『RISE 162』にて、引退エキシビションマッチ&セレモニーを行う寺戸伸近
2022年10月30日(日)東京・後楽園ホール『RISE 162』にて、引退エキシビションマッチ&セレモニーが実施される寺戸伸近(Booch Beat)の記者会見が29日(土)都内にて行われた。
寺戸は2003年12月に全日本キックでプロデビュー。2009年1月に全日本バンタム級王座に就くと、3月にM-1バンタム級王座、11月にRISEバンタム級王座に就き三冠王となった。2010年からはKrushを主戦場とし、2014年8月にISKA K-1世界バンタム級王座も獲得、2016年3月にKrushスーパー・バンタム級王座も奪取した。ダウンを奪われてからの逆転勝利も多く、数々の名勝負を残している。
2017年11月のKrushタイトルマッチで久保賢司を延長戦の末に破り、2度目の防衛に成功したのが最後の試合となった。生涯戦績は40勝(16KO)11敗1分。
会見で寺戸は「5年前からずっと試合をしていなくて、いつか引退の区切りを付けたいとずっと思っていましたが、コロナ禍もあり、なかかな実現できなかった。RISEから声を今回かけていただき引退セレモニーを実現させていただけることになりました。最後のリングでエキシビションをやらせてもらいます。相手は凄い選手だと聞いています。最後のリングを楽しんで、自分が出来る全ての力を出して最後のリングを終わりたいと思います」と挨拶。
5年ぶりのリングに向けて「チーム黒船の方で練習させてもらいました。厳しいものでしたが、老体に鞭打って仕上げてきました。自分の出来ることは全てやってきた。年齢のこともあるし、今持っている寺戸の100%と思ってもらえればと思います。本番になると100、150の力を出すのが寺戸だと思うのでそういう姿を見せたいですね」と、かなり本気モードで仕上げてきたという。
引退を決めたのは「最後の試合が終わった5年前、これからまた頑張ろうという気持ちが乗らなかった。それも一つ理由にあります。そこから身体のコンディション、怪我も踏まえてそろそろ現役は退かないといけないと思いました」との理由を話す。現在は昼は仕事、夜は練習しており、『Stand Up』ではGMも務めている。
「新空手の久保坂代表と『Stand Up』という若手育成の場を設けました。その中で今の若手が力をつけて、RISEなどの大きなリングに羽ばたいていってもらいたい。そういう次世代につながるキックボクサーを育てていきたいと思います」と、今後は若手選手たちを育てていきたいと話した。
現役時代の一番の思い出を聞かれると「苦しい試合はたくさんありましたが、RISEのタイトルマッチで九島選手とやった時なんですが。この日の前日に山本優弥が盲腸になりまして。なぜかその日の晩御飯を食べることになって食べてしまって。計量当日の朝に2kgオーバーしていて。夏だったんですが道場の暖房を30度にして減量して、2kg落としてタイトルマッチをやって何とか勝てたのが印象に残っていますね」というエピソードをあげる。
寺戸と言えば幾度もの激闘を物語るように、曲がった鼻がトレードマークのようなものだった。引退を機に治すつもりはないのかと聞かれると「治せるなら治したいですが、鼻の通りは大丈夫ですし、手術が怖いのでとりあえずいいかなと思っています」と言って笑った。
そして「明日、寺戸伸近の最後のリングになります。お見せできる全てをお見せして、自分の中のけじめ、皆さんの中での寺戸引退という区切りをしっかり付けて、今後は違った形で格闘技界に貢献していきたいと思います」と語った。
なお、伊藤隆RISE代表は「歴代のバンタム級王者の中でもトップレベルの選手でした。たくさん感動する試合をしてくれてありがとうとの想いと共に、業界に寺戸伸近という名前を確実に残した選手です。敬意を表したい。GMとして活躍していますが、Stand Upからたくさんの強いファイターを育成してもらっています。寺戸二世を育成してもらいたいし、RISEとしても協力していく所存であります」と寺戸を称えた。
なお、寺戸の引退エキシビションマッチの相手「X」は30日(日)の正午にRISEのSNSなどで発表される。