馬木樹里「しっかりとムエタイの恐い面を見せつけて倒しにいきます」
――今回、プロ7戦目にしてタイトルマッチにたどり着いたわけですが、馬木選手といえば、天才と謡われた実弟“ピンクダイヤモンド”馬木愛里選手の印象が強いです。
「憧れですし、尊敬しています」
――2歳下の弟ながら?
「格闘技に関しては、ホンマ天才で、家族を超えていちファンとして大好きです。多彩で奥深い技術もですが“闘い”に関する考え方が凄くて」
――今も一緒に練習されている?
「土日一緒に。ミットを持ってくれたり、スパーもします」
――長らくリングから離れている愛里選手ですが、今回のタイトル戦には岡山から東京へ来られますか?
「セコンドにはつかないと思いますけど、見には来てくれます」
――そんな兄・樹里選手の存在を初めて知ったのは「愛里選手に身長190cmオーバーの陸上選手をしている運動神経が半端ない兄がいるらしい」という噂で、2019年秋に岡山ジム主催興行でプロデビューの時には「大型新人が転向してきた」との認識でした。
「陸上はキックボクシングの体力作りの為にしていただけで、はじめからキックが本命だったんですよ。それが高校特待生で迎えてくれるということで陸上部入りして槍投げでしたけれど、高校三年間はそのしばりで試合には出られなかったんです」
――それは知りませんでした。勝手ながら「弟に触発されてトップアスリートの兄が遅まきの転向」かと。
「自分的には“転向”じゃなくて変えるべき本命の舞台に“帰って来た”感覚です」
――格闘技キャリアの始まりは?
「5歳からの極真空手です」
――端正なムエタイスタイルだけにそれは意外でした。
「愛里もすぐ一緒にやって、僕は、小3か小4で全国大会3位になりました。ちなみに愛里は準優勝でした」
――それがムエタイに傾倒していくのは?
「極真から闘我塾って自前の道場に移って、小4か小5で『キックもいいな』と気軽に岡山ジムにいって、タイ人の先生がおられてムエタイを知って、そのまま今に至ります」
――子供の頃に好きだった選手は?
「ブアカーオです! 空手時代から大好きでした。ムエタイ自体が好きでルンキットなんかもいいですけどダントツです」
――今も現役トップをひた走っている伝説です。
「この前(2022年10月28日)の佐藤嘉洋さんとのレジェンドマッチは、タイ合宿中で生観戦しました」
――極端な話、現在、同階級なわけで、これからスーパージャンプアップすれば対戦することもありうる?
「三浦孝太選手とのアレ(2022年8月のタイでのエキシビションマッチ)が羨ましくて。対戦だなんて畏れ多いですが、そこまでいけるようにまずはこのベルトを獲ります!」
――191cmという高身長でスーパーウェルター級(69.85kg)まで減量するのは並大抵のことではなさそうです。この契約体重は初めて?
「はい、プロデビューは84kgでしたが大丈夫です。プロとしての仕事なので」
――デビュー戦が84kgとは驚きです。
「陸上をやっていた時、筋トレにはまって筋量を増やしまくっていましたから。けど、早くから70kgをホーム階級にすることは決めていたので、着々と試合毎に契約体重を下げて、前回の試合(2022年10月2日)では71kgでした」
――このINNOVATIONスーパーウェルター級タイトルを狙って?
「はい! しかし、ここが目標ではありません。これは巻いて当然のベルトで通過点。ここで躓くわけにはいきません」
――相手の風間大輝選手は5戦4勝1敗。互いに好戦績のルーキー対決です。
「以前から風間選手の試合は見ていて『凄く良いな』『近くやる時が来るだろうな』とチェックしていました」
――具体的な印象は?
「フィジカルが強くて好戦的。何より橋本道場の選手なので特に燃えています!」
――岡山ジムと橋本道場は親交深く、馬木選手も安本晴翔選手などと仲がいいとは聞いております。
「最高の名門ジムでリスペクトしかありませんが、それだけに絶対勝ちたいです」
――そんな思い入れのある今回の試合、どう戦われますか?
「向こうは猛ファイターで典型的なキックボクシングスタイル。僕がテクニック重視のムエタイスタイルだから対極ですよね。綺麗で格好良い試合を作りますが、だからといってポイントアウトで終わらせる気はありません。しっかりとムエタイの恐い面を見せつけて倒しにいきます!」
――純キックボクシングルールのINNOVATION王座戦だけに5回戦のヒジ打ちあり、首相撲無制限です。
「ヒジ打ちありは、以前、NJKFとの対抗戦との時以来2回目で5回戦は初めてですけれど僕はムエタイですから望むところです」
――ここで勝利してINNOVATION王者となった後の展望は?
「RISEやRIZINといった大きな舞台でしっかりと名前を売りたいです」
――RISEなどの大手プロモーションは、肘打ちなしルールが主流です。
「それも全然問題ありません。(ムエタイからK-1で頂点に立った)ブアカーオを目指しているのですから当然です」
――最後に意気込みとメッセージを。
「岡山ジムの在間啓一会長や田村信明相談役にいただいたチャンス、必ずものにして、父母への報恩感謝を忘れず、ここから大きく羽ばたいてみせます。愛里以上に強く、高く!」