MMA
レポート

【ONE】“人生無敗の男”ディベラが初参戦で“中国の天心”ペイメンを破る衝撃の番狂わせ、ハイキックでダウン奪い新王者に

2022/10/21 23:10
ONE 162: ZHANG VS. DI BELLA2022年10月21日(金)マレーシア・クアラルンプール アクシアタ・アリーナABEMAにてライブ配信 ▼メインイベント ONE世界ストロー級キックボクシング選手権試合 3分5R×ジャン・ペイメン(中国)[判定0-3]〇ジョナサン・ディベラ(カナダ/イタリア)※ディベラが新王座に就く。 “中国の天心”の異名を持つ19歳のペイメンは、中国「EMLegend」等で活躍し、23勝18KOをマークするなど“最強中学生”として話題となり、2022年3月にONEデビュー。サムエーが持つONEストロー級(56.7kg)ムエタイ世界タイトルマッチにも挑戦経験があるトナーと対戦し、2RでKO。いきなり5万ドルボーナスを獲得。7月大会ではアスランベック・ジクレーブを判定3-0で破り、今回のタイトルマッチを迎えた。  ディベラは格闘家だった父に2歳から教えを受け、アマチュアキックボクシングで20勝(17KO)無敗、アマチュアボクシング6勝無敗の戦績を収めてキックボクシングのプロに転向。現在まで10勝(4KO)無敗の戦績でISKA北米王座やISKAインターコンチネンタル王座を獲得。GLORYにも出場した。ONEとは2020年に契約を結んだが、新型コロナウイルスの影響のため試合が出来ず、今回が初参戦となる。その間には2022年6月にモントリオールでボクシングの試合に出場して判定勝ち、その1カ月後にはカナダのキックボクシングの試合で2R KO勝ちを収めた。  1R、ローの蹴り合いからフックを打ち合う両者。サウスポーのディベラが前へ出ていき、ペイメンは右インローを狙い撃ち。ディベラの攻撃終わりに必ず右インローを返すペイメン。鋭いワンツーを繰り出すのはディベラ。飛び込んでのワンツーでペイメンのガードを突き破るディベラは左ミドルも蹴るが、ペイメンは右インローをリターン。両者のスピードある攻撃が多数繰り出された。  2R、ペイメンは右ロー&左インロー、ディベラも左インローを蹴り、ワンツーで前へ出る。ペイメンが前に出てくるところを右フックのカウンターで迎え撃つディベラ。ペイメンは右インロー&左ローをどんどん蹴る。ペイメンの右ストレートをかわしての右フックでヒットを奪ったディベラは顔を前に出して挑発。距離が詰まったところでのパンチの打ち合いではペイメンが左へヘッドスリップしての右で連続ヒットを奪う。  3R、ペイメンが右ミドルからの右ハイで魅せる。右インローを蹴り、ディベラが左ストレートを打って来るところへ右を合わせる。ペイメンは右インローをどんどん蹴り、ディベラがパンチを出すと右を合わせることを繰り返す。ディベラの左ストレートにペイメンが左右ボディ。ここからペイメンはボディを攻め始める。ディベラは左ミドルでペイメンの右腕を蹴り、左ストレートのダブル。  4R、ペイメンのジャブに左ストレートを返すディベラ。ペイメンは変わらず左インローと右ローを蹴っていくが、ディベラの左ストレートを被弾する場面が目立つ。パンチはほぼ左ストレートのみのディベラ。それに対して至近距離での打ち合いではペイメンが左右フックを回転させる。ペイメンの強烈な左インローを受けながらも左ストレートを返すディベラ。両者譲らないスピードのある攻防が続く。  5R、ディベラのワンツーがヒットすれば、ペイメンは右インローと左ロー。ペイメンのローに左ストレートを伸ばしてくるディベラ。ペイメンが前に来ると右フックを合わせる。ディベラの左ミドルにはペイメンが右ローを返す。そして残り50秒、ペイメンが右インローを蹴って左フックを返そうとしたところでディベラが左ハイでダウンを奪う。  一気に襲い掛かるディベラはワンツーの連打、さらに首相撲(反則)からのヒザ。ペイメンも左フックを返したが、試合終了。  判定は3-0でディベラの勝利。卓越したテクニックでONE初参戦にして王座に就き、ベルトを抱きしめて勝利の雄叫びをあげる。格闘技人生無敗の男が無敗記録を更新し、世界にはまだまだ知られていない強い男がいることを証明した。 [nextpage] ▼第7試合 ライト級 キックボクシング 3分3R〇コンスタンティン・ルス(モルドバ)[判定3-0]×イスラム・ムルタザフ(ロシア)  ルスは2018年3月に開催された「King of Kings』のウェルター級ヒーローズトーナメントで優勝。同年10月にはKOKウェルター級(-77kg)王座も獲得し、FEA(ファイティング・エンターテインメント・アソシエーション)に戦いの場を移すと2019年3月にトーナメントを制してウェルター級(-77kg)王座を獲得。同年6月にはWKLミドル級(-75kg)王座も獲得している。ONEには2022年6月から参戦し、マルワーン・トゥートゥーに判定勝ち。前日のハイドレーションテストに失敗し、試合はキャッチウェイトで行われることに。  ムルタザフは幼少の頃はレスリングを学び、10歳でムエタイに転向。2016年までアマチュアで経験を積み、2015年IFMA世界選手権 -75kg優勝、2016年WMF世界選手権プロアマ-75kg級優勝。2016年にタイへ移住しSuper MuayThaiやMAX MUAYTHAIで試合を行った。2017年にはEM LEGEND -75kgワールドトーナメントでジョーダン・タイらを破り優勝。タイのみならず中国、スペイン、ロシアで試合を行い、2021年3月にはMMAにも挑戦してTKO勝ちを収めている。ONEには2021年12月から参戦し、レギン・アーセルのONEライト級世界王座に挑戦したが判定2-1で惜敗。2022年は3月、7月とONEで試合が組まれながらも全て流れている。今大会でも当初はニキー・ホルツケンとの試合が組まれていたが、ルスに変更となっている。  1R、ムルタザフがまず左ミドル、右ローで快音を響かせる。ルスはワンツーで前へ出てハイキック。距離が遠いか、ルスは蹴りの空振りが続く。ルスはパンチから蹴りへつないで前へ出ていくがムルタザフの距離の取り方になかなかヒットを奪えない。逆にムルタザフは右ローを当てる。ルスはなかなか攻撃が当たらずいらついたか、ラウンドが終了するとケージを叩く。  2R開始と同時にムルタザフは飛び込んでの前蹴りを顔面に。ステップで回り込むムルタザフを追いかけていくルスだが、やはり目立つヒットは奪えない。逆にムルタザフは前蹴り、右ローをヒット。ルスは思い切り右ロングを振っていく。追いかけるルス、サークリングして距離をとり続けるムルタザフ。下がるだけでなくムルタザフは左ボディ、右ストレートを当てる。終盤、ルスの左ボディ、右ロングフックがムルタザフを捉え始めた。  3R、ムルタザフがハイキックからバックハンドブロー、これは空を切ったが、その後もムルタザフはハイキックとバックブローを繰り出す。前へ出てパンチを当てに行くルスはカモンゼスチャー。1Rからルスが繰り出しているバックスピンキックは最終Rも空を切る。左ミドルから右ストレートにつなげるルスは左ハイキックをヒットさせるがムルタザフは崩れない。ムルタザフは左フックで迎え撃って右ストレート。  ヒット数やゲームメイクはムルタザフかと思われたが、最後まで果敢に攻め続けたルスが判定3-0で支持された。 [nextpage] ▼第5試合 フェザー級 ムエタイ 3分3R〇ジミー・ビエノ(フランス/同級4位)[判定3-0]×ニコラス・ラーセン(デンマーク)  ビエノはアマチュアムエタイを経て2013年にタイでプロデビュー。ペッブンチュー、シンマニーらムエタイトップファイターらとの対戦を経験し、2019年4月には外国人として4人目のルンピニースタジアム王者に就いた。2016年にはWPMF世界王座(-72.5kg)、2017年にはWBCムエタイ世界王座(-72.5kg)、2018年にはWMC世界王座も獲得するなど、フランス人ムエタイ選手としてトップの地位を築く。ONEには2022年5月に初参戦してペットモラコットの持つONEムエタイ世界フェザー級王座に挑戦したが、判定2-1で惜敗。また、2021年9月にはUAEウォリアーズ22でMMAデビューも果たし、ダニエル・ドンチェンコに勝利した。185cmの長身を誇る。  ラーセンは地元デンマークで10代の頃にムエタイを始め、ヨーロッパや中国の様々な団体で活躍。183㎝の長身で変則的なリズムから繰り出す蹴りを得意としており、基本はアウトボクシングタイプだが飛びヒザ蹴りが得意。WKU世界スーパー・ウェルター級王座を獲得し、2020年3月の「第3代K-1スーパー・ウェルター級王座決定トーナメント」に出場が決まっていたが、新型コロナウイルスの影響により来日が中止となった。これまでマサロ・グランダー、アンディ・リスティ、ブアカーオ・バンチャメークといった世界トップファイターとも対戦しているがいずれも敗れている。GLORYでは3勝3敗の戦績を残して2022年6月にONE初参戦を果たしたが、タワンチャイに2RでKO負けを喫した。  1R、サウスポーのビエノにいきなり左右フックで襲い掛かるラーセン。ケージ際まで追いかけると一度退く。ビエノはアップライトのムエタイスタイル、ラーセンはクラウチング気味にステップを踏む。左ストレートを伸ばし、左ヒザ2発につなぐビエノ。ラーセンの左フックにはヒジを見せる。長いリーチを活かして顔面、ボディへジャブ&ストレートを放っていくビエノ。距離を完全に支配したビエノはラーセンが入ってくると首相撲に捕まえて崩す。  2R、ラーセンが左右フックで入り込んでくるところへ必ずストレートかミドル、ヒザを合わせるビエノ。それ以上ラーセンが入ってくると首相撲に捕まえてしまう。この首相撲の中でビエノはバッティングで切れたか左目上から流血。するとラーセンの右ストレートがクリーンヒット。自ら組みに行ったラーセンはヒジを突き上げる。流血のビエノはドクターチェック。再開後、ビエノの視界の悪さを突くような右のフック気味のストレートを連発するラーセン。ビエノも組んでのヒザ蹴りで対抗する。ビエノは右アッパーを突き上げ、左ヒジ。再び距離を支配し始める。  3R、ビエノはラーセンの左フックを鮮やかにスウェーでかわしての左ストレートを繰り出す。ラーセンが左右フックで入ってこようとすると右手を伸ばしてストップ。距離を保つ。ラーセンが入ろうとすると左ミドル、そしてワンツー。ラーセンも右ストレートを返す。どんどん前へ出るラーセンは距離を詰めるとヒジ。ビエノも首相撲からのヒジ&ヒザで対抗する。前へ出るラーセンだが攻撃を合わせるか、かわすビエノにヒットを奪えない。最後は前蹴りで思い切り突き放したビエノ。  判定3-0でムエタイテクニックを見せつけたビエノが勝利を収めた。 [nextpage] ▼キャッチウェイト 130.75ポンド契約 5分3R〇グスタボ・バラート(キューバ)[判定2-1]×アレックス・シウバ(ブラジル) 引き込みからの足関節・バックテイク、後ろ廻し蹴りなど、バラルトの前進を止め、強打を出させなかったアレックス・シウバだが、そのコントロールは評価されず。オーバーハンドを出し続けたバラルトがスプリット判定勝ちした。 [nextpage] ▼フライ級 ○リース・マクラーレン(豪州)[2R終了時 TKO]×ウィンドソン・ラモス(ブラジル) [nextpage] ▼ウェルター級 5分3R×ベン・ウィルヘルム(米国)[1R 4分58秒 リアネイキドチョーク]○ルスラン・エミベック・ウフール(キルギス) [nextpage] ▼ムエタイ キャッチウェイト(62.6kg)×タギール・カリロフ(ロシア)[判定0-3]○デニス・ピューリック(ボスニア) [nextpage] ▼バンタム級 5分3R×レアンドロ・イッサ(ブラジル)[判定0-3]○アルテム・ベラー(ロシア) [nextpage] ▼フライ級 5分3R○エコ・ロニ・サプトラ(インドネシア)[1R 2分16秒 ヒールフック]×ヨッカイカー・フェアテックス(タイ)
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.331
2024年3月22日発売
UFC参戦に向け、ラスベガス合宿の朝倉海。「プロフェッショナル・ファイターの育て方」でチームを特集。『RIZIN.46』鈴木千裕×金原正徳インタビュー、復活K-1 WGP、PFL特集も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント