MMA
インタビュー

【RIZIN×Bellator】榊原CEO×スコット代表がともに「5戦全勝」を宣言。「米国から2名ジャッジを連れて行く。RIZINとは2大会行うことで同意している」(スコット)

2022/12/21 11:12
 2022年12月31日の『RIZIN.40』(さいたまスーパーアリーナ)で行われる「RIZIN vs. Bellator 5対5 全面対抗戦」に向け、RIZIN榊原信行CEOと、Bellatorスコット・コーカー代表が21日、世界のメディア向けのウェブ会見に出席。  ともに対抗戦の目標を「5勝0敗だ」と全勝を宣言。コーカー代表は「米国からジャッジを2名連れて行く」と本気の構えであること、さらに、両団体のクロスプロモーションが「2大会行うこと」で同意していることも明かされた。 「このイベントは完全にRIZINのルールでやりたかった。オープンフィンガーグローブもすべて。米国のBellatorでのルールにも非常に満足しているけど、今回がRIZINルールでの戦いであり、そのことに我々のファイターたちも興奮している」と、5選手を引き連れて日本に乗り込むコーカー代表は語った。 今後、両団体のベルトを賭けて戦うこともあると思う(榊原CEO) ──『ゴング格闘技』です。今回の対抗戦のジャッジの陣容はどうなりますか? スコット ジャッジシステムが異なるため、ファイターは異なる戦略で競う必要がある。そして、我々はアメリカからオフィシャルジャッジを2名連れて行く。母体としては(RIZINルールを裁く)日本のコミッション、JMOCを母体として運営はすべてやってもらうが、アメリカからの2名をそこに入れてもらう。 ──本気だ、ということですね。シンプルクエスチョンです。5対5の対抗戦は何勝が目標でしょうか? スコット 5勝0敗でいきたい。ただ格闘技、特にMMAに“絶対”はない。ひとつのキック、パンチ、テイクダウン、試合の流れが一瞬で、ひとつの間違いで変わることは珍しくない。何勝何敗は時の運だと思いますが、私としては5勝0敗。当然、サカキバラさんもそう願っているだろう。全勝を目指しているが、何が起こるか見てみよう。あとは選手たちに委ねたい。 ──榊原CEOも同じ考えでしょうか。 榊原 僕も5勝0敗で、とにかくウチのRIZINの選手たちが世界を驚かせるビッグチャンスだと思っています。ほんとうにBellatorのトップアスリートたちに5連勝しちゃえば、『RIZIN、すごいじゃん』と。サトシもクレベルもみんな、彼らの名前が一躍、世界中のMMA業界を駆け巡るので僕らにとってはビッグチャンスになると思う。RIZINにとっても、ウチの選手たちにとっても。だから、スコットには申し訳ないけれど、ここは5連勝、させていただこうかと思っています。 スコット ハハハ、いいね。その言葉、私は好きだよ。最高のファイターは最高のファイターと戦うべきだ。もちろん、個人的な事情はつきものだ。記者会見で印象に残っていることがある。AJとピットブル、フアンと堀口、彼らはこれがチームであることを理解していた。チームの一員であることを理解している。絆があった。でも、これが終われば、ライバルに戻る。でも、今のところ、彼らはチームBellatorの一員なんだ。同じようにチームRIZINにも仲間意識があるように感じる。彼らは皆、そこにいることを喜んでいるし、戦うことに興奮している。12月31日には準備が整っているだろう。 ──このクロスプロモーションは、今後も継続的に行われるのでしょうか。 スコット そうだ。サカキバラさんと私は、2つの大会について話をした。次はケージで、Bellatorルールにしなければならない。それは違うものになるだろう。アメリカでも、他の場所でも。ハワイなら楽しいと思う。31日の一戦を乗り越えれば、そこから先は大丈夫だよ。 ──ほかにも出場させたい選手が? スコット アーロン・ピコを大晦日に出場させたかったけど、彼の怪我で叶わなかった。アーロンは、個人的に日本で戦うのが好きな選手だと思う。 ──それがハワイで行われる可能性があることについて、榊原CEOはどのように考えていますか。 榊原 ハワイ? もちろんです。一過性のものではなくトップvs.トップで新しい格闘技のインダストリー(産業)になっていけば。『新しいムーブメントが起きるといいね』とスコットと言っている。トップアスリートたちを連れてアメリカに乗り込みたい。 ──ユニファイドルールでのジャッジシステムについてはどのように考えていますか。 榊原 10ポイントマストシステムについては、どちらが優れているとは言えないです。ただそれによって戦略は変わる。選手が理解してやってくれればいいと思います。 ──米国のコミッションにも変化があります。BellatorがRIZINルールの導入を望んでいますか。 スコット 米国でもBellatorでも、今のルールにとても満足している。ファイターたちは皆、(今回のルール設定や判定基準の違いを)知っているし、楽しみにしている。しかし、私は今のルールにとても満足しています [nextpage] 青木はここでメレンデスと戦った。川尻と戦うためにトムソンを送り込んだ。オーフレイムを貸し出してくれたこともある。ストライクフォースをやっているときに、サキカバラさんが助けてくれたんだ ──今後、両団体の王者たちがベルトを賭けて戦うこともあるでしょうか。 榊原 両団体のベルトを賭けて戦うこともあると思います。いろんなものがここから生まれてくる。すべての可能性はオープンだと思います。今後に期待してほしいです。アフターコロナになって、サッカーでもワールドカップを配信で見るようになった。テレビからネットで、スマートフォンで見るようになり、ビジネスチャンスは広がっている。世界に格闘技の需要が高まり、ワールドワイドなコンテンツにしていきたいと思っています。 ──このクロスプロモーションが、2023年のライト級100万ドルトーナメントにも関係してきますか。 スコット ライト級ワールドGPは2023年に開催されます。いつ開幕になるかは確約していないけど、若いスターがたくさんいる非常にエキサイティングな階級です。とても期待していいるよ。対抗戦でタイトルマッチを行わなかったのは、相手のチャンピオン(規定)に縛られたくないからだ。年末にはチャンピオン対チャンピオンの試合もできるかもしれない。でも、1年間もチャンピオンを拘束するのは難しい。タイミングが問題だ。私たちには実行すべきビジネスがあり、RIZINにも実行すべきビジネスがあると思います。 ──ところでBellatorチームに日本の堀口恭司選手が入っていることをどう感じていますか。 榊原 どういう気持ち、というか。ある意味興味深い。堀口は、日本では驚くほど人気のある選手で、メジャーリーグで松井秀喜や大谷翔平の活躍を誇りに思うように、堀口の凱旋は嬉しくもある。それは日本のファンも同じだと思います。 ──この対抗戦に出ることは、ファイターたちにとってどんなインセンティブがあると考えますか。 榊原 インセンティブというのは、お金だけじゃなく、このチームに選ばれたこと自体もインセンティブ。国やプロモーションを代表して戦うモチベーションになります。それに相応しい環境を我々がセットアップします。 スコット いくつか話をしたけど、今そのことには触れたくありません。ベッティングは1カ月前とは違う。金銭的なものにはならないが、サカキバラさんとは何かを賭けることになる。でも、まだ話したくはない。 ──このクロスプロモーションはなぜ実現したのでしょうか。 スコット 2004年から2005年に始まった関係からです。長年一緒に仕事をしてきた結果、この対抗戦が実現することになりました。それは常に簡単であるとは限りません。いくつかの衝突や傷も負いましたが、私たちは準備ができています。日本に行きます。  このイベントの話を始めたとき、私はトップ選手とB級選手、C級選手を数人ずつ派遣して、混成チームを作れないかと考えていました。サカキバラさんは、『ベストメンバーで来てほしい、トップファイター全員と戦いたいんだ』と言ってくれて、私はびっくりしたんだ。  このレベルの大晦日の大会に参加できることは本当に楽しみだし、光栄に思っている。RIZINのトップファイターやチャンピオン5人と、ウチのトップ5人を連れてくる試合だからね。このさいたまスーパーアリーナで大晦日に試合が行われるようになったのは、20年前からで、私がK-1で仕事をしていた頃も、そして2006年から2007年にかけてK-1の仕事を辞めた時も、大晦日のショーを見るために日本に帰ってきた。もし一度も行ったことがなく、見たこともないのなら、ぜひ一度見てほしい。大晦日の日本でのイベントのようなものはほかに本当にないんだ。何年も経った今、トップの仲間たちと一緒にいることができて、本当に興奮しているよ。  我々の関係は、我々がファイターを交換し合っていた時に本当に始まった。青木真也はここでギルバート・メレンデスと戦った。何年か前、川尻達也と戦うためにジョシュ・トムソンを送り込んだ。ストライクフォースをやっているときに、サキカバラさんが助けてくれたことがある。メインイベントがなかったので、サカキバラさんに『誰かを派遣してもらえないか』と頼んだら、アリスター・オーフレイムを派遣してヴィトー・ベウフォートと戦わせてくれたんだ。彼は当時、本当にストライクフォースを助けるためにわざわざ来てくれたんだ。  他のプロモーターと仕事をするには、ある程度の信頼関係が必要で、彼らが何をもたらしてくれるのかが重要だ。問題は、今後どのような関係になるのか、どのようなファイターと戦いたいのか、だと思うんだ。ファイターを危険にさらし、ブランドを危険にさらすのだからね。それでもいいと思える関係でなければ。 榊原 競争相手ですけど、長い間の信頼できる関係がスコットとはあります。MMAはどこが起源かは別として、いまのメジャーはUFCとBellator。そことコラボレーションすることが一番ワクワクします。そしてスコットも、本当にトップを集めてくれて、こっちもチャンピオンを集めようと。スコットの本気度を感じたし、ファイターたちとの交渉はナーバスになりました。  RIZINにとって7回目の大晦日で、最初からスコットには協力してもらっているし、大晦日は日本でトラディショナルなスペシャルな日。『大晦日に格闘技』は恒例になっています。シーズンピークで、規模の大きな大会が期待されている。それに応えるには余りあるラインナップになりました。 スコット 2つのプロモーションがこうして集まり、1試合や2試合だけでなく、5対5のチームマッチを行うことを考えたとき、これはオリンピックに似ている。つまり、オリンピックのように異なる階級のベストアスリート5人を連れてきて、相手もベストアスリート5人を連れてくる。  歴史的に見ると、MMAの企業が分離しているためか、それぞれの縦割りで動いているため、このようなことは起こっていない。UFCはそれをやっていない。単発の試合はあちこちでやっている。しかし、5対5でベストとベストが戦うというのは、歴史的なイベントであり、だからこそ人々は興奮しているのだと思う。ガジ・ラバダノフのチームBellatorへの抜擢についても、ハビブ・ヌルマゴメドフが『日本に送りたいファイターがいる』と言ってきたんだ。私は『もちろん』と答えたよ。 ──エメリヤーエンコ・ヒョードル選手の引退試合が、2023年2月4日(日本時間5日)、米国での『Bellator 290: Bader vs. Fedor 2』にて、ライアン・ベイダー選手と対戦することが発表されています。ヒョードル選手への想いは? 榊原 ヒョードルは一時代を築いたスーパースター。僕もアメリカに見届けに行きたいと思っています。感慨深いですね。 ──クリスマスウィークのなか、本日はありがとうございました。 スコット サンキュー。押忍! 榊原 ありがとうございました。
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