2022年12月3日(土)エディオンアリーナ大阪で開催された『K-1 WORLD GP 2022 JAPAN』終了後、中村拓己K-1プロデューサーが大会を総括した。
「今日の大阪大会が今年のK-1のプロ大会としては最後の大会だったんですけど、ワンデートーナメント、強豪外国人選手が来日してのスーパーファイトやワンマッチ、日本人同士のワンマッチと、K-1が今皆さんに提供できる最高のカードを準備して、それに見合う大会になったんじゃないのかなと思います」と26試合中半数の13試合がKO決着となった今大会に合格点。
初代バンタム級王座決定トーナメント決勝に関しては「石井一成選手と黒田斗真選手が勝ち上がって、いろんな選手がいる中で、二人が決勝に勝ち上がるだろうなと予想してた人が多い、そういったカードが実際に二人が力で実現させた決勝だったと思います。決勝に関しては延長までもつれて、延長もスプリット判定だったんですけど、本当に差がない試合だったかなと思います。結果は結果で、黒田選手が勝ってチャンピオンというのは変わらないですし、ルール上ないものですが、もう1R延長を見てみたいなと。それぐらい競った試合だったと思います」と、両者の差はほとんどなかったとする。
そして「黒田選手はバンタム級日本最強決定トーナメントを優勝して、THE MATCHで敗戦をして、この1年ちょっとで色んな経験をした選手だと思うんですけど、最終的にこのワンデイトーナメントでK-1チャンピオンになって。これからK-1チャンピオンとしての試合が続いていくことになりますし、ここからが彼にとって本番だと思うので、また彼がチャンピオンとしてどうなっていくのかというのを皆さんに見守っていただきたいと思います」と初代王者となった今後の黒田にも注目して欲しいとした。、
また、「石井選手も今日はベルトに手が届きませんでしたが、彼がK-1で戦うことを選んでくれたからこそ、バンタム級が盛り上がって、結果的にベルトを作ってトーナメントをやるというところまできました。今日の戦いぶりもK-1を体現してくれたと思うので、石井選手もこれから次のK-1での展開を考えていきたいと思います。池田選手・壬生狼選手も準決勝で敗退しましたが、2人の持ち味が出たトーナメントだと思いますし、外国人で言ったらヨーシラー選手ですね。今回の外国人で一番実力派で強いんじゃないかなと思ったんですけど、そのとおりの試合でした。彼もこのバンタム級の戦いの輪の中に入ってくると思思うので、ぜひヨーシラー選手も含めてバンタム級の今後の試合を考えていきたいなと思います」と、バンタム級戦線が活発化してきたとする。
セミファイナルの軍司泰斗vs.ワン・ジュングァンについては「KO決着ではなかったんですが、世界最強決定トーナメントの優勝者と3位の試合というところで、レベルの高い戦いを見せてくれたんじゃないのかなと思います。ああいった緊張感のある展開で、お互いにアグレッシブにガツガツいく。これがK-1だという試合を軍司選手とワン選手が見せてくれたんじゃないのかなと思います。特に軍司選手は去年この大阪大会でベルトを獲って、今年はスーパーファイトで勝って、世界最強決定トーナメントを優勝して、ワン・ジュングァン選手に勝ったというところでは文句なしの1年だったのではないかなと思います」と、軍司の成長ぶりを称えた。
第19試合で元Enfusion女子ストロー級王者オロール・ドス・サントスを戦意喪失に追い込んだKANAと第18試合でキリルアン・チョー.ハーパヤックをKOした金子晃大)については、「オロール・ドス・サントス選手はやりにくい相手だったと思うんですけど、ああいった相手をしっかりKOしてK-1の女子エース、チャンピオンにふさわしい試合を見せてくれたんじゃないのかなと思います。金子選手も初めてタイ人とやってやりにくい苦戦するかもなと思った相手だったんですけどしっかり倒して、試合を見ていても技術的にもどんどんレベルが上がってきてる試合だったと思います」と評した。
K-1チャンピオン以外では第17試合でイスマイル・アル・カディをKOした玖村将史の名を上げ、「相手がタフでチャンスを逃すと苦しい展開になるのかなと思ったんですけど、ボディを効かせて仕留めるのはさすがだなと思います。金子選手と玖村選手は同じ日に試合をすることが多いんですけど、スーパー・バンタム級はこの二人とコンペット選手を交えた三つ巴。金子・コンペットが少しリードしていますが、この3人がスーパー・バンタム級の主軸になってくるんだろうなと思いました」と、スーパー・バンタム級の展開も面白くなってきたとする。
さらに第16試合でマハムード・サッタリをKOしたステファン・ラテスクについて「この選手、サッタリ選手の相手を探す中、外国人選手を招聘できるというところで重量級の強い選手を呼びたいというのと、若くてこれからのK-1とか時代を担っていく選手を見たいということでラテスク選手を呼びました。僕らが思ってた以上のパフォーマンス、勝ちっぷりで非常に印象に残りました。僕らだけじゃなくて見ているファンもサッタリ選手が負けたことでラテスク何者だ、と思ったと思いますし、僕らもこういった選手が出てきたことでラテスク選手をまたK-1に呼びたいなと思います。サッタリ選手も初めてヨーロッパの強豪と戦って、いろんなことがわかったと思うのでサッタリ選手の次っていうのも考えていきたいなと思います」とラテスクの再登場を予告した。
「そのほかいろんなカードがあったんですけどそれぞれ持ち味、魅力が出た試合だったんじゃないかと思います。年内のK-1はこれが最後なので、各選手たちのダメージとか怪我の状況だったり見ながら3月12日のK’FESTAに向けてまたマッチメイクを考えていきたいなと思います」と総括した。
続いての質疑応答では、シナ・カリミアンと戦い反則決着となったカルロス・ブディオが再戦を望んでいることを聞かれ、「不完全決着だったので、そこはまた改めてリマッチのことも考えたいと思います。また同じような試合になったらしょうがないので、両陣営に話をしつつリマッチがあるのなら考えていきます」とリマッチの可能性を示唆。
不可思をKOした林健太の展望については「あの試合に関しては林選手がスーパー・ライト級に合わせた仕上がりと、戦い方がまた1年前と比べて変わったなと思いました。今日の段階では林選手がうまく不可思選手を攻略したというか、自分の持ち味を出して新しい戦い方を確立させて勝ったんじゃないかと思います。もちろんタイトル挑戦というのは林選手も考えていると思います、ただ大和選手はチャンピオンになってすぐ防衛戦をやったので、スーパー・ファイトだったり海外の選手とやるというのがいいのかなと思っています。スーパー・ライト級もまた外国人選手が入ってくると思うので、そこも含めて次の挑戦者というのは改めて考えていきたいです」と、すぐにタイトル挑戦というわけではなさそう。
最後に今年1年のK-1を振り返り、「今年はTHE MATCHがあって、武尊選手がK-1王座を返上して、K-1と契約が一旦解除になったことも含めて、2014年からやってきてひとつ区切りになった1年だったかなと思います。これからまた来年はK-1も色々変わっていくと思いますし、ここ3大会はK-1 NEXTというキャッチコピー・ハッシュタグを使って大会を盛り上げてきたんですけど、そこも今日の大会で終わりでいいかなと思います。
次が誰かとか、次の若い選手にスポットを当てるというのは3大会でしっかりやってきたと思うので、今日の戦いぶりを見ても今戦っているファイターたちみんなが今のK-1です。彼らと一緒にこれからのK-1を作っていきますし、今年経験したことを踏まえて来年もどうK-1を発展させていこうか、盛り上げていこうかを考えていきたいと思います」と新たなステージに入ったと締めくくった。