2019年6月30日(日) 16時から、東京新木場・スタジオコーストにて「PANCRASE 306」が開催された。
メインイベントの第11試合「ウェルター級暫定王者決定戦」では、手塚裕之(1位/ハイブリッドレスリング山田道場/TGFC)が、高木健太に1R、リアネイキドチョークで一本勝ち。ウェルター級暫定王者となった。
セミファイナルの第10試合は、当初、瀧澤謙太と対戦予定だったリッキー・キャンプが親族に不幸があり試合を辞退。急遽キルギスのダスタン・オムルザコフに変更されたため、試合は無差別級戦となり、瀧澤謙太は62.85kg、オムルザコフは69.8kgで計量、危険な体重差となっていた。しかし、試合直前にドクターから瀧澤に「オムルザコフが血液検査をパスしなかった」ことが告げられ、試合は中止に。瀧澤は酒井代表、ドクターとともにケージの中で経緯を説明した。
第9試合ミドル級戦では、1年半ぶりMMAに臨むミノワマンを石川英司がドミネート。判定勝利にマット上で「1、2、3、大門ショット!」をコールした。
▼メインイベント 第11試合 ウェルター級 暫定王者決定戦 5分5R
○手塚裕之(76.9kg/1位/ハイブリッドレスリング山田道場/TGFC)7勝3敗
[1R 3分36秒 リアネイキドチョーク]
×高木健太(77.05kg/リバーサルジム川口REDIPS/4位)17勝17敗
※手塚が暫定王者に。
現王者ウェルター級グライコ・フランサが米国PFL参戦中のため年内の防衛戦が不可能となり、元同級王者の三浦広光と手塚が当初、対戦予定だったが、三浦が靭帯損傷のため欠場。急きょランキング1位の手塚とランキング4位の高木健太が暫定王座を争うことになった。
両者は、2016年7月24日「PANCRASE279」ディファ有明大会で対戦しており、初戦は高木が2R0分25秒、顔面カットによるドクターストップでTKO勝ちを収めている。
その後、手塚は4勝1敗で王座に手をかけ、高木は手塚戦後3連敗を喫しながらも、奈良貴明、丸山数馬に勝利し再びトップ戦線に舞い戻ってきた。そこには、かつて敗れた阿部大治らとの打撃中心の練習が奏功しているという。
対する手塚も地元の自然のなかで軽トラックを押す、田んぼを走る、川の流れと逆に泳ぐなどの特訓を積んで「生物レベルで強くなる」ことを目標に掲げてきた。
6勝のうち5つのKO勝ちを記録する手塚、17勝のうち15のKO勝ちを誇る高木。互いに破壊力ある打撃が持ち味なだけに、KO決着は必至か。手塚の隠れたグラップラーとしての実力にも注目だ。
1R、オーソから左フックは手塚! サウスポー構えから左インローは高木! しかし手塚は走り込んでのダブルレッグでドライブしてテイクダウン&パウンド!
高木の亀になる際でバックに回った手塚は背中に跳び乗り、リアネイキドチョーク! 高木がタップ。手塚がベルトを巻いた。
手塚「とても嬉しいです。これまでみんなに迷惑をかけたので、山田道場、親父と母ちゃんにありがとうと言いたいです。山田道場、寝技強い人いっぱいいるんで。実は狙っていました。ONE Championship狙っていきたいです。出させていただければトップを目指したいです。求められればどこでもやります」
【試合中止】セミファイナル 第10試合 無差別級 5分3R
-瀧澤謙太(62.85kg/リバーサルジム東京スタンドアウト/3位/8勝5敗)
-ダスタン・オムルザコフ(69.8kg/サルブラク/キルギス)2勝0敗
セミファイナル前、齊藤直人ドクター、瀧澤謙太、酒井正和代表がケージに上がり、試合の中止が発表された。
当初、瀧澤謙太(リバーサルジム東京スタンドアウト)と対戦予定だったリッキー・キャンプ(グアム)が「親族に不幸があり」試合を辞退。急遽、瀧澤の相手がキルギスのダスタン・オムルザコフに変更されていた。
しかし、前日計量で瀧澤謙太は62.85kg、オムルザコフは69.8kgと6.95kg差があり、試合は無差別級戦に。危険な体重差と物議を醸していた。
さらに大会当日、セミファイナルの「2試合前」に瀧澤に「オムルザコフが血液検査をパスしなかった」ことが告げられ、試合が中止に。バンテージチェックまで済ませていた瀧澤は茫然とした表情で、齊藤ドクター、酒井代表と共にケージに上がり、試合が中止になったことについて下記の通り語った。
まず、ドクターはオムルザコフが「メディカルチェック(血液検査)を通過せず、選手が安心して安全に試合ができる環境が担保できなかったため試合は中止となりました」と説明。
続いて酒井代表は、「選手が急きょ2日前に変更になりまして、前日の計量問題とか色々あったのですが、瀧澤選手はそれでも試合を決行したいという意志、それもPANCRASEとしては尊重しながら、しかしながら今日の血液検査がパスできなかったということはスポーツMMAをやっているPANCRASEとしては、これ以上試合をやることはできないと。で、ウチは選手を守ることが仕事なので。そういった意味では瀧澤選手の応援に期待を込めてご来場いただいたファンの皆様にここはちょっと、この場を借りてお詫びを申し上げたいのと、このあと瀧澤選手にコメントもいただきますが、PANCRASEとしては次の瀧澤選手の試合、チケットを購入いただいたファンの皆様には無料でご招待いたします」とコメント。
続いて瀧澤が泣きながら、「今回、僕のために忙しい中、応援に来ていただいた皆さん、スポンサーの皆さん、ほんとうに申し訳ございませんでした。……計量前日の夕方の5時半にリッキー・キャンプ選手が来日しないという連絡が入り、『71kgの契約で、10kg重い契約だったら、キルギスのダスタン選手を用意できる』と言われ、急きょ、試合を飛ばすわけにはいかないし、応援してくれているファンの皆さん、スポンサーしてくれている皆さんの気持ちを裏切るわけにはいかないので試合を受けることにしました。
でも今回、計量で7kg差というので、僕はもう関係ないと思って、どうなろうが必ず倒してやろうと思っていたんですけど、血液検査を通っていないと、今の試合の2試合前に聞いて、もうバンテージも巻いて準備万端に備えてきたのにすごい悔しいです。次、僕のランキング上の選手、やってない選手……やったか。チャンピオンのハファエル・シウバと金太郎選手が7月タイトルマッチが決まっていますけど、次、勝った方と組んでもらえたらと思います。社長、チャンピオンとやらさせてください」とマイクで語った。
▼第9試合 ミドル級 3分3R
×ミノワマン(80.3kg/フリー)65勝43敗8分
[判定0-3]※27-30×2,26-30
○石川英司(80.95kg/GRABAKA)31勝24敗3分
ミノワマンは2017年7月の「PANCRASE 288」で近藤有己とレジェンド対決に臨むも、間合い地獄にはまり判定負け。同年9月に韓国で開催された「ROAD FC 42」ではユン・ドンシクにテイクダウンを奪われるもドンシクが右手の指を負傷し、2R TKO勝利となっている。その後、12月に福岡での試合で負傷もあり、1年半ぶりのMMとなった。
対する石川英司は、2018年6月の「DEEP 84」で横田一則の引退試合の相手として対戦。持ち前の粘り強いレスリングで横田にスプリット判定で勝利しており、約1年ぶりの試合で連勝を狙う。
1R、オーソドックス構えのミノワマン。石川はサウスポー構えからダブルレッグテイクダウン。ハーフから背中をつかせる。ミノワマンはオーバーフックで抱きつくとヒジ打ちではがす石川のラウンドに。
2R、右から左を当てる石川! さらに小外でテイクダウン! ハーフガードのミノワマンにヒジを落として削っていく。フルガードに戻すミノワマンだが立てず。石川はインサイドからパウンドを打つ。
3R、低いシングルレッグは石川。切れないミノワマンは頭抱えて下に。頭を外した石川はハーフから頭を脇に突っ込み肩固めも狙いながらパウンド。脇を差し返せないミノワマンは下のままホーンを聞いた。判定は3-0でドミネートした石川が勝利。
石川はマットの中央で「1、2、3、大門ショット!」と叫んだ。