2022年12月4日(日)山口県周南市・新南陽ふれあいセンターにて、プロフェッショナル修斗公式戦山口大会「TORAO28」が開催された。
「TORAO」は今大会から、藤井惠をプロデューサーに迎え「藤井惠Produce」として女子公式戦をスタートさせた。藤井は「『関東圏だけではなく地方でも女子を更に盛り上げていこう』という事で、プロモーターの山本陽一さんと一緒に対戦カードを考えさせて頂きました」という。
今大会でも開催地の山口から和田千聖(毛利道場)、広島から若手で勢いのある古賀愛蘭と川西茉夕を藤井のBURSTから送り込み、福岡から宝珠山桃花(赤崎道場A-spirit)を招聘。そのうち第8試合で、古賀と宝珠山が49kg契約(5分2R)で対戦した。
RIZINにも参戦した21歳の古賀はMMA戦績2勝2敗。5歳から日本拳法を習い、愛知の桜丘高校在学中の2019年に全国高等学校日本拳法選手権大会女子個人戦優勝。同じ日本拳法をバックボーンに持つ中村優作からMMAを習い、2021年7月にプロMMAデビュー。
パンナコッタみのりを1R KOに下すと、竹林エルに判定勝ちで2連勝も、3戦目のRIZIN沖縄大会で強豪にっせーにスプリット判定負け。2022年4月の前戦ではパク・シウに判定負けしている。現在は、広島県福山市のBURSTへ移籍し、佐々木信治&藤井惠夫妻の指導を受けている。
BURST移籍第一戦、そして藤井惠Produceのプロ修斗公式戦初出場のケージで、日本拳法で培ったステップと倒せる打撃を武器にプロ勝ち越しを決めるか。
対する28歳の宝珠山は、MMA戦績2勝4敗1分。2019年の全日本アマチュア修斗選手権女子ストロー級(-52.2kg)で優勝。2021年5月のプロデビュー戦で柳仙香に2R TKO負けも、和田千聖に判定勝ち。2022年は1月に黒部三奈に判定負けもフィニッシュはさせず。5月に檜山美樹子にリアネイキドチョークで一本勝ち。渡邊富紀恵、KARENに敗れ、2勝4敗と黒星が先行している。
古賀はプロデビュー戦のDEEP JEWELSアトム級では47.6kgで戦っているが、続く竹林戦、にっせー戦、パクシウ戦はRIZINスーパーアトム級の49kgで戦ってきた。対する宝珠山はストロー級(52.2kg)から減量。1月の黒部戦以来の49kg台の試合となる。
【藤井惠 produce】
▼-49kg契約 5分2R△宝珠山桃花(赤崎道場A-spirit)[判定0-1ドロー] ※18-20, 19-19×2 △古賀愛蘭(BURST)
[レフェリー]片岡誠人[サブレフェリー]安芸佳孝 19-19(1R 10-9/2R 9-10)岡田剛史 18-20(1R 9-10/2R 9-10)加藤秀和 19-19(1R 10-9/2R 9-10)
佐々木と藤井がセコンドにつくなか、古賀がケージイン。向かい合うと宝珠山は古賀より大きな身体を作っている。
1R、サウスポー構えの古賀、オーソドックス構えの宝珠山。左インローから入る古賀。さらにインローも、宝珠山はワンツー。それを左にかわして右を打ち込む古賀に、宝珠山はそれをずらして受けながら右ストレート!
後方にダウンした古賀だが、押さえ込まれず左で差して立ち上がると金網に押し込み。宝珠山は右を小手に巻き、右足で古賀のヒザ裏を踵で叩く。左で差して四つで組んだ宝珠山がいったん体を入れ替えるが、回して戻す古賀が押し込みブレーク。
スタンド再開。古賀は右ボディ打ちから左フックを顔面に振るが、古賀の右に左をかぶせる宝珠山が圧力をかける。さらに宝珠山の右が長く顔面をかすめる。下がる古賀は右を振って組みに。
金網まで詰めてダブルレッグからシングルレッグに切り替えて引き出してテイクダウンも、左腕で小手に巻いたまま立ち上がる宝珠山。金網背にする宝珠山に、押し込む古賀は下から頭をアゴ下に押し付ける。左で小手に巻きながら左ヒザを古賀の腿、腰に突く宝珠山。
「アクション」の声に、古賀はダブルレッグからシングルレッグに切り替え小外がけを合わせてテイクダウン! 一瞬背中を着いた宝珠山のサイドを奪うが、すぐに金網使い上体を立てる宝珠山。ボディロックする古賀に右手で上下にこつこつパンチを打ち込む。
古賀は再びボディロック&小外で後方にテイクダウン。サイドからマウントに移行するが、宝珠山は左腕を古賀のヒザ裏に差し入れ、右で差してブリッジで持ち上げるようにスイープ! 体格差を感じさせる動きで立ち上がる。右を打ち込むのは古賀。しかし左右連打で前進は宝珠山。古賀は下がりながら左を当てるが、笑いながら金網に押し込んだ宝珠山は古賀の頭を下げさせて左ヒザを2発でブザー!
2R、左インローから先手を取る古賀。ジャブから詰める宝珠山の前進をかわして左から右、右から左のワンツーを回転速く突く。しかし、宝珠山が左もとらえるなか、左で差して金網に押し込むのは古賀。右で小手に巻く宝珠山は細かくヒザを腹、顔に突き、ブレークに。古賀に「掌底」、宝珠山のヒザに「ローブロー」の口頭注意が与えられる。
再開、詰める宝珠山の左をかわして左を打ち込む古賀。下がりながらも宝珠山の左に右をヒットさせて、宝珠山のバランスを崩す。さらにボディ打ちから顔面と打ち分け、右も突く。同じ頭の位置のまま詰める宝珠山に右を当てる古賀!
アゴを上げさせられた宝珠山はそのままダブルレッグへ。体を入れ替えた古賀が押し込み、シングルレッグに入ると、その頭を切ることから下に押し下げることに変えて凌ぐ宝珠山が古賀を剥がしに、なおも押し込む古賀の左手を小手に巻いている宝珠山は、身長差を活かして古賀の頭後ろに右手を当てて頭を下げさせて左ヒザを2発突く。
なおもシングルレッグをハイクロッチで狙う古賀だがブレーク。宝珠山の前進に、右ボディ、左フックをクリーンヒットさせる古賀! しかし宝珠山も鼻血を出しながらも下がらず間合いを詰めて右を打ち返し、古賀を金網に詰めて右をヒット!
思わず組み付く古賀にクリンチアッパー、金網背に頭を下げさせ左ヒザ。古賀が崩すも片ヒザ立ちで立ち上がりブザー。
回転速く的確な打撃を当てた古賀はテイクダウンも奪ったが、立ち上がった宝珠山は1Rにダウンを奪い、2R後半には打ち返しの右を当てている。
判定は1者が20-18で古賀を支持も、2者が19-19で、試合は1-0のドローとなった。
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試合復帰の川西が連続一本勝ち!
BURSTの川西は柔道出身。2019年8月のアマチュアDEEPで山田凛音を判定で下し、12月の大阪大会ではHIMEに47秒、リアネイキドチョークで一本勝ち。コロナ禍のなか、病院での仕事の関係で試合から離れていたが、2022年9月の修斗「FORCE16」高松大会で復帰し、檜山美樹子にキムラロックで一本勝ちしている。
対する毛利道場の和田も柔道出身。2019年12月にプロデビューし、栗山葵に判定負けも、2戦目でサウスポー構えから左ストレートで井上智子をKOに下した。しかし、その後は宝珠山、ソルト、松田亜莉紗を相手に3連敗中。
通常はアトム級の川西茉夕と、ストロー級の和田千聖による49kg契約試合。
【藤井惠 produce】
▼-49kg契約 5分2R×和田千聖(毛利道場)[1R 4分10秒 キムラロック]〇川西茉夕(BURST)
1R、サウスポー構えから左のスーパーマンパンチで飛び込む和田。かわす川西も右ミドルで押し戻す。右ジャブのダブルで前に出る和田をさばき、右ミドルを当てる川西。
その蹴り足を掴む和田だが、川西が足を抜くと左ストレート。それをかわした和田は左ヒザを突く。
金網に詰める川西はダブルレッグへ。ボディロックで大腰気味にテイクダウン! 背中を着かせてサイドを奪うと左で脇差し押さえ込み。その脇をすくったまま頭をまたいで挟むとキムラ狙い。
クラッチして防ぐ和田に、右で脇はすくったまま、いったん左手で鉄槌を落とし、再び組むとクラッチを剥がして、背中に回してキムラを極めた。
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18歳、上瀬あかりが空手&MMAで鮮烈TKO勝ち
【藤井恵produce】
▼第1試合 アマチュア修斗トライアウト 女子アトム級(-47.6㎏)3分2R〇上瀬あかり(毛利道場)[1R 0分42秒 TKO]※レフェリーストップ×本村 結(CARPE DIEM福岡)
第1試合は創設されたアトム級の47.6㎏契約。
毛利道場の上瀬は、RF武道空手中国地区大会・中学生女子の部優勝の実績を持つストライカー。MMAでは、アマチュアの修斗チャレンジ山口、ジュニア修斗等に出場。2019年の全日本ジュニアを制している。2022年8月のDEEP大阪では、こゆきを相手に払い腰からマウント、腕十字で一本勝ちしている。
本村は、田村ヒビキ率いるCARPE DIEM福岡所属。アマチュア修斗九州大会に出場後、2022年の沖縄アマチュア修斗女子アトム級で優勝。全日本大会には出場しておらず、今回のアマチュア修斗トライアウト戦でプロ修斗昇格をかけて戦う。
1R、ともにオーソドックス構え。上瀬は強い左インロー、本村の左ジャブの打ち終わりに右ストレートを当て、スナップをきかせた左ハイをヒット!
さらに右ストレートを当てて本村のアゴを上げさせると、左ミドルで前進。左の前蹴りを入れて金網に詰めると、ラッシュ。組んでくる本村を左ヒザ蹴りを腹に効かせて剥がすと、離れ際に左ハイもヒット!
本村を金網に釘付けにして左右から左中段蹴り、さらに右アッパー、左の突きから右跳びヒザを突き刺したところで、打たれ続ける本村を見たレフェリーが間に入った。
MMAの間合いで切れのある打撃を見せた上瀬に、解説の佐藤ルミナは「これ、プロでもなかなか出来る人いないですよ」と舌を巻いた。プロ昇格確定か。
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「好きな格闘家は父ちゃん」6歳の佐々木咲耶がキッズ修斗・6戦6一本勝ち!
【藤井恵produce】
▼オープニングファイト キッズ1 -20kg以下級 2分1R×山本恵愛(TEAM AGENT)[1R 1分07秒 腕十字] ※見込み一本〇佐々木咲耶(BURST)
父が佐々木信治、母が藤井惠という格闘サラブレッドの佐々木咲耶(BURST)が、キッズ修斗歴5カ月の山本恵愛(TEAM AGENT)と対戦。
顔面への打撃無しながら、安全のためにヘッドギア、ヒザあて、すねあてを着用するキッズ修斗。
開始早々にダブルレッグでテイクダウンを奪う佐々木。しっかり右で脇を差し、腰を切ってサイドを奪うと、マウントから腕十字。クラッチが切れる前に、レフェリーが見込み一本をコールした。
「好きな格闘家は父ちゃん」という佐々木は、これでキッズ修斗6戦6勝、6一本勝ちとなったが、将来の夢は「アイスクリーム屋さん」とのこと。