MMA
インタビュー

【RIZIN】平本蓮はいかにして弥益ドミネーターを攻略したのか「あれがストライカーの塩漬けです」、大晦日は「頭痛じゃないんですけど少しゆっくりしようかな」

2022/11/06 22:11
 2022年11月6日(日)愛知・ドルフィンズアリーナにて開催された『RIZIN LANDMARK 4 in NAGOYA』のメインイベントで、弥益ドミネーター聡志(team SOS)に判定勝ちした平本蓮(ルーファスポーツ)が試合後インタビューに答えた。  弥益を攻略したスタイルを「ストライカーの塩漬け」と表現した平本。試合中、平本は何をしていたのか。 左足の人差し指の根本の骨が折れていて踏ん張ることが出来なかった ──試合後の率直な感想は? 「ま、こんなもんです、はい。自分の中で怪我とかピンチというか少し不安要素が試合前にあったので、それが逆に自分の集中力をめちゃくちゃ高めてくれたので、怪我の功名っすね。過去で一番落ち着いて試合が出来たと思います」 ――試合前は「気負わずに楽しみたい」との言葉があったが、実際に楽しめた? 「そうですね。自分から攻撃をガンガン焦って仕掛けるのではなく、流れのなかで自分のタイミングと自分の勝負する距離感が生まれると思っていたので焦らず戦えた。MMAを楽しめたというか。ストライカーの塩漬けができたんじゃないかと思います」 ──対戦を終えて相手の印象は試合前と後で違うところはあった? 「すごい対策してた通りというか、足関節とかも狙ってくると思ったので、その辺の対処もやっといたので問題なく試合を進められたかなと。あと壁際に押し込まれたときにこれは絶対にテイクダウンされないなと思って。もういつでもテイク来てくれ、そのほうがむしろ打撃が当てやすくなると。向こうもストライカーの選手じゃないですか。蹴りとかパンチとかは変則的でタイミングがずれてきていたのですが、全部読めたので相性がよかったと思います」 ──これでMMA2連勝。今後の展望は? 「やっと勝率50%になったので、ここから勝ち越して、UFCのチャンピオンに自分はなりたいと思います」 ──メインイベンターの責任を感じて負傷を乗り越えて試合に挑んだ? 「試合ができるかできないかってなったときに、一番は試合を楽しみにしてくれていたファンの子のツイートとかを目にする機会が多くて。自分がSNSをやっていない間に平本蓮を信じるってコメントが多くて。これはやるしかないと気合いいれてもらったので。今回は会場がホームに感じました」 ──3試合メインをやったことは大きな経験になっている? 「そうですね、メインを重ねてきて、勝負強さというか自分の土壇場力っていうのは昔からあると思うので、いい具合にMMAをつかめてきたというか、やってきたことが少しずつ出てきたかなって思います」 ──平本選手のブランドの服を来ている平本キッズもいっぱいいた。声援を感じられた? 「アパレルで試合前に応援のパーカーを出したのですけど発送先に名古屋が多くて。名古屋の人が応援に来てくれているのだと実感して、気合いがはいりました」 ──怪我の詳細は? 「左足の人差し指の根本の骨が折れていて踏ん張ることが出来ない状態だったので、3週間くらいレスリングができずそこが不安要素であった。その間も岩崎先生とやってきた空手を信じて、自分に出来ることはやっていたので。あとは本番で自分の地力が出ると自分に期待していた部分があったので、試合をこなせてよかったと思います」 ──大晦日への参戦の意欲は? 「多分また今日の試合で足が折れちゃったので、ゆっくりしようかなと。同じ箇所が試合中に折れて。凄く痛いので、頭痛じゃないんですけど少しゆっくりしようかなと思います。診断書がありますので、空想の頭痛じゃないです」 [nextpage] 恐怖心をコントロールすることが塩漬け ──サウスポースタイルは対策として? 「いや、小学校でキックを始めた時から僕はサウスポーも練習していたので。K-1時代もサウスポーで試合したことがあります。MMAに来て、空間を作るということに対して、岩崎先生とやっていて右手前の構え、右利きのオーソのほうが、土壇場の喧嘩強さみたいなのが出るんですよ。テクニックの部分では、自分はサウスポーの方がテクニックが豊富にあるというか。懐をコントロールしてというのが今回の作戦だったので。今回はサウスポーでMMAのニュースタイルで、平本蓮はこんなんもできるんだよとお披露目したかったというか、それが結果としていい形になってよかったと思いますね」 ──サウスポーでやったことで冷静にできた? 「コナー・マクレガーが憑依しました(笑)」 ──蹴りがほとんどなかったのは怪我の影響? 「そうです。蹴ってまた痛くなるのも嫌だったので。今回は自分がやってきたボクシングと空手を信じて。とにかくやってきたことを信じました。前回の試合で出しきれてなかった空手の部分、自分の新しいスタイルをより今回は完成に近付けたというか。試合前から岩崎先生には距離感さえミスらなければ、3R徹底的に弥益の顔をボコボコにできる試合になるだろうとずっと言っていたので。そういう試合の展開になったという感じですね」 ──ストライカーの塩漬けと言っていたが、それは理想通り? 「そうです。あれがストライカーの塩漬けです。流行るんじゃないですかね(笑)」 ──ストライカーの塩漬けは、MMAファイター平本蓮の軸になるスタイル? 「自分の軸となるスタイルというか、グラップラーは密着した状態でグラウンドのコントールをしますが、打撃は距離をコントロールするのが一番の武器というか。レスラーの塩漬けと違ってストライカーの塩漬けは怖さがあるので、恐怖心をコントロールすることが塩漬けというか。もうやりたくねえなって試合中に思わせるような。武道ですね。武術空手。スポーツ的なテクニカルな部分ではなく武道の恐怖心を相手に与え付ける。そういうのを少しずつ自分のMMAを通して表現できるようになってきた、出せるようになってきたのかなと。空間の怖さというか、駆け引きですね」 ──手の位置の低さもタックル対策というよりも空手の構え? 「基本の空手の突きを意識しているんですけれど、テイクダウンにもすぐ対応できるようになるのと、上のパンチは全部目で見えると思っていたので。新しいスタイルですね。自分はキックの時はガードがすごい高くて全然違う。いつまでもキックの打撃にこだわってなく、新しいことを俺はやろうとしている。今日の試合はそういうふうに世間を見返せるいいきっかけになったんじゃないかな」 ──「これからは平本蓮の時代です」って、以前に魔裟斗さんが同じセリフを言っていたと思うが意識していた? 「はい、K-1リスペクトです」 [nextpage] こんなに挑むって思ったのは本当に初めてだった ──組みがあるMMAにおいて、組みがあるから打撃というところから自分が打撃を使って相手を組ませたという感覚はつかめた? 「そうですね。嫌がりながら組ませるというか。最初の足関をとった時とか、効かせて上を取った瞬間に『これはもう組み負けないな』と思った。ただ、弥益選手のグラップリング、寝技は基礎的なものより変則的なものが多くて、欲を出しすぎて思わぬ初見殺しみたいなのを喰らうのは警戒があったので、今回は付き合わずにコントロールして立たせてというか。強いレスラーが何回もテイクダウンして、これはもう無理、これは立てないなと思わせるのと同じ逆バージョンを作れたのかなって思いますね」 ──前足で移動ではなく後ろ足で移動する意識は稽古では出来ていても実戦で使うのは難しい。今日は出来ていたのではないか? 「岩崎先生の声がすごい大きくて。試合中も落ち着いて『出るな』っていうのが。自分の今までのパンチってジャブもワンツーもステップで入るボクシングの基本の動きだったんですけれど、そのタイミングで萩原にテイクダウンをとられていたので、自分は動かずに足を出さずにその場で、というのを徹底してやってきた部分だったので試せてよかったですね」 ──あとは置くパンチみたいなものは出来たかなと思うが? 「そうですね、自然に。左が当たったら右が伸びているというか。バン、バンじゃなくてババンってひとつの音にするようなパンチが出来たんじゃないかなと思いますね」 ──鈴木千裕選手が、平本選手は本来いい人間なのに悪ぶっていて、いい人間と使い分けていると。いつも素でいるべきだと言っていたが? 「ああ、じゃああいつは逆なんですね。普段いい人ぶってるけど本当に性格悪いじゃないですか。だから僕、道徳とか教えてやりますけれどね(笑)」 ──ケージの試合だったことでディフェンスもよかったと思うが、今後リングよりケージでずっとやっていきたい? 「もう1回、次もケージでやりたいですね。次の試合もケージでお願いします(笑)」 ――そうなると大晦日は難しくなるかも。 「またLANDMARKかもしれないですね(笑)」 ──試合中に、ここまで効かせたら倒して終わりたい欲求はなかった? 「いや、相手が意識途絶えるまでぶん殴ろうというので。最後は意識もけっこうきつかったと思うんですけれど、欲を出さずに自分の勝利を信じて戦ったというか。逆に2戦連続コントロールが続いて、自分のなかでどんどんコントロールできているんじゃないかと。元シュートボクシングの鈴木選手との試合では、打撃の選手なのでテイクダウンに来なかったので勝負どころを作りづらかった。向こうも危機回避能力というか、打撃のスペシャリストでもあるので、この人は入ってこないなと思って。途中からこれはKOないなと気付いたんですけれど、ああいう風(弥益)にテイクダウンを織り交ぜる選手ほどあの瞬間が生まれるというか。勇気を出す瞬間ですよね。そういうのをしっかりポイントにして攻められたから、よかったかなと」 ──アレを繰り返して最後に相手が倒れたらそれでいい、と。 「そうですね。本当に終わりだなと思った瞬間に仕留めようと思っていたんですけれど、あれで全然」 ──弥益選手に試合直後に声をかけていたのはどんな会話を? 「それは秘密です(笑)」 ──弥益選手は効かされすぎていて覚えていないと。 「自分を信じてやれたのもよかったし、自分が今まで子供の頃からいろんな試合をしてきて、こんなに挑むって思ったのは本当に初めてだったので、すごく勇気をもって戦いました。弥益選手がいたからそれも成り立ったのかなと」 ──そういうことを伝えた? 「はい、そうです」
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.331
2024年3月22日発売
UFC参戦に向け、ラスベガス合宿の朝倉海。「プロフェッショナル・ファイターの育て方」でチームを特集。『RIZIN.46』鈴木千裕×金原正徳インタビュー、復活K-1 WGP、PFL特集も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント