEEPストロー級王者の越智晴雄にKO負けを喫しており、今回が再起戦となる。
対する28歳の北方は、2016年12月の砂辺戦以降、八田亮にギロチンで一本勝ち、ダニエル・パックマンに判定勝ち、井島裕彰にリアネイキドチョークで一本勝ち、そして2019年4月の曹竜也との再戦にしてストロー級王座次期挑戦者決定戦で判定勝利し、今回の砂辺との再戦にこぎつけた。
2年8カ月ぶりの再戦に向け、両者は何を語ったか。廣瀬隆司コミッショナーが「2人のPANCRASE愛の戦いだと感じる」というストロー級王座戦。最後にベルトを巻くのは、砂辺光久か北方大地か。
砂辺光久「ちゃんと差をつけたい」vs 北方大地「腹をくくってやってきた。自信もついてきている」
──まずは両選手から試合に向けての意気込みを。
北方 尊敬するチャンピオン、砂辺選手からベルトを奪って、新しい時代を作り上げたいと思います。
砂辺 まだ、俺の方がベルトが似合うじゃないかなと思うので……、もう10年なんですよ、このベルトを持って。調印式を何回やるんだ? っていう。最高のチャレンジャーだと思います。
──3年前の前回の試合からどう変化したか、教えてください。
北方 全体的に、心技体全てパワーアップして、もう1回、挑戦するところまで上り詰めたと思います。
砂辺 変わっていないですね。
──それは落ちてもいない、ということですね。
砂辺 もちろん、それは。言うたら同じことになります。心技体全てにおいて(変わっていない)。
──最近の試合を見て、互いの印象を。
北方 室伏(シンヤ)と砂辺選手の試合は、個人的に「砂辺選手勝ってくれ」と思っていたので、自分が倒してベルトを獲りたいのは砂辺選手だったので、KOを見た瞬間にホッとしました。RIZINの試合(越智晴雄)は、キックルールやRIZIN初めてのストロー級の試合も含めて、チャレンジされてるなと。(そういう)任せてる状態を(自分が)不甲斐無いなと感じてした。勝敗は関係ないです。頑張ってPANCRASEを背負ってもらっているな、という印象でした。
砂辺 曹竜也との試合(4月の王座挑戦者決定戦)は勝つだろうなと。その前も4連勝ですか? 自分に負けてからは絶対に負けないだろうなと思って見ていて、やっぱりかと。どの試合にも圧勝して、穴が無いというか。俺が北方選手とやった時は1R目は負けてるんで、2R目に勝っているというだけであって、強いなって。
──「再戦」であるということについて。
北方 周囲が思う以上に、何も無いんですよね。それは、負けてから自分が成長することにひたすら集中して、格闘技に向き合ってきたので。自分でももうちょっと(再戦が決まって)力むかなと、再戦を意識するかなと思っていたんですけど、想像以上になかったです。
砂辺 あの時も今回も最高の最強のチャレンジャーです。前回(北方は)負けた後すぐに“もう1回やってやろう”と思ったと思うんですよ。1ラウンド目は(自分が)取られているし。弱いところを見せているので。今回に関しては、(北方に)「もうちょっとしばらく俺には無理だわ」と思わせるくらいに勝たないといけない。「砂辺がチャンピオンの間はPANCRASEのベルトは無理だわ」と思わせるぐらいに。前回の試合は「もう1回やったらわからんぞ」と周りも思っていたと思うし、本人も手ごたえを感じていたと思うので、ちゃんと差をつけたいかなと。
──ONE Championshipの10月13日の両国大会で、PANCRASEと修斗の王者対抗戦が組まれると発表されたのを聞いて、どう感じていますか?
北方 ONEで修斗のチャンピオンと戦えば、シンプルに格闘技界が盛り上がっているから、そこで試合ができるのは嬉しいです。想い入れや誰かとやりたいというわけではありません。周りが盛り上がる中で試合できるのは嬉しいな、という感じです。
砂辺 ONEについては、パートナーシップ締結の件についても寝耳に水だったので。チャンピオン対決に関しても、やりたい人がやったらいいと思います。それこそ(フライ級王者の)仙三選手が「やりたい」と言っているので、それで別にいいと思いますし。
──どちらかと言うと、RIZINで越智選手と再戦したい気持ちの方が強いですか?
砂辺 そうですね。北方選手が言ったように、俺はPANCRASEを背負ってリングに上がったので。もし今回、自分が万が一、負けてしまったら(北方が)「俺が行っておけばよかったな」ときっと思うと思うんですよね。(越智と)「またやったらわからんぞ」と思わせないと。「またやっても一緒だ」と思われるような試合をしたら、PANCRASE自体がナメられるので。結果をしっかり出して「砂辺だからあっちに上れたんだ」と思わせなきゃいけない。いろいろ考えることはあります。
──前回の試合で1Rで優位に立った、その事実は北方選手に自信になっていますか?
北方 自信というほどでもないですね。タイミング的に前回の試合前の練習の段階から、勝てる自信を持って挑んでいたので。結果が出て自信を深めたというのはなくて、悔しさの方が数倍大きいです。
──砂辺選手のことを「尊敬している」というのは?
北方 まだ僕、勝ってないんで、仲良くできないんですけど、シンプルに人としてナイスガイだろうな、と思います。リングの外の活動も含めて、人として尊敬できるなと思っています。戦わなければ友人になりたいような。
いま会見だと乱闘や罵り合いとか盛り上がる人は盛り上がると思いますけど、本物じゃない感じがして。外国人の物まねをしてもしゃーないかなと思います。向こう(海外)は向こうであれで盛り上がるからいいんでしょうけど、対戦相手を尊敬するほうが、日本の格闘技らしいと思いますね。
──RIZINでの越智戦を経て、PANCRASEのマットでキングとして見せたい姿は?
砂辺 バッテン(PANCRASEのロゴマーク)の中では、俺が強いと思っているので。それをヨソに出ても証明しなきゃいけなかった。けど、できなかったんで。とりあえず今回はPANCRASEのリングというかケージの中で「やっぱ砂辺ちょっと違うな」と思わせる試合をするだけですね」
──さきほどから「砂辺がチャンピオンの間は」「やっぱり砂辺は違う」と思わせたい、という言葉がチャンピオンから出ています。トラッシュトークではなく、北方選手としては砂辺戦の敗戦後、厳しい試合を競り勝ってきたという自負はありますか?
北方 ……そうですね。厳しい試合、という感覚はあまりなかったです。そんなに自負というほどの重い感じではないですね。前回、負けたときに「うわー、悔しい」と思って。久しぶりにあんな悔しい想いをして。「どうすんねん、俺」と思ったときに、「もうリヴェンジするしかないな」とシンプルに思って、その後は対戦相手が誰が来てもブッ飛ばさなきゃいけないし、と思って、また1戦1戦、倒していくしかないな、と腹をくくってやってきた中で、対戦相手がすごく脅威だと感じながら試合をしていた感じはないです。「よし、次はコイツか、やったろ」「ヨシ、また次はコイツか」と試合をすればするほど気持ちは楽になってきました。自信もついてきているんで」